この規格ページの目次
17
C 61300-3-32 : 2013
がある。正確な位相測定を行うため,変調によって生じるサイドバンド成分及び光源自体の線幅を含む全
帯域は,供試品のもつ帯域以下でなくてはならない。
位相シフトを測定する場合,360n度(nは整数)の曖昧さを防ぐことは不可欠である。これは,大きな
PMDが予想されるとき,変調周波数を低くするなどの方法で実現することができる。例えば,変調周波数
は,位相差が360度となる周波数を超えないようにしなければならない。この変調周波数の上限fmaxは,
式(8)によって概算できる。
12
10
fmax (8)
max
ここに, fmax : 変調周波数の上限(Hz)
Δτmax : 波長λにおける最大の推定DGD値(ps)
実際,DGD値が100 psより小さいと,fmaxは10 GHzより大きくなり,変調周波数として一般に実現で
きる周波数を超える。
変調周波数の下限fminも決めておく必要がある。fminは,DGD測定の分解能のRMS値Δτres及び位相比較
器の位相分解能δを用い,式(9)によって求める。
12
δ 10
fmin (9)
360 res
ここに, fmin : 変調周波数の下限(Hz)
Δτres : 波長λにおけるRMS値のDGD分解能(ps)
δ : 位相比較器のRMSでの位相分解能(度)
7.1.3 偏光制御器
供試品への入力光のSOPを,偏光制御器で制御する。入力光のSOPは,コンピュータからの制御信号
によって設定する。コンピュータは,適切に直交したSOPを決め,それらの偏光状態の間で遅延差を測定
する。
光源が偏光状態にない場合,光源の後に偏光子を配置し,その直後に偏光制御器を配置する。偏光制御
器の例として,液晶又はバルク形光学遅延板(四分の一波長板及び二分の一波長板),機械的に可変な複屈
折光ファイバを巻いた可変複屈折素子,電気光学特性をもつ光受動部品などがある。あらかじめ予想する
測定精度を得るため,偏光制御器には十分な特性が必要である。角度設定分解能は±0.1度が必要である。
一般的に,使用波長範囲で,偏光消光比は30 dB又はそれ以上が必要である。
注記 一般に,四分の一波長板及び二分の一波長板の位相遅延量は波長特性をもつため,ある波長範
囲においてだけ,所期の位相遅延を与えることができる点が,測定における制限となる。
7.1.4 偏光ビームスプリッタ
偏光ビームスプリッタ(PBS)は,入力光を,互いに直交する成分(P偏光及びS偏光)に分離するた
めに用いる(直交するとは,ポアンカレ球上で正反対の位置にあることをいう。)。PBS以外の方法を用い
て,これら互いに直交するSOPを得てもよい。PBSは,方解石などの非等方性の結晶から成り,一般に,
非常に高い偏光消光比を得ることができ,非常に低いDGD,群遅延及びPDLを実現できる。また一般に,
対応する波長範囲は非常に広い。
7.1.5 受光装置
受光装置は,供試品で変調された光信号を電気信号に変換する。高い直線性をもつPINフォトダイオー
ドが,一般によく用いられる。また,PINフォトダイオードは,高い変調周波数に応答するよう,十分に
広い動作帯域をもたなければならない。それに加え,高い信号−雑音比をもつよう,受光装置の後ろに広
帯域の増幅器を用いるのがよい。
――――― [JIS C 61300-3-32 pdf 21] ―――――
18
C 61300-3-32 : 2013
7.1.6 振幅及び位相比較器
振幅及び位相比較器は,信号の振幅及び位相を測定する。信号の位相は,各偏光成分を信号発生器から
の参照変調信号と比較することによって測定する。群遅延は,式(10)を用いて位相から求める。
3
( ) (10)
f
ここに, τ(λ) : 群遅延(ps)
替 位相(度)
f : 変調周波数(GHz)
7.1.7 参照信号
信号発生器から変調器に入力する変調信号と同じフーリエ成分をもつ参照信号とを位相比較器に入力し,
信号源の位相差を測定する。
参照信号は,変調信号と同期していなければならない。変調信号を分岐して,参照信号として用いても
よい。
参照信号の例を,次に示す。
− 信号発生器と位相比較器の参照信号入力部とを,電気的に接続する。
− 供試品の前に光カプラを挿入し,光源出力を分岐して受光装置に接続する。受光装置の出力を増幅し
て,位相比較器の参照信号として用いる。
7.1.7A コンピュータ
適切なソフトウェアを具備したコンピュータを用い,測定した振幅及び群遅延の値からDGD値Δτ(λ)を
算出する。
7.2 測定手順
PPS法の測定手順は,次による。
7.2.1 変調周波数
測定結果によって決まる波長分解能Δλ及びDGD測定分解能Δτresによって,変調周波数を選択する。
7.2.2 波長間隔
DGDの算出には波長の増加量δλを使うため,二つの波長で測定する必要がある。
波長増加量δλを波長間隔と呼び,δλの決定手順を次に説明する。波長可変レーザ光源の波長をδλ[δλ=(λ
+δλ)−λ]だけ変える。このとき,供試品からの出力の偏光角度の変化が45度より小さくなるようにする。
δλ(nm)は,通常,式(11)のように表す。
2 3
10
δ≦ (11)
4 c max
ここに, δλ : 波長間隔(nm)
λ : 測定波長範囲(nm)
c : 真空中での光速(m/s)
Δτmax : 供試品で予想される最大のDGD量(ps)
例えば,DGDの最大値τmaxと波長間隔δλとの積は,波長1 550 nmにおいて2 ps・nm未満でなければな
らない。
7.2.3 波長掃引による測定
波長可変レーザ光源は,必要な測定波長範囲で波長ごとの測定に用い,DGD値は,それぞれの波長で求
める。さらに,測定波長範囲内で得たDGD値を基にして平均のDGD値を求め,供試品のPMD値を求め
ることができる。校正及び測定は,次による。
――――― [JIS C 61300-3-32 pdf 22] ―――――
19
C 61300-3-32 : 2013
a) 校正 長さ1 m以下の低PMDシングルモード光ファイバを用いて,測定前に校正を行う。はじめに,
偏光制御器及び偏光ビームスプリッタ(PBS)を調整し,偏光制御器がPBSのP偏光に一致する0度
直線偏光を出射するようにする。続いて,偏光制御器が,PBSのS偏光に一致する90度直線偏光を
出射するように調整する。次に,それぞれの測定波長に対して,偏光制御器から0度直線偏光と90
度直線偏光とを交互に出射し,PBSによって分離した二つの偏光成分(P偏光及びS偏光)の振幅及
び群遅延を測定する。すなわち,0度直線偏光を入射したときのP偏光及びS偏光の振幅(それぞれ
|T11|2cal及び|T21|2cal)及び群遅延(それぞれdΦ11/dωcal及びdΦ21/dωcal)を測定する。続いて,90度直線
偏光を入射したときのP偏光及びS偏光の振幅(それぞれ|T12|2cal及び|T22|2cal)及び群遅延(それぞれ
dΦ12/dωcal及びdΦ22/dωcal)を測定する。
b) 測定 測定には,一対の直交する偏光(0度及び90度の直線偏光)を用いる。0度及び90度の直線偏
光を供試品に入力し,供試品の出力光を偏光ビームスプリッタで,二つの偏光成分に分離する。その
後,特定の波長において,それぞれの偏光成分(P偏光及びS偏光)の振幅及び群遅延量を測定する。
すなわち,0度の直線偏光におけるP偏光及びS偏光成分の振幅(|T11|2mea及び|T21|2mea)並びに群遅延
(dΦ11/dωmea及びdΦ21/dωmea)を測定する。さらに,90度の直線偏光において,P偏光及びS偏光の振
幅(|T12|2mea及び|T22|2mea)並びに群遅延(dΦ12/dωmea及びdΦ22/dωmea)を測定する。
7.2.4 DGD(群遅延時間差)の算出
各波長に対するDGD値を,計算で求める。光伝送用部品の特性例を,図7に示す。
ピークから−3 dB
3 dB帯域幅
)
B)
s
ピークから−20 dB
p
透過率(d
DGD(
20 dB帯域幅
1 549 1 549.5 1 550 1 550.5
波長(nm)
図7−50/100 GHzインターリーバにおける,波長と群遅延時間差との関係
測定結果から,式(12)及び式(13)を用いて,パラメータを求める。
――――― [JIS C 61300-3-32 pdf 23] ―――――
20
C 61300-3-32 : 2013
Θ Θ
1 if
2 πc δ
1 dΦ11 dΦ22 dΦ21 dΦ12
1
4 d d d d
1 dΦ11dΦ22 dΦ21 dΦ12
1 (12)
4 d d d d
2 2
1 1 T11 T21
Θ cos 2 2
2 T11 T21
2 2
T11 T21
cos 2Θ0 2 2
T11 T21
ここに, λi及びλf : 波長間隔δλでの最短波長及び最長波長
ΔΘ : λiにおけるΘとλfにおけるΘとの差分
2
2 Tkl dΦkl dΦkl dΦ11
Tkl mea, ,kl=11及び12
2
T11 cal d d mea d cal
(pdf 一覧ページ番号 )
2
2 Tmn dΦmn dΦmn dΦ22
Tmn mea, ,mn=21及び22
2
T11 cal d d mea d cal
各波長におけるDGD値は, 1
懿1 拿1 杓 び
Θを用いて,式(14)で求める。
0
2 2 2
2 1 1 1 2 cos 2Θ0
1 1 (14)
7.2.5 偏波モード分散値
測定波長全体にわたる1回の測定で得られるPMD値の期待値<Δτ(λ)>λは,使用波長範囲内のDGD測定
値の単純平均(又はRMS値)とする。サンプル数を増やすために,異なる条件の下で複数回の測定を行
う場合,アンサンブル平均を用いる。
次の手順に従って,PMDを求める。
− それぞれの波長間隔で得たDGDを全測定値について平均する。
− 測定した波長範囲にわたって,DGDの平均値及びDGDのRMS値を求める。
− 求めたDGDの平均値及びDGDのRMS値を,それぞれ供試品のPMDmean及びPMDRMSとして,ピコ
秒(ps)で試験成績書に記載する。
− DGDの最大値(波長間隔の中心波長におけるDGD)をピコ秒(ps)で試験成績書に記載する。
− 指定波長におけるDGDの値を,ピコ秒(ps)で試験成績書に記載する。
全ての場合において,DGDの値,DGDの最大値及びPMDの値を,ピコ秒(ps)で記録する。
7.2.6 測定の不確かさ
DGDの最大値及びDGDの平均値並びにDGDのRMS値について,測定の不確かさの妥当性を確認する。
8 固定アナライザ法
この箇条では,固定アナライザ(FA)法に対する要求特性について規定する。
――――― [JIS C 61300-3-32 pdf 24] ―――――
21
C 61300-3-32 : 2013
8.1 装置
測定系のブロック図の例を,図8に示す。
偏光子 検光子
狭帯域
供試品 コンピュータ
光源
受光装置
a) 狭帯域光源及び受光装置を用いた固定アナライザ
偏光子 検光子
広帯域 光スペクトラム
供試品 コンピュータ
光源 アナライザ
b) 広帯域光源及び光スペクトラムアナライザを用いた固定アナライザ
図8−固定アナライザを用いた測定系のブロック図
8.1.1 光源
全ての場合において,解析装置の種類に応じ,二種類の光源のうち適切な一つを選択して用いる。広帯
域光源とモノクロメータとの組合せ,又は図8 a)に示す波長可変光源などの狭帯域光源は,偏光状態解析
装置とともに用いることができる。図8 b)に示すLEDなどの広帯域光源は,狭帯域通過フィルタ内蔵の解
析装置とともに用いることができる。狭帯域通過フィルタ内蔵の解析装置の例としては,光スペクトラム
アナライザ,検光子の前に配置したフーリエ変換光スペクトラムアナライザとして用いる干渉計などがあ
る。広帯域光源を使用する場合,DGD算出のために必要なスペクトル幅で,フィルタの通過帯域幅を定め
る。
いずれの光源を用いる場合も,必要な偏光度を保つため,検出スペクトル幅は十分に小さくする。また,
規定の波長領域でPMD測定の十分な精度が得られるよう,測定波長範囲は十分広くする。
広帯域特性をもつ供試品の光スペクトルにおいて,全ての特性を適切に求めるために,狭帯域光源のス
ペクトル幅は,式(15)を満たすようにする。
8 max (15)
0
ここに, ν : 光周波数
λ0 : 中心波長
Δλ : スペクトル幅
Δτmax : 予想される最大のDGD値
1 550 nm付近の波長では,式(15)によって,Δλ(nm)はΔτ(ps)の逆数よりも小さくする必要があるこ
とが分かる。狭帯域の供試品の場合,スペクトル幅は供試品の3 dB帯域幅の1/10以下とする。
全ての場合において,波長可変光源の線幅又はフィルタの通過帯域は,ナイキスト定理に従い,波長間
隔の2倍を超えることが望ましい。
8.1.2 検光子
検光子の透過光の偏光軸の角度設定方向は,測定中一定に維持する。モード結合が無視できる場合又は
低いPMDの場合,検光子の調整によって,図9に示す変動振幅を最大にできることもある。
注記 検光子は,ポラリメータで置き換えることができる。
――――― [JIS C 61300-3-32 pdf 25] ―――――
次のページ PDF 26
JIS C 61300-3-32:2013の引用国際規格 ISO 一覧
- IEC 61300-3-32:2006(MOD)
JIS C 61300-3-32:2013の国際規格 ICS 分類一覧
- 33 : 電気通信工学.オーディオ及びビデオ工学 > 33.180 : 光ファイバ通信 > 33.180.20 : 光ファイバ接続装備
JIS C 61300-3-32:2013の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISC61300-3-2:2012
- 光ファイバ接続デバイス及び光受動部品―基本試験及び測定手順―第3-2部:シングルモード光デバイスの光損失の偏光依存性
- JISC6842:2012
- 光ファイバ偏波モード分散試験方法