JIS C 6823:2010 光ファイバ損失試験方法 | ページ 6

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光ファイバピグテールに接続する手段を設ける。光源は,マルチモード光ファイバに対して,良好に制御
されない,又は試験法に適した励振条件をとらないことがある。そのため,別途規定しない限り,励振条
件はカットバック法(附属書A参照)で使用する条件と同じとする。
C.2.3 光分岐器
装置内の光分岐器は,送信器からのパワーを光ファイバへ向ける。また,光ファイバ中で反対方向から
戻ってくる光を光受信器へ向ける。
C.2.4 光受信器
通常,光受信器は使用するパルス幅及び受信信号レベルに適応した,帯域幅,感度,直線性及びダイナ
ミックレンジをもつホトダイオードを内蔵している。
C.2.5 パルス幅及び繰返し周波数
OTDRは,測定分解能及び測定距離のトレードオフを最適化するため,幾つかのパルス幅と繰返し周波
数とを選択できる制御器を備えていてもよい(場合によっては,距離制御と連動することもある。)。大き
な反射によるゴースト像を防ぐため,繰返し周波数,すなわち,測定距離を反射までの距離の2倍以上に
設定することが必要なこともある。
注記 パルス幅,繰返し周波数及び光源パワーを選定する場合には注意を要する。短距離測定の場合,
最適な分解能を与えるために,短いパルス幅が必要となる。これはまた,ダイナミックレンジ
及び最大測定距離を制限する。長距離測定の場合,非線形現象の影響のない範囲内で光ピーク
パワーを大きくすることによってダイナミックレンジを大きくすることができる。代わりにパ
ルス幅を広げることも可能となるが,測定分解能は低下する。
C.2.6 信号処理装置
必要に応じて長時間の平均化処理を使用することによって,信号対雑音比を向上することができる。
C.2.7 表示装置
表示装置はOTDRに組み込まれたものであり,OTDRを制御する装置の一部となる。OTDR信号は,垂
直目盛がdB,水平目盛が距離の単位で図形を表示する。垂直目盛のdB単位は往復の後方散乱損失の半分
に相当する。水平目盛は,往復の光群遅延の半分に対応する距離に一致しなければならない。画面上の
OTDR波形全体又はその一部を手動又は自動で測定するために,カーソルなどのツールを用いてもよい。
C.2.8 データインタフェース(オプション)
データインタフェースは,信号の自動解析又は表示波形のハードコピーを行うため,コンピュータに接
続することが可能となる。
C.2.9 反射制御器(オプション)
各反射地点の後の光ファイバデッドゾーンの距離を短くするため,高フレネル反射による受信器の過渡
飽和を最小にするための手段を必要とする。これは分岐器に組み込んでもよく,電子的にマスキングして
もよい。OTDR接続コネクタでの初期反射を防ぐためには,OTDR接続コネクタと試料との間に,ダミー
光ファイバを使用する。ダミー光ファイバの単位長さ当たりのパルス幅は,10−10より大きい。
C.2.10 スプライス及びコネクタ
OTDRで必要なスプライス又はコネクタ(例えば,OTDR又はダミー光ファイバと被測定光ファイバと
の接続)は,低挿入損失かつ低反射でなければならない。これは,OTDR波形に与える外部からの影響を
最小限に抑えるためとなる。

――――― [JIS C 6823 pdf 26] ―――――

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C.3 試料
試料は,規定の条件下にあるリール巻きの光ファイバ又はケーブル内の光ファイバとする。測定は,工
場又は現場で,単独区間又は接続区間に対して行う。
注記 光ファイバを巻き付けることによって,人為的損失又は局所欠陥が発生しないように注意する。
光ファイバ長の両端(リール上では1番目の層に相当)で誘導される損失に限り,損失係数の
計算では取り除くことができる。
C.4 手順
光ファイバ又は光ファイバケーブルの損失又は損失係数の間接測定に対するOTDRの使用法を,次に示
す。
SGI及びCSI光ファイバの場合,カットバック法による損失波長特性を用いて,より正確な値を求める
ことができる。この二つの方法によって求めた値が異なる場合は,他に規定がない限り,カットバック法
による値を損失又は損失係数とする。SMA,SMA・T,SMA・U及びSMB光ファイバの場合,複数の波長
で測定を行うことによって,方法D(附属書D参照)に規定する関係を使って損失波長特性を算出できる。
C.4.1 試料を装置に接続する。ダミー光ファイバを使用する場合は,試料と装置との間に接続する。
C.4.2 損失係数及び正確な距離を記録する場合は,試料の群屈折率が必要となる。この値が未知であれば,
光ファイバ又はケーブル長に関する試験手順[JIS C 6822のH.4.4(群屈折率の決定)参照]によって,そ
の値を決定する。
C.4.3 光源波長,パルス幅,長さのレンジ及び信号の平均化といったOTDRパラメータ並びにC.4.2で要
求する場合は,試料の群屈折率を装置に入力する。一部のパラメータの値は装置に事前設定する場合があ
る。
C.4.4 試料からの後方散乱信号を表示するように装置を調整する。縦軸及び横軸を粗い目盛から始めて表
示長さをできるだけ大きくすると都合がよいこともある。ダミー光ファイバを使用又は使用しない均一な
試料のOTDR概略波形の例を,図C.2及び図C.3に示す。不連続点での測定波形の例を,図C.4及び図
C.5に示す。
図C.2−ダミー光ファイバを使用した均一な試料のOTDR概略波形の例

――――― [JIS C 6823 pdf 27] ―――――

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図C.3−ダミー光ファイバを使用しない均一な試料のOTDR概略波形の例
C.4.5 損失測定の次の手順
C.4.5.1 手順1
高分解能が必要なときは,できるだけ画面表示を調整して,対象区間をより大きなスケールに拡大する
(真の信号の正しい表示と雑音とを区別できるようにする。)。
C.4.5.1.1 (C.5.3に関するオプション)ダミー光ファイバを使用する場合(図C.2参照),測定器のカー
ソルをパワー下降点(困難な場合もある。)前の試料の冒頭か,又は反射パルスの立上り端のある箇所(製
造業者が規定する場合がある。)に置く。不連続点が微小で冒頭が明りょうでない場合には,この位置で光
ファイバを小さな半径で曲げ,損失を増加させることによって,カーソルを配置しやすくする。英数字表
示装置から距離座標Z0を求める。ダミー光ファイバを使用しない場合は,カーソルの配置は不要であり,
Z0は0となる。
C.4.5.1.2 カーソルを試料に対する波形の直線部分の冒頭の後に置く。ダミー光ファイバを使用する場合
(図C.2)には,カーソルをダミー光ファイバ端部の小反射からの回復を超えたところに置く。ダミー光
ファイバを使用しない場合(図C.3)は,カーソルをOTDRコネクタによるデッドゾーンを超えたところ
に置く。英数字表示装置から距離及びパワー座標 [Z1, P1( ‰
C.4.5.1.3 C.4.5.1.1と同様に,試料の端部に同一の又は別のカーソルを置く。不連続点が微小で試料の端
部が明りょうでない場合には,この位置で光ファイバを小さな半径で曲げ,損失を増加させることによっ
て,カーソルを配置しやすくする。光ファイバの遠端を切断して,そこに反射を発生させる代替法もある。
座標 [Z2, P2( ‰
C.4.5.1.4 要求された各波長でC.4.5.1.1C.4.5.1.3を繰り返す。
C.4.5.2 手順2
試料に反対方向から信号を入射させ手順1を繰り返す。正確な損失を得るには,同一波長での二方向の
波形を平均化して,OTDR特性の長さ変動の影響を除去する。
C.4.6 光ファイバ局所欠陥の測定手順
C.4.6.1 “局所欠陥”は,上又は下方向の連続OTDR信号の,一時的又は永久的局部偏差となる。この偏
差の性質は,試験条件(例えば,パルス幅,波長,OTDR信号の方向など)によって変動する。C.4.4で定
めたOTDR信号を用いて,試料に沿った局所欠陥を調べる。高分解能が必要なときは,できるだけ画面表

――――― [JIS C 6823 pdf 28] ―――――

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示を調整して,対象区間をより大きなスケールに拡大する(真の信号の正しい表示と雑音とを区別できる
ようにする。)。例を,図C.5に示す。
C.4.6.2 局所欠陥が存在するかどうかを確認するために,二つの異なるパルス幅を用いて問題となる領域
を観察する。損失又は利得の形状がパルス幅に応じて変化すれば,その変化が局所欠陥となる。形状が変
化しない場合は,光ファイバ又はケーブル損失測定の試験手順に基づき測定される損失不均一とみなす。
代替法として,OTDRのパルス形状及びパルス幅が既知の場合は,測定した局所欠陥での後方散乱曲線を
用いて,それらが存在するかどうかを判定してもよい。
C.4.6.3 詳細な規定で定められた値を超える局所欠陥の偏差を報告する。これらの局所欠陥の性質(例え
ば,見掛けの損失又は利得,反射,幅など)を詳細な規定の要求どおりに記述する。
C.4.6.3.1 必要があれば,カーソルをパワー上昇又は下降の冒頭(又はOTDR製造業者が指定する別の箇
所)に置くことによって,局所欠陥の位置を決定する。これを下降点で実施することは困難な場合がある。
英数字表示装置から座標を求める。
C.4.6.3.2 必要があれば,OTDR製造業者の指定方法によって局所欠陥の見掛けの損失又は利得を求める。
一部の装置では局所欠陥の両側に1対のカーソルを配置する必要がある。局所欠陥位置両側の2本の最適
近似直線(各直線の2点法又は最小2乗近似によって求めたもの)を局所欠陥に外挿する。可能であれば,
線形近似法を選択する。直線の垂直偏差は,見掛けの損失又は利得となる。
反射ピークを記録する。ピークの高さはパルス幅が増加するにつれて減少し,パルス幅が減少するにつ
れて増加する。
C.4.6.3.3 試料の反対方向から信号を入射し,C.4.6.1C.4.6.3.2を繰り返す。同一波長で2方向から測定
した表示値を平均化して損失(及び見掛けの利得の除去)を計算する。これによって光ファイバ部分の後
方散乱差が局所欠陥の両側に与える影響を排除する。2方向の測定が不可能なときは,単方向からの測定
でもよい。
C.4.6.3.4 必要に応じて別の波長で,C.4.6.1C.4.6.3.3を繰り返す。
局所欠陥,見掛け損失が表示されており,一つは反射形,
一つは非反射形となるOTDR概略波形
図C.4−不連続点での測定波形の例

――――― [JIS C 6823 pdf 29] ―――――

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2点欠陥が表示されており,一つは見掛けの利得,
一つは見掛けの損失又は利得がない拡大OTDR概略波形
図C.5−不連続点での測定波形の例
C.5 後方散乱損失の算出
C.5.1 デッドゾーンの後に始まる光ファイバ又はケーブル部分の単方向後方散乱損失を,次の式から求め
る。
Lb P1 () 2( )
ここに, Lb : 単方向後方散乱損失 (dB)
P1( デッドゾーンを超えたところのパワー座標
P2( 試料の端部のパワー座標
C.5.2 光ファイバ又はケーブル部分の単方向の後方散乱損失係数を,次の式から求める。
P1 () 2 ()
Z2 Z1
ここに, 懿 単方向の後方散乱損失係数 (dB/km)
Z2 : デッドゾーンを超えたところの距離
Z1 : 試料の端部の距離
C.5.3 (C.4.5.1に関するオプション)ダミー光ファイバを使用する場合,全光ファイバ又はケーブル部分
の単方向後方散乱損失を,次の式から求める。波長 C.5.2で使用した値とする。
Lb P1 () 2 () (Z1 Z0 )
又は,等価的に次の式から求める。
Z2 Z0
Lb P1 () 2 ()
Z2 Z1
C.5.4 一部のOTDRでは,C.5.1及びC.5.2に示す二点減算を自動的に実行できる。
注記 一部のOTDRでは測定ラインに対して最小二乗近似を適用できるものもあるが,これは二点減
算の結果とは異なることがある。計算の方法は個別規格に示す。最小二乗平均法 (LSA) は雑
音の影響に対し再現性がよいが,不均一性がある場合には誤差を発生する可能性がある。
C.5.5 C.4.6と同じように,各波長で実施した測定に対する計算を反対方向で繰り返す。C.5.2で求めた二
通りの計算の平均を計算し,各波長における光ファイバの損失係数を求める。
C.5.6 各波長でC.5.1C.5.5を繰り返し,各波長における損失係数を決定する。

――――― [JIS C 6823 pdf 30] ―――――

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JIS C 6823:2010の引用国際規格 ISO 一覧

  • IEC 60793-1-1:2008(MOD)
  • IEC 60793-1-40:2001(MOD)
  • IEC 60793-1-46:2001(MOD)
  • IEC 60793-1-47:2006(MOD)
  • IEC/TR 62221:2001(MOD)

JIS C 6823:2010の国際規格 ICS 分類一覧

JIS C 6823:2010の関連規格と引用規格一覧