この規格ページの目次
93
C 8201-4-1 : 2020
附属書K
(規定)
機能安全用途に使用する電気機械式接触器の信頼性データの解析法
K.1 一般
K.1.1
まえがき
信頼性データの解析は,次の方法によって製造業者が決定する。
K.1.2 適用範囲及び目的
この附属書は,機能安全用途に使用する電気機械式接触器の信頼性データの解析方法を規定する。
これらのデータは,JIS C 0508の規格群,JIS B 9961:2008,IEC 61511の規格群,IEC 61513:2011,JIS B
9705-1:2011などの機能安全規格が要求している。
機能安全用途が要求する特定データは,例えば,動作サイクル数当たりの故障率,耐用寿命,信頼水準,
総合的な寿命である。
この附属書は,電気機械式接触器の主要機能だけに適用する。
K.1.3 一般要求事項
機能安全のための特定データはこの手法で得られなければならない。
この手法は,信頼性データを提供するための試験結果の統計的分析に基づいている。
機器の使用寿命期間中の故障率計算に関連する信頼水準は,製造業者が指定しない限り60 %としなけれ
ばならない。
注記 信頼性データに関連するパラメータは,同様に機能安全用途に使用する他のパラメータと矛盾
なく選択される。
この附属書によって得られた統計データは接触器の耐用寿命期間の間だけ有効である。
この附属書において,統計的な一貫性を保つために,“時間”は動作サイクル数を意味する。
この附属書は,試験期間中の接触器の部品取替えは考慮していない。
K.2 用語及び定義並びにシンボル
K.2.1 用語及び定義
この附属書で用いる主な用語,定義及びシンボルは,次による。
K.2.1.1
信頼性,信頼性性能(reliability,performance)
アイテムが与えられた条件の下で,与えられた期間,要求機能を遂行可能な能力。
[IEV 191-02-06を修正,(JIS Z 8115:2000)]
K.2.1.2
耐用寿命(useful life)
与えられた条件で,与えられた時間から故障強度が許容できなくなるまでの時間。
注記 接触器では,耐用寿命は,動作サイクル数で表される。
K.2.1.3
偶発故障期間(constant failure rate period)
非修理アイテムの運用期間中,故障率がほぼ一定である期間。
――――― [JIS C 8201-4-1 pdf 96] ―――――
94
C 8201-4-1 : 2020
[IEV 191-10-09]
K.2.1.4
有効期間(overall lifetime)
ランダムハードウェア故障による想定した故障率の信頼性を維持するために超過しないことが望ましい
機器の使用年数。
注記1 有効期間は,保管期間などの非使用期間も含む。有効期間は,年によって表される。
注記2 有効期間は,JIS B 9961:2008に従ったT1(プルーフテスト間隔)及びJIS B 9705-1:2011に従
ったTM(使命時間)に対応している。
K.2.1.5
中途打切り(censoring)
複数のアイテムについて実施する試験において,規定故障数の発生時点又は規定動作時間への到達時点
での観測(試験)の終了。
K.2.1.6
サスペンション(suspension)
アイテムが故障していない又は調査中(他の原因のため故障した状況を取り除くなど)で故障していな
い状況。
K.2.1.7
無負荷開閉(no-make-break-current utilization)
開閉装置が無負荷にて,閉路及び遮断する状態。
K.2.1.8
故障までの時間(time to failure)
アイテムが動作可能状態になった時点から最初の故障までの全運用時間。
注記 接触器では,故障までの時間は,動作サイクル数で表される。
K.2.2 シンボル
n : サンプル数
r : 故障数
t : 動作サイクル数
η : 尺度パラメータ
β : 形状パラメータ(ワイブル係数 : m)
c : 時間当たりの動作サイクル数
λu : 信頼水準60 %における動作単位ごとの故障率(上限)
λ : 単位時間当たりの故障率
λD : 単位時間当たりの危険側故障率
K.3 耐久性試験の結果の解析手法
K.3.1 一般的な方法
適切な耐久性試験の下,接触器の故障を継続的に監視し,ランダム性の故障が発生しているとして計算
する方法である。
K.3.2 試験の要求事項
機械的耐久性は,B.2.1B.2.2.4を適用して評価する。無電流閉路及び遮断の使用条件では,機械的耐久
――――― [JIS C 8201-4-1 pdf 97] ―――――
95
C 8201-4-1 : 2020
性を適用してよい。
電気的耐久性は,製造業者が指定しない限り,使用負荷種別AC-3を用いてB.3.1B.3.2を適用して評
価する。
試験環境は,箇条7による。
K.5にリストアップされたデータに影響を及ぼさない製品の変更は,再試験を要求しない。
K.3.3 故障モードの特徴
表K.1の故障モードの一つ以上の発生,又は製造業者が指定する規定の動作サイクル数の到達によって,
その機器の試験を終了する。
表K.1−接触器の故障モード
故障モード 通常のオープン接触器の特徴
開路不良 コイルを消磁しても電流が継続する。
閉路不良 コイルを励磁しても1極又はそれ以上の極に電流が流れない。
極間の短絡 極間の絶縁故障
隣接する部品との絶縁故障
極と隣接する部品間の短絡
K.3.4 ワイブル解析
K.3.4.1 解析方法
信頼性データは,IEC 61649:2008によるワイブル分布によって,試験結果データをモデル化することで
得る。
故障数が20又は20以下の場合,メディアンランク法(MRR)を用いる。故障数が10を超える場合,γ
=60 %でのフィッシャー分配(Fγ)で,コルモゴロフスミルノフ適合度検定(H)の確認後,ワイブルパ
ラメータのβ及びηの推定値を得るのに最ゆう推定(MLE)方法を用いることが可能である。
2/)1 2, r 2/
H ≧ Fγ 2 (r
ここで記号 xに等しいかそれ以下の整数で最大の値を表している。
注記1 IEC 61649:2008は,計算の詳細及び例を提供している。
注記2 サンプル数が少ない場合,ワイブルパラメータを推定するのに不確実性を増大させる可能性
があるため,動作サイクル数当たりの故障率の下限が低くなることがある。
全てのアイテムが故障する前に,指定時間Tで試験を終了した場合,データは中途打切りといわれてい
る。試験中に故障していないアイテムは,サスペンションといわれている。そのサスペンションは,通常,
ランク表に入っているが,この附属書では,サスペンションを除外し,ワイブルパラメータの評価を簡素
化している。中途打切り及びサスペンションについては,JIS C 5750-3-5:2006に詳細に規定され,関連す
る計算はIEC 61649:2008に規定されている。
K.3.4.2 メディアンランク法
メディアンランク法(MRR)は,メディアンランク及び動作サイクルである変数とともに,直線回帰技
術を使用することでワイブルパラメータを算出する方法である。
メディアンランクの表及びベータ分布を使用することでメディアンランクについて計算する手段が利用
可能でない場合,バーナードの近似方程式(K.1)を用いてもよい。
( )3.0
一
Fi 100 % (K.1)
( )4.0
ここに, N : サンプル数
i : 対象アイテムの故障順位
――――― [JIS C 8201-4-1 pdf 98] ―――――
96
C 8201-4-1 : 2020
注記 この方程式は,主に“N≦30”の場合に使用され,“N>30”の場合は,累積度数の修正は無視
してもよく,Fi=(i/N)×100 %の式になる。
少ないサンプル数で一致度を評価することは難しい。次の係数は,ワイブル分布に合うかどうかを確認
するのに最も一般的に使用される係数である。方程式(K.2)を用いることで計算が可能である。
2
n n
n
xi yi
i 1 i 1
xiyi
i 1
n
r2 n n
(K.2)
2 2 2 2
xi nx yi ny
i 1 i 1
ここに, (xi) : メディアンランク
(yi) : 故障寿命(ここに,i=1...nはサフィックス)
r2 : 線形回帰で説明可能なデータの変化の割合
r2が1に近くあればあるほど,データはワイブル分布となる。0により近い場合は,一致度が小さいこ
とを示す。
手順は,次のとおり。
a) 最初に,動作サイクル数が最も早いものから最も遅い順に並べる。
b) バーナードの近似方程式(K.1)を用いて,メディアンランクを計算する。
c) メディアンランク(x)と故障回数Fi(y)とを イブル確率紙,又はxln及びylnを引き出すため対
数方眼紙上にプロットする。
d) 次の直線の方程式を得るために,線形回帰関数によって,β 算する。
yln=β 滿 b
b
β
e) η
e を計算する。
f) 一致度を確認するために,グラフ上に回帰線をプロットする。
通常,電気機械式接触器は,β 上である。
K.3.5 耐用寿命及び故障率の上限値
K.3.5.1 数値解法
一定の故障率を仮定して,耐用寿命は,製品母集団の10 %(B10|lowerlimit)が故障する動作サイクル数を低
い信頼水準で決定する。
20回以下のデータについて,センサーリング時間のあるなしにかかわらず,K.3.4.2におけるメディア
ンランク法(MRR)とともに得たワイブルパラメータβ びη 罵 する。
K.3.5.2 故障までの時間のフラクタイル(10 %)のポイントの予測
β,B10値の予測(母集団の10 %が故障する動作サイクル数)を入力して計算す
方程式(K.3)に使用する10
る。
/1 β
1
B10 ln
η (K.3)
9.0
――――― [JIS C 8201-4-1 pdf 99] ―――――
97
C 8201-4-1 : 2020
K.3.5.3 耐用寿命
方程式(K.4),(K.5),(K.6)を用いてB10の下側の(1−y)100 %信頼水準を計算する。
h1=ln[−ln(0.9) ] (K.4)
2 2
A6 x2 rh1 x (A6 A4 A5 ) x2rA4 2rh1A6 rA5h1
δ1 (K.5)
r x2 A5
ここに,
x=uγは正規分布のyフラクタイル値。製造業者で規定しない限り,60 %の信頼限界を使用しなければな
らない(よって,y=0.4,uγ=0.253 3)。
A4=0.49q−0.134+0.622q−1
A5=0.244 5(1.78−q)(2.25+q)
A6=0.029−1.083 ln(1.325q)
δ1 h1
β
Q1 e (K.6)
β (K.7)
B10|lowerlimit=Q110
B10|lowerlimitが,耐用寿命とみなされる。
K.3.5.4 故障率の上限値
動作サイクル数当たりの故障率の上限値は,次の方程式(K.8)によって求める。
ln()9.0 1
λu (K.8)
10
B10|lowerlimit B10|lowerlimit
K.3.5.5 試験条件
標準条件は,箇条7による。
その他の条件は,受渡当事者間での協定による。このような場合,これらの条件の下で値を得るものと
する。
K.3.6 信頼性データ
信頼性データの結果は,次によって表す。
− 動作サイクル数当たりの故障率 : λu
− 耐用寿命 : B10|lowerlimit
K.4 フィールドデータによる方法
この方法は同じ統計的計算を使用できる場合が,フィールドから収集した故障データは非常に広範囲の
環境と使用負荷種別とが関連している場合がある。
この方法については検討中。
K.5 データの表現
製品についての1セットの信頼性データには,次の関連特性を含まなければならない。
− 動作サイクル数当たりの故障率 : λu(K.3.6参照)
− 耐用寿命(K.3.6参照)
− 60 %と異なる場合,信頼水準
− AC-3と異なる場合,閉路・遮断なしの電流又は使用負荷種別
――――― [JIS C 8201-4-1 pdf 100] ―――――
次のページ PDF 101
JIS C 8201-4-1:2020の引用国際規格 ISO 一覧
- IEC 60947-4-1:2009(MOD)
- IEC 60947-4-1:2009/AMENDMENT 1:2012(MOD)
JIS C 8201-4-1:2020の国際規格 ICS 分類一覧
- 29 : 電気工学 > 29.130 : 開閉装置及び制御装置 > 29.130.20 : 低電圧開閉用及び制御装置
- 29 : 電気工学 > 29.120 : 電気付属部品 > 29.120.99 : その他の電気付属部品
JIS C 8201-4-1:2020の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISZ9015-1:2006
- 計数値検査に対する抜取検査手順―第1部:ロットごとの検査に対するAQL指標型抜取検査方式