JIS C 8904-9:2017 太陽電池デバイス―第9部:ソーラシミュレータの性能要求事項 | ページ 2

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トには注意が必要である。データ取得時間は,放射照度時間変動率の評価にも用いられる。
3.5
I-Vデータ取得時間(data acquisition time)
I-V特性曲線,又はその一部のデータを測定するために必要な時間。
注記1 データ取得時間は,I-Vデータの点数及び測定開始遅延(調整可能な装置がある場合)に依
存する。
注記2 パルス発光形ソーラシミュレータでは,データ取得時間は1発光中に測定する量に依存する。
3.6
逐次パルス発光によるI-Vデータ取得時間(time for acquiring the I-V characteristic)
太陽電池のI-V特性曲線の測定を1パルス発光ではなく,逐次パルス発光によって複数回の測定を行う
場合のI-Vデータ取得時間。
この測定を複数の領域で行う場合,全I-V特性を取得する総時間は,それらのデータ全ての取得時間の
合計である。
3.6A
有効照射時間
パルス発光形ソーラシミュレータにおいて,パルス光の照射時間幅のうち箇条4の光学的仕様を満足す
る照射時間。有効照射時間は,式(0A)から求められる。
TEff ≧ TA+TB+TC (0A)
ここに, TEff : 有効照射時間
TA : 太陽電池セル・モジュールにステップ状に光を照射した場合の
時定数の4倍の時間
TB : 太陽電池セル・モジュールの負荷をステップ状に変化させた場
合の時定数の4倍の時間
TC : 太陽電池セル・モジュールの1点のI-Vデータを測定するため
に要する時間
ただし,1回の有効照射時間中に負荷を変化させ,n点のデータを測定する場合の有効照射時間は,式(1A)
から求められる。
TEff≧ TA+n(TB+TC) (1A)
3.7
実効放射照度(effective irradiance)
I-V特性を測定している間に放射照度が変動することに伴う,全データ測定時の放射照度の平均値。
注記 放射照度の補正を行う場合は,IEC 60891の要求に適合するよう注意する必要がある。
3.8
近似波長帯(spectral range)
それぞれの太陽電池の感度を表す,JIS C 8904-3で定義するAM1.5 G下でのスペクトル分布。
この規格では,評価の対象とする太陽電池の種類によって,異なる4種類の近似波長帯をもつ表(表1,
表1A,表1B及び表1C参照)を規定している。これらの表では,評価対象とする種類の太陽電池が感度
をもつ波長帯をソーラシミュレータの近似波長帯とし,分割された各波長帯の相対エネルギー分布が,あ
るパーセント割合で近似波長帯の全放射照度に寄与している。対象となる太陽電池セル・モジュールは,
結晶系,アモルファス系,多接合,CIS系の4種類である。また,この4種類以外の太陽電池であっても,

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分光感度がいずれかに近似していれば,4種類の表から一つを選択して用いてもよい。
注記 CIS系など1 100 nmよりも長波長側に分光感度をもつ太陽電池の評価を行う場合は,その波長
帯におけるスペクトル合致度についても注意を要する。
3.9
スペクトル合致度(spectral match)
ある波長帯でのスペクトルの合致度。
ソーラシミュレータのある波長帯(λiλi+1の間)スペクトル合致度は,JIS C 8904-3に規定されている
AM 1.5全天基準太陽光の分光放射照度とソーラシミュレータの各波長帯の相対エネルギー分布との比に
よって定まる。このスペクトル合致度は,次の式(2A)から求められる。
λi 1
Es λ dλ
λi
Mi λi 1 (2A)
Eo λ dλ
λi
ここに, Mi : スペクトル合致度
光の波長(nm)
Eo ( 波長λでの基準太陽光の分光放射照度 [W/(m2・nm)]
Es ( 波長λでのソーラシミュレータの分光放射照度 [W/(m2・
nm)]
スペクトル合致度を計算する波長帯の積分放射照度が近似波長帯の全放射照度に占める相対エネルギー
分布は,太陽電池の種類ごとに表1,表1A,表1B及び表1Cによる。
表1−相対エネルギー分布(結晶系)
i 波長帯 nm 全放射照度(400 nm1 100 nm)に占める
λiλi+1 各波長帯の相対エネルギー分布
1 400 500 18.4 %
2 500 600 19.9 %
3 600 700 18.4 %
4 700 800 14.9 %
5 800 900 12.5 %
6 900 1 100 15.9 %
表1A−相対エネルギー分布(アモルファス系)
i 波長帯 nm 全放射照度(400 nm1 100 nm)に占める
λiλi+1 各波長区分の相対エネルギー分布
1 350 400 6.2 %
2 400 450 11.8 %
3 450 500 14.9 %
4 500 550 14.6 %
5 550 600 14.3 %
6 600 650 13.8 %
7 650 700 12.9 %
8 700 750 11.5 %

――――― [JIS C 8904-9 pdf 7] ―――――

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表1B−相対エネルギー分布[多接合(MS,MA用)]
i 波長帯 nm 全放射照度(400 nm1 100 nm)に占める
λiλi+1 各波長区分の相対エネルギー分布
1 350 400 4.09 %
2 400 450 7.81 %
3 450 500 9.84 %
4 500 550 9.66 %
5 550 600 9.44 %
6 600 650 9.11 %
7 650 700 8.50 %
8 700 750 7.59 %
9 750 800 6.72 %
10 800 850 6.16 %
11 850 900 5.79 %
12 900 950 3.37 %
13 950 1 000 3.75 %
14 1 000 1 050 4.39 %
15 1 050 1 100 3.78 %
表1C−相対エネルギー分布(CIS系)
i 波長帯 nm 全放射照度(400 nm1 100 nm)に占める
λiλi+1 各波長区分の相対エネルギー分布
1 350 400 3.74 %
2 400 500 16.13 %
3 500 600 17.45 %
4 600 700 16.09 %
5 700 800 13.08 %
6 800 900 10.92 %
7 900 1 100 13.97 %
8 1 100 1 300 8.62 %
3.10
試験平面における放射照度の場所むら(non-uniformity of irradiance in the test plane)
ソーラシミュレータ照射面の場所による放射照度のむらの度合いを示す値。式(1)から求められる。
Emax Emin
放射照度の場所むら (%) 100 (1)
Emax Emin
ここに, Emax : 照射面内の放射照度の最大値 (W/m2)
Emin : 照射面内の放射照度の最小値 (W/m2)
3.11
放射照度時間変動率(temporal instability of irradiance)
1枚の太陽電池セル・モジュールのI-V特性の全データを採取するのに必要な時間を基準とし,ソーラ
シミュレータの受渡当事者間の協定で指定する時間内の放射照度の変動率。式(2)から求められる。ソーラ
シミュレータが光照射試験に用いられる場合,放射照度時間変動率は,光照射時間中に試験平面上の任意
の点で検出器によって測定した最大及び最小放射照度によって定義する。

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Emax Emin
放射照度時間変動率 (%) 100 (2)
Emax Emin
ここに, Emax : 規定時間内の放射照度の最大値 (W/m2)
Emin : 規定時間内の放射照度の最小値 (W/m2)
なお,放射照度時間変動率には,次の二つがある。
a) 放射照度短時間変動率(STI) これは,I-V測定中の一つのデータセット(放射照度,電流及び電圧)
のデータサンプリング時間に関係している。この変動率の値は,I-V曲線上の複数のデータセットの
間で異なることもある。この場合,放射照度短時間変動率は,その中で最も悪い値とする。
b) 放射照度長時間変動率(LTI) これは,目的とする時間に関係しており,次の二つの場合がある。
− I-V測定の場合,これはI-V特性曲線曲線全体を得るのに必要な時間である。
− 光照射試験の場合,これは耐光性評価に必要な光照射時間に関係している。
3.12
ソーラシミュレータの等級分類(solar simulator classification)
ソーラシミュレータのスペクトル合致度,放射照度の場所むら,及び放射照度時間変動率の三つの区分
の各々に対する分類。放射照度の場所むら及び放射照度時間変動率のそれぞれの区分に対しては,A,B,
Cの三つの等級に分類することができ,スペクトル合致度の区分に対しては,A,B,C,MA,MS,IA,
IB,ICの八つの等級に分類することができる。個々のソーラシミュレータは,スペクトル合致度,試験平
面における放射照度の場所むら,放射照度時間変動率の順で,三つの文字で評価づけられる(例えば,
C-B-A)。
スペクトル合致度に関しては,対象となる太陽電池セル・モジュールによって波長領域及びきざみ波長
幅が異なるため,三つの区分の等級に続けて括弧書きで対応する太陽電池セル・モジュールの種類を記載
する。例えば,A-A-A(結晶系),A-A-A(アモルファス系),MA-A-A(多接合)。
注記 ソーラシミュレータの分光放射照度は,使用時間とともに変動し,放射照度の場所むらは,試
験室の反射条件の影響を受ける。したがって,ソーラシミュレータの等級分類は,定期的に確
認し,その等級分類が維持されていることを確認することが望ましい。

4 ソーラシミュレータの等級

  スペクトル合致度,放射照度の場所むら及び放射照度時間変動率の性能要求事項を,表2に示す。スペ
クトル合致度が各々の等級を満足するためには,表1,表1A,表1B又は表1Cのそれぞれの全ての波長
区分で表2に示す基準太陽光との比率を満足しなければならない。スペクトル合致度,放射照度の場所む
ら,放射照度時間変動率を測定及び計算する手順は箇条5に示す。
基準状態(STC)での出力測定評価を目的とするソーラシミュレータは,試験面における実効放射照度
として1 000 W/m2を照射できるものでなければならない。測定によっては,1 000 W/m2よりも高い又は低
い放射照度が必要とされる場合もある。
注記 1 000 W/m2よりも高い又は低い放射照度が必要とされる場合,その実現方法によってソーラシ
ミュレータの等級分類が変更となる可能性もある。
これらの要求事項は,定常光形ソーラシミュレータ及びパルス光形ソーラシミュレータの両方に適用す
る。パルス発光形ソーラシミュレータの照射時間には,有効照射時間を適用する。

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表2−ソーラシミュレータの等級分類
分類 表1,表1A,表1B及び表1Cの全 放射照度の 放射照度時間変動率
ての波長区間におけるスペクトル 場所むら 放射照度短時間変動率 放射照度長時間変動率
合致度 STI LTI
MS 0.951.05 − − −
(表1B)
MA 0.751.25 − − −
(表1B)
IA 0.751.25 − − −
(表1C)
IB 0.61.4 − − −
(表1C)
IC 0.42.0 − − −
(表1C)
A 0.751.25 2% 0.5 % 2%
(表1又は表1A)
B 0.61.4 3% 2% 5%
(表1又は表1A)
C 0.42.0 10 % 10 % 10 %
(表1又は表1A)
注記 I-V測定についてのソーラシミュレータの等級分類を,表3に例示する。スペクトル合致度の等級分類は,無
フィルタのキセノン・ランプに対してのものである。放射照度の場所むらの等級分類は,想定しているモジ
ュールサイズに依存する。
表3−ソーラシミュレータの評価項目及び結果の例
表2の 表1の全ての波長帯の 特定のサイズのモジュールの面積 放射照度時間変動率
等級分類 スペクトル合致度 に対応する放射照度の場所むら
C-B-B 0.81(400500 nm)(A) モジュールのサイズが100 cm× STI評価 : モジュール電流,モジ
0.71(500600 nm)(B) 170 cmは±2.8 % ュール電圧及び放射照度の模擬
0.69(600700 nm)(B) 測定。チャンネル間のトリガ遅れ
0.74(700800 nm)(B) が10 ns未満。その時間内で放射
1.56(800900 nm)(C) 照度の変動が0.5 %未満(A)。
1.74(9001 100 nm)(C) LTI評価 : 10 msの時間でI-V曲
線全体を得る際のLTI=3.5 %(B)
評価結果 最悪値がCなので等級分類=C 等級分類=B 等級分類=B

5 性能の評価方法

5.1 放射照度の設定

  放射照度の設定は,被測定太陽電池セル・モジュールの光学的特性(相対分光感度など)が近似した基
準太陽電池デバイスを用いて行う。

5.2 スペクトル合致度

5.2.1  測定方法
スペクトル合致度の算定には,ソーラシミュレータの光源を点灯し,熱的に安定した後,有効照射面上
の放射照度を1 000±50 W/m2に合わせ,a) d)のいずれかの機器を用いて波長分解能10 nm以下の状態測
定した分光放射照度を用いる。
a) 回析格子形分光器による,波長走査分光器と検出器とで構成された分光放射計

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JIS C 8904-9:2017の引用国際規格 ISO 一覧

  • IEC 60904-9:2007(MOD)

JIS C 8904-9:2017の国際規格 ICS 分類一覧

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