JIS C 8904-9:2017 太陽電池デバイス―第9部:ソーラシミュレータの性能要求事項 | ページ 3

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b) ポリクロメータCCD又はフォトダイオードアレイで構成された分光器による分光放射計
c) 測定波長帯を帯域に分割し,帯域ごとにフィルタを備えた多重検出器アセンブリ
d) 複数のバンドパスフィルタを備えた単一検出器
注記1 CCDはcharge coupled deviceの略で,電荷結合素子である。
注記2 迷光及び二次オーダ波長効果による誤応答を避けることに注意する必要がある。また,セン
サの感度が,目的とする波長範囲に適していることにも留意する必要がある。検出器の時定
数がソーラシミュレータのパルス発光の幅に適合していることも必要である。
5.2.2 相対エネルギー分布の決定
取得した分光放射照度を基に,表1,表1A,表1B又は表1Cの四つの表から一つを選択して,選択し
た表の波長範囲内で積分するとともに,積分された放射照度に対しての,選択した表で規定する波長帯の
各々の相対エネルギー分布を決定する。
5.2.3 スペクトル合致度の計算
各波長帯のスペクトル合致度を計算する。
5.2.4 スペクトル合致度の等級分類
基準太陽光の分光放射照度との比較によって,次の基準に従ってスペクトル合致度を分類する。
− 等級MS 各波長帯の相対エネルギー分布の基準太陽光のそれとの比が0.951.05(表2参照)。
− 等級MA 各波長帯の相対エネルギー分布の基準太陽光のそれとの比が0.751.25(表2参照)。
− 等級IA 各波長帯の相対エネルギー分布の基準太陽光のそれとの比が0.751.25(表2参照)。
− 等級IB 各波長帯の相対エネルギー分布の基準太陽光のそれとの比が0.61.4(表2参照)。
− 等級IC 各波長帯の相対エネルギー分布の基準太陽光のそれとの比が0.42.0(表2参照)。
− 等級A 各波長帯の相対エネルギー分布の基準太陽光のそれとの比が0.751.25(表2参照)。
− 等級B 各波長帯の相対エネルギー分布の基準太陽光のそれとの比が0.61.4(表2参照)。
− 等級C 各波長帯の相対エネルギー分布の基準太陽光のそれとの比が0.42.0(表2参照)。
5.2.5 スペクトル合致度の確認
各々の等級を満足するためには,表1,表1A,表1B又は表1Cに示す全ての波長帯で表2に示すスペ
クトル合致度を満たさなければならない。
注記1 パルス発光形ソーラシミュレータのスペクトル合致度は,パルス発光時間の経過中に変動す
る可能性がある。したがって,分光放射照度測定の積分時間をデータ取得時間と一致するよ
うに調節し,パルス発光時間に対応したスペクトル合致度を計算するのがよい。
注記2 スペクトル可変式ソーラシミュレータのスペクトル合致度は,光路中の複数の光学フィルタ
の配置,又は分光放射照度分布(スペクトル)の異なる複数の光源の出力スペクトルの比率
によって調節され,評価対象とする太陽電池が感度をもつ波長帯に応じて変化する可能性が
ある。したがって,測定対象ごとに分光放射照度が調節された状態でスペクトル合致度を計
算するのがよい。
注記3 スペクトル合致度は,経時変化する可能性がある。そのため,必要に応じて定期的に確認す
るのがよい。

5.3 放射照度の場所むら

  太陽電池モジュールの測定を行うための大面積ソーラシミュレータの放射照度の場所むらは,ソーラシ
ミュレータの設置されている試験室の反射条件又はソーラシミュレータ内部の光学系からの反射の影響を
受ける。したがって,放射照度の場所むらは,設置された場所で,設置したソーラシミュレータそのもの

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で実際に評価する。
5.3.1 測定機器
放射照度の場所むらを測定するための検出器として,封入形の結晶シリコンセル又はミニモジュールを
用いることを推奨する。放射照度の場所むらは,その短絡電流によって測定する。放射照度の場所むら検
出器は,当該ソーラシミュレータに適した分光感度特性をもち,放射照度に対する放射照度の場所むら検
出器出力の線形性及び時間応答性は,測定するソーラシミュレータの特性に合うものを用いる。
注記 放射照度の場所むら検出器としてミニモジュールを用いる場合には,ミニモジュールを構成す
るセルの特性のばらつきに起因する誤差が生じることがある。
5.3.2 検出器のサイズ
指定試験領域を,64個以上の同面積の試験位置(ブロック)に分ける。放射照度の場所むらを測定する
ための検出器の最大サイズは,次のいずれか小さい方とする。
a) 指定試験領域を64で除した値
b) 400 cm2
検出器で測定を行う範囲は,指定試験領域を100 %カバーする必要がある。測定位置は,指定試験領域
上に均等に分布させる。ただし,測定点数が過多になるなど試験領域を100 %カバーすることが困難な場
合は,測定箇所は,ソーラシミュレータの受渡当事者間の協定による。
注記1 ミニモジュールは,その発電面積が試験位置のサイズに収まる場合にだけ,放射照度の場所
むら検出器として用いることができ,そのパッケージファクタは80 %以上とする。
注記2 多灯のランプを用いたソーラシミュレータの放射照度の場所むらを検出するためには,より
小さな検出器を用いて,より高い分解能でデータを測定することが必要になる場合もある。
注記3 モジュールの製造業者は,モジュールを構成するセルと同一寸法の受光面をもつ検出器を用
いることを考慮する。
注記4 小面積ソーラシミュレータ(セルサイズの照射面積)の測定箇所は,例えば,測定点数を25
点にするなどの考慮が必要になる。
注記5 モジュールサイズの照射面の測定箇所は,ソーラシミュレータの受渡当事者間の協定によっ
て,64点以下にするなどの考慮が必要な場合がある。
例 大面積ソーラシミュレータ(指定試験領域240 cm×160 cm)の場合
64分割すると,検出器の最大面積は600 cm2となる。この値は400 cm2よりも大きいことから,
検出器の最大サイズは400 cm2のものを用いる。この場合,試験位置は96か所となる。
5.3.3 放射照度の決定
放射照度の場所むら検出器を用いて,次の方法によって,試験位置の各々の放射照度を決定する。
a) 定常光形ソーラシミュレータ 定められた位置における放射照度を測定する。
b) パルス発光形ソーラシミュレータ ソーラシミュレータの放射照度が,パルス発光の期間中,又はパ
ルス発光ごとに一定であるとは限らない。したがって,照度の変動測定用に基準太陽電池デバイスな
どの照度モニタを用意し,パルス発光の期間中の放射照度を測定する必要がある。この照度モニタは
指定試験領域外の定められた位置に設置し,放射照度の場所むら検出器と同時に照度の測定を行い,
各試験位置の測定値に対して照度補正の計算を行う。パルス発光期間中,又はパルス発光ごとの照度
が十分安定(一定)である場合は,発光波形の時間軸上の一定の箇所で測定することで照度モニタを
用いないで,放射照度の場所むら検出器だけの照度測定としてもよい。
5.3.4 検出器の配置

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放射照度の場所むら検出器は,試験領域の外縁よりも内側では試験位置の中心に置いてよいが,試験領
域外縁の試験位置では,試験領域外縁上に置く。
5.3.5 場所むらの計算
放射照度の場所むらを,3.10の式(1)を用いて決定する。
5.3.6 表示
試験領域の明確な規定,及び多様な寸法・形状のモジュール及び/又はセルに対して最適な試験位置を
決定するため,放射照度の場所むらは,表にしてソーラシミュレータに添付する。
5.3.7 場所むらの等級分類
放射照度の場所むらの等級分類は,次による。
− 等級A 放射照度の場所むら2 %(表2参照)。
− 等級B 放射照度の場所むら3 %(表2参照)。
− 等級C 放射照度の場所むら10 %(表2参照)。
注記 放射照度の場所むらは,運転時間及び/又はランプの交換によっても変化する。したがって,
保守点検作業に放射照度の場所むらの測定を含める必要がある。

5.4 放射照度時間変動率

5.4.1  I-V特性測定用ソーラシミュレータ
放射照度短時間変動率(STI)及び放射照度長時間変動率(LTI)の両方を評価する必要がある。
STIの評価に関して,I-Vデータ測定装置は,ソーラシミュレータの一部である。ソーラシミュレータが
I-Vデータ測定装置を含まない場合には,ソーラシミュレータの製造業者は,報告されているSTIの等級
分類との関連で,対応するデータサンプリング時間を明記する。
パルス発光形ソーラシミュレータでは2通り,定常光形ソーラシミュレータでは3通りのケースを考慮
する。
5.4.1.1 パルス発光形ソーラシミュレータのSTIの決定方法
I-Vデータ測定装置を含むパルス発光形ソーラシミュレータの場合,STIの評価は2通りの測定コンセプ
トと関係する。
a) 照度補正用の放射照度値,電流及び電圧を同時に記録する独立した三つのデータ入力ラインがあり,
放射照度によって補正計算が行われる場合には,放射照度時間変動率はSTIに関しては等級Aとなる。
注記 三つの多重チャンネルの同時トリガにおける不確かさは,通常10 ns未満である。
b) 各データセット(照度補正用の放射照度,電流,電圧)が順次取得される場合,放射照度時間変動率
は,次の規定によって決定する(図1及び図2)。
1) 二つの連続したデータセット(放射照度,電流,電圧)を取得するための時間を,それらの測定間
に生じる可能性がある遅延時間を考慮して決定する。
2) TIは,連続したデータセット間の,最悪のケースの放射照度変動を基にする。
3) 取得したデータを用い,ステップ2),式(2)及び表2によってSTIを決定する。
注記 I-V測定に用いるパルス発光形ソーラシミュレータで,I-Vデータ測定装置を備えていないも
のについては,ソーラシミュレータの製造業者は,STIの等級A,B,Cを得るため,用いら
れるパルスのセクション及び均等分割されたデータ点の数を記載しておくことが望ましい。
5.4.1.2 パルス発光形ソーラシミュレータのLTIの評価
LTIは,パルス発光形ソーラシミュレータの発光方式に応じて,次のいずれかの変動を表す。
a) ロングパルス発光形ソーラシミュレータでは,LTIは,I-Vデータ取得時間中の測定データセットの放

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射照度の変動を表す(図1)。
b) 逐次パルス発光形ソーラシミュレータでは,LTIは,I-V特性曲線を得るための複数の全てのデータセ
ット間(逐次パルス発光のI-Vデータ取得時間)の放射照度の変動を表す(図2)。
図1−ロングパルス発光形ソーラシミュレータのSTIの評価
図2−逐次パルス発光形ソーラシミュレータのSTIの評価
5.4.1.3 I-V特性測定用の定常光形ソーラシミュレータ
I-V特性測定用の定常光形ソーラシミュレータの分類は,次のいずれかによる。
a) 照度補正用の放射照度値,電流及び電圧を同時に記録する独立した三つのデータ入力ラインがある場
合には,STIは等級Aとなる。
注記 マルチプレクサ3チャンネルのトリガの同時性の不確かさは,通常,10 ns未満である。
b) 照度補正用の放射照度,電流及び電圧を同時に測定しない定常光形ソーラシミュレータの場合,STI

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の決定には次の手順を用いる。
1) 二つの連続したデータセット(照度補正用の放射照度,電流,電圧)を取得するための時間を,そ
れらの測定間に生じる可能性がある遅延時間を考慮して決定する。
2) TIは,連続したデータセット間の,最悪のケースの放射照度変動を基にする。
3) 取得したデータを用い,ステップ2),式(2),及び表2によってSTIを決定する。
注記 太陽電池のI-V特性測定用の定常光形ソーラシミュレータで,I-Vデータ測定装置を備えて
いないものについては,ソーラシミュレータの製造業者は,STIの等級A,B,Cを判定す
るため,データ取得の最大時間を記載することが望ましい。
c) 定常光形ソーラシミュレータで,一つのデータセットに対する照度補正用の放射照度測定を含まない
ものの場合,STIの値は,I-V測定の対象となる時間(放射照度の測定間の時間)にわたって放射照度
時間変動率をあらかじめ測定して決定する。安定化した動作条件での放射照度の連続的測定は,この
時間内における最大値及び最小値によって決定する。この場合にはLTIは定義しない。
5.4.2 光照射試験用ソーラシミュレータ
光照射試験に用いられる定常光形ソーラシミュレータの場合,LTI値は最も重要な評価項目である。そ
の決定には,次の手順を用いる。
a) 適切な放射照度センサ及び時間平均によって,目的とする時間にわたって放射照度の変動を記録する。
複数のランプをもつソーラシミュレータを用いる場合には,指定試験領域の代表的な位置の数を明示
する。
b) ステップa)で測定したデータから最大放射照度及び最小放射照度を得る。
c) ステップb)のデータ及び式(2)を用いてLTIを求める。
d) TIの計算値から,表2によってLTIの等級分類を決定する。
5.4.3 STIの等級分類
ソーラシミュレータのSTIの等級分類は,次による。
− 等級A 放射照度短時間変動率 0.5 %(表2参照)。
− 等級B 放射照度短時間変動率 2 %(表2参照)。
− 等級C 放射照度短時間変動率 10 %(表2参照)。
5.4.3A LTIの等級分類
ソーラシミュレータのLTIの等級分類は,次による。
− 等級A 放射照度長時間変動率 2 %(表2参照)。
− 等級B 放射照度長時間変動率 5 %(表2参照)。
− 等級C 放射照度長時間変動率 10 %(表2参照)。

5A 測定頻度

  据付後の測定頻度は,次による。
a) 放射照度の場所むら及び放射照度時間変動率は,1か月に1回測定する。
b) スペクトル合致度は,6か月に1回以上測定する。
c) それぞれの測定結果に基づき,ソーラシミュレータに表示された等級を満たすことを確認する。

6 表示

  ソーラシミュレータの製造業者は,各シミュレータに付ける銘板に次の情報を記載しなければならない。

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  • IEC 60904-9:2007(MOD)

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