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E 5004-5 : 2007
推定ピーク電流(prospective peak current)
絶縁の故障又は橋絡による電流(故障電流)が流れ始める過渡期間における推定電流のピーク値。
注記 この用語は通常,短絡条件に関連して使われる。
3.2.3
溶断時間(pre-arcing time)
ヒューズエレメントに溶断を生じさせる大電流の流れ始めから,アークが発生する瞬間までの時間。
3.2.4
アーク時間(arcing time)
ヒューズにアークが発生する瞬間から最終消弧の瞬間までの時間。
3.2.5
動作時間(operating time)
溶断時間とアーク時間の合計。
3.2.6
アーク電圧(arc voltage)
アーク時間の間にヒューズの端子間に現れる電圧の瞬時値。
3.2.7
ピークアーク電圧(peak arc voltage)
アーク電圧の最大値。
注記 消弧後,過電圧(過渡回復電圧)が端子間に現れる場合がある。この数値は回路特性及びヒュ
ーズに依存する。この過電圧はピークアーク電圧ではない(図D.2及び図D.3参照)。
3.2.8
直流又は商用周波の定常回復電圧(d.c. or power frequency steady-state recovery voltage)
過渡電圧現象が収束した後に,回路に現れる回復電圧で,リプル(脈流率)を含む電圧の平均値で表示
された電圧。
注記 これは図D.2及び図D.3で,B1及びB2として示してある。
3.2.9
ピーク通過電流(peak let-through current)
ヒューズの動作時間に流れる電流の最大瞬時値。
3.2.10
ジュール積分,I2t(I2t,joule integral)
規定の時間における電流の二乗の積分値。
t1 2
I2t t0 i dt
注記1 溶断I2tは,ヒューズの溶断時間におけるI2t積分である。
注記2 動作I2tは,ヒューズの動作時間におけるI2t積分である。
注記3 ヒューズで保護される回路において,抵抗1 Ω当たりで放出されるジュールで表すエネルギ
ーは,(A2s)の単位で表される動作I2tの値に等しい。
3.2.11
時間−電流特性(time-current characteristic)
規定の動作条件における溶断時間,動作時間などに対する推定電流を表した特性曲線。
――――― [JIS E 5004-5 pdf 6] ―――――
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3.2.12
協約不溶断電流(conventional non-fusing current)
ヒューズリンクが溶断せずに規定時間(協約時間),通電することのできる規定の電流値。
3.2.13
協約溶断電流(conventional fusing current)
ヒューズリンクが規定時間(協約時間)内で,動作する規定の電流値。
3.2.14
定格値(rated value)
ヒューズの規定動作条件に対して,製造業者が指定する数値。
注記 一般的にヒューズの定格値は,電圧,電流,遮断容量及び電力損失である。
4 分類
ヒューズリンクの分類は,次のいずれかによる。
種別1
4.1及び4.2による。
種別2
JA.2及びJA.3による。
4.1 遮断範囲
(附属書B参照) ヒューズリンクは,遮断電流範囲によって次のいずれかに分類する。a) “a”形ヒューズリンク 一部の電流範囲に対して遮断容量をもつヒューズリンク。すなわち,規定条
件のもとで,当該ヒューズのもつ最低遮断容量から定格遮断容量までの全電流を遮断できるヒューズ
リンク。規定の最低遮断電流未満の過電流に対して保護が必要な箇所には,別の開閉機器を組み合わ
せて使用する場合がある。
注記1 “a”形ヒューズリンクの保護の例としては,半導体素子保護用,モータ保護用などのヒュ
ーズがある。
注記2 “a”形ヒューズリンクは,一般に短絡保護用として使用される。小さな過電流保護が必要
な場合は,小さな過電流を遮断できる他の適切な開閉装置と組み合わせて使用する。
b) “g”形ヒューズリンク 全電流範囲に対して遮断容量をもつヒューズリンク。すなわち,規定条件の
もとで,ヒューズエレメントに溶融を生じる定格遮断容量以下の全電流を遮断できるヒューズリンク。
注記 鉄道車両では,“g”形ヒューズリンクの使用例は少ない。
4.2 利用区分
4.2.1 通常使用
ヒューズリンクは,適用する次のような通常の使用条件によって区分される。
a) 連続定格を超えない電流値。
b) 電動機始動時のように,通常でも連続定格を一時的に超える電流値。
c) 周期的な繰返しパターンで変化又は切り替わる連続定格を超えない電流値。
4.2.2 特別使用
特別な保護を設ける必要がある場合,例えば,次のように区分される。
a) ピーク通過電流及び動作I2t(3.2.10参照)を制限するために,高速動作が要求される半導体の場合。
b) 時間遅延動作のある場合。
――――― [JIS E 5004-5 pdf 7] ―――――
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E 5004-5 : 2007
5 特性
ヒューズの特性は,次のいずれかによる。
種別1
a) 直流及び/又は交流の定格電圧(複数ある場合を含む。)
b) 定格電流(In)
c) 定格周波数(交流用に限る。)
d) 定格遮断容量
e) 遮断範囲
f) 定格電力損失
g) 時間−電流特性。“g”形ヒューズリンク用の規定時間(協約時間)及び電流を表1に示す。
h) 過負荷耐量
i) I2t特性(最小溶断I2t及び最大動作I2t)
j) 推定電流及び時定数に対応したピーク通過電流
k) 周囲温度に対する電流定格補正率(“g”形ヒューズリンクの場合)
l) 動作電圧に対応したピークアーク電圧
m) ヒューズベースの定格絶縁電圧
注記 I2t特性をグラフで表す場合には,推定電流を横軸に,I2t値を縦軸とする。縦軸及び横軸とも
対数目盛を用いる。
表1−“g”形ヒューズリンク用の規定時間
定格電流 In 規定時間(協約時間)
A h
In ≦ 63 1
63 < In ≦ 160 2
160 < In ≦ 400 3
In > 400 4
種別2
JA.4JA.6による。
6 製品情報
6.1 情報の文書化
製品の識別及び特性にかかわる情報は,製造業者のカタログ又はマニュアルに記載する。JIS E
5004-2:2006の6.1(情報)のほかに,次に示す項目を追加して適用する。
a) 定格電圧
b) 定格電流
c) 定格遮断容量及び時定数
d) 使用・用途(4.2参照)
e) 2t特性(最小溶断I2t及び最大動作I2t)
f) 負荷条件及び過負荷条件を変えたときの,周囲温度に対する電流定格補正率(“g”形ヒューズの場合
――――― [JIS E 5004-5 pdf 8] ―――――
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に限る。)
g) 寸法
h) 保管,取付ぎ装,保守に関する特別な説明書(必要な場合)
6.2 表示
ヒューズリンク及び/又はヒューズベースには,JIS E 5004-2:2006の6.2(表記)によって,耐久性があ
り,かつ,読みやすい銘板又は刻印した表示を設ける。ただし,開放箱形ヒューズの場合,箱に銘板又は
刻印した表示を設ける。
表示項目は,受渡当事者間の協定による。例えば,次のデータを表示するものとする。
a) 製造業者名又は商標
b) 製造業者の製品形式
c) 定格電圧(直流又は交流)
d) 定格電流
7 通常の使用条件
これらの条件は,JIS E 5004-1:2006の7.(通常の使用条件)による。
8 構造上及び性能上の要求
8.1 構造上の要求
JIS E 5004-2:2006の8.1(構造上の要求)のほかに,ヒューズには次の項目を追加する。
8.1.1 ヒューズリンク
ヒューズリンクは,使用中に,例えば,持続するアーク,フラッシュオーバ,火炎又は構成材料の噴出
などによって,周囲を損傷しない構造とする。
ヒューズリンクは容易に取り替えることのできるものとする。
注記 詳細については,JIS C 8269-1:2000の8.5.8(試験結果の評価)を参照。
8.1.2 ヒューズベース
ヒューズベースは,通常使用しているときの熱サイクル,振動及び衝撃の条件のもとで,ヒューズリン
クが定格遮断容量以下の過負荷又は短絡電流を遮断するときに生じる電気力が作用しているときでも,ヒ
ューズリンクを確実に接続,保持できる接触力をもつものとする。
8.1.3 ばね加圧接触
ヒューズベースに電気的接続用及び機械的保持用として,ばね加圧接触構造を取り入れている場合には,
これらの接触部は電気的特性及び機械的特性が劣化を起こすことなく,ヒューズリンクの100サイクルの
抜差し操作に耐えられるものとする。
8.1.4 外部端子
ヒューズベースの外部接続用端子部は,通電電流が変動しても,その影響を受けずに,一定の締付け力
があるようにする。これらの端子部は,外部導体の接続及び取外しの繰返し作業に劣化することなく耐え
られるものとする。端子ねじはM5以上とする。
接続ねじをきつく締めたとき,端子が回転又は外れることなく,かつ,導体も外れないものとする。
外部導体を接続する部分は金属で構成するものとし,導体を不当に損傷することのない形状とする。
磁器又はこれと同等以上の特性をもつ他の材料を用いた絶縁材料を介して,接続の接触力を伝達させて
はならない。
――――― [JIS E 5004-5 pdf 9] ―――――
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注記 詳細情報については,JIS C 8269-1:2000の7.1.2(端子を含む接続)参照。
8.2 性能上の要求
性能上の要求は,次のいずれかによる。
種別1
8.2.18.2.8による。
種別2
JA.3JA.5による。
8.2.1 動作条件
動作条件は,JIS E 5004-2:2006の8.2.1(動作条件)による。
8.2.2 温度上昇限度
温度上昇限度の条件は,JIS E 5004-2:2006の8.2.2(温度上昇)による。
8.2.3 絶縁特性
絶縁特性条件は,JIS E 5004-1:2006の8.2.6(絶縁特性)による。
8.2.4 定格電圧及び遮断試験電圧
定格電圧及び遮断試験電圧は,次による。
a) 電車線から給電されるヒューズの電圧は,表2による。
表2−電車線から給電される直流ヒューズに対する定格電圧及び遮断試験電圧
単位 V
電車線の標準電圧 定格電圧 遮断試験電圧
600 720 800
750 900 1 000
1 500 1 800 1 950
3 000 3 600 3 900
注記 ヒューズの定格電圧及び遮断試験電圧は,それぞれIEC 60850:2007
の表1の直流の電車線電圧に対するUmax1(連続最高電圧)及びUmax2
(持続時間が5分未満の非繰返し最高電圧の最高値)に相当してい
る。
b) 電車線から給電されないヒューズの遮断試験電圧は,当該ヒューズが接続される回路の最高動作電圧
以上とする。
8.2.5 ヒューズリンクの定格電流
ヒューズリンクの定格連続電流は,ISO 3:1973のR 10で規定されている次の標準数から選択する。
0.6,1,2,3,4,6,10,12,16,20,25,32,40,50,63,80,100,125,160,200,250,315,400,
500,630,800及び1 000。
注記 中間にある数値については,ISO 3:1973のR 20を参照。
8.2.6 ヒューズベースの定格電流
ヒューズベースの定格電流は,対応するヒューズリンクの定格電流以上とし,8.2.5に規定されているヒ
ューズリンクの定格電流の中から選択するのが望ましい。
8.2.7 遮断容量
遮断容量は,次による。
――――― [JIS E 5004-5 pdf 10] ―――――
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JIS E 5004-5:2007の引用国際規格 ISO 一覧
- IEC 60077-5:2003(MOD)
JIS E 5004-5:2007の国際規格 ICS 分類一覧
- 29 : 電気工学 > 29.120 : 電気付属部品 > 29.120.50 : ヒューズ及びその他過電流保護装備
JIS E 5004-5:2007の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISC4003:2010
- 電気絶縁―熱的耐久性評価及び呼び方
- JISE4001:2011
- 鉄道車両―用語
- JISE4031:2013
- 鉄道車両用品―振動及び衝撃試験方法