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3.1.2
作業者(instructed person)
担当する業務を理解し,かつ,怠慢な態度では危険が起きる可能性があることを承知している人,及び
必要に応じて教育を受けた人。一般的には,安全教育・作業指導を受けた人。
注記 3.1.1及び3.1.2は,鉄道事業者,製造業者及び保守作業に関与する者を,電気的危険性に関す
る知識・能力の面から区分したものであり,特別の公的資格を必要とする区分ではない。
3.1.3
一般の人(ordinary person)
3.1.1及び3.1.2を除くすべての人。
3.2 その他の用語及び定義
3.2.1
閉鎖形電気品区画(closed electrical operating area)
電気品に加えられる電圧及び電気品の適切な配置によって,安全が確保されている電気品専用の部屋又
は場所。
注記1 この区画は,作業指導者及び作業者だけがアクセスを認められている場所である。
注記2 この区画は,床下用機器箱又は屋根上用収納箱にも適用してもよい。一般的には,収納品の
適用電圧に対して,安全が確保されていれば,車体の内外を問わず,どの取付け位置でもよ
い。一般の人は,そのような区画へのアクセスは認められない。
3.2.2
電車線路(contact line)
集電装置を介して,車両へ電気エネルギーを供給する導体システム。
3.2.3
トロリ線(contact wire)
架空電車線路において,集電装置が接触する電気導体。
3.2.4
直接接触(direct contact)
人又は家畜が,充電部に接触する状態。
3.2.5
接地(earth)
大地(地球)を導電体とみなし,“大地に接続している状態”。大地に接続している導電部の電位は,通
常,零に等しいものとみなす。
3.2.6
電気品区画(electrical operating area)
主として,電気装置の作動のため,通常,作業指導者及び作業者だけが立ち入ることのできる部屋又は
場所。
注記 電気品区画は,収納箱に収納した電気品に加わる電圧に対して,確実に安全が守られれば,例
えば,運転室,特別に閉鎖式でない機械室及び/又は機器室であってもよい。一般の人は,そ
のような区画へのアクセスは認められない。
――――― [JIS E 5051 pdf 6] ―――――
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3.2.7
感電(electric shock)
人又は家畜の身体を通して,電流が流れた結果生じる生理学的に危険な状態。
3.2.8
露出導電部(exposed conductive part)
故障の場合を除き電圧が加わることはないが,人又は家畜が接触する可能性のある金属製又はその他の
導電材の部分。
3.2.9
故障(failure)
ある用品に要求される機能を遂行する能力を失った状態。
3.2.10
電気的危険性(electrical hazard)
潜在的な危険又は実際の事故となる可能性のある状態。エレクトリカルハザードともいう。
3.2.11
間接接触(indirect contact)
故障状態のときに電圧が加わる露出導電部に,人又は家畜が接触する状態。
3.2.12
インタロック装置(interlocking device)
単独又は複数の機器の位置又は動作によって,開閉機器を作動させる装置。
3.2.13
充電部(live part)
通常の使用状態で電圧が加えられている導体又は導電部。これには,中性線導体も含む。
3.2.14
公称電圧(nominal voltage)
電気品又は電気品の一部に使用される表示電圧。
注記1 電圧は,極間に現れる値で,リップルのない直流電圧及び相間rms値で表す交流電圧である。
注記2 実際は,許容変動範囲内にある電圧であり,表示の公称電圧値とは異なる。鉄道電化システ
ムの標準電車線電圧及びその変動範囲などに関しては,JIS E 5004-1の表0A又はIEC 60850
参照。
3.2.15
障害物(obstacle)
人又は家畜が誤って,充電部,露出導電部などに直接接触しないようにするための感電防護用の遮へい
(蔽)物。ただし,故意の直接接触は,防止できない。
3.2.16
電力回路(power circuit)
電力変換装置及び主電動機の組合せのような,装置,回転機などの負荷に電流を流す回路。
3.2.17
防護ボンディング(protective bonding)
感電の防護を目的とした等電位接続。
――――― [JIS E 5051 pdf 7] ―――――
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3.2.18
防護導体(protective conductor)
次のような部分を電気的に接続することで,感電の防護処置に用いる導体。
− 露出導体部
− 主接地端子部
− 接地専用端子
− 電源又は人為的な中性線の接地点
注記 鉄輪及び鉄レールを使用している我が国の鉄道電化システムにおいては,走行レールが基本的
な防護導体である。防護導体のないゴムタイヤ式鉄道又は浮上式鉄道の場合は,乗降時に車体
が確実に接地される車体の部分を防護導体とみなす。
4 電圧範囲による区分
4.1 一般
この規格は,装置又は電気回路に加えられる供給電圧の最高値を基準として適用する。
公称電圧は,電圧区分によって表1に規定する。これらの各電圧区分に対して,異なる規則があり,そ
の規則によって適用する。
注記 フランス,イタリアなどの電圧区分は,IEC 61991の表2及び表3参照。
鉄道車両で使用される各回路の供給電源は,次のような種類がある。
− 蓄電池
− 変圧器
− 電圧分圧器
− 発電装置
− 静止形電力変換装置
− コンデンサ
− 特殊電源
表1−電圧区分による公称電圧
単位 V
公称電圧 U
電圧区分
交流 直流
I U≦25 U≦60
II 25 III 50 IV 1 0004.2 回路間の区分
電力変換装置に接続されていても,異なる公称電圧で動作する回路では,それらの回路間に導電経路が
介在しないもの,又は電力変換回路とは別に車体へ直接接続されている回路群は,各回路の公称電圧で個々
に区分する。
注記1 変圧器などで絶縁された回路を含む。
ここでいう導電経路にコンデンサ又はリアクトル成分があっても,インピーダンスが十分に低くて,正
常又は故障のいずれの条件においても,関係するどの回路にも危険な電圧を生じることがなければ,接続
されているすべての回路は,最も高い電圧の回路の公称電圧による電圧区分とする。――――― [JIS E 5051 pdf 8] ―――――
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注記2 注記1で記載する条件は,例えば,インピーダンス結合のあるチョッパ式変換装置の回路に
適用できる。
車体への通常の接地ボンディング接続を除き,例えば,単巻変圧器又は電圧分圧器によって,高電圧電
源に接続されている回路の場合,当該回路は,すべての高電圧電源の公称電圧が加えられているものとし
て取り扱う。ただし,4.3の条件に合致している場合を除く。
4.3 例外
ある電圧区分から別の電圧区分へ電圧を変換するシステムに,過電圧検知装置があり,過電圧になった
ときに,一次側又は二次側の回路開放を行う場合,若しくは二次側回路に別の手段で過電圧を防止できる
場合には,二次側回路の電圧区分は,電圧検知装置が作動する最高電圧に対応する。
注記 過電圧検知装置の検知性能を,考慮しなければならない場合がある。
車体に接続していない回路(例えば,浮動電源。)は,正常又は故障の条件において,当該回路に生じる
可能性のある電位を考慮して,この規格の要求事項を確実に満足するように,適切に区分する。
5 直接接触に対する防護処置
5.0A 一般
感電を生じる可能性のある充電部は,直接接触できないように防護処置を行う。さらに,すべての装置
類は,常に,直接接触に対する防護処置の効果を失うことなく,作動できるようにする。直接接触に対す
る防護処置には,5.15.3の中から,少なくとも一つの方法を採用する。また,必要に応じて5.4による
注意銘板を付ける。
5.1 絶縁による防護処置
JIS E 5004-1に規定する要求事項に加えて,充電部の防護処置に使用する絶縁材料は,装置の公称電圧
及び使用条件に適したものとする。絶縁破壊による損傷を最小限にするために,更に,絶縁の強化を図る
ことが望ましい。
5.2 アクセス防止による防護処置
充電部へのアクセス防止は,装置類を閉鎖形電気品区画内に設置するか又は接近できない場所に置いて,
充電部へのアクセスができないようにする。必要な防護処置は,次による。
5.2.1 電圧区分Iから電圧区分IIIまでの電圧
注記 電圧区分Iだけを採用した場合の防護処置は,5.3を参照。
5.2.1.1 閉鎖形電気品区画を採用した防護処置
電圧区分Iから電圧区分IIIまでの電圧が加わる車両の充電部は,閉鎖形電気品区画内に収納する。
充電部のある閉鎖形電気品区画へのアクセスは,次の者に認められる。
− 電圧区分I及び電圧区分II : 作業指導者及び作業者
− 電圧区分III : 実用的な直接接触防止策が十分に考慮されている場合に限り,作業指導者及び作業者
アクセス防止は,機械的な施錠又は物理的な隔離のいずれかで行い,かつ,その場所及び収納してあ
る装置に適した注意銘板を付けるか,又は操作マニュアルで補足する。
アクセス防止の手段は,次の規定を満足しなければならない。
a) 一般の人もアクセスできる車内にある遮へい物及びカバー類は,JIS C 0920による保護等級 IP4X又
は当該装置が電気的に車体に接続されている場合は,JIS C 0920による保護等級 IP2XDによるものと
する。ただし,プラグ式コネクタ,灯具用ソケット(ランプは含まない。)又はねじ込み式ヒューズの
ヒューズソケット(ヒューズリンクは含まない。)には,この規定を適用しない。
――――― [JIS E 5051 pdf 9] ―――――
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b) 特別に,格子状又は網状の遮へい物を使用している箇所については,曲げ又はねじれを考慮しても,
直接接触を防止できるだけの十分な距離をおく。
注記 IP4Xは,φ1 mmの近接プローブが侵入しないレベル。また,IP2XDは,φ12 mm・長さ80 mm,
及びφ1 mm・長さ100 mmの関節付きテストフィンガの先端が,危険箇所までに適正空間があ
るレベル。電気機械器具の外郭による保護等級(IPコード)については,附属書JA参照。
5.2.1.2 電気品区画を採用した防護処置
5.2.1.1を適用しない場合,充電部は,電気品区画内に収納し,かつ,次のようにする。
a) 電圧区分I及び電圧区分IIの電圧が加わる充電部は,直接接触に対する防護処置は,必要ない。ただ
し,箇条8の要求事項を満足している場合に限る。
b) 電圧区分IIIの電圧が加わる充電部への直接接触を防止する障害物は,例えば,床下機器箱,屋根上,
動力車の機械室,機器室など(ただし,運転室を除く。)の場所のように,一般の人がアクセスできな
い電気品区画になら採用してもよい。ただし,電気的危険性が容易に識別できる場合に限る。例えば,
そのような障害物で防護されてはいないが,グリップ部は,絶縁材料で防護されている電圧区分III
のヒューズ及び開放装置には,アクセスできる。このような電気品は,電気品区画内に限り設置する
ことができる。
5.2.1.3 空間距離による防護処置
車体の外側にある充電部(例えば,集電装置,屋根上導体,抵抗器など。)で,車両内外で人が立ち入る
ことのできる場所から,直線的にアクセスできる可能性のある部分に対し,この規格で規定してある他の
防護処置がとれない場合には,必要な空間距離による直接接触防止の防護処置をとらなければならない。
注記 “直線的にアクセスできる”とは,人が立ち入ることのできる場所から,折り曲げられた針金
などの特別な形状のものを使用しないでも,傘などによって,充電部に触れることができるこ
とを意味する。
低いプラットホーム又はプラットホームへ至る駅構内の踏切のある通路から,万一,人が車両の床下に
取り付けた機器の充電部に直接触れる危険がある場合には,当該機器に対してJIS C 0920による保護等級
IP2Xの遮へい物を設けなければならない。
人が立ち入ることのできる場所から,充電部までの空間距離は,少なくともIEC 62128-1及び IEC
62128-2の規定値以上が維持されている場合,空間距離による防護処置があるとみなされる。その例を,
次に示す。
例1 道路上及び踏切から,充電部に接触できる可能性はあるが,車両の動きによって空間距離が生
じるので,この防護処置は存在するとみなされる。
例2 サードレールによる給電のように,作業指導者及び作業者だけがアクセスできる場所で,シス
テムが作動して充電部に電圧が加えられると,空間距離による防護処置ができなくなるところ
では,防護処置はマニュアルで規定された手順による。
5.2.1.4 給電母線からの電気的危険性に対する防護処置
外部電源(例えば,他の車両,駅にある車両用の地上電源など。)から供給される給電システムで,電圧
区分IIIの電圧が加わる可能性のある充電部へのアクセスは,インタロック装置又はマニュアルで規定した
手順で防止する。
給電母線のコネクタには,5.4による注意銘板を付ける。
――――― [JIS E 5051 pdf 10] ―――――
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JIS E 5051:2009の引用国際規格 ISO 一覧
- IEC 61991:2000(MOD)
JIS E 5051:2009の国際規格 ICS 分類一覧
JIS E 5051:2009の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISB9706-1:2009
- 機械類の安全性―表示,マーキング及び操作―第1部:視覚,聴覚及び触覚シグナルの要求事項
- JISC0920:2003
- 電気機械器具の外郭による保護等級(IPコード)
- JISE4001:2011
- 鉄道車両―用語