この規格ページの目次
8
E 5051 : 2009
5.2.2 電圧区分IVの電圧
5.2.2.1 閉鎖形電気品区画を採用した防護処置
電圧区分IVの電圧が加わる充電部へは,作業指導者も含めたすべての人のアクセスは,許容しない。
通常,電圧区分IVの電圧が加わる充電部へのアクセスは,充電部の供給電源を開放した後に,更に,
次による方法の一つ又は複数の方法によって,安全を確保した後に限り,作業指導者及び作業者に認めら
れる。
− 操作マニュアル
− インタロック装置
− 防護ボンディング
− 安全装置又はモニタ装置
アクセス防止の方法は,次による。
a) 車両内で一般の人がアクセスできる位置にあるカバー類は,JIS C 0920による保護等級 IP4Xによる。
b) 点検周期が比較的長い装置の防護処置は,ねじ式又はボルト付きのパネルで構成してもよい。パネル
は,工具を使用しなければ外せないようにする。この場合には,特別な鎖錠システムは,必要ない。
c) 点検周期が比較的短い装置の防護処置は,供給電源を開放し,かつ,防護ボンディングで充電部が安
全となってから,充電部へアクセスできるようにした,確実なインタロック装置を設ける。鎖錠及び
インタロック装置は,制御装置の制御電源による無負荷試験で確認できるようにする。
d) 上記の a), b) 及び c) を適用しない場合には,受渡当事者間の協定による。例えば,点検の頻度の大
小にかかわらず,点検カバーにハンドル式,掛け金式などのワンタッチ式ロック機構を取り付けたり,
インタロック装置を設けない装置の場合には,操作マニュアル,注意銘板,状態表示などを追加して,
防護処置を確実にする。
充電部から電圧区分IVの電源を切り離した後でも,電圧区分IIIの電圧が加わったままである場合には,
5.2.1によって,電圧区分IIIの電圧が加わったままの充電部に,直接接触することがないようにする。
5.2.2.2 空間距離による防護処置
車体の外側にある充電部(例えば,集電装置,屋根上導体,抵抗器など。)及びき電用トロリ線の充電部
に,駅のプラットホームはもちろん,車両内外で人が立ち入ることのできる場所から,直線的にアクセス
できる可能性のある部分に対して,この規格で規定してある他の防護処置がとれない場合には,必要な空
間距離による直接接触防止の防護処置をとらなければならない。
注記 “直線的にアクセスできる”ことについては,5.2.1.3の注記を参照。
人が立ち入ることのできる場所から,充電部までの空間距離は,少なくともIEC 62128-1及び IEC
62128-2の規定値以上に維持されている場合には,空間距離による防護処置があるとみなされる。
5.2.2.3 給電母線からの電気的危険性に対する防護処置
外部電源(例えば,他の車両,駅にある車両用の地上電源など。)から供給される給電システムの充電部
へのアクセスは,インタロック装置又はマニュアルで規定した手順で防止する。
列車の電源供給用ジャンパ連結器のように,頻繁な接続及び切離し操作を必要とする装置に対しては,
電源供給を遮断した後で,かつ,充電部は防護ボンディング処置によって確実に安全となった後に限り,
装置の充電部にアクセスできるインタロック装置又はマニュアルで規定した手順を決める。
電源の給電母線のコネクタには,5.4による注意銘板を付ける。
5.3 電圧区分Iだけの電圧を採用した場合の防護処置
電圧区分Iだけの電圧を採用したときの防護処置で,5.1又は5.2による防護処置ができない場合には,
――――― [JIS E 5051 pdf 11] ―――――
9
E 5051 : 2009
次に示す5.3.1又は5.3.2によることができる。
5.3.1 ボンディングなしの回路
電圧区分Iの電圧をもつ回路が,車体にボンディングされていない場合で,当該回路が,JIS C 60364-4-41
の411.1.2(SELV及びPELV用電源),411.1.3(回路の構成)及び411.1.4[非接地回路(SELV)の要求事
項]の要求事項及びこの規格の箇条8の要求事項を満足する場合には,別の防護処置を必要としない。
注記 この規格の電圧区分Iに含まれる特別低電圧(extra low voltage)は,非接地回路のSELV及び
接地回路のPELVの区別がある。SELVは,他の回路の地絡故障も含む単一故障状態で指定の
電圧範囲を超えることはない。一方,PELVは,他の回路の地絡故障を除く単一故障状態で,
指定の電圧範囲を超えることはない(JIS C 60364-4-41参照)。
5.3.2 ボンディングのある回路
電圧区分Iの電圧をもつ回路が,車体にボンディングしている場合で,公称電圧が,交流6 V又は直流
15 V未満で,かつ,当該回路がJIS C 60364-4-41の411.1.2(SELV及びPELV用電源),411.1.3(回路の構
成)及び411.1.5[接地回路(PELV)の要求事項]の要求事項を満足する場合には,別の防護処置を必要
としない。交流6 V又は直流15 Vを超える電圧の場合には,一般の人が接触する可能性がある場合に限り,
JIS C 60364-4-41の411.1(SELV及びPELV)による防護処置が必要である。
5.4 注意銘板
電気的危険性に対する特別な注意銘板は,JIS B 9706-1の電気的危険性を表す警告標識による。
電気的危険性が存在すると考えられ,すべてのインタロック装置又は設計上の特別な機能が作動した後
に,装置へのアクセスができるようになる場合,電気的危険性を識別できるように注意銘板を付け,更に
関係者の危険回避に必要な補足内容があれば追加する。この銘板は,確実,かつ,明りょう(瞭)に見る
ことができる位置に付け,かつ,装置の使用期間中は,その状態を維持する。
ピット線のように,車両が相対的に高い位置にあり,人が立ち入ることのできる位置からき電用電車線
の充電部に手が届く可能性がある場所には,注意銘板を付ける。
電圧区分III及び/又は電圧区分IVの電圧が加わるすべての閉鎖形電気品区画にアクセスする場所には,
注意銘板を付ける。ただし,インタロック装置の付いている箇所には,注意銘板を付けなくてもよい。
6 間接接触に対する防護処置
車両及び車両の構成部分を走行レールと等電位,又は別の地上設備を介して接地(大地)と等電位にす
る方法について規定する。
6.1 一般
露出導電部は,故障のときに充電部の近くでの電磁誘導又は接触によって感電しないようにする。
その目的は,感電する危険性のある露出導電部を確実に走行レール又は大地と等電位とすることである。
これは防護ボンディングだけでもよいが,供給電源の自動遮断又はその他の適切な方法によって実現し
てもよい。
電流が,軸受に損傷を与える危険がある場合には,その軸受を露出導電部の接続に使用してはならない。
その他の場合の防護処置及びその例外を,6.5に規定する。
6.2 防護ボンディング
6.2.1 等電位接続
露出導電部(6.5に規定する例外の場合を除く。)は,車体又は車体に関係する箇所に,直接又は防護ボ
ンディング導体を介して,ボンディング接続を行う。
――――― [JIS E 5051 pdf 12] ―――――
10
E 5051 : 2009
接続に当たって,特に,腐食又は疲労が原因で,ボンディング抵抗値が時間とともに増加することのな
いように注意する。
防護用の等電位ボンディング導体は,絶縁導体又は裸導体のいずれであっても,形状,取付場所,表示
又は色彩によって容易に識別できるようにする。色彩による識別法を採用する場合には,“緑色及び黄色”
の二色組合せ式とし,受渡当事者間の協定による。
6.2.2 防護ボンティングの定格
防護ボンディングは,適切な強度及び通電容量をもつ寸法とし,故障のときに露出導電部で感電を生じ
ることのないようにする(6.3参照)。
防護ボンディングは,走行レールを流れるすべての電流を考慮して,ボンディング接続回路の容量及び
寸法を決める。
6.2.3 しゅう(摺)動式接触
接地ブラシのような,しゅう(摺)動式接触装置は,6.2.1及び6.2.2に規定の要求事項を満足しなけれ
ばならない。しゅう動式接触装置は,そのうちの1個が故障しても,感電の危険を生じないようにする。
6.3 供給電源の遮断
6.3.1 適用
6.2.2の規定を満足できないような防護ボンディングの場合には,供給電源の自動遮断又は,例えば,抵
抗挿入による故障電流の自動限流方式を採用する。
故障が発生したときに,接触電圧の電圧値及び通電時間(ガイダンスとして,IEC 60479-1参照。)によ
って,人体に生理学的に有害な影響が起きる危険性のある場合には,供給電源を自動遮断する手段を設け
る。
6.3.2 電源の自動遮断特性
万一,故障が生じ,回路又は装置の充電部及び露出導電部間,並びに充電部及び防護導体間の人が触れ
る可能性のある導電部に,電圧区分IIの電圧を超えると予測される接触電圧が生じ,それに触れて人体に
生理学的に有害で危険な影響が生じないように,間接接触に対する防護処置として,回路又は装置への電
源供給を,危険時間になる前に自動遮断しなければならない(ガイダンスとして,JIS C 60364-4-41の413.1
参照)。
6.4 車両の防護ボンディング
次の事項は,走行レールを防護導体として共用する場合,又は走行レールとは別の防護導体を採用して
いる場合のシステムで運転するすべての車両に適用する。特に,走行レールを外部供給電源の帰路とする
システムでは,更に6.5.4Aの規定を考慮する。これ以外のシステムに対しては,6.5.5の規定を参照し,必
要に応じて受渡当事者間で協定して,防護ボンディングに代わる別の安全を確保できるシステムとするこ
とができる。
6.4.1 一般
車体は,6.4.26.4.4によってボンディング処置を行う。
6.4.2 複数の防護ボンディング経路
車体と地上設備の防護導体(通常は,走行レール。)との間には,2回路以上の防護ボンディング経路を
設け,万一,1経路が故障した場合にも,別の経路によって感電の危険がないようにする。これらの2経
路とも主要な箇所は,目視点検ができるようにする。
6.4.3 車体及び地上設備の防護導体間の抵抗値
車体及び地上設備の防護導体(通常は,走行レール。)を接続する車体側の接地装置を含む接地回路の抵
――――― [JIS E 5051 pdf 13] ―――――
11
E 5051 : 2009
抗値は,極めて低い抵抗値になるようにし,その間に生じる電位差が,IEC 60479-1に規定する基準値よ
り高くならないようにする。
表4は,地上設備の防護導体(通常は,走行レール。)に接続するための車両側の接地装置を含む接地回
路の車両当たりの最大抵抗値の参考値である。ただし,この数値でも人体に危険な電圧を生じる可能性が
ある場合には,表4に規定する最大抵抗値より小さい抵抗値を採用する。また,IEC 62128-1及び IEC
62128-2に規定する車体と走行レールとの間の電位差に追加される可能性のあるレール電位の上昇につい
ても考慮することが望ましい(6.5.4Aも参照)。
表4−車体及び防護導体間の最大抵抗値(参考値)
単位 Ω
車両の種類 車両当たりの最大抵抗値a)
動力車
0.05
旅客車
貨車 0.15
注a) 50 Aの一定電流で測定したときの抵抗値である。そのときの電圧は,50 V未
満とする。また,車輪及びレールは,清浄な状態の場合である。
保護回路の特性から,帰線用の電流経路より高インピーダンスの回路が必要な場合には,車体構体を抵
抗器又はリアクトルを介して,接地装置に接続する(JIS E 5004-1の8.1.2.3を参照。)。
6.4.4 電車線電圧が車体に接触する故障
き電用の外部電源が車体に接触した場合(例えば,トロリ線の切断によるたれ下がり。),車体に生じた
異常電圧を,できるだけ短時間のうちに6.3で規定するレベルまで低減させるようにしなければならない。
このような故障は,通常,地上設備側で復旧させるので,車両に生じる可能性のある異常電圧を推定す
る場合には,IEC 62128-1及びIEC 62128-2を参照する。
このような故障を確実に検出するためにも,車両の防護ボンディングは不可欠であり,取り外してはな
らない。
注記 我が国では,国土交通省の“鉄道に関する技術上の基準を定める省令”の解釈基準によって,
直流の架空電車線区間を運転する旅客車は,屋根上を電気的に絶縁する。この場合には,トロ
リ線断線のたれ下がり事故で車両に接触しても,完全地絡事故になるとは限らない。ただし,
交流電化の架空電車線の場合については,変電所側で迅速に検知して,電源遮断を行う方式で
あるので,通常屋根上を電気的に絶縁しない。
6.5 補足説明及び例外
6.5.1 防護処置を必要とする部分
電気装置に近接する部品,例えば,機器放熱フィン,金属製機器箱,シールド板及びその他の類似部品
の露出導電部については,防護処置が必要である。
6.5.2 防護処置を必要としない部分
感電する可能性のある電源から隔離されていて,ボンディング及び/又は絶縁による別の方法で防護処
置されている周囲にある小さな内装部品で,取っ手,洋服掛け,手すり(摺),支柱などの露出導電部に対
しては,防護処置を必要としない。
さらに,6.5.2.16.5.2.3の規定に従って製作し,試験済みの用品については,防護処置を必要としない。
6.5.2.1 電圧区分IIの電圧
間接接触に対する防護処置は,当該回路が,5.3.1及び5.3.2の要求事項を満足していても,電圧区分II
――――― [JIS E 5051 pdf 14] ―――――
12
E 5051 : 2009
の電圧が加わる装置の露出導電部に対しては,必要である。
6.5.2.2 二重絶縁
二重絶縁又は強化絶縁をした電気品は,IEC 61140の等級II用品の要求事項を満足しているものとする。
注記 強化絶縁とは,二重絶縁と同程度の感電防止策がとれるようにした,充電部に施す単一絶縁シ
ステムである[JIS E 5004-1の3.7.4(強化絶縁)を参照]。
6.5.2.3 総合絶縁(電圧区分IIIの電圧用に限る)
総合絶縁を施した電気品の組立品は,IEC 60439の要求事項を満足しなければならない。
6.5.3 多段絶縁
例えば,屋根上又は床下取付形の大容量抵抗器が,気中絶縁式で,多段絶縁を採用しているとき,基礎
絶縁及び補強絶縁の間にある露出導電部は,充電部とみなされ,箇条5の防護処置を適用する。
注記 基礎絶縁は,人の安全性にかかわる感電に対する基本的な防護処置を施した充電部の絶縁であ
る。また,補強絶縁は,基礎絶縁が損傷したときの感電防止のために,基礎絶縁のほかに設け
る独立した絶縁である[JIS E 5004-1の3.7.2(基礎絶縁)及び3.7.3(補強絶縁)参照。]。
6.5.4 浮動給電
電圧区分III又は電圧区分IVの電圧で,車体にボンディング接続されていない浮動給電回路で,IEC
60364を満足しない場合は,間接接触に対する防護処置をとらなければならない(箇条8も参照。)。これ
以外のすべてのケースでは,6.2又は6.3のいずれかの防護処置を行う。また,7.1の要求事項も考慮する。
6.5.4A レール非接地式鉄道
レールを積極的に大地に接地していないき電方式の場合には,6.4を適用する。ただし,その場合,駅構
内で車両が停止しているときに,レール電位が上昇して車体とホームとの間に電位が生じ,人に危害を及
ぼすおそれがある箇所には,レール電位の上昇を抑制する防護処置を設備しなければならない。
6.5.5 防護導体のないゴムタイヤ式鉄道又は浮上式鉄道
6.5.5.1 車両に対する防護処置
防護導体のないゴムタイヤ式鉄道又は浮上式鉄道の場合,6.4は適用しない。車体は露出導電部を含めて,
変電所システム・電車線システムから絶縁される。車両が停止しているときに,地上側電源の防護導体に
接続する手段のない無軌条電車又は類似の車両のすべての電気装置は,二重絶縁とする。二重絶縁の片方
の絶縁が故障した場合には,マニュアルで規定された手順又は監視装置を使って検知できるようにする。
ただし,乗降時に車体接地が確保される場合は,二重絶縁方式としなくてもよい。
6.5.5.2 変電所システム・電車線システムの条件
IEC 62128-1及び IEC 62128-2の規定を満足する変電所システム・電車線システムを採用している場合
に限り,6.5.5.1の条件を満足する車両を走行させることができる。
7 電力回路
7.1 一般
回路の設計においては,すべての電流は,感電による損傷及び危険を生じることなく,確実に地上電源
側に戻るようにする。
車体又は台車と走行レールとの間を,たわみ接続又はしゅう動接続する場合,車両当たり2か所以上の
導電経路を設け,一方の経路が故障した場合にも,感電による損傷又は危険を生じないようにする。
車輪を帰線経路として使用する場合には,別の車軸に付いている2車輪以上を使用する。
電流の流れる経路となる用品は,設計上の最大電流を流せる寸法及び容量とする。また,故障電流及び
――――― [JIS E 5051 pdf 15] ―――――
次のページ PDF 16
JIS E 5051:2009の引用国際規格 ISO 一覧
- IEC 61991:2000(MOD)
JIS E 5051:2009の国際規格 ICS 分類一覧
JIS E 5051:2009の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISB9706-1:2009
- 機械類の安全性―表示,マーキング及び操作―第1部:視覚,聴覚及び触覚シグナルの要求事項
- JISC0920:2003
- 電気機械器具の外郭による保護等級(IPコード)
- JISE4001:2011
- 鉄道車両―用語