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F 8071 : 2008 (IEC 60092-352 : 2005)
船倉,貯蔵庫,貨物区域などの機械的損傷の危険性が高い場合で,船舶の構造又は取付部品によるケー
ブルの十分な保護ができない場合には,ケーブルは,がい装付きであっても鋼製ケーシング,トランク又
は電線管で保護しなければならない。
ケーブルの機械的保護に使用する金属ケーシングは,腐食に対して効果的に保護しなければならない。
3.17.1 ケーブルの金属被覆及び機械的保護の接地
ケーブルのすべての金属被覆は,この細別箇条の規定が適用される場合を除いて,その両端を金属船体
に電気的に接続しなければならない。最終支回路(給電端で),単心ケーブル,並びに1点接地が技術的又
は保安上の理由で必要な設備(制御・計装用ケーブル,無機絶縁ケーブル,本質安全回路,制御回路など)
については,1点接地でも差し支えない。
ケーブルの金属被覆は,接地用で,かつ,効果的な接地接続を行えるように設計されたグランドによっ
て接地を行ってもよい。
グランドは,この規格に準拠して接地された金属構造物にしっかりと取り付けられ,それと効果的に電
気的接続をしなければならない。
ケーブルの全長にわたり,特に接続部及び分岐部において,すべての金属被覆の電気的導通を保証しな
ければならない。
金属ケーシング,配管,電線管又はトランクは,有効に接地しなければならない。
機器の接地接続は,通電導体の断面積(表A.1A.5参照)に応じた断面積(表2参照)をもつ導体又は
金属被覆をつか(掴)んだ金属クランプを金属船体に接続するなどの手段で行わなければならない。
接地ループのインピーダンスが,回路保護装置の効果的動作をする上で十分に低い場合には,ケーブル
の金属シース(被覆),がい装又は編組だけを接地手段として用いてもよい。これは,IEC 60092-350の要
件及び編組の断面積に関する表2を補うものである。
注記1 一部の国々では,ケーブルのがい装を接地導体として使用することが禁止されている。
注記2 腐食による悪影響の可能性について慎重な配慮が必要である。3.15を参照する。
3.18 曲げ半径
ケーブル敷設の際の曲げ半径は,選択したケーブル種類に応じた製造業者の推奨値に従い,表4及び表
4Aに示す値以上でなければならない。
――――― [JIS F 8071 pdf 16] ―――――
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F 8071 : 2008 (IEC 60092-352 : 2005)
表4−定格1.8/3 kVまでのケーブルの曲げ半径
ケーブル構造 ケーブル外径 最小曲げ半径
絶縁体 外装(カバリング) (D)
円形銅導体の熱可塑性 がい装なし又は編組なし ≦25 mm 4D a)
又は熱硬化性絶縁体 >25 mm 6D
金属編組の遮へい又はがい装 すべて 6D
金属線がい装,金属テープがい装又は金属 すべて 6D
シース
ポリエステル/金属ラミネートテープ すべて 8D
ユニット又は一括遮へい
扇形銅導体の熱可塑性 すべて すべて 8D
又は熱硬化性絶縁体
無機絶縁体 硬質金属シース すべて 6D
注a) より健全性を保ためには6Dとするのがよい。
表4A−定格3.6/6.0 (7.2) V以上のケーブルの曲げ半径
ケーブル構造 ケーブル外径 (D) 最小曲げ半径
単心ケーブル すべて 12D
3心ケーブル すべて 9D
3.19 ケーブルの支持及び固定
移動用器具に用いるケーブル及び配管,電線管,トランク又は特殊ケーシング内に敷設されるケーブル
を除いて,着火した場合でもケーブル又は電線に沿って延焼しない適切な材料を用いたクリップ,サドル
又はストラップで固定しなければならない。その材料は,被覆を損傷せずにケーブルをしっかりと保持で
きるように十分に大きな面積及び形状をもたなければならない。
支持の間隔は,ケーブルの種類及び振動の可能性に応じて選択しなければならない。トレープレート,
分離した支持ブラケット又はハンガラダー形状の支持上にケーブルを敷設する水平方向の電路については,
支持の距離は400 mmを超えてはならない。固定点間の間隔は最大900 mmまで許容されるが,これは支
持具が400 mm以下で配置されていることを前提とする。この緩和条件は,暴露甲板に沿った電路で,ケ
ーブルが甲板上を洗う水によって力が加わるように配置される電路に適用してはならない。
注記1 単心ケーブルのケーブル支持を設計する際には,短絡時に発生する電磁力の影響も考慮しな
ければならない(3.8参照)。上記のケーブル支持の距離は,このような力に対しては必ずし
も十分とは言えない。
注記2 クラス5の導体を使用するケーブルは,たわみ防止用の追加支持具が必要となることがある。
支持物及びそれらの附属品は頑丈で,また,その材料には耐食性材料又は組立前に耐食処理
を施した材料を使用しなければならない。
注記3 金属以外の材料のケーブルクリップ又はストラップを用いてもよい。材料特性に関する要件
は,現在検討中である。
ケーブルを非金属のクリップ若しくはストラップで固定する場合,又はケーブルを水平のケーブルトレ
ー又は支持物の上面に敷設しない場合は,適切な金属ケーブルクリップ又はサドルを1 m未満の一定の間
隔で追加し,火災時のケーブルの脱落を防止しなければならない。これは,非金属電線管又は配管の固定
にも適用する。
――――― [JIS F 8071 pdf 17] ―――――
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火災の危険性の高い区域及び避難経路でケーブルを支持するケーブルクリップ又はストラップは,金属
製のものを使用しなければならない。3.15を参照する。
3.20 隔壁及び甲板を貫通するケーブル
水密の甲板及び隔壁の貫通は,水密処理を行わなければならない。この目的のために,個々に充てんさ
れたグランドか,又は数本のケーブルを収容し,難燃性充てん材料で満たされたボックスを使用しなけれ
ばならない。ケーブルの種類にかかわらず,グランド,トランジット又はボックス並びにその充てん材料
は,それらの組立品が該当する認証又は規制官庁の要求を満たすものでなければならない。
注記 ケーブルへの悪影響(配合材料の注入時の高温,化学反応など)を避けるため,充てん材料の
選択には注意を払わなければならない。
甲板を貫通するケーブルは,甲板上の適切な高さまで保護しなければならない。
非防水の隔壁又は一般的に構造鋼板に開けた穴にケーブルを通す必要がある場合,このような穴には,
適切な材料のグランド又はブッシングを装着しなければならない。
グランド及びブッシングに使用する材料は,ケーブル及び船舶の構造材料に対する腐食並びに損傷の危
険性がないものを選択しなければならない。
電気ケーブル用の垂直トランクは,甲板又は区画間において火炎が伝ぱしない構造でなければならない。
ある等級の防火性が要求される甲板及び隔壁の貫通は,要求される防火性能を損なわないように施さな
ければならない。
貫通部を通るケーブル構造の種類は,要求されるグランドの密閉性能を損なわないものを選択しなけれ
ばならない。
3.21 ケーブルの金属管,電線管又はトランク内への敷設
ケーブルを金属管,電線管又はトランク内に敷設する場合,次の注意事項に従わなければならない。
配管,電線管又はトランクの内部は適切な滑らかさをもち,腐食に対して保護されていなければならな
い。
配管,電線管又はトランクの両端は,ケーブルの被覆を損傷させない形状とするか,又は損傷防止のた
めのブッシングを取り付けなければならない。
配管,電線管又はトランクは,収容するケーブルの引き入れ・引き出しが容易に行えるような内寸法及
び曲げ半径をもたなければならない。
曲げ半径は,ケーブルの許容曲げ半径(3.18参照)以上とし,外径が63 mmを超える配管については,
配管の外径の2倍以上でなければならない。
配管,電線管又はトランクは,(結露の可能性を考慮し)その内部に水がた(溜)まらないように配置し
なければならない。
占積率(配管,電線管又はトランクの内断面積に対するケーブルの仕上がり外径に対応する断面積の和
の割合)は,0.4以下でなければならない。
必要な場合,通風用の開口部をできれば最も高い位置と低い位置に設け,空気を循環させるとともに配
管,電線管又はトランク内のあらゆる箇所において水がた(溜)まらないようにしなければならない。こ
のような通風用の開口部は,火災の危険性が増大する場合には設けてはならない。
管が,その長さのために破断する懸念がある場合,適切な伸縮結合部を備えなければならない。このよ
うな可能性があるのは,ケーブル配管を暴露甲板に沿って取り付ける場合などである。
配管,電線管又はトランクにケーブルを引き込む場合,必要に応じて引き込みボックスを取り付け,敷
設時のケーブルの損傷を防止しなければならない。
――――― [JIS F 8071 pdf 18] ―――――
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3.22 非金属性の配管,電線管,トランク,ダクト又はキャッピング及びケーシング内への敷設
天井又はパネルの表面上又はその背面に隠れた非金属性の配管,電線管,トランク,ダクト又はケーシ
ング内にケーブルを敷設する場合には,次の注意事項に従わなければならない。
キャッピングをねじで固定する場合,さびにくい材料のねじを使用し,ケーブルを損傷しないように配
置しなければならない。キャッピングは,容易に近づけるように配置する。
非金属性の配管,電線管,トランク,ダクト又はキャッピング及びケーシングは,着火した場合でもJIS
F 8061に準拠した耐延焼性でなければならない。また,これらは,適切に固定しなければならない。
ケーブルの耐延焼性は,配管,電線管,トランク,ダクト又はキャッピング及びケーシング,並びにそ
の塗料又はコーティング剤の使用によって著しく損なわれてはならない。
必要な場合, 3.19に述べられているクリップでケーブルを固定し,更に金属保護のために非金属ケーシ
ング内の敷設についても,3.15のc) 及びd) の注意事項に示すような要件に従わなければならない。
3.23 蓄電池室内への敷設
蓄電池室内へのケーブル敷設は,できる限り避けなければならない(JIS F 8072参照)。そのような敷設
が必要な場合,ケーブルには電解液から発生する気体に耐える保護被覆を施さなければならない。また,
隔壁の貫通部は,気密でなければならない。
3.24 冷蔵区域内への敷設
冷蔵区域内に敷設するケーブルには,機械的損傷に対する保護を施さなければならない。3.12も参照す
る。ビニルの絶縁又はシースを施したケーブルは,ビニルの配合材料が予想される低温に適したものでな
い限り,冷蔵区域で用いてはならない。
がい装が耐食性でない場合は,耐湿性,かつ,耐寒性のある被覆で防食を施さなければならない。
冷蔵室にアルミニウムの化粧板がある場合は,電解作用の防止対策を講じなければならない。
3.25 引張応力
ケーブルは,自重又は他の原因によってケーブルにかかる引張応力が最小となるように敷設しなければ
ならない。
導体は,敷設及び使用条件に対して,十分な機械強度をもたなければならない。また,導体の断面積は
0.5 mm2以上でなければならない。断面積の小さいケーブル,垂直電路又は垂直管路内に敷設されるケー
ブルの場合,上記の注意事項は特に重要である。このようなケーブルは,適切に支持しなければならない。
3.26 交流配線に使用する単心ケーブルに対する特別な注意事項
交流配線には,できる限り2心ケーブル又は多心ケーブルを使用しなければならない。ただし,定格20
Aを超える回路に単心ケーブルを使用する必要がある場合には,次の注意事項に従わなければならない。
a) がい装なしケーブル又は非磁性がい装付きケーブルを使用する。電流ループの形成を避けるため,金
属遮へいは,1点だけで接地すべきである。金属遮へいの非接地端には,十分な絶縁を施し,短絡電
流で誘導される高電圧に対して保護しなければならない。
b) 導体を収容する配管,電線管又はトランク若しくは導体を固定するクランプが非磁性体のものでない
限り,同一回路の導体は一括して収容されるか固定されなければならない。
c) それぞれが単相回路,三相回路又は三相+中性線回路を構成する2本,3本又は4本の単心ケーブル
を敷設する場合,ケーブルは,できる限り互いに接触させなければならない。いかなる場合も,2本
の隣接するケーブルの間隔は,1本のケーブルの仕上がり外径 (De) 以下でなければならない。
d) 定格電流が250 Aを超える単心ケーブルを鋼製隔壁付近に敷設する必要がある場合,同一の交流回路
のケーブルがトレフォイル(三つ葉)形状に敷設されない限り,ケーブルと隔壁間との間隔は50 mm
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F 8071 : 2008 (IEC 60092-352 : 2005)
以上でなければならない。
e) 1群の単心ケーブルの間に磁性材料を用いてはならない。ケーブルが鋼板を貫通する場合,同一回路
のすべての導体は,ケーブル間に磁性材料が介在しないように造られた板又はグランドを貫通しなけ
ればならない。また,ケーブルと磁性材料との間隔は,同一の交流回路のケーブルがトレフォイル(三
つ葉)形状に敷設されない限り,50 mm以上でなければならない。
f) (著しく長い,又は導体の断面積が185 mm2以上の単心ケーブルで構成される)三相回路のインピー
ダンスを等しくする目的で,15 m未満の間隔でねん(捻)架を行わなければならない。ただし,この
注意事項は,ケーブルがトレフォイル(三つ葉)形状に敷設される場合には不要である。
g) 各相が並列の複数本の単心ケーブルで構成される回路では,すべてのケーブルは同じ経路を通り,ま
た,同じ断面積をもたなければならない。
注記 交流電圧又は電流が重畳された直流系統のケーブルには,交流系統と同じ問題が発生する。
そのような場合にも,特に注意を払う必要がある。
さらに,同相のケーブルは,電流不平衡を避けるためできる限り他相のケーブルと交互に配置しなけれ
ばならない。例えば,各相がケーブル2本で構成される場合,正しい配置は,次のとおりとする。
一方,次の配置をしてはならない。
3.27 ケーブル端末
一般的に,導体の接続部及び終端部は,導体の電気特性・機械特性及び耐延焼性と同等の特性をもち,
必要に応じてケーブルの火災に対する性能と同等に回路性能を維持しなければならない。すべての接続部
は,銅より線に適したものでなければならない。
機械的に取り付ける終端部を使用しない場合,ケーブル導体端末には十分なサイズのはんだソケット又
は圧縮形ソケットを装着して導体のすべてのより線を収容しなければならない。はんだ付けを採用する場
合は,腐食性溶剤を用いてはならない。すべての保護被覆は,絶縁端から13 mm以上は(剥)がすことと
するが,必要以上は(剥)がしてはならない。無機絶縁ケーブルについては以下を参照する。
ケーブルソケット及び接続端子は,通電される可能性のある最大電流によって絶縁に有害な熱が発生し
ないよう設計され,寸法をもたなければならない。一般的に,その温度は,絶縁体に対する許容温度を超
えてはならない。
接続部及び分岐部において端子(はんだ継手など)内で固定した導体は,短絡電流の熱及び動的影響に
耐えるものでなければならない。
必要な場合,ケーブル端末に識別用のマーキングを施さなければならない。
無機絶縁ケーブル端末は,ケーブル製造業者の指示に従って処理しなければならない。
――――― [JIS F 8071 pdf 20] ―――――
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JIS F 8071:2008の引用国際規格 ISO 一覧
- IEC 60092-352:2005(IDT)
JIS F 8071:2008の国際規格 ICS 分類一覧
- 47 : 造船及び海洋構造物 > 47.020 : 造船及び海洋構造物一般 > 47.020.60 : 船及び海洋構造物の電気設備
JIS F 8071:2008の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISF8061:2005
- 船用電気設備―第101部:定義及び一般要求事項
- JISF8062:1996
- 船用電気設備 第201部 システム設計―一般
- JISF8072:2006
- 船用電気設備―第401部:装備基準及び完成試験
- JISF8078:1987
- 船用電気設備 第203部 システム設計―可聴及び可視信号
- JISF8081:2005
- 船用電気設備及び電子機器―電磁両立性