この規格ページの目次
3
F 9005 : 2021 (ISO 22472 : 2016)
3.1 用語及び定義
3.1.1
アラート(alert)
注意喚起を要する異常な状況の通報。
注記 アラートは,非常警報,警報,警告及び注意から成る。
3.1.2
警報(alarm)
安全航海及び船舶の運航を維持するために求められる高い優先度のアラート。直ちに注意し行動するこ
とが求められる。
3.1.3
船橋ワークステーション(bridge work station)
船橋の当直任務が実行される場所。
IMO Circular MSC/Circ.982に記載されているワークステーションの例は,次のとおり。
− 航海及び操船ワークステーション
− 監視ワークステーション
− 手動操だ(舵)ワークステーション
− 接岸作業ワークステーション
− 航海計画及び文書作成ワークステーション
− 安全に関するワークステーション
− 通信ワークステーション
3.1.4
統合化EPIRB/VDRカプセル(combined EPIRB/VDR capsule)
衛星EPIRBの全ての要求事項(SOLAS条約第IV章の装備要求によって必要とされる。)及びVDRの全
ての要求事項(SOLAS条約第V章の装備要求によって必要とされる。)を満たしている単一ユニット。
注記 統合化EPIRB/VDRカプセルは,IMO COMSAR 8で規定されている。
3.1.5
設定データ(configuration data)
船舶の装置及び機器とDDRとの関係を示すデータ。
注記 記録及び再生ソフトウェアによって,記録データの保存及び保存データを海難調査支援のため
の情報に変換して再生するときに使用される。
3.1.6
データ(data)
具体的に記載されている場合を除き,数値データ,テキストデータ,音声,レーダ画像及び全ての設定
データを含むVDRが記録するために受け取ったあらゆる情報。
3.1.7
専用補助電源(dedicated reserve power source)
IMO Resolution MSC.333 (90):2012の5.4.2によって要求される,適切な自動充電器をもち,VDRを動作
させるのに十分な容量を備えたVDR専用の電池。
3.1.8
最終記録媒体(final recording medium)
――――― [JIS F 9005 pdf 6] ―――――
4
F 9005 : 2021 (ISO 22472 : 2016)
適切な機器を使用することで,そこからデータを取得し再生することが可能な,データ記録用ハードウ
ェア。
注記 固定式記録媒体(3.1.9),自動浮揚式記録媒体(3.1.10)及び長時間記録媒体(3.1.11)の組合せ
は,最終記録媒体として認められる。
3.1.9
固定式記録媒体(fixed recording medium)
火災,衝撃,浸透及び海底での長時間の残留に対して保護される最終記録媒体(3.1.8)の部分。
注記1 位置を示す機能をもち,沈んだ船舶から回収されることが期待される。
注記2 固定式記録媒体には,48時間以上のデータ記録が要求される。
3.1.10
自動浮揚式記録媒体(float-free recording medium)
沈没後の自動浮揚機能をもつ,最終記録媒体(3.1.8)の部分。
注記1 位置を示す機能をもつ。
注記2 自動浮揚式記録媒体には,48時間以上のデータ記録が要求される。
3.1.11
長時間記録媒体(long-term recording medium)
恒久的に装備される最終記録媒体(3.1.8)の部分。
注記1 最終記録媒体の中で最長の記録時間及び記録されたデータのダウンロードのための容易に接
続可能なインタフェースをもつ。
注記2 長時間記録媒体には,30日間(720時間)のデータ記録が要求される。
3.1.12
再生装置(playback equipment)
再生ソフトウェア,操作説明書及び市販のラップトップコンピュータをVDRに接続するために必要な
特殊な部品をもつデータ媒体。
3.1.13
再生ソフトウェア(playback software)
記録データをダウンロードし,再生するためのソフトウェアプログラムの写し。
注記 このソフトウェアは,市販のラップトップコンピュータで使用可能なオペレーティングシステ
ムと互換性があり,非標準又は独自仕様のフォーマットを用いてVDRにデータを保存する場
合は,ソフトウェアは,保存されたデータを業界標準フォーマットに変換する必要がある。
3.1.14
再生システム(playback system)
記録されたデータをダウンロードして再生することができる再生装置を含むシステム。
3.1.15
航海情報記録装置,VDR(voyage data recorder,VDR)
入力信号源とのインタフェース,データの符号化及び演算に必要な機器,最終記録媒体,再生装置,電
源並びに専用補助電源を含むシステム。
3.1.16
分解能(resolution)
二つの値を識別可能な最小の増分。
――――― [JIS F 9005 pdf 7] ―――――
5
F 9005 : 2021 (ISO 22472 : 2016)
3.1.17
信号源(signal source)
VDRに記録すべき信号及び情報を供給する外部センサ又は機器。
3.2 略語
EPFS Electronic Position Fixing System 電子測位装置
IMO International Maritime Organization 国際海事機関
IEC 国際電気標準会議
International Electrotechnical Commission
INS Integrated Navigation System 統合航行システム
LAN Local area network ローカルエリアネットワーク
ROV Remotely operated vehicle 遠隔操作型無人探査機
UTC Coordinated universal time 協定世界時間
VHF Very high frequency 超短波
4 VDRインタフェース
4.1 一般
IMO Resolution MSC.333 (90):2012及びIEC 61996-1:2013の4.3.5によって各種センサとVDRとの間の
インタフェースは,可能な限り関連する国際的なインタフェース規格IEC 61162規格群に従わなければな
らない。最低限として,VDRがサポートする必要があるセンテンスは,IEC 61996-1:2013の附属書Aに記
載されている。
VDRへの接続のために利用可能な空きインタフェースポートがない場合は,出力ポートを提供するため
に“データ分配”インタフェースを追加する必要がある。“データ分配”インタフェースは,JIS F 0812に
適合しなければならない。
また,VDRシステムに障害が発生した場合,相互接続されているいずれの機器の動作に影響を与えない
こと[IMO Resolution MSC.333 (90):2012の箇条8]が要求される。
VHF通信音声信号,レーダ画像,水密戸·防火戸·船体開口(ドア)の状態信号,警告信号など,幾つ
かの接続が必要な装置のインタフェースは国際的に標準化されていないが,国際共通規格で定義された信
号を用いることでVDRの装備の際に問題を少なくできることが期待される。したがって,装備計画段階
で機器の出力信号が少なくともこの規格の箇条5に規定する代替の信号の条件に従っていることが望まし
い。
4.2 VDRインタフェースに必要な入力信号
機器製造業者,造船所,及び工事業者の間で共通の理解を促進するために,センサとVDRとの間のイ
ンタフェースに使用する信号は,4.2.14.2.6,4.3及び4.4に規定されている。5.25.21では入力の詳細
を確認するための形式が規定されている。
4.2.1 IEC 61162規格群の該当部分に規定された信号
“トーカ(talkers : 出力側)”及び“リスナ(listeners : 受信側)”の特性は,IEC 61162-1に規定されて
いる。VDRは,“リスナ”とみなされ,センサは,“トーカ”とみなされる。そして,VDRの装備を計画
する場合には,センサ及びVDRがインタフェース信号の互換性があることに注意しなければならない。
a) EC 61162-1及びIEC 61162-2 IEC 61162-1及びIEC 61162-2は,シングルトーカ·マルチリスナの通
信方式である。違いは通信速度で,IEC 61162-1は,4 800 bps,IEC 61162-2は,38.4 kbpsである。現
――――― [JIS F 9005 pdf 8] ―――――
6
F 9005 : 2021 (ISO 22472 : 2016)
時点では,IEC 61162-1は,通常の舶用機器間の通信に使用され,AISインタフェース及び幾つかのジ
ャイロコンパスではIEC 61162-2が用いられる。
表1−VDRのインタフェースに用いるセンテンス(IEC 61996-1:2013の附属書A)
記録するパラメータ IEC 61996-1:2013の箇条 センテンスの形式
1 日付及び時刻 4.6.1 ZDA
2 船位及び参照測地系 4.6.2 GNS,DTM,GLL,GGA,RMC,NSR
3 速度(対水及び/又は対地)4.6.3 VBW,VLW,VTG
4 船首方位(真方位) 4.6.4 THS,HDT
5 船首方位(磁気方位) 4.6.4 HDG
6 水深(測深) 4.6.9 DPT
7 警報 4.6.10 ALR,ALA,FIR,WAT,ACM,HBT,ALC,ALF
8 操だ指令·応答(手動) 4.6.11 RSA,ROR
9 操だ指令·応答(自動) 4.6.11 HTC,HTD
10 主機及びスラスタ指令·応答 4.6.12 ETL,PRC,TRC,TRD,RPM,XDR,ROR,RSA
11 船体開口,水密戸,防火戸 4.6.13,4.6.14 DOR,GEN,XDR
12 加速度·船体応力 4.6.15 HSS,XDR
13 風速·風向 4.6.16 MWV,MWD
14 AIS 4.6.17 VDM,VDO,ALR
15 VDR警報出力 − ALC,HBT
注記 No.15は,“トーカ”でVDRにはデータを記録しない。
b) EC 61162-450 IEC 61162-450は,船舶のイーサネットネットワーク上での装置間のデータ転送を実
現するための枠組みを提供するために,既存の国際規格から関連する内容を取りまとめて定めたもの
である。IEC 61162-450は,IEC 61162-1及びIEC 61162-2の基本的なデータ形式を保持しながら,IEC
61162-1及びIEC 61162-2に代わって高速かつ大容量の通信手段を提供する。VDRで利用可能なセン
テンスは,表1に記載されている。ネットワークの安全及びセキュリティが保証される適切な手段が
提供されていてもよい。
注記1 対応国際規格では,上記の点下線部分は注記として記載されているが,注記には情報だけ
が記載でき,許容事項の記載はできないため,本文に記載した。
注記2 既に,IEC 61162-460が発行されている。
4.2.2 IEC 61162規格群以外の信号
IEC 61162規格群以外の信号を変換するために必要なインタフェース·ユニットは,JIS F 0812に適合
しなければならない(IEC 61996-1:2013の4.3.5)。
VDRシステムに発生した障害が相互接続されている他の機器の動作にも影響を与えないこと[IMO
Resolution MSC.333 (90):2012の箇条8]という要件によって,VDR及びVDRを接続するケーブルの障害
が接続機器の機能を妨げないようにセンサから接続信号が提供されなければならず,例えば,主要な操船
機能のための機器からの信号は“ドライ接点(無電圧接点)”又はアイソレーション·アンプ(絶縁アンプ)
を介して提供されなければならない。
IEC 61996-1:2013で定義されない“接点”信号とアナログ信号(例えば,電圧,電流,シンクロパルス
など)は,船橋及び通信の音声信号を除き,VDRに入力される前に“シリアル信号”に変換しなければな
らない。
VDR装置には信号変換器が含まれる場合がある。他の例では,センサとVDRとの間に変換器を挿入す
――――― [JIS F 9005 pdf 9] ―――――
7
F 9005 : 2021 (ISO 22472 : 2016)
ることが可能である。したがって,非標準信号のほとんどの例では,インタフェースを実現することが可
能である。しかしながら,多くのセンサ出力でアナログ信号がまだあり,工事業者,造船所,及び所有者
が特定の機器間のインタフェースが可能であることを確認することが望ましい。
4.2.3 マイクロフォンからの船橋音声
IEC 61996-1:2013の4.6.5[IMO Resolution MSC.333 (90):2012の5.5.5]のマイクロフォンの要件は,次
のとおりである。マイクロフォンは,IMO Circular MSC/Circ.982に記載される全てのワークステーション
での会話が記録できるように船橋上に配置する。それらの記録の再生は,船舶が正常に運航されている状
態での会話を明瞭に再生できるものとする。船橋で発生している機器故障の警報音,風のノイズなどがあ
っても,前述の性能は全てのワークステーションで維持されなければならない。少なくとも二つのチャン
ネルの音声記録によって達成されなければならない。船橋ウィングの外側に装備するマイクロフォンの音
声は,少なくとも一つの追加の別のチャンネルに記録しなければならない。
加えて,IEC 61996-1:2013の5.6.1では,船橋音声のデータソースを構成するマイクロフォンはVDRの
構成要素の一つでなければならないことを規定している。接続の形態,信号レベル,及びインピーダンス
の形式については製造業者が決定できる。
4.2.3.1 マイクロフォンの装備場所
マイクロフォンの装備場所は,船橋の主ワークステーションの周りの一定の領域,及び操だ室外部の両
各ウィング又は操縦ワークステーションをカバーするように,強制空調設備,換気システム,スピーカー
などの周囲の騒音と作業領域とを考慮して装備しなければならない。全閉型船橋の場合でも,主ワークス
テーションだけでなく,外部両ウィングも注意を払わなければならない。
4.2.4 VHF無線機の接続
IEC 61996-1:2013の4.6.6[IMO Resolution MSC.333 (90):2012の5.5.6]の船舶の運航に関連するVHF通
信は,4.2.3で規定しているとおり,船橋音声とは別の独立したチャンネルに記録されなければならない。
記録は送信と受信両方の信号で,直接接続された固定のVHFからの連続した信号でなければならない。通
常,複数のVHF通信装置が船橋に設備されるが,IMOは,VDRにどのVHFを接続するかについては規
定していない。操だ室の設計によって標準の操船場所で二つのVHF無線機が利用可能な場合は,二つの
VHF無線機を有線で接続し送受信を独立したチャンネルに記録する。できない場合は,チャンネルを共有
してもよい。他のVHF無線電話装置は,有線による接続又はマイクロフォンによる録音でもよい。
4.2.5 レーダ表示器の接続
IEC 61996-1:2013の4.6.7[IMO Resolution MSC.333 (90):2012の5.5.7]の規定によって,SOLAS条約に
よって要求される両方の船舶のレーダ設備の主表示器の表示画像を記録しなければならない。記録方法は,
再生時にVDRの帯域圧縮技術の範囲内で記録時点のレーダ表示器の表示を忠実に再現することが可能で
あるようなものでなければならない。
注記 INSを装備した船舶の場合には,“レーダ表示”は,“関連情報も含んだ衝突回避タスク”を意
味する。
4.2.6 ECDISの表示接続
IEC 61996-1:2013の4.6.8[IMO Resolution MSC.333 (90):2012の5.5.8]の規定によって,ECDISが装備
されている船舶は,航海の主な手段として用いるECDISの表示画像を記録しなければならない。記録方法
は,VDRの帯域圧縮技術の範囲内であろうとも,用いられている海図データのソース及びバージョンを含
み,記録を行った時点でのECDISの表示を忠実に再現することが可能であるものとする。
注記1 独立したユニット又はINSの一部のいずれであってもECDISは,IEC 61174に適合し認可さ
――――― [JIS F 9005 pdf 10] ―――――
次のページ PDF 11
JIS F 9005:2021の引用国際規格 ISO 一覧
- ISO 22472:2016(IDT)
JIS F 9005:2021の国際規格 ICS 分類一覧
JIS F 9005:2021の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISF0812:2006
- 船舶の航海と無線通信機器及びシステム―一般要求事項―試験方法及び試験結果要件