JIS F 9102:2002 船舶及び海洋技術―船用電子磁気コンパス | ページ 2

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F 9102 : 2002 (ISO 11606 : 2000)

3. 定義

 この規格で用いる主な用語の定義は,ISO 1069によるほか,次による。

3.1 磁気センサ

 (magnetic sensor) 地球磁界を検出し,方位に関する適切な出力をプロセッサへ提供する
センサ。

3.2 プロセッサ

 (processor) 磁気センサの出力を処理し,船首磁気方位及び船首真方位又はそのいずれ
かを提供する装置。

3.3 メインコンパス指示器

 (main compass) プロセッサの出力をコンパスカード又はコンパスカードの
電子的映像として表示する装置。

3.4 レピータ指示器

 (repeater indicator) 追加の方位指示器。別形式のコンパスカード表示であってもよ
い。

4. 構成

 この電子磁気コンパスは,磁気センサ,プロセッサ,メインコンパス指示器及び他のレピータ
指示器や装置のための設備で構成する。

5. 構造及び材質

5.1 要件

 電子磁気コンパスは,次の要件を満たさなければならない。

5.2 電線

 直流電源用及びユニット間の接続用の電線から,船首情報に対して有害な誤差を発生させて
はならない。
備考 この目的のためにツイストケーブルを推奨する。

5.3 非磁性の収納ケース

 磁気センサ装置の収納ケースは,非磁性でなければならない。

5.4 船首尾マーク

 磁気センサ装置の収納ケース及びメインコンパスのビナクル底部には,船首尾マー
クを刻まなければならない。その装置は,船首尾線上に装備しなければならない。
この船首尾マークは,その装置の前後軸に対し,±0.5度以内でなければならない。

5.5 目盛

5.5.1  メインコンパスカードの目盛 メインコンパスはコンパスカード形式で,北(000)度から始め,
上からみて時計回りに1度ごとに360個の目盛を目盛らなければならない。10度ごとに角度の数値を3け
たで表示するものとする。目盛誤差は,いずれの方位でも0.2度以下でなければならない。四方点は,大
文字のN,S,E及びWで示さなければならない。四隅点もマークしてよい。また,北は,適切な図柄で
表示してもよい。
5.5.2 レピータ指示器の表示 指示器の目盛がカード形式のときは,メインコンパスと同じ目盛でなけれ
ばならない。もし,レピータ指示器が操だ用の場合は,カード形式でなければならない。数字表示の場合
は3けたの度の数字で示さなければならない。
5.5.3 目盛の中心 メインコンパス及びレピータ指示器が方位測定に使用されるときは,方位を測定する
ためのシャドーピン座を設けなければならない。その座がないときは,目盛の中心を明示しなければなら
ない。
5.5.4 バージリングの目盛 方位測定に用いるメインコンパス及びレピータ指示器は,船首からの相対方
位を測定するために度の目盛のバージリングを設けなければならない。その目盛は,上からみて時計回り
に1度ごとに360個の目盛を目盛らなければならない。
その船首の方位を示す目盛及び船尾の方位を示す180度の目盛は共に船首尾線マークの±0.5度以内に
なければならない。

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5.5.5 船首尾マークの精度 方位測定に用いられるメインコンパス及びレピータ指示器の船首尾マーク
は,コンパスのカードの中心と船首指標を通る鉛直面に対して±0.5度以内になければならない。
5.5.6 目盛の読みやすさ 通常の視力をもつ人がメインコンパスカード及びレピータ指示器の指示を昼
光及び人工光の中で,1.0 mの距離から読み取ることができなければならない。
5.5.7 コンパスカード面の水平度 方位測定のために用いるメインコンパス及びレピータ指示器のコン
パスカード面は,±2度以内で水平に静止しなければならない。

5.6 基線

5.6.1  一般 メインコンパス指示器及びレピータ指示器は,船首方向を示す少なくとも1個の船首指標を
設けなければならない。また,船尾及び左右げん(舷)方向を示す補助指標を取り付けてもよい。
船首指標の幅は,カードの目盛で0.5度又は0.5 mmのいずれか小さい方を超えてはならない。
船首指標とカードの外縁との間隔は,1.5 mmを超えてはならない。
5.6.2 精度 船首指標は,バージリングの0度と180度とを結ぶ線に対して,±0.5度以内になければな
らない。
補助指標は,±1度以内になければならない。

5.7 照明

 調整つまみ及び指示器を照明するため,装置には適切な備えがなければならない。電灯の明
るさを加減する器具が設けられていなければならない。

5.8 自差及び傾船差の修正

5.8.1  一般 傾船差及び自差係数A,B,C,D及びEを修正する装置がなければならない。それは次の
量を修正することができなければならない。
−傾船差を生じる船内磁界の鉛直成分 : ±75 柿
−係数A : ±3度まで;
−係数B : ±(720/H) 度まで;
−係数C : ±(720/H) 度まで;
−係数D : ±7度まで;
−係数E : ±3度まで;
ここで,Hは,マイクロテスラ ( ‰ 地彗へ 気の磁束密度の水平成分である。
係数A,B,C,D及びEの修正装置は,1度を超える望ましくない自差を発生してはならない。傾船差
の修正具は,船内磁界の鉛直成分に,1 譏 湧 ましくない変化を発生してはならない。
5.8.2 修正値の表示 電子修正のための数値は適切な手段で指示され,その値はスイッチを入れたとき自
動的に再生されるように記憶・保存すべきである。
5.8.3 修正用装置の保護 不測の変化に対して,修正用装置を保護しなければならない。

5.9 船首方位の出力

 表示又は発信される船首方位の形式はよく目立つように表示しなければならない。
船首方位のすべての表示と出力は,真方位を示すことができることが望ましい。船首方位を修正するため
の自差と改正するための偏差の度数は,表示することができるか,又は出力に含ませることができるよう
にすべきである。

5.10 他の装置への出力

 電子磁気コンパスは,他の航法装置(レーダ,方向探知機,船首方位保持装置,
位置測定装置など)に対して,±0.5度以下の送信誤差で方位情報を供給できるように設計されていなけれ
ばならない。もしもこれらの航法装置がディジタル出力をもっているならば,それらはIEC 61162に適合
するものでなければならない。

5.11 ジンバル

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5.11.1 ジンバル軸の向き ジンバルを設けるときは,外側のジンバル軸は,船首尾方向に向いていなけれ
ばならない。
5.11.2 ジンバル軸のなす角 ジンバルを設けるときは,内側のジンバル軸と外側のジンバル軸とがなす角
度は,90度±1度でなければならない。もしも,外側のジンバルリングの直径が150 mm未満である場合
は,この角は90度±2度でなければならない。
5.11.3 メインコンパスの傾斜の自由度 メインコンパスは,もしジンバル・リングが装備され,水平面内
にあるとき,内側のジンバル軸周りに30度まで自由に回転できる構造でなければならない。
5.11.4 メインコンパス及びレピータ指示器の脱落防止 メインコンパス及びレピータ指示器は,もしもそ
れらがジンバル装置に取り付けられている場合には,傾斜後,正常の位置に戻り,傾斜によって外れない
構造でなければならない。

5.12 メインコンパスの装備

 磁気センサ装置,メインコンパス及びカード形式のレピータ指示器の底部
に,船首尾線に対し±5度までの向きの不一致を修正する手段を講じておかなければならない。

5.13 コンパスカード面の高さ

 メインコンパスは,コンパスカード面がビナクルのデッキ取付部の下面
から少なくとも1 m以上であって,天体と他の遠方物標の方位の測定ができるような構造のものでなけれ
ばならない。

5.14 レピータ指示器の水密構造

 暴露甲板で使用されるメインコンパス及びすべてのレピータ指示器は,
水密構造としなければならない。

5.15 方位測定器

5.15.1 方位測定器の備付け 天体と他の遠方物標方位測定のため適切な方位測定器を少なくとも1台は
備えなければならない。
5.15.2 方位測定 視野は,視線の両側少なくとも5度でなければならない。そして水平より,少なくとも
下方5度から上方60度までの高度の天体及び遠方物標の方位を測定できなければならない。この方位精度
についての要件は,水平より5度上方から50度上方までの範囲にわたって満足しなければならない。

5.16 保守及び点検のための構造

 装置は,容易に保守及び点検ができるような構造になっていなければ
ならない。

5.17 電源の異常対策

 装置には過度の電流及び電圧,過渡状態並びに電源極性の不慮の反転から保護す
る手段がとられていなければならない。

6. 性能

6.1 必す(須)条件

  外気に暴露される装置又はユニットに対しては,−25 ℃±3 ℃及び70 ℃±3 ℃
外気から保護される装置又はユニットに対しては,−15 ℃±3 ℃及び55 ℃±3 ℃
の温度範囲内で6.26.6の要件に適合しなければならない。
温度補償装置の使用が許される。

6.2 船首方位の精度

6.2.1  静的精度 船首方位指示の精度は,±1.0度以内でなければならない。
6.2.2 動的精度 船首方位指示又は出力の動的精度は,定められた静的精度に加えて±1.5度以内でなけ
ればならない。振動周期は,予想される種々の海況,船の動きのもとで,30秒以上でなければならない。

6.3 発信装置の追従精度

 センサを毎秒±20度の速度で回転させるとき,発信装置の追従精度は,±1.5
度以内でなければならない。

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6.4 レピータ指示器とメインコンパスとの同期精度

 レピータ指示器とメインコンパスとの読みの差は,
±0.5度以下でなければならない。

6.5 自差修正の可能性

 自差A,B,C,D及びEの修正は,各自差の残存値が±0.5度未満にすることが
できなければならない。

6.6 電磁両立性

 電子磁気コンパスは電磁的干渉,機器のイミュニティについて,IMO Resolution A.694
(17) に加えてIMO Resolution A. 813に合致しなければならない。

7. 故障対策

7.1 電源

 主電源のほか,非常電源から給電されて作動するものでなければならない。両電源に自動的
に切り替わる装置をもたなければならない。ただし,非常電源をもたない船舶では,この限りではない。

7.2 自差修正情報のバックアップ

 予期しない又は装置の故障による自差修正情報に変化がないような
対策がとられていなければならない。

7.3 故障警報

 この装置に対する主電源の異常を表示するための警報が備えられていなければならない。

8. 表示

 コンパスの各ユニットには,次の内容を表示しなければならない。
−製造業者の名称
−装置の形式番号又は形式検査時の形表示
−製造番号
−製造年(製造年が製造番号で分かるときは不要)
−船橋装備のための磁気コンパス安全距離

9. 形式検査及び個別検査

9.1 一般

 別段の規定がなければ,すべての検査は,温度範囲20 ℃±3 ℃のもとで実施しなければなら
ない。

9.2 形式検査

 形式検査は,機器が通常の使用に供される前に実施しなければならない。形式検査は,
新しい形式の機器だけに実施する。

9.3 個別検査

 個別検査は,船舶に装備する前に実施しなければならない。また,船上で定期的に又は
修理後にこの検査を行うことが望ましい。
個別検査では,すべての機器は検査時に,装置はすべて清掃し,使用可能な状態でなければならない。

10. 証明

10.1 検査証明書

 形式検査又は個別検査に合格し,それらの要求条件を満たした機器は,検査機関の言
語及び英語で証明されていなければならない。
それぞれの形式検査証明書は,検査された機種についてだけ有効である。この規格についての適合状態
に影響を与える変更又は技術的な改良の場合は,その形式には,新しい識別番号(又は表示)を与え,形
式検査を再度実施しなければならない。変更の場合はすべて新しい形式検査が必要かどうかを決定するよ
うに,もとの検査機関に申請しなければならない。
要求に応じ証明書の写しを発行しなければならない。それには“写し”と明記しなければならない。国
家間の形式検査証明書及び個別検査証明書の承諾は,相互の同意によるものとする。

10.2 製造業者又は輸入業者の説明

 次の説明は,形式検査だけに適用する。

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製造業者又は輸入業者は,形式検査で確認できない要件も含めて記載した説明書を提出しなければなら
ない。その説明書には,次のものを含まなければならない。
−使用した素子の詳細
−ジンバルリングの詳細
−装備の説明
−最適性能を得るための操作説明
−形式検査の申請を補助するための設計図

10.3 表示の検査

10.3.1 次の事項を目視によって検査し,8.の表示があることを確かめなければならない。
10.3.2 10.3.1を満足するときは,8.に掲げた項目は証明書に記載しなければならない。

10.4 抜取検査

 10.2の“製造業者又は輸入業者の説明”に含まれる要件を調べるために,抜取検査を行
ってもよい。

11. 検査

11.1 機器の検査

11.1.1 一般 検査は,IEC 60945に規定する分類によって,次の項目について実施しなければならない。
a) 磁気センサ : 外気に暴露される分類。
b) プロセッサ : 外気から保護される分類又は暴露甲板で使用されるならば外気に暴露される分類。
c) メインコンパス指示器 : 外気から保護される分類又は暴露甲板で使用されるならば外気に暴露される
分類。
d) レピータ指示器 : 外気から保護される分類又は暴露甲板で使用されるならば外気に暴露される分類。
検査は,安定した磁界のもとで公式機関で認定された検査室で実施しなければならない。
11.1.2 コンパスの状態検査 検査は,コンパスの各ユニットに損傷がなく機械的に完全であるとともに作
動が良好であることを目視によって行う。
11.1.3 非磁性検査(形式検査だけ) 磁気センサ装置のハウジング(5.3参照)の非磁性となっているかを
確かめるために検査しなければならない。
11.1.4 メインコンパスカードの目盛検査 この検査は,目視によって行う。結果は,5.5.1の要件に適合
しなければならない。
11.1.5 メインコンパスの船首尾マークの検査 この検査は,コンパス検査台上で実施する。外側ジンバル
の軸(ジンバルを使用しないときは,船首尾基準線)を検査台の回転中心を含む鉛直見通し平面に合わせ,
そのスタンドを船首尾線マークが垂直見通し平面に一致するまで回転させなければならない。船首尾線マ
ークの誤差は,検査台の回転角に等しい。その結果は,5.4の要件に適合しなければならない。
11.1.6 メインコンパスの方位誤差 この検査は,コンパス検査台を用いて行うことができる。その結果は,
5.5.1の要件に適合しなければならない。
11.1.7 カード形式のレピータ指示器の目盛 この検査は,目視によって行い,その結果は,5.5.2の要件
に適合しなければならない。
11.1.8 バージリングの目盛 この検査は,目視によって行い,その結果は,5.5.4の要件に適合しなけれ
ばならない。
11.1.9 読みやすさ この検査は,目視によって行い,その結果は,5.5.6の要件に適合しなければならな
い。

――――― [JIS F 9102 pdf 10] ―――――

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