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備考1. 新しいガラスろ過器を使うとき,又は分析に使用したガラスろ過器を洗浄するときにこの操
作を行う。
2. 高い精度を得るためには,沈殿を含むガラスろ過器(7.5.9)は,空のガラスろ過器とできるだ
け同じ温度及び湿度の条件でひょう量することが望ましい。
7.4 試料溶液の調製
7.4.1 はかり取った試料(7.1)に,水25mlを添加し,引き続き硝酸 (1+1) 50mlを添加して分解する。ビ
ーカーを時計皿で覆い,必要なら,完全に分解するまで穏やかに加熱する。
備考 けい素の含有率か1% (m/m) 以上のフェロニッケル試料に対しては,ポリテトラフルオロエチ
レンビーカー(5.5)を使用する。水25ml,硝酸(4.7)40ml及び塩酸(4.4)10mlを順次添加して,試
料を分解する。発泡が終わったら,ふっ化水素酸(4.10)10ml及び過塩素酸(4.8)40mlを添加し,
過塩素酸の白煙が発生するまで加熱して試料を完全に分解する。放冷した後,その溶液の全量
をガラスビーカー(5.2)に移し入れる。多量の白煙が発生するまで260℃で加熱する。ビーカー
を時計皿で覆い,この温度で更に20分間加熱を継続した後,7.4.2“熱板からビーカーを降ろし,
放冷する。”以降の手順の操作を行う。
7.4.2 金属が分解したら,過塩素酸(4.8)40mlを加え,多量の白煙が発生するまで260℃で加熱する。ビー
カーを時計皿で覆い,この温度で更に20分間加熱する。熱板からビーカーを降ろし,放冷する。塩酸
(4.4)20ml及び温水200mlを加える。中程度の孔径のろ紙(5種B)を用いて二酸化けい素をろ別し,ろ液
を全量フラスコ1 000mlに受ける。塩酸(4.5)でビーカーをすすぎ,二酸化けい素の沈殿を3回洗浄し,次
いで,温水で4回洗浄する。二酸化けい素の沈殿を捨てる。水を標線まで加える。
7.5 定量
7.5.1 ニッケルを60120mg含むように試料溶液の一部を分取してガラスビーカー(5.2)に移し入れる。
水を加えて液量を300mlとする。試料のニッケルの含有率が30% (m/m) 以下の場合は100mlを,試料のニ
ッケルの含有率が30% (m/m) 以上の場合は50mlを分取すると,ニッケルの量が60120mgになる。
7.5.2 この溶液(7.5.1)に洒石酸溶液(4.9)10mlを加える。かき混ぜながら,液の色が黄色から青緑に(pH
が微アルカリ性に)変わるまで,アンモニア水(4.2)を滴加する。このとき溶液が濁ってはならない。酢酸
(4.1)を少量ずつ加えて,溶液の色を黄色に戻す。そのときのpHは45である。溶液を60℃まで加熱する。
7.5.3 ニッケル10mgに対しジメチルグリオキシム溶液(4.3)を4mlの割合でかき混ぜながら加え,更に過
剰に20mlを加える。
7.5.4 アンモニア水(4.2)を加えて,溶液を微アンモニア性(pH約10)にする。約30秒間強くかき混ぜ
た後,30分間その沈殿を放置する。
7.5.5 中程度の孔径のろ紙(5種B)を用いてその溶液をろ過する。温水(約4050℃)で沈殿を5回洗
浄する。ろ液は保存して,7.5.10の処理を行う。
7.5.6 塩酸(4.4)20ml,硝酸(4.6)10ml及び水30mlの混酸を加熱したもので,沈殿をろ紙上で分解し,最初
の沈殿操作に用いたビーカーに受ける。注意しながら,混酸20mlでろ紙を洗浄する。続いて温水で洗浄
する。混酸及び温水による洗浄を3回繰り返す。赤い沈殿を完全に分解し,最後に,温水でろ紙を完全に
洗浄する。
7.5.7 7.5.2から7.5.4の操作を繰り返し,ニッケルを再沈する。しかし,洒石酸溶液(4.9)の添加量は2ml,
過剰に加えるジメチルグリオキシム溶液(4.3)の量は5mlとする。
7.5.8 乾燥し,あらかじめひょう量したガラスろ過器(7.3.2)で沈殿をろ過する。温水でビーカーを完全に
洗浄し,沈殿を5回洗浄する。ろ液は保存して,7.5.10の処理を行う。
――――― [JIS G 1326 pdf 6] ―――――
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G 1326 : 2000
7.5.9 沈澱の入ったガラスろ過器を,150℃の乾燥器で2時間乾燥した後,デシケーター中で60分間放冷
し,7.3.2と同じような温度及び湿度で,手早くひょう量する。
7.5.10 7.5.5及び7.5.8で得たろ液を合わせる。シロップ状になるまで蒸発濃縮する。1015mlまで濃縮し
たら,塩酸(4.4)50mlを添加し,加熱する。温水50mlを加え,沸騰させる。放冷した後,全量フラスコ200ml
に移し入れる。水を標線まで加える。
7.5.11 原子吸光法によって,この溶液中のニッケルの含有率を定量する。附属書1附属書A参照。
備考1. 合わせたろ液のニッケルの量は,元の試料中のニッケルの含有率に換算して0.2% (m/m) を超
えないことが望ましい。
2. ろ液中のニッケルの量が多い場合,ガラスろ過器に問題がある可能性がある。
3. ろ液中のニッケルの濃度が高い場合,又は原子吸光装置の感度が非常に高い場合には,7.5.10
で調製した溶液を希釈する必要がある。
8. 結果の表現
8.1 計算
ニッケルの含有率は,質量百分率で表示し,次の式によって算出する。
m2−m1 1000
Ni=20.32 Wf
m0 V
ここに, Ni : ニッケルの含有率 [% (m/m) ]
m0 : はかり取った試料の質量 (g)
m1 : 空のガラスろ過器の質量 (g)
m2 : ニッケルジメチルグリオキシム沈殿を含むガラスろ過器の
質量 (g)
V : 7.5.1で分取した試料溶液の量 (ml)
Wf : 合わせたろ液(7.5.11)から検出されたニッケルを試料中の
質量百分率に換算した値 [% (m/m) ]
20.32 : ニッケルジメチルグリオキシムからニッケルに変換するフ
ァクターに100を乗じた値
8.2 精度
8.2.1 分析室試験
8.2.1.1 7か国の20分析室の39分析者が,この附属書に規定された方法による共同実験を実施し,ニッ
ケルの含有率2141% (m/m) の市販のフェロニッケル8試料を分析した。それぞれの試料について,各所
2人の分析者による各人2個ずつの結果が報告された。
8.2.1.2 この分析室試験では,試料溶液の分取量は,ニッケルの含有率30% (m/m) 以下のとき50ml,ま
た,30% (m/m) 以上のとき25mlであった。しかし,この試験の後,それぞれの分取量を100ml及び50ml
に変更した(7.5.1参照)。分取量を増やしたことによって,並行許容差及び再現許容差がよりよくなると
期待できる。
8.2.2 統計解析結果
ISO 5725に従い計算した並行許容差及び再現許容差を附属書1表1に示す。統計解析の詳細は附属書1
参考Bに示す。
――――― [JIS G 1326 pdf 7] ―――――
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G 1326 : 2000
附属書1表1 統計解析結果
統計項目 ニッケルの含有率 % (m/m)
1530 3145
標準偏差−同一分析者,Sw1 0.047 0.066
標準偏差−分析者間/室内,Sw2 0.047 0.095
標準偏差−室間,Sb 0.054 0.047
並行許容差, r 2
.283 Sw1 0.13 0.19
室内再現許容差, Rw 2 2
Sw2
.2 83 Sw1 0.19 0.33
室間再現許容差, R 2 2
.2 83 Sw1
Sw2
2
Sb 0.24 0.35
備考1. これら並行許容差及び再現許容差は,この附属書に規定された分析
方法の,又は類似の試料を分析したときの,代表的な精度であると
考えてよい。
2. 並行許容差及び再現許容差のデータは,スプリッティンクリミット
を決めるときの指針として利用できる可能性がある。
参考 スプリッティングリミットとは,許容できる売り手と買い手の分析値
の差のことで,通常は,売買契約上で取り決められる。
9. 分析報告書
分析報告書には,次の情報を記載しなければならない。
a) 用いた引用規格
b) 分析結果
c) 独立した繰返し分析数
d) 分析の際の通常と異なる点
e) この附属書に含まれない操作又は付加的な操作とみなすことができるもの。
――――― [JIS G 1326 pdf 8] ―――――
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G 1326 : 2000
附属書1附属書A(規定)
原子吸光法によるろ液中のニッケルの定量
この附属書Aは,附属書1の一部を構成するものである。
A.1 通則
この附属書Aは,ニッケルを重量分析法で分析する際に得られるろ液を合わせた溶液中の残留ニッケル
の定量方法を記載したものである(7.5.10及び7.5.11参照)。
A.2 試薬
A.2.1 塩酸, 1.19g/ml
A.2.2 ニッケル標準溶液 0.1gNi/lに相当する。
金属ニッケル[純度99.9% (m/m) 以上]1.00gを0.005gのけたまではかり取り,ビーカー (600ml) に入
れ,硝酸 ( 1.41g/ml) (1+1) 40mlで分解する。シロップ状まで濃縮し,放冷した後,水で塩類を溶解し
て全量フラスコ1 000mlに移し入れる。水を標線まで加える。
この溶液25.0mlを分取して,全量フラスコ250mlに移し入れ,水を標線まで加える。
この標準溶液1mlには0.1mgのニッケルが含まれる。
A.3 装置
装置は,通常の実験装置及び次のものを用いる。
A.3.1 ビュレット 容積50mlで,0.05ml刻みに目盛された,JIS R 3505クラスAのビュレット又はISO
385-1クラスAのビュレット。
A.3.2 全量フラスコ 容積200ml,250ml及び1 000mlで,JIS R 3505クラスAの全量フラスコ又はISO 1042
クラスAの全量フラスコ。
A.3.3 ピペット 容積25mlで,JIS R 3505クラスAのピペット又はISO 648クラスAのピペット。
A.3.4 原子吸光分析装置 アセチレン・空気フレーム用のバーナー及びニッケルの中空陰極ランプを装備
したもの。
A.4 操作
A.4.1 原子吸光分析装置の調整
装置の取扱説明書に従い,必要な装置パラメータを設定する。測定波長を232nmに,また,ニッケルラ
ンプの電流を推奨されている値に調整する。
バーナーを点火し,水を噴霧しながら,少し酸化性で透明感があり蛍光のないフレームが得られるよう,
空気及びアセチレンの流量を調整する。装置の指示値がゼロになるように調整をする。
A.4.2 検量線溶液の調製
ビュレットを用いて,全量フラスコ200ml 5個のそれぞれに,0ml,2ml,5ml,10ml及び15mlのニッケ
ル標準溶液(A.2.2)を分取して入れる。塩酸(A.2.1)50mlを加え,水を標線まで加える。これらの検量線溶液
200ml中には0.0mg,0.2mg,0.5mg,1.0mg及び1.5mgのニッケルか含まれる(7.5.10参照)。
――――― [JIS G 1326 pdf 9] ―――――
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G 1326 : 2000
A.4.3 原子吸光測定
まずゼロから順に,検量線溶液(A.4.2)を噴霧し,読み取った吸光度を記録する。それぞれの測定の間に
は水を噴霧して装置内を洗浄する。
合わせたろ液(7.5.10)を噴霧し,読み取った吸光度を記録する。
ろ液の測定値が,2個の検量線溶液の測定値の間に挟まれるように,検量線溶液及びろ液の測定を繰り
返す。
A.4.4 検量線作成
検量線溶液のニッケルの含有量に対する装置の指示値をプロットする。
A.5 結果の表現
検量線(A.4.4)を用いて,ろ液の吸光度に対応するニッケルの量を読み取る。
8.1の計算式の中の,ろ液から検出されたニッケルを試料中の百分率に換算した値Wf [% (m/m) ] を,次
の式によって算出する。
m3
Wf= 100
m0 V
ここに, m0 : はかり取った試料の質量 (g)
m3 : 合わせたろ液からのニッケルの検出量 (mg)
V : 7.5.1で分取した試料溶液の量 (ml)
備考1. 原子吸光分析装置の中には,スケールを拡大した方がよいものもある。
2. 検量線溶液の調製の際,ジメチルグリオキシムの添加及びシロップ状までの濃縮は必要ない。
3. ろ液中のニッケルの濃度が高い場合,適切な濃度まで希釈する必要がある。
――――― [JIS G 1326 pdf 10] ―――――
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JIS G 1326:2000の引用国際規格 ISO 一覧
- ISO 11400:1992(MOD)
- ISO 6352:1985(MOD)
- ISO 7520:1985(MOD)
- ISO 7524:1985(MOD)
- ISO 7526:1985(MOD)
- ISO 7527:1985(MOD)
- ISO 8343:1985(MOD)
JIS G 1326:2000の国際規格 ICS 分類一覧
JIS G 1326:2000の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISG1301:2016
- フェロアロイ―分析方法通則
- JISK8001:2017
- 試薬試験方法通則
- JISK8005:2014
- 容量分析用標準物質
- JISZ2615:2015
- 金属材料の炭素定量方法通則
- JISZ2616:2015
- 金属材料の硫黄定量方法通則