JIS G 1326:2000 フェロニッケル分析方法 | ページ 3

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G 1326 : 2000
附属書1参考B
分析室間試験の統計解析結果
この参考Bは,単なる資料であり,この附属書1の一部を構成するものではない。
B.0 はじめに
7か国の20分析室の39分析者が,この附属書1に規定された方法による共同実験を実施した。ニッケ
ルの含有率2141% (m/m) の市販のフェロニッケル8試料を分析した。この共同実験計画は,ISO 5725
に基づき,一般的な,並行許容差及び分析室内並びに分析室間の再現許容差を決定することを目的として
いる。
B.1 引用規格
ISO 3534 Statistics−Vocabulary and symbols
ISO 5725 Precision of test methods−Determination of repeatability and reproducebility by inter-laboratory
tests
参考 ISO 5725は,次の規格で置き換えられている。
ISO 5725-16 : 1994 Accuracy (trueness and precision) f measurement methods and results−Part 16
B.2 定義
ISO 3534の定義を適用する。
同一分析室内での分析者の違いなどの要因による,室内再現性を加えた。
B.3 実験計画の設計
実験計画は,最大の情報が得られるように設計された。それぞれの試料について,2人の分析者による
各人2個ずつの結果が報告された。したがって,参加した各分析室から,各試料に対してそれぞれ二組の
結果が報告された。
B.4 分析試料
この実験計画では,インゴットからミル又はドリルを用いて得られたチップ状のフェロニッケル8試料
を用いた。
ミルを用いる場合,チップは振動クラッシャーで砕いた。これらの試料のニッケルの含有率は2141%
(m/m) で,市販品を代表するものである。
B.5 分析操作の変更
この分析室試験では,試料溶液の分取量は,ニッケルの含有率30% (m/m) 以下のとき50ml,また,30%
(m/m) 以上のとき25mlであった。しかし,この試験の後,それぞれの分取量は100ml及び50mlに変更さ
れた(7.5.1参照)。

――――― [JIS G 1326 pdf 11] ―――――

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B.6 統計解析の手順
B.6.1 異常値の検定
B.6.1.1 ISO 5725で推奨されているコクランの検定を,分析者内の変動(分析者ごとの並行分析の並行許
容差の分散)の比較に用いた。95%の確率で,3試料で4分析室か棄却された。
B.6.1.2 同じ検定を,室内変動の比較に用いた。“分析者”が“分析室”になったこと,また,“個々の定量
値”が“分析者ごとの平均値”になったことを除けば,前述のものと同様のやり方である。95%の確率で,
4試料で4分析室が棄却された。
B.6.1.3 分析室間の平均値の検定をするために,ISO 5725ではディクソン検定を推奨している。しかしな
がら,この検定は,少ない数の平均値の比較にだけ妥当である。20の分析室という多くの分析室の比較に
は,グラブス検定がより一般的で厳密であるので,今回の統計解析ではグラブス検定を採用した。95%の
確率で,3試料で3分析室が棄却された。
B.6.2 試料ごとの分散の解析
B.6.2.1 繰り返しの分散Sw12及び室間の分散Sb2の算出はISO 5725に基づいた。一方,今回の分析室試験で
は,分析者間の分散と室間の分散とを区別できるように計画されている。これらは次のように解析できる。
Sw1は,繰り返しの標準偏差(分析者内)
Sw2は,分析者間/室内の標準偏差(同一分析室内の分析者間)
Sbは,室間の標準偏差
Swは,室内再現性(分析者の違いを含む。)の標準偏差
2 2
Sw= Sw1 Sw2
ここに,SRは,再現性の標準偏差
2 2 2
SR= Sw1 Sw2 Sb
この形から,ISO 5725の考え方によって,次のように導くことができる。
21
r .283 Sw
並行許容差
2 2
室内再現許容差(分析者の違いを含む) Rw .283Sw1 Sw2
2 2 2
R .283Sw1 Sw2 Sb
室間再現許容差
備考 Rwは中間的な量であり,それは数人の分析者によって定量できた分析室内の値である。
B.6.2.2 スネデカー検定は,与えられた確率で,“分析者”要因又は“分析室”要因が有意であるかどうか
という検定に適用された。この解析の結果を附属書1表2に要約した。
B.6.3 4試料から成る二つのグループにおける分散の解析
B.6.3.1 予備試験から,シリーズAの4試料は同じ傾向をもつが,シリーズBでは若干異なることが分か
った。より大きな自由度で行われた分散の有意性の検定の結果から,4試料から成る二つのグループの統
計的解析では,補足的な情報が得られた。濃度の低いグループの結果及び濃度の高いグループの結果が得
られた。
B.6.3.2 試料ごとの解析では不可能であったサンプリングの分散を,シリーズBの場合,“分析者及び分析
室”の分散(Sw22+Sb2となる。)から推測できることが,このより進めた解析によって分かった。このこと
は,シリーズBの四つの試料の単純な平均から,わずかに小さなSw2及びSbが得られることと矛盾しない。
実際に,この推定結果は,分析方法自体の精度とよく一致する。得られた値を附属書1表3に示す。

――――― [JIS G 1326 pdf 12] ―――――

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附属書1表2 分析者及び分析室要因
試料 Ni含有 棄却後 繰返し 分析者 分析者要 室間標 分析室要 並行 室内再現 室間再
率 分析者 標準偏 間/室内 因のスネ 準偏差 因のスネ 許容 許容差 現許容
% 数 差 標準偏 デカー検 Sb デカー検 差 (分析者 差
(m/m) n Sw1 差 定の有意 定の有意 r 間含む) R
Sw2 性 性 Rw
A1 21.55 34 0.065 2 0.066 4 HS3) 0.066 1 S2) 0.18 0.26 0.32
A2 21.76 32 0.057 0 0.079 9 THS4) 0.026 5 NS1) 0.16 0.28 0.29
A3 23.50 26 0.055 5 0.061 4 HS3) 0.048 4 NS1) 0.16 0.23 0.27
A4 25.22 38 0.056 2 0.077 5 THS4) 0.048 7 NS1) 0.16 0.27 0.30
B1 27.14 34 0.065 9 0.065 7 HS3) 0.034 1 NS1) 0.19 0.26 0.28
B2 34.90 36 0.068 6 0.145 9 THS4) −5) NS1) 0.19 0.45 0.45
B3 37.74 36 0.087 4 0.105 6 THS4) 0.099 1 S2) 0.25 0.39 0.48
B4 41.11 34 0.073 8 0.093 5 THS4) 0.124 9 HS3) 0.21 0.34 0.49
1) Sは,95%の確率で有意でないことを示す。
2) は,95%の確率で有意だが,99%で有意でないことを示す。
3) Sは,99%の確率で高い有意だが,99.9%で有意でないことを示す。
4) HSは,99.9%の確率で非常に高い有意であることを示す。
5) 分散の通常の解析から導き出される数値から,B2試料のSbを除く,標準偏差Sw2及びSbを見積もるこ
とができた。B2試料のSbを0とみなすことができる。
附属書1表3 統計解析結果
統計項目 ニッケルの含有率 % (m/m)
1530 3145
標準偏差−同一分析者 Sw1 0.047 0.066
標準偏差−分析者間/室内 Sw2 0.047 0.095
標準偏差室間 Sb 0.054 0.047
並行許容差 r 21
.283 Sw 0.13 0.19
室内再現許容差 Rw
2
Sw2
.283 Sw1
2
0.19 0.33
室間再現許容差 R
21
.283 Sw
2
Sw2
2
Sb 0.24 0.35

――――― [JIS G 1326 pdf 13] ―――――

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附属書2(規定) ニッケル定量方法−
ジメチルグリオキシム沈殿分離エチレンジアミン四酢酸
二水素二ナトリウム滴定法
1. 要旨 試料を硝酸で分解し,過塩素酸を加え,加熱して過塩素酸の白煙を発生させた後,塩類を塩酸
で溶解する。酒石酸及びアンモニア水を加えて弱アルカリ性とし,ジメチルグリオキシムを加えてニッケ
ルを沈殿させてこし分け,沈殿を硝酸で分解する。次に,酒石酸を加え,アンモニア水で弱アルカリ性と
し,ムレキシドを指示薬としてエチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム(以下EDTAと略す)標準溶
液で滴定するか,酢酸アンモニウムを加えて弱酸性とし,Cu-PANを指示薬としてEDTA標準溶液で滴定
するか,又は一定量のEDTA標準溶液を加えアンモニア水及び硝酸で酸濃度を調節した後,酢酸及び酢酸
アンモニウムを加えて弱酸性とし,キシレノールオレンジを指示薬として亜鉛標準溶液で過剰のEDTAを
逆滴定する。沈殿をこし分けた後のろ液及び洗液中に残留するニッケルを原子吸光法で定量し,結果を補
正する。
2. 試薬 試薬は,次による。
a) 塩酸
b) 塩酸 (1+1, 1+9)
c) 硝酸 (1+1)
d) 過塩素酸
e) ふっ化水素酸
f) 硫酸 (1+1)
g) アンモニア水
h) アンモニア水 (1+1)
i) 二硫酸ナトリウム
j) 洗浄液 温水約500mlにアンモニア水1滴を加えてかき混ぜたもの。この溶液は,使用の都度調製す
る。
k) 酒石酸溶液 (200g/l)
l) 酢酸アンモニウム溶液 (500g/l)
m) 酢酸−酢酸アンモニウム溶液 酢酸アンモニウム250gを水に溶解し,液量を水で1 000mlとした後,
酢酸25mlを加える。
n) ジメチルグリオキシム溶液 ジメチルグリオキシム1gをエタノール (95) 100mlに溶解する。
o) 0.02mol/EDTA標準溶液 EDTA二水和物7.5gを水約100mlに溶解し,溶液を全量フラスコ1 000ml
に水を用いて移し入れ,水を標線まで加える。この溶液1mlに相当するニッケル相当量を,次のいず
れかの手順によって求める。
1) ムレキシドを指示薬とする場合
1.1) ニッケル(99.9%以上)0.600 0gをはかり取り,ビーカー (300ml) に移し入れて時計皿で覆い,硝
酸 (1+1) 30mlを加えて穏やかに加熱して分解し,常温まで放冷した後,全量フラスコ1 000mlに水

――――― [JIS G 1326 pdf 14] ―――――

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を用いて移し入れ,水を標線まで加えてニッケル標準溶液 (600 最一椀一 ‰ ッケ
準溶液50mlを分取してビーカー (300ml) に移し入れる。
1.2) 4.3a)2)の操作を行い,次の式によって0.002mol/lEDTA標準溶液1mlに相当するニッケル量を算出す
る。
50 G
f=
1 000 V
ここに, f : 0.02mol/lEDTA標準溶液1mlに相当するニッケルの量 (g)
G : 1.1)ではかり取ったニッケルの量 (g)
V : 0.02mol/lEDTA標準溶液の使用量 (ml)
2) u-PANを指示薬とする場合
2.1) 1)1.1)の操作を行った後,水を加えて液量を150mlとする。
2.2) 4.3b)2)の操作を行い,次の式によって0.002mol/lEDTA標準溶液1mlに相当するニッケル量を算出す
る。
50 G
f=
1 000 V
ここに, f : 0.02mol/lEDTA標準溶液1mlに相当するニッケルの量 (g)
G : 2.1)ではかり取ったニッケルの量 (g)
V : 0.02mol/lEDTA標準溶液の使用量 (ml)
3) キシレノールオレンジを指示薬とする場合
3.1) 1)1.1)の操作を行う
3.2) 4.3c)2)の操作を行い,次の式によって0.002mol/lEDTA標準溶液1mlに相当するニッケル量を算出す
る。
50 G
f=
1 000 V1 V2 F
ここに, f : 0.02mol/lEDTA標準溶液1mlに相当するニッケルの量 (g)
G : 3.1)ではかり取ったニッケルの量 (g)
V1 : 0.02mol/lEDTA標準溶液の使用量 (ml)
V2 : 0.02mol/l亜鉛標準溶液の使用量 (ml)
F : 0.02mol/l亜鉛標準溶液の0.02mol/lEDTA標準溶液に対するファ
クター
p) 0.02mol/l亜鉛標準溶液 亜鉛(99.9%以上)1.30gをはかり取り,ビーカー (500ml) に移し入れ,時計
皿で覆い,塩酸 (1+1) 20mlを加え,穏やかに加熱して分解する。常温まで放冷した後,水を加えて
液量を1 000mlとする。この溶液の標定は,次による。
0.02mol/lEDTA標準溶液[o) ]を正確に25ml取り,ビーカー (300ml) に移し入れ,水を加えて液量を
約150mlとし,キシレノールオレンジ溶液35滴を指示薬として加え,酢酸−酢酸アンモニウム溶
液[m) ]25mlを加え,約10分間放置する。この溶液を0.02mol/l亜鉛標準溶液で滴定し,溶液の色が黄
色から赤紫に変わる点を終点とし,0.02mol/l亜鉛標準溶液の使用量を求め,次の式によって
0.02mol/lEDTA標準溶液に対する0.02mol/l亜鉛標準溶液のファクターを算出する。
25
F=
V
ここに, F : 0.02mol/l亜鉛標準溶液の0.02mol/lEDTA標準溶液に対するファ
クター
V : 0.02mol/l亜鉛標準溶液の使用量 (ml)

――――― [JIS G 1326 pdf 15] ―――――

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JIS G 1326:2000の引用国際規格 ISO 一覧

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