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6. ヘキサシアノ鉄(III)酸カリウム滴定法
6.1 要旨 試料を硝酸と塩酸との混酸で分解し,過塩素酸を加え,白煙が発生するまで加熱濃縮して,
クロムを酸化した後,二りん酸ナトリウムを加えてマンガンとの錯体を形成させる。窒素ガスを通じて溶
存している塩素及び酸素を除去した後,くえん酸アンモニウム,硫酸アンモニウム,アンモニア水及び一
定量のヘキサシアノ鉄(III)酸カリウムを加え,電位差滴定装置を用いて一定量のヘキサシアノ鉄(III)
酸カリウムを標準コバルト溶液で滴定する。
6.2 試薬 試薬は,次による。
a) 塩酸
b) 硝酸
c) 硝酸 (1+1)
d) 過塩素酸
e) りん酸
f) 混酸(硝酸1,塩酸3)
g) アンモニア水
h) ニッケル溶液 (10gNi/l) 純粋でコバルトを含まないニッケル2gをはかり取り,ビーカー (200ml) に
移し入れ,硝酸20mlを加えて分解する。穏やかに加熱し完全に分解する。常温まで冷却した後,溶
液を200mlの全量フラスコへ水を用いて移し入れ,水で標線まで薄める。
i) 鉄溶液 (5gFe/l) 純粋でコバルトを含まない鉄1gをはかり取り,ビーカー (200ml) に移し入れ,塩
酸10mlを加えて分解する。穏やかに加熱し完全に分解する。常温まで冷却した後,溶液を200mlの
全量フラスコへ水を用いて移し入れ,水で標線まで薄める。
j) クロム溶液 (5gCr/l) ニクロム酸カリウム (JIS K 8005) 2.8gをはかり取り,ビーカー (200ml) に移
し入れ,水約50mlに溶解する。溶液を200mlの全量フラスコに水を用いて移し入れ,水で標線まで
薄める。
k) 二りん酸ナトリウム溶液 二りん酸ナトリウム十水和物200gを沸騰している水約800mlに溶解し,
熱いうちに水で液量を1 000mlとする。この溶液は,使用する直前に調製する。
l) くえん酸アンモニウム溶液 くえん酸アンモニウム一水和物を正確に125gはかり取り水250mlに溶
解する。注意して,一定の速度でかき混ぜながら,アンモニア水170mlを加える。冷却しながら水で
液量を500mlとする。
m) 硫酸アンモニウム溶液 硫酸アンモニウム125gを250mlの水に溶解し,水で液量を500mlとする。
n) 標準コバルト溶液 (2.00mgCo/ml) コバルト[99.9% (m/m) 以上]1.000gをはかり取り,ビーカー
(300ml) に移し入れ,時計皿で覆い,硝酸 (1+1) 20mlを加え,穏やかに加熱して分解した後,煮沸し
て窒素酸化物を追い出す。放冷した後,時計皿の下面及びビーカーの内壁を水で洗って時計皿を取り
除き,溶液を500mlの全量フラスコに水を用いて移し入れ,水で標線まで薄める。
o) ヘキサシアノ鉄(III)酸カリウム標準溶液 ヘキサシアノ鉄(III)酸カリウム5.6gを水250mlに溶解
し,溶液をろ紙を用いてろ過し,ろ紙を水で洗浄する。ろ液及び洗液とを500mlの全量フラスコに移
し入れ,水で標線まで薄める。使用する直前に,再びろ過した後,標定を次の手順によって行う。
1) 試料(5)を0.20.4gはかり取り,ビーカー (400ml) に移し入れ,6.5.1 b)の操作を行う(6)。
2) 標準コバルト溶液 [6.2 n) ] を正しく20ml加える。
3) 6.5.1 c)6.5.2 c)の手順に従って操作し,ヘキサシアノ鉄(III)酸カリウム標準溶液1mlのコバルト
相当量を次の式によって算出する。
――――― [JIS H 1283 pdf 6] ―――――
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.200 (20 V1) m1
f=
V2
ここに, f : ヘキサシアノ鉄(III)酸カリウム標準溶液1mlのコバルト相
当量 (mg/ml)
V1 : 滴定で使用した標準コバルト溶液の量 (ml)
V2 : 滴定で使用したヘキサシアノ鉄(III)酸カリウム標準溶液の
量 (ml)
m1 : 1)ではかり取った試料中のコバルト量 (mg)
注(5) 試料は,鉄及びクロムを含み,かつ,コバルト含有率が0.1% (m/m) 以下で既知のニッケル合金
を用いる。
(6) 注(5)の試料が入手できない場合には,ニッケル,鉄及びクロムの量がニッケル合金と同様にな
るように,ニッケル溶液 [6.2 h) ] ,鉄溶液 [6.2 i) ] 及びクロム溶液 [6.2 j) ] を混合した後,2)
及び3)の手順に従って標定する。
6.3 装置 装置は,次による。
電位差滴定装置 : 指示電極に白金を用い,参照電極として銀/塩化銀電極,カロメル電極又は硫酸水銀(I)
電極を用いて電位差が測定可能なもの。
6.4 試料はかり取り量 試料はかり取り量は,表2による。
表2 試料はかり取り量
試料中のコバルト含有率 試料はかり取り量
% (m/m) g
2以上 10未満 0.40
10以上 25以下 0.20
6.5 操作
6.5.1 試料溶液の調製 試料溶液の調製は,次の手順によって行う。
a) 試料をはかり取ってビーカー (500ml) に移し入れる。
b) 時計皿で覆い,混酸25mlを加え,穏やかに加熱して完全に分解する(7)(8)。
c) 過塩素酸8mlを加え,加熱して過塩素酸の白煙を発生させ,クロムを二クロム酸に酸化する。さらに
過塩素酸2mlを加え,2分間過塩素酸の白煙を発生させる。放冷した後,水約10mlを用いて時計皿の
下面及びビーカーの内壁を洗浄して時計皿を取り除く。
d) 熱二りん酸ナトリウム溶液 [6.2 h) ] 50mlを加え,沸騰するまで加熱し,更に数分間煮沸する。
e) 室温まで放冷した後,窒素を1015分間通じて,溶液中の塩素及び酸素を取り除く。
注(7) 分解しにくい合金の場合には,塩酸1mlずつを加える。
(8) 合金によっては,塩酸30mlと硝酸2mlの混酸を加える。
6.5.2 滴定 滴定は,次の手順によって行う。
a) 6.5.1 e)で得た溶液に,くえん酸アンモニウム溶液 [6.2 l) ] 30m1及び硫酸アンモニウム溶液 [6.2 m) ]
20mlを加える。
b) ビーカーをマグネチックスターラー上に設置し,かき混ぜる。電位差滴定装置 [6.3] の指示電極及び
参照電極を溶液中に挿入し,ヘキサシアノ鉄(III)酸カリウム標準溶液で滴定し,更に過剰に35m1
加える。
c) この溶液を水で約300mlに薄めた後,アンモニア水60mlを加えた後,標準コバルト溶液で滴定する。
終点付近では滴定をゆっくりと行い,電位差滴定装置の指示が急激に変化する点を終点とする(9)。
――――― [JIS H 1283 pdf 7] ―――――
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注(9) 終点を過ぎてからも少し滴定を続ける。場合によっては,滴定曲線から図上で終点を決定する。
6.6 計算 試料中のコバルト含有率は,次の式によって算出する。
V3 f V4 .200
Co= 100
m 1 000
ここに, Co : 試料中のコバルト含有率 [% (m/m) ]
V3 : ヘキサシアノ鉄(III)酸カリウム標準溶液の使用量 (ml)
f : ヘキサシアノ鉄(III)酸カリウム標準溶液1mlのコバルト相
当量 (mg/ml)
V4 : 標準コバルト溶液の使用量 (ml)
m : 試料はかり取り量 (g)
7. 原子吸光法(A法)
7.1 要旨 試料を硝酸で分解した後,溶液を原子吸光光度計の空気・アセチレンフレーム中に噴霧し,
その吸光度を測定する。
7.2 試薬 試薬は,次による。
a) 硝酸 (1+1)
b) ニッケル 99.9% (m/m) 以上で,コバルト含有率が0.000 1% (m/m) 以下のもの。
c) 標準コバルト溶液 (100 最 一 ‰ バルト[99.9% (m/m) 以上]1.000gをはかり取ってビーカ
(300ml) に移し入れ,時計皿で覆い,硝酸 (1+1) 40mlを加え,穏やかに加熱して分解した後,煮沸し
て窒素酸化物を追い出す。常温まで冷却した後,時計皿の下面及びビーカーの内壁を水で洗って時計
皿を取り除き,溶液を1 000mlの全量フラスコに水を用いて移し入れ,硝酸 (1+1) 160mlを加え,水
で標線まで薄めて原液 (1 000 最 一 ‰ を使用の都度,必要量だけ水で正確に10
に薄めて標準コバルト溶液とする。
7.3 試料はかり取り量 試料はかり取り量は,2.0gとする
7.4 操作
7.4.1 試料溶液の調製 試料溶液の調製は,次の手順によって行う。
a) 試料をはかり取ってビーカー (300ml) に移し入れる。
b) 時計皿で覆い,硝酸 (1+1) 20mlを加え,穏やかに加熱して完全に分解し,引き続き加熱して窒素酸
化物を追い出す。放冷した後,時計皿の下面及びビーカーの内壁を水で洗って時計皿を取り除く。
c) 加熱してシロップ状となるまで濃縮し,常温まで冷却した後,硝酸 (1+1) 20ml及び水約100mlを加
えて塩類を溶解する。溶液を200mlの全量フラスコに水を用いて移し入れる(10)。
d) 水を加えて標線まで薄める。
注(10) この溶液のコバルト量が5 000 李 上の場合には,水で標線まで薄めた後,コバルト量が500
5 000 液を別の200mlの全量フラスコに分取する。
7.4.2 吸光度の測定 7.4.1 d)で得た溶液の一部を水を用いてゼロ点を調整した原子吸光光度計の空気・
アセチレンフレーム中に噴霧し,波長241.2nmにおける吸光度を測定する。
7.5 空試験 7.6の検量線作成操作において得られる標準コバルト溶液を添加しない溶液の吸光度を,空
試験の吸光度とする。
7.6 検量線の作成 検量線の作成は,次の手順によって行う。
a) ニッケル [7.2 b) ] を2.0gずつはかり取って数個のビーカー (200ml) に移し入れ,以下,7.4.1のb)及
びc)の手順に従って操作する(11)。
――――― [JIS H 1283 pdf 8] ―――――
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b) 標準コバルト溶液 [7.2 c) ] 050.0ml(コバルトとして05 000 柿 を段階的に加え,以下,7.4.1 d)
及び7.4.2の手順に従って試料と同じ操作を試料と並行して行い,得た吸光度とコバルト量との関係線
を作成し,その関係線を原点を通るように平行移動して検量線とする。
注(11) 7.4.1 d)で注(10)を適用した場合には,水で標線まで薄めた後,7.4.1 c)で分取した試料溶液と同量
ずつを200mlの全量フラスコに分取する。
7.7 計算 計算は,次のいずれかによる。
a) 7.4.1 c)で分取をしなかった場合 7.4.2及び7.5で得た吸光度と,7.6で作成した検量線とからコバル
ト量を求め,試料中のコバルト含有率を次の式によって算出する。
A1 A2
Co= 100
m
ここに, Co : 試料中のコバルト含有率 [% (m/m) ]
A1 : 試料溶液中のコバルト検出量 (g)
A2 : 空試験液中のコバルト検出量 (g)
m : 試料はかり取り量 (g)
b) 7.4.1 c)で分取をした場合 7.4.2及び7.5で得た吸光度と,7.6で作成した検量線とからコバルト量を
求め,試料中のコバルト含有率を次の式によって算出する。
A3 A4
C=
o B
100
m 200
ここに, Co : 試料中のコバルト含有率 [% (m/m) ]
A3 : 分取した試料溶液中のコバルト検出量 (g)
A4 : 分取した空試験液中のコバルト検出量 (g)
m : 試料はかり取り量 (g)
B : 試料溶液及び空試験液の分取量 (ml)
8. 原子吸光法(B法)
8.1 要旨 試料を塩酸と硝酸との混酸で分解し,乾固近くまで加熱する。塩酸を加え,乾固近くまで加
熱し,塩酸及び塩化ストロンチウムを加えた後,溶液を原子吸光光度計の空気・アセチレンフレーム中に
噴霧し,その吸光度を測定する。
8.2 試薬 試薬は,次による。
a) 塩酸
b) 塩酸 (1+1)
c) 硝酸
d) 硝酸 (1+1)
e) 混酸(塩酸3,硝酸1) この混酸は,使用の都度調製する。
f) 塩化ストロンチウム溶液 塩化ストロンチウム六水和物113.5gをはかり取り,ビーカー (1l) に移し
入れ,水約400mlを加え,加熱して溶解する。常温まで冷却した後,溶液を1 000mlの全量フラスコ
に水を用いて移し入れ,水で標線まで薄める。
g) 標準コバルト溶液 (50 最 一 ‰ バルト[99.9% (m/m) 以上]1.000gをはかり取ってビーカ
(300ml) に移し入れ,時計皿で覆い,塩酸 (1+1) 30mlを加え,穏やかに加熱して分解する。常温まで
冷却した後,時計皿の下面及びビーカーの内壁を水で洗って時計皿を取り除き,溶液を1 000mlの全
量フラスコに水を用いて移し入れ,塩酸35mlを加え,水で標線まで薄めて原液 (1 000 最 一 ‰
る。この原液50.0mlを1 000mlの全量フラスコに取り,塩酸50mlを加え,水で標線まで薄めて標準
――――― [JIS H 1283 pdf 9] ―――――
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コバルト溶液とする。
8.3 試料はかり取り量 試料はかり取り量は,1.0gとする。
8.4 操作
8.4.1 試料溶液の調製 試料溶液の調製は,次のいずれかの手順によって行う。
a) 試料中のコバルト含有率が0.01% (m/m) 以上0.1% (m/m) 未満の場合
1) 試料をはかり取ってビーカー (300ml) に移し入れる。
2) 時計皿で覆い,混酸 [8.2 e) ] 20mlを加え,穏やかに加熱して完全に分解する(12)。放冷した後,時計
皿の下面及びビーカーの内壁を水で洗って時計皿を取り除く。
3) 塩酸25mlを加え,乾固近くまで加熱する(13)。この操作をもう一度繰り返す。
4) 放冷した後,塩酸5m1及び水20mlを加え,加熱して塩類を溶解する。
5) 常温まで冷却した後,溶液を100mlの全量フラスコに水を用いて移し入れ,塩化ストロンチウム溶
液 [8.2 f) ] 4mlを加え,水で標線まで薄める(14)。
b) 試料中のコバルト含有率が0.1% (m/m) 以上4.0% (m/m) 以下の場合
1) )の1)4)の手順に従って操作する。
2) 常温まで冷却した後,溶液を500mlの全量フラスコに水を用いて移し入れ,塩酸25mlを加えた後,
水で標線まで薄める(14)。
3) 溶液を表3の分取量に従って100mlの全量フラスコに分取し,表3に従って塩酸を加えた後,塩化
ストロンチウム溶液 [8.2 f) ] 4mlを加え,水で標線まで薄める。
表3 分取量及び塩酸添加量
試料中のコバルト含有率 分取量 塩酸添加量
% (m/m) ml ml
0.1以上 0.8未満 50.0 3
0.4以上 4.0以下 10.0 5
注(12) 完全に分解しない場合には,塩酸1mlを追加する。
(13) 乾固しないように注意する。
(14) 加水分解生成物が認められた場合には,乾いたろ紙を用いてろ過するか,又は遠心分離によっ
て除去する。
8.4.2 吸光度の測定 8.4.1のa) 5)又はb) 3)で得た溶液の一部を,水を用いてゼロ点を調整した原子吸光
光度計の空気・アセチレンフレーム中に噴霧し,波長240.7nmにおける吸光度を測定する。
8.5 空試験 試薬だけを用いて,8.4.1及び8.4.2の手順に従って試料と同じ操作を試料と並行して行う
(15)。
注(15) 8.4.1 b) 3)で試料溶液を分取する場合には,空試験液も試料溶液と同量分取する。
8.6 検量線の作成 数個の100mlの全量フラスコに標準コバルト溶液 [8.2 g) ] 020.0ml(コバルトとし
て01 000 柿 を段階的に取り,塩化ストロンチウム溶 [8.2 f) ] 4ml及び塩酸5mlを加え,水で標線まで
薄める。各溶液の一部を,水を用いてゼロ点を調整した原子吸光光度計の空気・アセチレンフレーム中に
噴霧し,波長240.7nmにおける吸光度を試料と並行して測定し,得た吸光度とコバルト量との関係線を作
成し,その関係線を原点を通るように平行移動して検量線とする。
8.7 計算 計算は,次のいずれかによる。
a) 試料溶液の調製を8.4.1 a)によって行った場合 8.4.2及び8.5で得た吸光度と,8.6で作成した検量線
とからコバルト量を求め,試料中のコバルト含有率を次の式によって算出する。
――――― [JIS H 1283 pdf 10] ―――――
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JIS H 1283:1999の引用国際規格 ISO 一覧
- ISO 6351:1985(MOD)
- ISO 7530-1:1990(MOD)
- ISO 7530-2:1990(MOD)
- ISO 9389:1989(MOD)
JIS H 1283:1999の国際規格 ICS 分類一覧
- 77 : 金属工学 > 77.120 : 非鉄金属 > 77.120.40 : ニッケル,クロム及びそれらの合金
JIS H 1283:1999の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISH1270:2015
- ニッケル及びニッケル合金―分析用試料採取方法及び分析方法通則
- JISH1272:1998
- ニッケル及びニッケル合金中の銅定量方法
- JISK8005:2014
- 容量分析用標準物質