JIS H 7152:1996 アモルファス金属単板磁気特性試験方法

JIS H 7152:1996 規格概要

この規格 H7152は、商用周波数におけるアモルファス金属薄帯の鉄損特性及び交流磁化特性をHコイル法による単板磁気試験装置によって測定する方法について規定。特性試験における適用範囲として,通常の鉄損測定の適用磁束密度は,1.5Tまでとし,交流磁化測定の適用磁界の強さは1kA/mまでとする。

JISH7152 規格全文情報

規格番号
JIS H7152 
規格名称
アモルファス金属単板磁気特性試験方法
規格名称英語訳
Methods of measurement of the magnetic properties of amorphous metals by means of a single sheet tester
制定年月日
1991年3月1日
最新改正日
2016年10月20日
JIS 閲覧
‐ 
対応国際規格

ISO

国際規格分類

ICS

77.120.99
主務大臣
経済産業
JISハンドブック
‐ 
改訂:履歴
1991-03-01 制定日, 1996-10-20 改正日, 2001-12-20 確認日, 2006-09-20 確認日, 2011-10-20 確認日, 2016-10-20 確認
ページ
JIS H 7152:1996 PDF [13]
                                       日本工業規格(日本産業規格)                             JIS
H 7152-1996

アモルファス金属単板磁気特性試験方法

Methods of measurement of the magnetic properties of amorphous metals by means of a single sheet tester

1. 適用範囲 この規格は,商用周波数におけるアモルファス金属薄帯の鉄損特性及び交流磁化特性を,
Hコイル法による単板磁気試験装置によって測定する方法について規定する。
特性試験における適用範囲として,通常の鉄損測定の適用磁束密度は,1.5Tまでとし,交流磁化測定の
適用磁界の強さは,1kA/mまでとする。
備考1. アモルファス金属薄帯は高透磁率材料であるため,磁束密度Bと磁気分極Jはほぼ等しく,
この規格においては磁束密度Bを用いる。
2. この規格の引用規格を,次に示す。
JIS H 7004 アモルファス金属用語
参考 本試験方法において磁束検出コイルと空げき補償コイルを用いて測定する値は,磁気分極Jで
ある。磁気分極は,一様に磁化された試料の磁束を生じさせる単位断面積当たりの分極の強さ
をいい,磁界の強さをH,真空の透磁率を B=J+ 係にある。
2. 用語の定義 この規格で用いる主な用語の定義は,JIS H 7004による。
3. 測定の原理 鉄損特性試験と交流磁化特性試験の測定は,試料に加えられた磁界の強さと磁束を同時
に検出する方法によって次のように行う。
均一な磁界及び磁束の範囲に置いたHコイルによって磁界の強さを検出し,Bコイルによって磁束を検
出する。鉄損は,HコイルとBコイルの出力電圧から求める。試料に加える均一磁界の範囲をできるだけ
広くするためにヨークを用いる。
4. 試験条件
4.1 試験温度 試験は,原則として23±5℃の温度で行う。
4.2 試験用電源 試験に用いる電源は,次による。
(1) 試験に際しては,4.3の磁化条件を満たすことのできる電源(附属書の2.1参照)を用いる。試験の電
圧及び周波数の安定度は,±0.2%以内とする。
(2) 電源のインピーダンスは,励磁コイルのインピーダンスに比べて,無視出来るほど小さくする。
4.3 磁化条件 試料の長手方向が地磁気方向に直交するように試験器を設置し,試料を消磁する。また,
Bコイルに誘起する電圧は正弦波とし,その波形率が,1.101.12の範囲になるようにする。

――――― [JIS H 7152 pdf 1] ―――――

2
H 7152-1996
備考 磁界及び磁束波形が正・負対称でない場合は,試料を試験器から取り除いてヨークの消磁を行
い,その後再び条件を満たすように試験器の方向の微調整を行う。
5. 試料
5.1 試料の寸法 試料の寸法は,最小長さをヨーク外側の寸法以上とし,最小幅をHコイル幅より大き
く,最大幅を巻枠の内側寸法より小さくする。
備考1. 試料の長さがヨーク外側寸法以上あっても,測定値に大きな影響を与えないが,試料の挿入,
取出しに必要な長さとする。
2. 試料の幅が狭いものしか得られない場合には,複数の試料を1層に並べて試料の寸法条件を
満たすようにしてもよい。ただし,それぞれの試料の磁気特性がほぼ等しい場合に限る。
5.2 試料の採取 試料は,適当な切断機などを用いて切断し,切断部にばりやかえりを残さないように
する。試料は,長さ方向を材料の鋳造方向に合わせて採取する。試料の長さ方向と鋳造方向との角度は,
±0.5゜の許容差内になければならない。
5.3 試料の処理 試料は,次の磁界中熱処理を行うものとする。
(1) 熱処理 熱処理は,次によって行う。
(a) 昇温速度及び冷却速度 昇温速度及び冷却速度は,毎分310℃とする。
参考 昇温速度及び冷却速度は,毎分5℃を目標とする。
(b) 加熱 試料の最適加熱条件は,材料によって異なるので,あらかじめ実験によって最適な温度・時
間を決めるか,製造者の推奨条件を採用する。一例としては,試料を温度350380℃で30120分
間保持する。
備考 実用上,試料温度が所定の範囲に入るように,熱処理炉温度で管理しても良い。
(c) 試料の取出し 試料は,100℃以下まで冷却した後,炉から取り出す。
(2) 印加磁界 磁界は,試料の長さ方向に加えるものとし,試料内部の磁界の強さは,800A/m以上とす
る。磁界は試料の取出し時まで印加する。
備考1. 磁界の電源は,交流としてもよいが,この場合には,近傍の鉄加工品などに渦電流による局
部過熱の発生に注意する。
2. 試料が有限長であるので,試料の長さ方向端部では反磁界の影響を受けるため,次のような
対策を行う。
1 できるだけ磁界を試料の磁束密度が飽和する強さにする。
2 試料を含む閉磁路を形成する。
3 試料枚数を制限する。
3. 試料を開磁路で励磁する場合は,試料全長にわたって磁界ができるだけ均一になるように,
十分長いソレノイドコイルを用いる。
(3) 雰囲気 熱処理時の雰囲気は,非酸化性雰囲気とする。
参考 非酸化性雰囲気としては,窒素,水素,真空などがあるが,一般的には,露点が−50℃以下の
窒素ガスが比較的容易に入手できるので使用に便利である。
(4) 平坦度保持 試料の平坦度を保持するために,適当な厚さをもつ非磁性の金属平板で試料の上下を挟
み,適切な荷重を加える。
備考 同時に多数枚を熱処理する場合は,平坦度の良い試料を得るために,試料23枚ごとに平板を
挿入することが望ましい。

――――― [JIS H 7152 pdf 2] ―――――

                                                                                              3
H 7152-1996
5.4 試料の消磁 測定の前に試料を消磁する。
参考 消磁は,測定磁界より十分に高い磁界から交流磁界を緩やかに減少させる方法が有効である。
5.5 試料の実効断面積 試料の実効断面積As (m2) は,試料の長さ,質量と密度から式(1)によって求める。
試料は,1枚ごとに質量と長さを測定し,記録する。測定は,0.1%の精度で,有効数字4けたまで求める。
m
As= (1)
ml
ここに, m : 試料の質量 (kg)
試料の密度 (kg/m3)
l : 試料の長さ (m)
5.6 試料の設置 試料は,巻枠幅方向の中央に置く。
6. 測定回路 鉄損特性試験及び交流磁化特性試験に用いる磁気特性測定装置は,単板磁気試験器,電源,
各増幅器及び計測器から構成され,図1のように結線して使用する。装置の仕様,組立及び校正法は,附
属書による。
図1 磁気特性測定回路
7. 磁気試験
7.1 試料枚数 測定に際して,試料は,1枚を原則とする。ただし,試料の幅が狭いものしか得られない
場合には,5.1(試料の寸法)備考2.による。
7.2 鉄損の測定方法 鉄損の測定は,次による。
(1) 測定すべき磁束密度の波高値B (T) におけるBコイルの出力電圧EB (V) を式(2)で計算する。
EB= 2 fNBAS BB (2)
ここに, f : 測定周波数 (Hz)
NB : Bコイルの巻数

――――― [JIS H 7152 pdf 3] ―――――

4
H 7152-1996
AS : 試料の実効断面積 (m2)
愀 B増幅器の増幅率
B : 磁束密度の波高値 (T)
備考 歛地 潟 2)のBはJとし,設定磁束密度からHコイルで測定さ
れた磁界の強さによる し引いた値を代入してEBを決める。
(2) 図1において,切換開閉器S1とS2を2側に,S3を1側に入れて,平均値形電圧計をモニタとして用
いて試料を交流消磁した後,S1とS2を1側に切り換える。
(3) 周波数を指定の値に保ち,Bコイルの出力電圧(平均値形電圧計の読み)EB (V) が式(2)で算出した値
となるように,電源電圧を調整する。
(4) 鉄損WS(W/kg)を,電力計の読みW (W) から式(3)によって計算する。
lW
WS= (3)
0m NH AH NB H B
ここに, l : 試料の長さ (m)
積分器の時定数 (S)
W : 電力計の読みから求めた電力 (W)
真空の透磁率4 10-7 (H/m)
m : 試料の質量 (kg)
(NHAH) : Hコイルのエリアターン (m2)
NB : Bコイルの巻数
愀 H増幅器の増幅率
愀 B増幅器の増幅率
7.3 交流磁化特性の測定方法 交流磁化特性の測定は,次による。
(1) 測定すべき磁界の強さの波高値H (A/m) におけるHコイルの出力電圧EH (V) を式(4)で計算する。
EH= 2 f NHAH HH (4)
ここに, 真空の透磁率4 10−7 (H/m)
f : 測定周波数 (Hz)
(NHAH) : Hコイルのエリアターン (m2)
愀 H増幅器の増幅率
H : 磁界の強さの波高値 (A/m)
(2) 図1において,切換開閉器S1とS2を2側に,S3を1側に入れて,平均値形電圧計をモニタとして用
いて試料を交流消磁した後,S1を1側に,S3を2側に切り換える。
(3) 周波数を指定の値に保ち,H増幅器の出力電圧(平均値形電圧計の読み)EH (V) が式(4)で算出した値
となるように,電源電圧を調整する。
(4) 3を1側に切り換えて平均値形電圧計の読みEB (V) を求める。設定した磁界の強さに対する試料の磁
束密度B (T) を式(5)によって求める。
EB
B= (5)
2 fNBAS B
ここに, f : 測定周波数 (Hz)
NB : Bコイルの巻数
AS : 試料の実効断面積 (m2)
愀 B増幅器の増幅率

――――― [JIS H 7152 pdf 4] ―――――

                                                                                              5
H 7152-1996
8. 報告 試験結果報告書には,次の事項を記入する。
(1) 供試材の種類,及び製造業者
(2) 試料の寸法,質量
(3) 試料の熱処理条件
(4) 単板磁気試験器の仕様(ヨーク形状・寸法,Bコイル及びHコイルの寸法)
(5) 測定年月日
(6) 試験結果
(7) その他,受渡当事者間で協定した事項

――――― [JIS H 7152 pdf 5] ―――――

次のページ PDF 6

JIS H 7152:1996の国際規格 ICS 分類一覧

JIS H 7152:1996の関連規格と引用規格一覧

規格番号
規格名称
JISH7004:1990
アモルファス金属用語