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表1−電流リードに関する特性試験の項目及び試験の実行段階
特性試験の実行段階
特性試験区分 試験項目
R&Da) カタログb) 受入c)
構造検査試験 ○ ○
1 機械的特性
応力/ひずみ効果試験 ○
非通電熱侵入試験 ○ ○
2 熱的特性
定格電流通電熱負荷試験 ○ ○
定格通電試験 ○ ○
接続抵抗試験 ○
3 電気的特性
電圧降下試験 ○ ○
耐電圧試験 ○ ○
圧力損失試験 ○ ○
4 圧力特性
気密試験 ○
冷媒停止試験 ○ ○
5 安全限界特性 クエンチ試験 ○
最大圧力試験 ○ ○
注記 高温超電導部の構成要素だけの特性試験の項目及び方法を附属書Dに示す。
注a) “R&D”は,電流リードシステムの基礎研究,又は試作のための試験段階を意味する。
b) “カタログ”は,電流リードに関して行われた試作,又は量産のための試験段階を意味する。
c) “受入”は,電流リード設置場所での受入検査段階を意味する。
6 特性試験の方法
推奨される試験方法を記載する。特定の用途又は境界条件によって必要となる場合は,使用者は他の試
験方法を選択することができる。
6.1 機械的特性試験
6.1.1 構造検査試験
6.1.1.1 目的
この試験では,寸法,使用材料,外形及び内部構造に加え,対象とするシステムにおける容器の断熱性
能及び気密性能を検査しなければならない。
6.1.1.2 方法
室温での構造検査試験では,寸法,使用材料,外形,内部構造などを検査しなければならない。
低温での構造検査試験では,寒剤で満たされた又は冷凍機に接続して冷却されたクライオスタットの外
表面に霜の発生,結露などの断熱状態の異常がないことを目視で検査しなければならない。この試験によ
って,クライオスタット内の多層断熱材などに破れ,欠損などがないことを確認しなければならない。
なお,室温での構造検査試験は,受入試験及びカタログ試験で行い,低温での構造検査試験は,カタロ
グ試験で行う。
6.1.1.3 結果
試験結果は,仕様と照合し,報告しなければならない。
6.1.2 応力/ひずみ効果試験
6.1.2.1 目的
この試験では,室温及び動作温度での電流リードへの機械的応力/ひずみ効果を確認しなければならな
い。
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6.1.2.2 方法
あらかじめ対象とするシステムにおける室温及び動作温度での機械的応力/ひずみレベルをシミュレー
ションなどで確認しておく。次に,使用している超電導体の弾性限界以下における最大負荷を上限として
機械的応力/ひずみを実際に印加する。
注記1 安全限界に応じて最大負荷を規定することが望ましい。一般に,最大負荷は,使用負荷の1.1
倍である。
注記2 試験は,電磁力による応力負荷と冷却による応力負荷の条件とを区別した上で,電流リード
の使用条件に応じて規定された回数を繰り返して行うことが望ましい。
注記3 電流リードを室温から動作温度まで冷却する際,電流リード構成材料の熱収縮率差によって
発生する内部応力/ひずみは,電流リードの固定方法,特に低温端での超電導機器との接続
方法,固定方法に大きく依存するため,留意することが望ましい。
6.1.2.3 結果
試験結果は,仕様と照合し,報告しなければならない。
6.2 熱的特性試験
6.2.1 非通電熱侵入試験
6.2.1.1 目的
この試験では,ジュール発熱のない非通電時において,電流リードの室温端から中間温度部,中間温度
部から低温端への熱侵入,又は室温端から低温端への熱侵入に起因する非通電時の熱侵入量を測定しなけ
ればならない。
6.2.1.2 方法
熱侵入量の測定は,試験用電流リードの冷却条件に応じて,液体寒剤の蒸発法,強制冷却する低温ガス
のエンタルピー変化法又は低温冷凍機を使用した熱伝導法によって行われなければならない。
a) 蒸発法 電流リードは,測定領域へのバックグラウンド熱侵入量が既知の,熱侵入量試験用の特殊な
クライオスタットに取り付ける。クライオスタット内では,電流リードの低温端は,液体ヘリウム及
び又は液体窒素のような適切な寒剤によって冷却される。蒸発した寒剤の質量流量は,クライオスタ
ットの出口で測定する。電流リードの熱侵入量は,電流リードの取付けによる寒剤の蒸発量の質量流
量の増加分を測定することで評価する。同様の測定を中間温度部についても行わなければならない。
低温でのガスの密度は高く,液体との密度差が小さい。このため,蒸発法では,クライオスタットの
出口で質量流量を測定する場合,蒸発した寒剤の一部が低温ガスとしてクライオスタット内に残るこ
とを考慮し,蒸発した寒剤の量を補正する必要がある。
b) エンタルピー変化法 電流リードは,測定領域へのバックグラウンド熱侵入量が既知のクライオスタ
ットに取り付ける。電流リードの冷却部には,超臨界圧ヘリウムなどの,温度及び質量流量が制御さ
れた強制冷却用低温ガスを供給する。電流リードの熱侵入量は,電流リードの入口と出口との間にお
ける低温ガスのエンタルピー変化によって評価する。
c) 熱伝導法 電流リードは,測定領域へのバックグラウンド熱侵入量が既知のクライオスタットに取り
付ける。電流リードの冷却部は,小型冷凍機の低温ヘッド部に熱的に接続する。電流リードの熱侵入
量は,冷凍機の低温ヘッド部への熱負荷の増加によって評価する。
低温でのガスの密度は高く,液体との密度差が小さい。このため,蒸発法では,クライオスタットの出
口で質量流量を測定する場合,蒸発した寒剤の一部が低温ガスとしてクライオスタット内に残ることを考
慮し,蒸発した寒剤の量を補正する必要がある。
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注記1 対応国際規格の注記1は,要求事項であるので,本文に移行することとした。
注記2 R&Dでは,電流リードの熱侵入量は,電流リードの導体に沿ったエネルギー平衡方程式の数
値解法から推定することができる。電流リードの低温端及び高温端の温度をエネルギー平衡
方程式の境界値とし,エネルギー平衡方程式の形態は,電流リードの構造によって決定され
る。一例として,ガス冷却形常電導電流リードの場合,エネルギー平衡方程式は,熱伝導,
ジュール発熱及び冷却ガスとの熱交換の項で構成される。
6.2.1.3 結果
試験結果は,仕様と照合し,報告しなければならない。
6.2.2 定格電流通電熱負荷試験
6.2.2.1 目的
この試験では,定格電流通電時での熱負荷の量を測定しなければならない。
6.2.2.2 方法
試験方法は,通電電流なしの非通電熱侵入試験に準じていなければならない(6.2.1.2参照)。
6.2.2.3 結果
試験結果は,仕様と照合し,報告しなければならない。
6.3 電気的特性試験
6.3.1 定格通電試験
6.3.1.1 目的
この試験では,通常の動作条件において,定格電流通電状態で電流リードの性能を確認しなければなら
ない。
6.3.1.2 方法
電流リードの性能を設計値と比較するため,温度分布を測定しなければならない。温度の測定点には,
少なくとも室温端,中間温度部及び低温端の3点をとらなければならない。室温端の温度は,寸法,ブス
バーの冷却条件などの境界条件の影響を受けることに注意しなければならない。
温度上昇は,通常,温度計測法又は抵抗測定法によって測定しなければならない。
試験前に,冷却装置の全ての冷却条件,寒剤の液面レベル及びその他の条件を確認しておかなければな
らない。
電流リードの通電電流は,冷却条件が定常状態に落ち着くまで,定格値を保持しなければならない。
定格通電試験中における温度分布の典型例を図C.1に示す。
6.3.1.3 結果
試験結果は,仕様と照合し,報告しなければならない。
6.3.2 接続抵抗試験
6.3.2.1 目的
この試験では,中間温度部で高温超電導部と常電導部との間の接続抵抗を測定しなければならない。ま
た,必要な場合は,低温端での高温超電導部と低温超電導部との間の接続抵抗を測定しなければならない。
6.3.2.2 方法
対象となる接続部を含む全接続抵抗の測定は,4端子法で行わなければならない。試験結果は,対象と
なる接続抵抗以外の部分による付加抵抗を補正しなければならない。
数kAよりも電流容量の小さい電流リードでは,接続抵抗に関する空間的(2次元的)な電流分布の影響
は無視することができる。しかし,電流容量の大きい電流リードでは,接続部での電流分布を考慮した解
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析又はシミュレーションによって測定結果を補正することが必要になる。このため,接続抵抗の正確な値
を得ることは,非常に難しい。この場合でも,対象となる接続部の空間的な電流分布を考慮した解析又は
シミュレーションによって測定結果を補正することで,接続抵抗が少なくとも許容値よりは小さいことを
保証することが必要である。
注記 対応国際規格の注記は,要求事項であるので,本文に移行することとした。
6.3.2.3 結果
試験結果は,仕様と照合し,報告しなければならない。
6.3.3 電圧降下試験
6.3.3.1 目的
この試験では,定格電流通電条件下における電流リードの電圧降下が,設計計算から予想した値と一致
することを確認しなければならない。
6.3.3.2 方法
冷却条件は,定格通電試験のものと一致しなければならない。
電圧降下は,室温端と低温端との間の電圧タップによって測定しなければならない。
6.3.3.3 結果
試験結果は,仕様と照合し,報告しなければならない。
6.3.4 耐電圧試験
6.3.4.1 目的
この試験では,電流リードの絶縁性能に影響を及ぼす耐電圧特性に異常がないことを確認しなければな
らない。
6.3.4.2 方法
試験前に,絶縁抵抗計を使用することによって,電流リードの絶縁性能に関係する問題がないことを確
認する。電流リードに,連続2分以上,規定の試験電圧を印加する。印加する試験電圧は,電流リードが
使用されるシステムの要件に従わなければならない。
交流機器用の電流リードでは,試験は,対象とする機器の耐電圧仕様に準じたものでなければならない。
このため,IEC 60071-1及びIEC 60137を適用しなければならない。
注記 高い信頼性が必要となるシステムでは,パッシェン気密性が要求される場合がある。パッシェ
ン気密性とは,断熱真空容器に真空漏れがあった場合に,0.1 kPa1 kPaの圧力範囲で発生する
いわゆるパッシェン最小値であっても,システムが印加電圧に耐えなければならないというこ
とを意味する(圧力が絶縁破壊電圧に及ぼす典型的な関係を図C.2に示す。)。この試験を行う
ため,電流リードは真空容器内に取り付けられ,要求される試験電圧を印加した後,容器内の
圧力を標準圧力までゆっくりと上昇させる。試験行程全体を通して,電流リードと接地電位と
の間の漏れ電流を連続的に監視する。
6.3.4.3 結果
試験結果は,仕様と照合し,報告しなければならない。
6.4 圧力特性試験
6.4.1 圧力損失試験
6.4.1.1 目的
この試験では,定格圧力で定格質量流量の低温ガスを流した場合の電流リードでの圧力損失を測定しな
ければならない。その際,電流リードの入口,出口の絶対圧の一方又は両方を規定しておく必要がある。
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6.4.1.2 方法
電流リードの入口及び出口での低温ガスの圧力差を圧力計で測定しなければならない。
6.4.1.3 結果
試験結果は,仕様と照合し,報告しなければならない。
6.4.2 気密試験
6.4.2.1 目的
この試験では,電流リードと超電導機器との間の気密性に対する適応性を確認しなければならない。
6.4.2.2 方法
ガス冷却形の電流リードは,大気側開放端を封止した状態でクライオスタットに組み込み,リークディ
テクターなどで気密性を確認する。
非ガス冷却形の電流リードでは,気密性が要求される場合は,クライオスタット内に電流リードを取り
付けた状態で気密試験を行わなければならない。
6.4.2.3 結果
試験結果は,電流リードの種類に応じた仕様と照合し,報告しなければならない。試験結果は,ガス冷
却形電流リード又は非ガス冷却形電流リードの各仕様に合わせて,超電導機器の動作条件,環境条件など
に基づく耐圧性能,気密性能などの異なる設計条件に応じて照合されなければならない。
注記 対応国際規格の注記は,要求事項であるので,本文に移行することとした。
6.5 安全限界特性試験
6.5.1 冷媒停止試験
6.5.1.1 目的
この試験では冷媒供給が停止した場合に電流リードに安全に通電を継続できる耐久時間性能の確認を行
わなければならない。
注記 通常,この試験はガス冷却形の電流リードで行う。
6.5.1.2 方法
電圧端子及び何点かの温度計を電流リードに取り付け,電流リードの電圧降下の時間変化及び最大温度
上昇を測定する。定格電流通電条件下で冷媒の停止が起きたことを想定し,電圧の時間変化及び電流リー
ド内の最大温度上昇を測定する。この場合,設計時に解析又はシミュレーションによって電流リード内の
最大温度上昇点を推定し,温度計をその位置に配置することが必要である。
6.5.1.3 結果
試験結果は,仕様と照合し,報告しなければならない。
6.5.2 クエンチ試験
6.5.2.1 目的
この試験では,電流リードの高温超電導構成要素において常電導伝ぱ(播)を開始した後の安全性の限
界試験を行わなければならない。高温超電導構成要素について,特に,低電圧領域では,常電導領域の伝
ぱ速度は非常に遅い。しかしながら,高温超電導構成要素の電圧降下は,一定のしきい(閾)値に達した
後は,急激に上昇する。同時に,高温超電導構成要素の温度も急激に上昇し,それによって高温超電導構
成要素の熱暴走が起こる。電流リードの焼損を防ぐため,高温超電導構成要素の常電導の伝ぱ拡大(クエ
ンチ)を検知後,直ちに電流リードの通電電流を遮断する必要がある。高温超電導構成要素のクエンチを
検知するためには,ノイズレベルより大きい検知可能な一定の電圧レベルが必要とされる。これらのこと
から,クエンチの検知から熱暴走までの間の時間余裕を把握することが安全性の観点から非常に重要であ
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JIS H 7314:2013の引用国際規格 ISO 一覧
- IEC 61788-14:2010(MOD)
JIS H 7314:2013の国際規格 ICS 分類一覧
JIS H 7314:2013の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISH7005:2005
- 超電導関連用語