JIS H 8682-1:2013 アルミニウム及びアルミニウム合金の陽極酸化皮膜の耐摩耗性試験方法―第1部:往復運動平面摩耗試験 | ページ 2

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c) 試験片は,汚れに応じて,エタノール,アセトンなどの適切な有機溶剤を浸した柔らかい脱脂綿など
を用いてあらかじめ清浄にする。
なお,試験片を腐食したり,保護皮膜を作るような有機溶剤を用いてはならない。

7.4 試験条件

  試験環境は,常温で相対湿度65 %以下とする。試験条件は,表2による。
なお,試験片,基準試験片及び照合試験片の試験条件は,同じでなければならない。
表2−試験条件
一般皮膜a) 硬質皮膜b)
研磨紙 CP 320 CP 240
押付け力 N 3.9±0.1 19.6±0.5
ダブルストローク速度 ds/min 40±2
予備のダブルストローク回数c) ds 50 100
ダブルストローク回数 ds 適切なダブルストローク回数d) 700 e)
注a) 耐摩耗性以外の目的で施されている皮膜。
b) 耐摩耗性の目的で施されている皮膜(JIS H 8603参照)。
c) 皮膜厚さが薄い場合など,受渡当事者間の協定によって予備摩擦を省略してもよい。
d) 摩擦回数は,皮膜厚さ10 μm当たり200 dsを目安とする。
e) 25 μm前後の皮膜,銅2 %以上を含む合金の皮膜及びけい素8 %以上を含む合金の皮膜は,300 dsとし
てもよい。

7.5 手順

  手順は,次による。
a) 研磨紙を摩擦輪の外周面に貼り付け,6.1の試験装置に取り付ける。このとき,研磨紙の両端に隙間が
なく,かつ,重ならないようにする。
b) 試験装置の案内定規を用いて,基準試験片又は照合試験片の試験箇所の位置合わせを行う。
c) 基準試験片又は照合試験片を,案内定規を用いて試験片取付台に固定する。試験片の厚さが薄くて柔
らかい場合は,試験前に,平面で硬い金属板に接着剤でしっかりと貼り付けてから試験に用いる。
d) 規定の押付け力を加え,規定する予備のダブルストロークを行う。
e) 試験終了後,基準試験片又は照合試験片を試験片取付台から外し,表面の研削粉を柔らかい布,刷毛
などで除去した後,摩擦面の中央部の皮膜厚さを6.3の膜厚測定器で0.1 μmの単位で3回以上測定し,
その平均値をJIS Z 8401の規則Aによって,小数点以下第一位で丸める。又は,基準試験片又は照合
試験片の質量を6.4のはかりで0.1 mgの位まで量り,JIS Z 8401の規則Aによって,小数点以下第一
位で丸める。
f) 試験位置を変えることなく,基準試験片又は照合試験片を試験片取付け台に固定し,規定回数のダブ
ルストロークを行う。研磨紙は,摩擦輪1回転(400 ds)に達したときに新しい研磨紙に交換する。
g) 同じ基準試験片又は照合試験片の試験位置を変え,a) f)の手順を更に2回以上行い,e)の手順によっ
て,皮膜厚さ又は質量を平均する。
h) 試験片について,a) g)の手順を行う。圧延マーク,ダイスマークなど方向性のある試験片は,通常,
筋目が摩擦方向と一致するように固定する。
なお,研磨紙は,基準試験片又は照合試験片に用いた研磨紙と同一ロットのものを用いる。

――――― [JIS H 8682-1 pdf 6] ―――――

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8 試験結果の表し方

8.1 一般

  試験結果は,3回以上の測定結果の平均値を基にして,8.28.5のいずれかによって求める。ただし,基
準試験片,照合試験片及び試験片の耐摩耗性などは,同一の計算式を用いる。また,皮膜厚さの場合は0.1μm
まで測定し,質量測定の場合は0.1 mgまでひょう(秤)量し,JIS Z 8401の規則Aによって,小数点以下
第一位で丸める。

8.2 耐摩耗性

  試験片の試験前後の皮膜厚さ又は質量の測定結果から,それぞれの試験片に施された皮膜の耐摩耗性
(WRW又はMWRW)を式(1)又は式(2)によって求める。
a) 皮膜厚さ測定の場合
N
WRW (1)
d1td2t
ここに, WRW : 往復運動平面摩耗試験における耐摩耗性(ds/μm)
N : ダブルストロークの回数(ds)
d1t : 試験片の予備摩擦後の平均皮膜厚さ(μm)
d2t : 試験片の試験後の平均皮膜厚さ(μm)
b) 質量測定の場合
N
MWRW (2)
m1t m2t
ここに, MWRW : 往復運動平面摩耗試験における質量耐摩耗性(ds/mg)
N : ダブルストロークの回数(ds)
m1t : 試験片の予備摩擦後の平均質量(mg)
m2t : 試験片の試験後の平均質量(mg)

8.3 耐摩耗性係数

  基準試験片及び試験片の耐摩耗性の値を基に,式(3)又は式(4)によって耐摩耗性係数(WRCW又は
MWRCW)を求める。
a) 皮膜厚さ測定の場合
WRt d1sd2s
WRCW (3)
WRs d1td2t
ここに, WRCW : 往復運動平面摩耗試験における耐摩耗性係数
WRt : 試験片の耐摩耗性(ds/μm)
WRs : 基準試験片の耐摩耗性(ds/μm)
d1s : 基準試験片の予備摩擦後の平均皮膜厚さ(μm)
d2s : 基準試験片の試験後の平均皮膜厚さ(μm)
d1t : 試験片の予備摩擦後の平均皮膜厚さ(μm)
d2t : 試験片の試験後の平均皮膜厚さ(μm)
注記 耐摩耗性係数は,8.4の摩耗指数の逆数であり,基準試験片の耐摩耗性係数は,1である。耐
摩耗性係数が1よりも大きければ,試験片の摩耗が基準試験片よりも少なく,逆に,耐摩耗
性係数が1よりも小さければ,試験片の摩耗が基準試験片よりも多いことを意味する。
b) 質量測定の場合
MWRt m1s m2s
MWRCW (4)
MWRs m1t m2t
ここに, MWRCW : 往復運動平面摩耗試験における質量耐摩耗性係数
MWRt : 試験片の耐摩耗性(ds/mg)

――――― [JIS H 8682-1 pdf 7] ―――――

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MWRs : 基準試験片の耐摩耗性(ds/mg)
m1s : 基準試験片の予備摩擦後の平均質量(mg)
m2s : 基準試験片の試験後の平均質量(mg)
m1t : 試験片の予備摩擦後の平均質量(mg)
m2t : 試験片の試験後の平均質量(mg)

8.4 摩耗指数

  摩耗指数(WIW又はMWIW)は,耐摩耗性係数の逆数で摩耗に対する抵抗の程度を示し,式(5)又は式(6)
によって求める。
a) 皮膜厚さ測定の場合
Wt d1td2t
WIW (5)
Ws d1sd2s
ここに, WIW : 往復運動平面摩耗試験における摩耗指数
Wt : 試験片の摩耗速度(μm/100 ds)
d1td2t
Wt 100
N
d1t : 試験片の予備摩擦後の平均皮膜厚さ(μm)
d2t : 試験片の試験後の平均皮膜厚さ(μm)
N : ダブルストロークの回数(ds)
Ws : 基準試験片の摩耗速度(μm/100 ds)
d1sd2s
Ws 100
N
d1s : 基準試験片の予備摩擦後の平均皮膜厚さ(μm)
d2s : 基準試験片の試験後の平均皮膜厚さ(μm)
注記 摩耗指数は,試験片の基準試験片に対する比率で次元はなく,試験片の基準試験片に対する
相対的な摩耗速度比であり,耐摩耗性係数の逆数である。基準試験片の摩耗指数は,1であ
る。試験片の摩耗指数が1よりも大きければ,摩耗は基準試験片よりも大きな度合いである
ことを示し,逆に,1よりも小さければ,試験片の摩耗は基準試験片よりも小さいことを示
す。
b) 質量測定の場合
MWt m1t m2t
MWIW (6)
MWs m1s m2s
ここに, MWIW : 往復運動平面摩耗試験における質量摩耗指数
MWt : 試験片の質量摩耗速度(mg/100 ds)
MWs : 基準試験片の質量摩耗速度(mg/100 ds)
m1t : 試験片の予備摩擦後の質量(mg)
m2t : 試験片の試験後の質量(mg)
m1s : 基準試験片の予備摩擦後の質量(mg)
m2s : 基準試験片の試験後の質量(mg)
注記 質量摩耗指数は,試験片の基準試験片に対する比率で次元はなく,摩耗の相対的な速度であ
る。基準試験片の質量摩耗指数は,1である。試験片の摩耗指数が1よりも大きければ,摩
耗は基準試験片よりも大きな度合いであることを示し,逆に,1よりも小さければ,試験片
の摩耗は基準試験片よりも小さいことを示す。

8.5 比摩耗速度

  比摩耗速度(CWRW又はMCWRW)は,照合試験片の摩耗速度と試験片の摩耗速度との比(%)で,式(7)
又は式(8)によって求める。

――――― [JIS H 8682-1 pdf 8] ―――――

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a) 皮膜厚さ測定の場合
Wr d1rd2r
CWRW 100 100 (7)
Wt d1td2t
ここに, CWRW : 往復運動平面摩耗試験における比摩耗速度(%)
Wr : 照合試験片の摩耗速度(μm/100 ds)
d1r d2r
Wr 100
N
d1r : 照合試験片の予備摩擦後の平均皮膜厚さ(μm)
d2r : 照合試験片の試験後の平均皮膜厚さ(μm)
N : ダブルストロークの回数(ds)
Wt : 試験片の摩耗速度(μm/100 ds)
d1t d2t
Wt 100
N
d1t : 試験片の予備摩擦後の平均皮膜厚さ(μm)
d2t : 試験片の試験後の平均皮膜厚さ(μm)
b) 質量測定の場合
MWr m1r m2r
MCWRW 100 100 (8)
MWt m1t m2t
ここに, MCWRW : 往復運動平面摩耗試験における質量比摩耗速度(%)
MWr : 照合試験片の質量摩耗速度(mg/100 ds)
m1r m2r
MWr 100
N
m1r : 照合試験片の予備摩擦後の平均質量(mg)
m2r : 照合試験片の試験後の平均質量(mg)
N : ダブルストロークの回数(ds)
MWt : 試験片の質量摩耗速度(mg/100 ds)
m1tm2t
MWt 100
N
m1t : 試験片の予備摩擦後の平均質量(mg)
m2t : 試験片の試験後の平均質量(mg)

9 試験報告書

  試験報告書には,次の事項を含めなければならない。
a) この規格の番号 : JIS H 8682-1
b) 試験年月日
c) 試験片の材質及び皮膜の種類
d) 使用した試験装置
e) 摩擦輪と試験片との押付け力
f) 使用した研磨紙
g) 試験片表面での試験位置及び試験箇所の数
h) 試験中に観察された事象
i) 照合試験片の作製条件
j) 計算結果(耐摩耗性など)

――――― [JIS H 8682-1 pdf 9] ―――――

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附属書A
(規定)
基準試験片(一般皮膜用)の作製仕様
A.1 アルミニウムの仕様
耐摩耗性試験用の基準試験片は,次のように,研磨又は光輝圧延アルミニウム平板とする。
素地の材種 : Al 99.50 %以上(A1050 P)
質別 : H14又はH24
標準寸法 : 140 mm×70 mm
厚さ : 1.0 mm2.0 mm
A.2 前処理
前処理は,界面活性剤による脱脂,軽度のアルカリエッチング及びスマット除去とする。
なお,電解研磨又は化学研磨を行ってもよい。
A.3 陽極酸化
陽極酸化は,次による。
a) 浴組成
遊離硫酸濃度 : 180 g/L±2 g/L
溶存アルミニウム濃度 : 5 g/L10 g/L
溶媒 : 脱イオン水
b) 電解条件
浴温 : 20 ℃±0.5 ℃
電流密度 : 1.5 A/dm2±0.1 A/dm2
浴かくはん : 圧縮空気及び/又は液循環
電解時間 : 約45分
皮膜厚さ : 20 μm±2 μm
試験片は,浴かくはんの効果があるように,その表面が垂直になるようにして陽極酸化する。直流電解
時のリップル率は,5 %以下とする。電解槽中の液量は,試験片1枚当たり最低10 L以上を必要とし,20
枚を超える試験片を同時に電解してはならない。基準試験片の皮膜厚さのそれぞれの変動幅は,±10 %と
する。
注記 全ての試験条件を注意深く制御すれば,基準試験片は最も正確に作製でき,かつ,再現性があ
る。
A.4 封孔
封孔は,1 g/Lの酢酸アンモニウム[NH4(C2H3O2)]を含む沸騰脱イオン水に60分間浸せきする方法によ
る。

――――― [JIS H 8682-1 pdf 10] ―――――

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JIS H 8682-1:2013の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO 8251:2011(MOD)

JIS H 8682-1:2013の国際規格 ICS 分類一覧

JIS H 8682-1:2013の関連規格と引用規格一覧