JIS K 0161:2010 表面化学分析―オージェ電子分光法―装置性能を示す主要な項目の記載方法 | ページ 2

4
K 0161 : 2010
図2−空間分解能の概念図
注記1 空間分解能がガウス形分解能関数で表されるならば,その距離は,分解能関数のFWHMの
71.5 %となる。
注記2 分解能の限界に近付くと非点収差が見られる場合がある。その場合には,複数の方位で空間
分解能を決定する必要があるときもある。
5.5.4 手法3
試料面で一つの物質がナイフエッジを形成している場合に適用する方法。穴径の5倍以上の深さをもつ
穴の上にエッジがあることが条件となる。オージェ電子励起用電子線を,エッジに垂直方向に走査するこ
とで空間分解能が得られる。プラトー部とエッジ外側部分との電流変化量の20 %80 %の変化に対応する
距離を,走査方向での空間分解能とする(図3参照)。
図3−空間分解能の概念図

――――― [JIS K 0161 pdf 6] ―――――

                                                                                              5
K 0161 : 2010
注記1 空間分解能がガウス形分解能関数で表されるならば,その距離は,分解能関数のFWHMの
71.5 %となる。
注記2 分解能の限界に近付くと非点収差が見られる場合がある。その場合には,複数の方位で空間
分解能を決定する必要があるときもある。

5.6 装置の信号強度特性及びエネルギー分解能

5.6.1  一般
装置の信号強度特性は,(直接スペクトル測定モード)918 eVにおけるCu L3VVの強度(計数率)と950
eV におけるバックグラウンド強度(計数率)との差とする。パルスカウンティング測定系の場合,特性
は,ビーム電流nA当たりの計数率の差,又はその代わりに,最適なエネルギー分解能及び最適な感度そ
れぞれに対して決まる,ビームエネルギー及びビーム電流に対する計数率の差で特徴付けられる。装置が
異なるエネルギー分解能で動作可能であるなら,異なったエネルギー分解能それぞれでの特性,バックグ
ラウンド強度及びバックグラウンド上のピークのFWHMが,少なくとも一つのビームエネルギーに対し
て与えられなければならない。信号対ノイズ比は,918 eV及び950 eVで1秒間積算して得られた装置の
光電子信号強度特性と,5.6.2又は5.6.3による方法で得られたノイズとの比として定義しなければならな
い。ノイズの測定方法も記載しなければならない。
5.6.2 手法1
ノイズは,それぞれの測定(チャンネル)を積算時間1秒で,かつ,約0.2 eVのチャンネル間隔で970 eV
と994 eVとの間を,等エネルギー間隔で測定したバックグラウンド強度における,121点の独立したデー
タに対するrmsによる偏差で定義する。rmsによる偏差は,測定強度に対する直線による最小二乗近似か
らの測定強度の偏差によって計算する。
5.6.3 手法2
ノイズは,975 eVにおけるバックグラウンド強度について,それぞれ積算時間1秒で測定された121個
のデータの,それ自身の平均値に対するrmsによる偏差で定義する。

5.7 装置のエネルギー軸

  エネルギー軸は,フェルミ準位を基準として定め,次の事項を規定しなければならない。
a) エネルギー軸の直線性
b) 装置の取扱説明書に記載されている手順によって,位置を調整した試料で測定した,Cu L3VVピーク
エネルギー値の標準偏差で表す繰返し性
c) u L3VVピーク位置における校正の正確さ
注記 中エネルギー分解能の装置のエネルギー軸校正法については,ISO 17973で規定している。
同様に,高エネルギー分解能の装置のエネルギー軸校正法については,ISO 17974で規定し
ている。

5.8 装置の強度軸の直線性

  実用的な測定条件範囲における最大計数率,及び計数率の直線性として定義された制限値(例えば,±
2 %)における最大計数率を記載する。

5.9 装置の応答関数

  装置の感度特性を記した測定条件に対して,装置の応答関数を与えることが望ましい。この応答が一定
に保たれる期間も記載しなければならない。

――――― [JIS K 0161 pdf 7] ―――――

6
K 0161 : 2010

5.10 装置のパラメータ

5.10.1 装置の収差
電子線の入射位置の分散に伴うピーク位置のずれを記載する。入射電子線の照射位置を試料表面上でX
方向,Y方向及び Z方向に移動したときの,約918 eVのCu L3VVピーク位置のシフト量をeV/mm単位
で表す。
5.10.2 分析領域
分析領域を記載する。試料表面上で入射電子線を走査する領域又は分析器の分析領域のいずれかで決め
る。分析領域とは,Cu L3VV(約918 eV)及びCu M23VV(約62 eV)の両方のピークが,中心で測定した
強度の95 %以上を与える領域と定義する。

5.11 像ドリフト

  画像化システムでは,像のドリフト速度を,所定の設置環境に対して定めなければならない。

5.12 真空環境

  規定された温度で12時間ベーキングした後,24時間経過後のベースプレッシャー又は規定されたベー
スプレッシャーに到達する時間を記載する。また,規定された真空度で分析するために必要な試料導入時
間も記載しなければならない。

5.13 主要項目の記載事例

  この規格で規定する記載事項の例を,附属書JAに示す。

――――― [JIS K 0161 pdf 8] ―――――

                                                                                              7
K 0161 : 2010
附属書JA
(参考)
主要項目の記載事例
この附属書は,この規格が規定する主要項目の記載例であって,規定の一部ではない。
JA.1 記載例
主要項目の記載例を,次に示す。
AES(AES ME-5AUGER)に関する主要項目表(JIS K 0161に準拠)
20XX年 月 日
○○○株式会社
1 分析手法
試料表面に電子線を照射することで,物質表面領域からのオージェ電子を検出し,組成・化学状態な
どに関する知見を得る手法。
2 試料
10×10×5 mm3 以下
3 構成及び配置
電子線源 : 試料台水平面に垂直方向から0°±1°
分析器 : 試料台水平面に垂直
イオン銃 : 試料台水平面に垂直方向から45°±5°
4 電子線源
4.1 カソードタイプ
ショットキー形
4.2 カソード寿命
10 000時間(経験値)
5 空間分解能及びビーム電流
15 μm @ 10 kV,10 μm @ 20 kV
炭素膜上の金粒子を手法1を用いて測定
6 分光器の信号強度特性及びエネルギー分解能
Cu L3VV
970−994 eVの範囲を0.2 eVステップで測定
50 000±5 000 カウント
7 分光器のエネルギー軸
直線性 : ISO 17973を十分に満足
Cu L3VVの繰返し精度 : ±0.5 eV
Cu L3VVの校正の正確さ : ±0.7 eV
8 分光器の強度軸の直線性

――――― [JIS K 0161 pdf 9] ―――――

8
K 0161 : 2010
1 000 Kcpsで±1 %
9 分光器の応答関数
10 分光器のパラメータ
10.1 分光器の収差
0.3 eV/mm @ Cu L3VV,918 eV
10.2 分析領域
100×100 域 @ Cu L3VV(918 eV),Cu M23VV(62 eV)
11 像ドリフト
<5 nm/時間
温度安定度±1 ℃以下,音響ノイズ 50 dB以下
12 真空環境
150 ℃ 12時間ベーキング後,24時間冷却で1×10−8 Pa以下
参考文献 ISO 17973,Surface chemical analysis−Medium-resolution Auger electron spectrometers−Calibration
of energy scales for elemental analysis
ISO 17974,Surface chemical analysis−High-resolution Auger electron spectrometers−Calibration of
energy scales for elemental and chemical-state analysis

――――― [JIS K 0161 pdf 10] ―――――

次のページ PDF 11

JIS K 0161:2010の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO 15471:2004(MOD)

JIS K 0161:2010の国際規格 ICS 分類一覧

JIS K 0161:2010の関連規格と引用規格一覧

規格番号
規格名称
JISK0147:2004
表面化学分析―用語