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硬化収縮率測定装置は,測定容器,変位計,紫外線照射装置,加熱・冷却装置,測定台などから構成す
る。紫外線硬化樹脂に対応した装置の構成例を図3に,熱硬化樹脂に対応した装置の構成例を図4に示す。
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1
2
6
3
4
5
1 : 変位計 4 : 測定台 1 : 変位計 4 : 測定台
2 : 試料 5 : 紫外線照射装置 2 : 試料 5 : 加熱・冷却装置
3 : 測定容器 6 : 紫外線 3 : 測定容器
図3−紫外線硬化収縮率測定装置の構成例 図4−熱硬化収縮率測定装置の構成例
5.3.2 測定容器
体積及び寸法が明確な容器を使用する。正確な測定を行うために,硬化後に底面から樹脂の離が起こ
らない材質か,又は壁面に試料が吸着しにくいものを用いる。また,容器形状は,その容量又は体積を計
算しやすいように,容器底面が平滑で円柱状のものが望ましい(図5参照)。
a) 断面図
b) 平面図
(容器仕様例)
深さ 0.5 mm3 mm
内径 10 mm15 mm
図5−測定容器
――――― [JIS K 6941 pdf 6] ―――――
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5.3.3 変位計(膜厚計)
変位計は,試料に影響を与えない非接触のもので,変位データを継時的に取り込む機構をもち,かつ,
試料の変化量の10分の1以下の分解能をもつものを用いる。
注記 非接触の変位計には,レーザ変位計,分光干渉レーザ変位計などがある。
5.3.4 紫外線照射装置
紫外線照射による硬化収縮率を測定するための照射装置で,光源部及び波長選択部からなる。試料の面
積に対して均一な照射ができ,また,硬化のための十分な照度のあるものとする。
5.3.5 加熱・冷却装置
測定台を±3 ℃(室温硬化温度範囲)で制御でき,かつ,十分な加熱冷却性能をもつものとする。
例えば,試料がエポキシ樹脂の場合,十分な硬化状態とするためには少なくとも150 ℃までの加熱性能
があるものとする。
5.3.6 データ処理装置
変位計の測定値を箇条7によって計算し,体積減少率として継時的に記録できるものとする。データ処
理の取込み間隔及び処理速度は,試料の硬化速度に対応できるものとする。
5.4 硬化方法
5.4.1 紫外線硬化樹脂の硬化方法
紫外線硬化樹脂の硬化に必要な照射強度,光源の種類,雰囲気を準備し,試料に適した条件及び時間で,
試料に紫外線を均一に照射して硬化する。
5.4.2 熱硬化樹脂の硬化方法
熱硬化樹脂の硬化に必要な条件に対し,十分な加熱及び冷却による温度制御機能をもつ装置(図4参照)
を用いて,試料に適した温度プログラムで加熱を行い硬化する。
6 測定手順
測定手順は,次による。
なお,測定前に,測定装置に備えた紫外線照射装置又は加熱・冷却装置によって,測定台上に試料仕様
に従った硬化条件,又は既定の硬化条件を再現する。
注記1 測定における影響要因などの例を,附属書Aに示す。
a) 測定容器に硬化前の樹脂を充し,表面を平滑にする。
b) 測定容器を,測定台に設置する。
c) 変位計で試料の中心の値を読み込み,硬化前の試料体積を求める。
d) 試料仕様に従った硬化条件又は既定の硬化条件によって試料を硬化させる。その過程において,膜厚
変化量を変位計で連続的に計測し,データ処理装置によって体積減少率を連続的にプロットする。変
位計のデータの取込み間隔は,試料によって決める。
e) 測定開始時の温度に戻した後,冷却による収縮の5分間の変位量が硬化前の試料体積の0.2 %以内に
収まった点(図2のd)を収縮終了点とする。
注記2 測定結果の例を,附属書Bに示す。
7 計算
計算は,次による。
a) 体積減少率 硬化開始から任意の時間までの体積減少率A(t) を,式(1)によって求める。
――――― [JIS K 6941 pdf 7] ―――――
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注記 容器内の試料の断面積を変化させずに膜厚だけを変化させて硬化するため,硬化開始の前後
で樹脂の断面積は,変化しない。
V0−V(t)
A(t) 100
V0
T−
0 T(t)
100 (1)
T0
ここに, A(t) : 硬化条件による,経過時間tにおける体積減少率(%)
t : 硬化開始後の経過時間
V0 : t=0における初期体積(mm3),V0=T0×S
V(t) : 経過時間tにおける体積(mm3),V(t)=T(t)×S
S : 試料断面積(mm2)(図6参照)
T0 : t=0における初期膜厚(mm)[図6 a) 参照]
T(t) : 任意の硬化条件による,経過時間tにおける膜厚(mm)
[図6 b) 参照]
b) 硬化収縮率 硬化開始から収縮終了点までの樹脂の硬化収縮率ADを,式(2)によって求める。
V0−VD
AD 100
V0
T0 TD
100 (2)
T0
ここに, VD : 収縮終了点(D)における体積(mm3)
TD : 収縮終了点(D)における膜厚(mm)[図6 c) 参照]
(t)
TD
T
初期 硬化開始後の経過時間t 収縮終了時D
a) 測定開始時 b) 測定時 c) 測定終了時
図6−試料の膜厚及び断面積
8 報告
測定報告には,次の事項を記載する。
注記 測定報告書の記載例を,附属書Cに示す。
a) この規格の番号及び用いた測定方法の種類
b) 測定年月日
c) 用いた測定装置の名称
d) 試料を特定するのに必要な全ての詳細事項
e) 硬化前の測定温度
――――― [JIS K 6941 pdf 8] ―――――
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f) 試料の硬化方法及び条件
− 紫外線硬化の場合 : “照射装置の波長”,“サンプル表面の照射強度”,“照射時間”
− 熱硬化の場合 : “硬化温度及びその保持時間”
g) 試料容器の底面積及び深さ
h) 測定結果(硬化条件,体積減少率及び硬化収縮率)
i) 特記事項
――――― [JIS K 6941 pdf 9] ―――――
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附属書A
(参考)
測定における影響要因など
測定は,次の影響要因を考慮して行うとよい。
a) 測定装置への温度の影響 測定温度によっては,測定台及び測定容器に熱膨張の影響が出る。
b) 変位計の精度 変位計の精度に応じて測定値に機械的誤差が生じる。例えば,変位計のもつ測定精度
が1 mの場合,硬化前膜厚(T0)1 mmで測定した場合,測定値に0.1 %の機械的誤差が生じる。
c) 測定容器内壁に吸着する試料の影響 硬化収縮時に測定容器内壁に試料が吸着する(メニスカス)場
合,その影響によって硬化後の試料の体積が小さく計測されるため,体積収縮率が大きく算出される。
例えば,φ10 mm,厚さ1 mmの測定容器(体積78.5 mm3)で測定を行い,膜厚変位量が0.1 mm(体
積収縮率10 %,体積70.65 mm3)の試料に45°の角度で吸着(メニスカス)が生じた場合,メニスカ
ス形成分の容積(0.16 mm3)は,硬化前試料の体積に対して約0.2 %となり,体積収縮率は実際に対し
て0.2 %大きく算出される。
d) 収縮における断面積の変化 測定後,測定容器壁面と試料との間に隙間が生じる場合,その分樹脂の
体積が大きく算出される。例えば,φ10 mm,厚さ1 mmの測定容器(体積78.5 mm3)で測定を行い,
膜厚変位量が0.1 mm(体積収縮率10 %,体積70.65 mm3)の試料に,測定容器の壁から最上部で0.5 mm
の隙間が最低部(最低部は0 mm)まである場合,その形成分の容積(6.7 mm3)は硬化前試料の体積
に対し約8.5 %となり,体積収縮率は実際に対して8.5 %小さく算出され,大きな誤差となる。
――――― [JIS K 6941 pdf 10] ―――――
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JIS K 6941:2019の国際規格 ICS 分類一覧
- 83 : ゴム及びプラスチック工業 > 83.080 : プラスチック > 83.080.10 : 熱硬化性材料
- 17 : 度量衡及び測定.物理的現象 > 17.060 : 体積,質量,密度,粘度の測定
JIS K 6941:2019の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISK6900:1994
- プラスチック―用語
- JISK7100:1999
- プラスチック―状態調節及び試験のための標準雰囲気