JIS K 6949:2015 プラスチック―生分解度試験のための試料の作り方 | ページ 2

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この規格で規定する方法は,ポリマーペレットから最終製品まで,一定の再現性をもつ生分解度試験材
料の調製法であり,この方法を用いることで,試料の形状が生分解度試験の結果に及ぼす影響はほとんど
なくなる。
試験材料から得た生分解データは,できるだけ正確で再現可能であることが必要である。一貫した試験
データを構築するときは,この方法を使用して作製した,一定の表面積をもつ試験材料を用いなければな
らない。これによって,水系培養液,制御されたコンポスト,消化汚泥,又は土壌の環境下で試験材料に
高い均質性がもたらされる。試料の調製は,試験材料の物理特性を変えることなく,低温で機械的に試験
材料を粉砕又は切断して行う。試料調製中の結晶性,熱履歴,熱分解などの特性変化は,回避するか又は
少なくとも最小限にすることが望ましい。一般には,ポリマーの試験材料の結晶性は,ポリマーのガラス
転移温度より低い温度での,機械的粉砕又は切断の間に変化することがない。
粉状試験材料の単位質量当たりの表面積は,粒径によって限定してもよいが,これは生分解度試験の手
順で規定されているパラメータでなければならない。ナノサイズの粒子は,ミクロサイズの粒子と異なる
特性をもつことがある。これが,試料の生分解度に影響を与え,試験データの比較を信頼できないものに
することがある。この規格で規定する方法は,粒度を調節することによって,生分解度試験における試料
の表面積の様々な影響を最小限にする。

5 試薬

  試薬は,次による。
5.1 固体二酸化炭素 機械的な粉砕中に試験材料を,冷却して,低温に維持するために使用する固体二
酸化炭素は,分析用である必要はない。粒径が,l mm10 mmの,粉砕した固体二酸化炭素が望ましい。
注記 一般に,固体二酸化炭素は,ドライアイスとして知られている。
5.2 液体窒素 機械的な粉砕中に試験材料を冷却して低温に維持するために使用される液体窒素は,分
析用である必要はない。

6 装置

  装置は,次による。
なお,全ての器具は,有機物又は毒性物質が付着していないものでなければならない。
6.1 ふるい JIS Z 8801-1に規定されている目開き125 μm及び目開き250 μmのふるい。粉状試験材料
は,粒径の上と下とを排除するためにサイズの異なるふるいを使用して分級する。
6.2 ロータミル ポリマーペレット,ポリマー製品又は他の試料を機械的に粉状にするための,回転す
る刃及びリングふるいをもつもの。リングふるいの目のサイズの推奨最小値は,カッターの目詰まりを防
止するために,0.5 mmよりも大きいものが望ましい。
なお,得られる試料粒子の粒度分布は,リングふるいのサイズに大きく依存する。
6.3 機械式回転ミキサ ポリマーペレット,ポリマー製品又は他の試料を粉状にするための,機械的に
回転する刃をもつもの。
チタン製の刃をもつ機械式回転ミキサが望ましいが,ステンレス鋼製の刃をもつ機械式回転ミキサを使
用してもよい。
6.4 ボールミル 製品を小さいサイズにすりつぶすための,幾つもの金属製又はセラミック製のボール
を内蔵した回転室又は振動室をもつもの。冷却剤として固体二酸化炭素又は液体窒素を密閉された回転室
又は振動室に使用すると圧力が上昇するため危険である。これを避けるために回転室又は振動室を外部か

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ら冷却することが望ましい。
6.5 ふるい振動器 3個以上のふるいを収納でき,振動することで粉状試験材料を分級できるもの。
6.6 顕微鏡 粉砕された粉状試験材料の粒度分布を測定することができるもの(7.2.3参照)。光学式又は
走査電子顕微鏡を使用してもよいが,使いやすさの点から,カメラを装備した光学式顕微鏡が望ましい。

7 手順

7.1 粉砕前の試験材料の準備及びサイズ調節

  試験材料は,均質で,いかなる汚染物質も付着していないものでなければならない。試験材料及び粉砕
のための容器は,機械的な粉砕の前に,固体二酸化炭素又は液体窒素で十分に冷却しなければならない。
もとの試験材料が大きすぎる場合には,約1 cm×1 cm×1 cmのサイズまで小さくする。

7.2 ペレット又はか粒から調製する粉状試験材料

7.2.1  機械的粉砕によって調製した粉状試験材料
警告 冷却剤の使用時は次の点に注意する。
a) 冷却剤を用いる場合には低温やけどを生じないように保護具を着用する。
b) 容器の冷却不足によって突沸が生じ,試験材料及び冷却剤が飛散することがあるため,容
器は十分に冷却する。
c) 冷却剤の気化のため内圧が上昇するので,密閉容器に冷却剤を入れてはならない。
d) 開放容器の場合は,凍結によって容器の開放部が密閉状態になり内圧が上昇することがあ
るので,密閉状態にならないように注意する。
事前に大きさを調製した試験材料を,ロータミル,機械式回転ミキサ又は他のタイプの低温ミルを用い
て,機械的に粉砕する。開放系の容器を用いる装置では冷却剤を内部に加えて,密閉系の容器を冷却する
場合には冷却剤を外部から使用して,適切な量の試験材料を粉砕機に加える。
注記 適切な量は,用いる装置の容器の大きさ及び能力に依存する。
必要とする安全機器が常時使用され,かつ,作業場の換気が十分であることを確認する。
粉状試験材料の調製を容易にするだけでなく熱劣化の影響を最小限に抑えるために,試験材料は,ガラ
ス転移温度よりも下の温度に維持することが重要である。
7.2.2 機械的粉砕後の粉状試験材料のふるい分け
機械的に粉砕した粉状試験材料を乾燥させた後,異なる目開きの二つのふるいを用いて,特定の粒度の
粒子を分離する。分離には,目開き250 μm及び目開き125 μmのふるいを使用しなければならない。目開
き250 μmのふるいを通過した粉状試験材料を集めて,目開き125 μmのふるいにかける。目開き125 μm
のふるいに残った分級分を,粉状試験材料として保存する。250 μmを超える分級分は再粉砕に用いるか,
125 μm未満の分級分とともに破棄する。
注記 チタン製の刃をもち,固体二酸化炭素を冷却剤として使用した機械式回転ミキサで粉砕した典
型的なポリマー粉状試験材料の顕微鏡写真を,附属書Aに示す。
7.2.3 粉状試験材料の粒度分布の測定
7.2.2に規定する方法によって得た粉状試験材料の粒径を最低100個の粒子から求め,平均粒径及び粒度
分布を記録する。
注記 粉砕された粉状試験材料の粒度分布は,顕微鏡観察で測定することができる。各粒子のサイズ
は,適切な画像分析ソフトウェアを使用したデジタル顕微鏡写真によるか,又は目視観察のい
ずれかによって測定することができる。いつでも解析することができるため,測定方法として

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は顕微鏡写真が望ましい。

7.3 フィルム及びシートから調製する試験材料

  フィルム及びシートの試験材料は,原料フィルム又は原シートから切り取って調製する。試料の断片の
サイズは,約1 cm×1 cmとする。試料内の断片の平均厚さを測定し,記録する。
注記1 約1 cm×1 cmのサイズの断片の標準的なフィルム試料を,附属書Bに示す。
フィルム又はシートの断片が試験容器には大きすぎる場合は,7.2.1に従ってサイズを小さくすることが
できる。次に,測定に必要な粒度の分級分を,7.2.2に従って粉砕粒子から採取する。採取した粉状試験材
料の粒度分布は,7.2.3に従って求める。
注記2 125 μmを超える粉砕フィルムの典型的な生分解度試験の結果を,附属書Bに示す。

7.4 製品の試験材料

  製品の試験材料は,次による。
a) 製品から調製するバルク材 製品からバルク材を調製する。製品の形状によって,ブロック状製品で
は,3辺,フィルム状製品では2辺,糸状製品では1辺が0.5 cmより大きくなければならない。
b) バルク材から調製する粉状試験材料 a)によって製品から得られたバルク材を,機械的粉砕(7.2参照)
によって粉状試験材料(粒径125 μm250 μm)に調製する。その場合には,粒度分布を7.2.3に従っ
て測定し,記録しなければならない。
注記 市販のプラスチック製品から切り取った典型的なバルク材の試験材料及びそのバルク材を粉砕
した粉状試験材料並びに生分解度試験の結果を,附属書Cに示す。

7.5 保管

  試験材料は,調製直後に生分解試験で使用しない場合には,注意して保管しなければならない。試験材
料は室温よりも低い温度で,かつ,光のない,大気中の化学物質の影響から離れたところに保管する。
湿度を低く保つために真空デシケータ内での保管が望ましい。

8 計算及び結果の表現

  粉状試験材料の粒径を測定した場合には,平均粒径,標準偏差及び粒度分布を報告する。

9 調製した試料の有効性

  全ての試験材料の検査は,目視で行う。
なお,次の基準が満たされる場合,それらの試験材料は生分解度試験に適したものとみなす。
− 調製した試験材料と原材料との間の色に差がない。
− 試料に熱履歴によるものと思われる見た目の変化がない。
− 試料に不純物又は汚染物質が観察されない。
これらの基準のいずれかが満たされない場合は,規定した手順に従って,新たな試験材料を調製する。

10 試料調製報告書

  試料調製報告書には,関連する全ての情報を提供しなければならない。また,少なくとも次の事項を含
めなければならない。
a) この規格の番号
b) 有機炭素含有量,入手先,年代,製造年月日,及び保管,取扱い並びに安定化の詳細のような試験材
料を識別するために必要な全ての情報。さらに,入手できる場合には,材料の名称,組成及び特性値

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(例えば,分子量,結晶性,融点,密度など)
c) 平均直径(ペレットの場合),平均厚さ(シート又はフィルムの場合),又は最大及び最小粒径(粉状
試験材料の場合)など,試験材料の断片の形状及びサイズ
d) 使用した粉砕装置,使用した冷却剤のタイプ及び量,装置の容量,刃のタイプ又は使用したリングふ
るいのタイプなど,粉砕装置に関するその他の情報
e) 使用したふるいのタイプ,ふるいに与えた振動数及び振動の頻度
f) 構造,色,臭いなど,試験材料に関する感覚的な観察結果
g) 保管の温度,湿度,長さなど,試験材料を保管した条件
h) 粉状試験材料については,粒度分布及びそれを測定するために使用した方法

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附属書A
(参考)
機械式回転ミキサを使用した粉砕によってペレットから生成した
粉状試験材料の調製及び試験の例
二つの異なる種類のポリマー材料であるポリ乳酸(PLA)[4]及びポリカプロラクトン(PCL)[5]のペレ
ットを,チタン製の刃をもつ機械式回転ミキサを用いて個別に粉砕した。それぞれのケースで,ペレット
は固体二酸化炭素を使用して冷却した。粉砕は3分間を15回実施し,ミキサ内のモータの過熱を防止する
ため,各回の粉砕後に,5分間の間隔をおいた。次に,粉砕粒子を乾燥させ,目開き500 μmのふるい,目
開き250 μmのふるい及び目開き125 μmのふるいをふるい振動器を用いて,分級分に分けた。次に,少な
くとも100個の粒子のサイズを顕微鏡写真法で測定した。
PLA粉状試験材料及びPCL粉状試験材料の回収率,平均粒径及び標準偏差を,それぞれ表A.1及び表
A.2に示す。平均粒径は,各粒子の最長寸法の測定値から計算した。顕微鏡写真の中に存在する,サイズ
が10 μm未満の小さな粉末粒子は無視した。PLA粉状試験材料及びPCL粉状試験材料の粒度分布を,そ
れぞれ図A.1及び図A.2に示す。PLA粉状試験材料及びPCL粉状試験材料の顕微鏡写真を,それぞれ図
A.3及び図A.4に示す。
表A.1−ふるいを使用して分級したPLA粉状試験材料の回収率及び粒径
粒径範囲(μm)a) 回収率(質量%) 平均粒径(μm) 標準偏差(μm)
0125 25 60.8 39.7
125250 25 214.2 64.7
250500 31 303.9 97.2
>500 19 − −
注a) 表示した目開きサイズのふるいを使用して分級
表A.2−ふるいを使用して分級したPCL粉状試験材料の回収率及び粒径
粒径範囲(μm)a) 回収率(質量%) 平均粒径(μm) 標準偏差(μm)
0125 35 75.7 41.4
125250 30 180.7 76.8
250500 20 297.6 86.5
>500 15 − −
注a) 表示した数字の目開きサイズのふるいを使用して分級

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JIS K 6949:2015の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO 10210:2012(MOD)

JIS K 6949:2015の国際規格 ICS 分類一覧

JIS K 6949:2015の関連規格と引用規格一覧