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暴露された試験片の表面温度の範囲を評価するため,さらに,試験装置内の放射照度又は条件をより良
く制御するために,ブラックスタンダード温度計に加え,ホワイトスタンダード温度計を用いることを推
奨する。ホワイトスタンダード温度計は,ブラックスタンダード温度計と同じデザインで出来ている。黒
色塗装の代わりに,耐久性の良い白色塗装が用いられる。塗装面の反射率は,3001 000nmに対し少なく
とも90%,1 0002 500nmに対し少なくとも60%でなければならない。
5.1.5.2 ブラックパネル温度計 : 現在広く使用されているが,デザインのかなり異なったブラックパネル
温度計が開発され,いろいろな形式の試験装置に使用されてきた。ブラックパネル温度計は,黒色金属板
を試験片ホルダに熱絶縁しないで取り付けている。このことがブラックパネル温度計とブラックスタンダ
ード温度計の根本的な違いである。したがって,一定の試験条件の下で,ブラックパネル温度計は,5.1.5.1
に規定するブラックスタンダード温度計よりも低い温度を指示する傾向がある。使用されているブラック
パネル温度計のあるものは,厚さ約1mm,長さ約150mm,幅約70mmのステンレス鋼板で出来ている。
光源に向くこの板の表面は,黒色塗装されている。黒色板は,2 500nmまでの全入射光束の少なくとも90%
を吸収する。黒色板の温度は,黒色板の暴露面の中央部にしっかり固定した,黒色塗装した胴形のバイメ
タル円形センサ又は測温抵抗体のいずれかによって測定する。使用したブラックパネル温度計の寸法,セ
ンサの形式,センサ部の固定方法などを試験報告書に明記する必要がある。また,ブラックパネル温度計
の試験片ホルダへの取付方法を明記しなければならない。
5.1.6 あらかじめ設定した時間間隔で,試料をぬらす装置のスイッチを入れたり,オプションとして光源
のスイッチを入切する自動プログラム制御装置
5.2 試験装置には,オプションとして試験片表面の放射照度及び放射露光量を測定する放射照度計を備
えていてもよい。
試験片表面の放射照度 (W/m2) 及び放射露光量 (J/m2) は,試験片が受けるのと同じ放射を受けるように
取り付けられた,光電式センサで測定する。もし,試験片表面と異なる位置の場合は,十分な受光視野を
もち,かつ,試験片の距離での放射照度に校正されていなければならない。
放射照度計は,使用される光源の放射領域において校正されていなければならない。校正は,放射照度
計の製造業者の推奨に従ってチェックしなければならない。少なくとも1年に1回は,完全な校正が必要
である。
放射照度計を用いる場合,放射照度は受渡当事者間で協定された波長範囲で測定される。
300400nm又は300800nmの放射照度がしばしば用いられている。ある試験装置では,特定波長(例
えば,340nm)の分光放射照度 [W/ (m2・nm) ] を測るようになっている。
備考1. 人工促進暴露試験装置で測定された放射露光量と屋外暴露の放射露光量を直接比較するには,
同一の放射照度計を使用するのが最もよい。
5.3 特定の試験手順の要求を満たすため,必要に応じて,試験装置に次の運転条件を表示又は記録する
ものを装備することが望ましい。
電源電圧
ランプ電圧
ランプ電流
ブラックスタンダード温度計の温度又はブラックパネル温度計の温度
試験槽空気温度
試験槽相対湿度
水噴霧サイクル
――――― [JIS K 7350-1 pdf 6] ―――――
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水質
分光放射照度及び放射露光量
試験時間(照射時間,及び連続照射でない場合は総時間)
6. 試験片
6.1 形状及び作製
6.1.1 暴露する試験片の寸法及び形状は,原則として,暴露試験後に測定する品質特性についての適切な
試験方法に規定されたものとする。ある種の品質試験では,暴露する試験片は,暴露後に特定試験用の試
験片を切り出せるような板状,又は他の形状のものであってもよい。
6.1.2 試験する材料が,か粒,チップ,ペレット状などの原材料の場合は,試験片は適切な成形方法で作
られた板から切り出す。試験片として成形する場合は,押出成形,射出成形又はその他の適切な方法で作
製してもよい。試験片の作製については,ISO 293,ISO 294,ISO 295,ISO 2557-2及びISO 3167を参照
する。試験片の作製方法は,受渡当事者間で取り決め,通常その材料が使用者によって加工される方法に
近いものでなければならない。
6.1.3 試験する材料が,押出し品,モールド品,シートなどの形状の場合は,試験片は,その特性試験の
要求事項及びその材料の性質に基づいて,暴露前又は暴露後のいずれから作製してもよい。
例えば,暴露によって著しくぜい(脆)化する材料は,後からの機械加工が難しいので,特性試験を行
う形状で暴露されるべきである。特に衝撃強さ試験用の切欠きは,暴露前に加工し,暴露中は光源ランプ
に向けたままにしておかなければならない。切断端部からはがれが起こるラミネートのような材料は,板
状で暴露し,その特性試験用の試験片は,暴露後に切り出すべきである。機械加工による試験片の作製に
ついては,ISO 2818を参照する。
6.1.4 特定の種類の成形品への影響を測定したいときは,できる限りその成形品のままで暴露するべきで
ある。試験目的に十分な大きさの成形品又はその部品は,そのまま暴露する。材料の一部分を切り出して
暴露し,暴露後に特性試験用の試験片を切り出す場合には,暴露によって劣化した表面を取り除いてはな
らない。試験片を暴露した板から切り出す場合は,可能な限り暴露材料の保持具又は材料の暴露条件の再
現を意図しない保持部分から20mm以上のところを採り出す。いかなる場合でも,試験片作製中に暴露表
面を少しでも取り除いてはならない。
6.1.5 材料間の比較を目的とする場合は,試験片は,寸法及び暴露面積が同じとなるようなものを用いる。
6.2 試験片の数
6.2.1 各試験条件又は暴露ステージに対する試験片の数は,暴露後に測定する品質特性について定めた試
験方法に規定されているとおりとする。
備考2. 機械的特性を測定する場合には,暴露する試験片の数は,関連の国際規格及び日本工業規格(日本産業規格)
で規定された数の2倍とするのがよい(この理由は,一般に,耐候性試験を行ったプラスチッ
クの機械的特性の測定結果の標準偏差が大きいためである。しかし,測定結果の母平均が既
知の場合にはこのような配慮は必要ないが,初めての材料での試験の場合には十分な配慮を
必要とする。)。
6.2.2 必要とされる試験片の総数は,品質特性の初期値の測定必要数と暴露ステージの数によって決まる。
6.2.3 適用される品質特性の試験方法に暴露試験片の数が指定されていない場合は,各暴露ステージに対
し,材料ごとに最低3個の試験片を用意することが望ましい。
――――― [JIS K 7350-1 pdf 7] ―――――
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K 7350-1-1995 (ISO 4892-1 : 1994)
6.2.4 各暴露試験ごとに,既知の耐候性レベルをもった比較試験片を含めるべきである。この方法は,各
試験ごと又は試験機関の間のばらつきを調整するのに役立つし,材料開発又は品質管理における耐久性評
価にも役立つであろう。試験機関の間の比較ができるように,前もって比較標準物質を決めておくことも
必要である。
6.3 保管及び状態調節
6.3.1 評価のための試験片は,常に切り出した後状態調節するが,ある場合には,試験片の作製を簡略化
するために,切出しに先立って試料をあらかじめ状態調節することが必要となることもある。
6.3.2 評価試験の前に,試験片を適切に状態調節することは大切である。ある種のプラスチックの性質は,
水分含有量に非常に敏感なので,状態調節の期間は,試験片を特に過酷な条件で暴露した場合は,ISO 291
に規定されている期間よりも長くする必要があることもある。
6.3.3 保存試料は,通常の試験室条件,望ましくはISO 291に規定する標準状態の一条件で暗所に保管す
る。
6.3.4 ある種の材料は,特に暴露後,暗所で保存中に色変わりする。したがって,測色又は視感比較は,
暴露後,暴露面が乾燥したらできる限り速やかに行うことが必要である。
7. 評価試験条件及び手順
試験条件及び手順は,選択した試験方法による。JIS K 7350-2,JIS K 7350-3又はJIS K 7350-4(ISO 4892
の第2部,第3部又は第4部)を直接参照すること。
8. 試験報告書
試験報告書には,次の事項を記録する。
a) 試料の詳細
1) 試料の仕様及び出所
b) 試験片の作製方法
c) 試験方法 JIS K 7350-2,JIS K 7350-3又はJIS K 7350-4(ISO 4892の第2部,第3部又は第4部)
d) 試験の詳細
1) 使用した光源の仕様,及び測定したときは,試験片表面の放射照度
2) ランプの運転モード及び使用したフィルタシステム
3) 使用した温度計と取付方法
− ブラックスタンダード温度計
− ブラックパネル温度計(温度計の仕様と取付方法)
4) ブラックスタンダード温度又はブラックパネル温度の平均値及び変動範囲
5) 試験片上を流れる空気の相対湿度の平均値及び変動範囲
6) 水噴霧の条件(使用した場合)
7) 試験片の裏打ちの種類及び試験片の取付方法
8) 試験片の回転条件(使用した場合)
9) 放射照度計を使用した場合は,露光量の計測方法及び暴露ステージの決定手順(暴露ステージは,
J/m2の単位で定義する。)
e) 試験結果
1) 暴露ステージ
――――― [JIS K 7350-1 pdf 8] ―――――
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K 7350-1-1995 (ISO 4892-1 : 1994)
2) SO 4582に規定する必要特性の測定結果の記録
3) 比較試験片を暴露した場合は,その変化
f) 試験年月日
関連規格 JIS B 7753-1993 サンシャインカーボンアーク灯式耐光性及び耐候性試験機
JIS B 7754-1991 キセノンアークランプ式耐光性及び耐候性試験機
――――― [JIS K 7350-1 pdf 9] ―――――
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K 7350-1-1995 (ISO 4892-1 : 1994)
JIS原案作成委員会本委員会 構成表
氏名 所属
(委員長) 渡 辺 寧 工業技術院物質工学工業技術研究所
代 田 忠 代田技術事務所
大久保 和 夫 財団法人日本ウエザリングテストセンター
峰 松 陽 一 芝浦工業大学
田 中 正 躬 通商産業省基礎産業局
地 崎 修 工業技術院標準部
相 沢 明 三菱樹脂株式会社
須 賀 蓊 スガ試験機株式会社
徳 竹 敦 夫 日本石油化学株式会社
田 中 淑 夫 株式会社島津製作所
小 野 瑞 穂 株式会社東洋精機製作所
小 倉 和 雄 岩崎電気株式会社
森 本 君 保 オカモト株式会社
浜 島 俊 行 日本石油化学株式会社
角 田 林 一 旭化成工業株式会社
浅 野 興 三 ダイキン工業株式会社
比恵島 康 夫 塩化ビニル工業協会
岸 本 祐一郎 三菱レイヨン株式会社
丸 矢 一 夫 日産自動車株式会社
松 野 邦 雄 株式会社東芝
香 山 茂 財団法人高分子素材センター
(事務局) 樋 口 秀 臣 財団法人高分子素材センター
三 宅 孝 治 財団法人高分子素材センター
田 村 正 勝 日本プラスチック工業連盟
JIS原案作成委員会分科会 構成表
氏名 所属
(分科会長) 渡 辺 寧 工業技術院物質工学工業技術研究所
代 田 忠 代田技術事務所
大久保 和 夫 財団法人日本ウエザリングテストセンター
相 沢 明 三菱樹脂株式会社
須 賀 蓊 スガ試験機株式会社
伊 藤 久 旭化成工業株式会社
田 中 淑 夫 株式会社島津製作所
小 野 瑞 穂 株式会社東洋精機製作所
小 倉 和 雄 岩崎電気株式会社
浜 島 俊 行 日本石油化学株式会社
鈴 木 寛 二 住友ダウ株式会社
比恵島 康 夫 塩化ビニル工業協会
岸 本 祐一郎 三菱レイヨン株式会社
小野木 晟 二 三菱化成株式会社
(事務局) 樋 口 秀 臣 財団法人高分子素材センター
三 宅 孝 治 財団法人高分子素材センター
田 村 正 勝 日本プラスチック工業連盟
JIS K 7350-1:1995の引用国際規格 ISO 一覧
- ISO 4892-1:1994(IDT)
JIS K 7350-1:1995の国際規格 ICS 分類一覧
- 83 : ゴム及びプラスチック工業 > 83.080 : プラスチック