JIS K 7350-1:1995 プラスチック―実験室光源による暴露試験方法 第1部:通則

JIS K 7350-1:1995 規格概要

この規格 K7350-1は、JIS K 7350-1(ISO 4892-1)は,第2部以下(JIS K 7350-2~K 7350-4)に規定する暴露試験方法の選択及び操作に関連する情報と,全体的な指針について規定。放射照度及び放射露光量を測定する方法並びにプラックスタンダード温度計及びフラットパネル温度計について規定し,推奨する。

JISK7350-1 規格全文情報

規格番号
JIS K7350-1 
規格名称
プラスチック―実験室光源による暴露試験方法 第1部 : 通則
規格名称英語訳
Plastics -- Methods of exposure to laboratory light sources Part 1:General guidance
制定年月日
1995年10月1日
最新改正日
2016年10月20日
JIS 閲覧
‐ 
対応国際規格

ISO

ISO 4892-1:1994(IDT)
国際規格分類

ICS

83.080
主務大臣
経済産業
JISハンドブック
プラスチック I(試験) 2021, プラスチック II(材料) 2021
改訂:履歴
1995-10-01 制定日, 2002-01-20 確認日, 2006-10-20 確認日, 2011-10-20 確認日, 2016-10-20 確認
ページ
JIS K 7350-1:1995 PDF [10]
                                       日本工業規格(日本産業規格)                             JIS
K 7350-1-1995
(ISO 4892-1 : 1994)

プラスチック−実験室光源による暴露試験方法第1部 : 通則

Plastics−Methods of exposure to laboratory light sources Part1 : General guidance

日本工業規格(日本産業規格)としてのまえがき
この規格は,ISO 4892-1 : 1994 (Plastics−Methods of exposure to laboratory light sources−Part l : General
guidance) を翻訳し,技術的内容及び規格票の様式を変更することなく作成した日本工業規格(日本産業規格)である。
なお,この規格で下線(点線)を施してある箇所は,原国際規格にはない事項である。
原国際規格のまえがき(抜粋)
ISO 4892 (JIS K 7350) は,一般名称を“プラスチック−実験室光源による暴露試験方法”とし,次の各部
(パート)によって構成される。
プラスチック−実験室光源による暴露試験方法 (Plastics−Methodsof exposure tolaboratory light sources)
第1部 : 通則 (Part 1 : General guidance)
参考 JIS K 7350-1(プラスチック−実験室光源による暴露試験方法 第1部 : 通則)-1995が,この
国際規格と一致している。
第2部 : キセノンアーク光源 (Part 2 : Xenon-arc sources)
参考 JIS K 7350-2(プラスチック−実験室光源による暴露試験方法 第2部 : キセノンアーク光源)
-1995が,この国際規格と一致している。
第3部 : 紫外線蛍光ランプ (Part 3 : Fluorescent UV lamps)
参考 JIS K 7350-3(プラスチック−実験室光源による暴露試験方法 第3部 : 紫外線蛍光ランプ)
-1995が,この国際規格と一致している。
第4部 : オープンフレームカーボンアークランプ(1) (Part 4 : Open-flame carbon-arc lamps)
参考 JIS K 73504(プラスチック−実験室光源による暴露試験方法 第4部 : オープンフレームカー
ボンアークランプ)-1995が,この国際規格と一致している。
注(1) サンシャインカーボンアークともいう。

――――― [JIS K 7350-1 pdf 1] ―――――

2
K 7350-1-1995 (ISO 4892-1 : 1994)
0.

序文

  プラスチックの色及びその他特性にかかわる耐候性は,技術及び商業上で大変重要である。屋外暴露試
験方法は,ISO 877 : 1976 (Plastics−Methods of exposure to direct weathering, to weathering using glass-filtered
daylight, and to intensified weathering by daylight using Fresnel mirrors) として制定されている。しかし,促進
方法によってその情報を得たいという要望があり,この目的のために特定の人工光源を使用する。屋外暴
露と比較すると,人工促進暴露試験装置による暴露は,ポリマーの劣化及び製品の品質低下を促進するよ
うに設計され,かつ,コントロールされた条件を用いることができる。
一般的にいって,影響する因子が多いため,人工促進暴露試験と屋外暴露試験によるそれぞれの劣化過
程の間には確実な相関は期待できない。試験するプラスチックの劣化に影響する主要因子が同じであるか,
又はよく分かっている場合に限り,ある特定の関係が期待されるだけである。
1. 適用範囲
1.1 この規格(ISO 4892の第1部)は,第2部以下 (JIS K 7350-2K7350-4) に規定する暴露試験方法
の選択及び操作に関連する情報と,全体的な指針について規定する。
1.2 放射照度及び放射露光量を測定する方法並びにブラックスタンダード温度計及びブラックパネル温
度計について規定し,推奨する。
1.3 暴露結果の評価方法は,JIS K 7350 (ISO 4892) では規定していない。ISO 4582を参照のこと。
2. 引用規格
次の規格は,この規格に引用することによって,この規格の規定の一部を構成する。この規格の発行の
時点では,引用規格はここに示す発行年の版の規格が有効であるが,すべての規格は改正されることがあ
るので,この規格の使用者は,引用規格の最新版を適用できるかどうか検討することが望ましい。
ISO 291 : 1977, Plastics−Standard atomospheres for conditioning and testing.
ISO 293 : 1986, Plastics−Compression moulding test specimens of thermoplastic materials.
参考 JIS K 7151(プラスチック−熱可塑性プラスチック材料の圧縮成形試験片)−1995が,この
国際規格と一致している。
ISO 294 : 1975, Plastics−Injection moulding test specimens of thermoplastic materials.
参考 JIS K 7152(プラスチック−熱可塑性プラスチック材料の射出成形試験片)−1995が,この
国際規格と一致している。
ISO 295 : 1991, Plastics−Compression moulding of test specimens of thermosetting materials.
ISO 2557-2 : 1986, Plastics−Amorphous thermoplastics−Preparation of test specimens with a specified
version−Part 2 : Plates
ISO 2818 : 1980, Plastics−Preparation of test specimens by machining.
ISO 3167 : 1993, Plastics−Multipurpose test specimens.
参考 JIS K 7139(プラスチック−多目的試験片)−1995が,国際規格と一致している。
ISO 4582 : 1980, Plastics−Determination of changes of colour and variations in properties after exposure to
daylight under glass, natural weathering or artificial light.
ISO 4892-2 : 1994, Plastics−Methods of exposure to laboratory light sources−
Part 2 : Xenon-arc sources
参考 JIS K 7350-2(プラスチック−実験室光源による暴露試験方法 第2部 : キセノンアーク光

――――― [JIS K 7350-1 pdf 2] ―――――

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K 7350-1-1995 (ISO 4892-1 : 1994)
源)−1995が,この国際規格と一致している。
ISO 4892-3 : 1994, Plastics−Methods of exposure to laboratory light sources−Part 3 : Fluorescent UV lamps.
参考 JIS K 7350-3(プラスチック−実験室光源による暴露試験方法 第3部 : 紫外線蛍光ランプ)
-1995が,この国際規格と一致している。
ISO 4892-4 : 1994, Plastics−Methods of exposure to laboratory light sources−Part 4 : Open-flame carbon-arc
lamp.
参考 JIS K 7350-4(プラスチック−実験室光源による暴露試験方法 第4部 : サンシャインカー
ボンアークランプ)−1995が,この国際規格と一致している。
CIE No.85 : 1989, Technical Report−Solar spectral irradiance.
3. 原理
試験する試料の試験片を,調節された環境条件の下で光源に暴露する。この規格には,試験片面の放射
照度及び放射露光量を測定する手段も含まれる。
4. 全般
4.1 試験結果のばらつき
地表上の太陽光の質及び強度は,気候,場所,時間によって変化する。屋外暴露の場合には,劣化因子
としては,太陽光のほかに,例えば,温度,温度サイクル,湿度など多くの因子がある。屋外暴露の場合,
繰返し暴露で条件変動による結果のばらつきを少なくするためには,ある一箇所での屋外暴露は,最低2
年は継続する必要がある。
過去の経験の示すところでは,実験室光源による暴露の結果と,特定の場所での屋外暴露の結果の相関
は不明確で,同様な相関関係が過去に実証されている特定の材料及び組成,並びに特定の性質に対して推
定できるに過ぎない。プラスチックの種類が異なる場合には,同じ光源においてもその相関関係は異なる
ことがあり得る。
4.2 実験室光源による試験は,通常次のうち少なくとも一つの目的をもっている。
4.2.1 自然光への長期暴露の影響を再現する目的で,促進試験によって結果を得るためには,暴露期間全
体を通して性能の変化を得ることができるように,多くの暴露ステージで試験片の変化を測定する。この
方法は,材料に一定量の変化を生じるのに必要な放射露光量を,必要ならば内挿法によって,推定するた
めに用いられる。
4.2.2 異なったバッチの品質レベルが,一定の合格範囲から外れていないことを確認するための試験では,
その材料の予想される耐光性から適切な暴露時間を選択し,試験片の変化をその時間においてだけ評価す
る。一定時間の暴露の場合は,その暴露試験の再現性は,評価する材料の種類ごとに定めておかなければ
ならない。別法として,試験片に一定の変化が生じるまでの暴露時間を求めてもよい。
4.2.3 性能の仕様を定めるための試験では,製品の合否を決めるために,特性の変化を規定の方法によっ
て評価する。
4.3 屋外暴露試験と促進暴露試験における相関性を低下させる傾向のある因子
屋外暴露で考えられるよりも短い波長の紫外線の適用
太陽光の分光分布と大きく異なった分光分布をもった光の使用
非常に高い放射照度の適用
高い試験片温度の適用(特に熱の影響だけで容易に変化を受ける材料の場合)

――――― [JIS K 7350-1 pdf 3] ―――――

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K 7350-1-1995 (ISO 4892-1 : 1994)
純度の低い水の使用
4.4 放射
4.4.1 ほとんどのプラスチックは,光が照射されたときの反応には分光依存性がある。自然光の暴露でプ
ラスチックに生じる光化学反応と同じタイプの反応を暴露試験装置で起こさせるためには,太陽光の分光
分布をできるだけ忠実に人工光源で再現させることが重要である。
4.4.2 CIE No.85 : 1989は,太陽光と人工光源の比較をするために用いられる国際的な基準となっている。
地表上の全放射照度(波長範囲3002 450nm)は,1 090W/m2と与えられている。紫外,可視及び赤外部
の放射照度を,表1に要約する。
表1 地表上の放射照度の分布
(CIE No.85 : 1989からの要約データ)
波長 分布 放射照度
nm % W/m2
300 320 0.4 4
320 400 6.4 70
400 800 55.4 604
8002 450 37.8 412
3002 450 100.0 1 090
4.4.3 キセノンアーク,オープンフレームカーボンアーク及びある種の蛍光ランプの直接放射は,自然昼
光に存在しない短い波長の紫外線を相当量含んでいる。キセノンアーク及びカーボンアークについては,
適切なフィルタの選択によって,その短い波長の紫外線の多くを取り除くことができる。蛍光ランプは,
太陽光の中の特定の紫外線領域に相当する分光出力を得るように選択することができる。キセノンアーク
は,適切にフィルタを掛けたとき,紫外及び可視域における平均的な太陽光によく近似した分光分布をも
った照射を行える。
4.4.4 大気圏の太陽光には存在しない短い波長の紫外線の照射,又はプラスチックに特に敏感な波長の光
を強めることによって,劣化を促進させることができる。また,分光分布を変化させずに放射の強度を増
加することによって促進させることができる。いずれの促進方法も,異常な結果が出る可能性がある。
光源の分光分布を正しく選択することは,正しい試料温度を選択することと同様に重要で,異常に高い
放射照度又は温度のいずれかに暴露された場合に起きる異常な結果を生じることなく劣化を促進させるこ
とができる。
4.4.5 暴露期間を紫外線量で表すことを推奨する。したがって,この規格には,試験片面における放射照
度(広帯域又は狭帯域手法)及び放射露光量を測定する方法について規定する。
4.5 温度
4.5.1 暴露される材料の最高表面温度は,基本的には試験片に照射されたエネルギーの吸収,放出,試験
片内の熱伝導,試験片と空気又は試験片ホルダ間の熱移動などに依存しているため,正確には予測できな
い。個々の試験片の温度を測定することは実際的でないことから,規定の黒色板を温度調節センサとして
使用しなければならない。
4.5.2 幾つかの種類のブラックパネル温度計と1種類のブラックスタンダード温度計が,各種形式の試験
装置に用いられている。ブラックスタンダード温度計とブラックパネル温度計の基本的な違いは,黒色板
の熱絶縁した取付け方にある。ブラックスタンダード温度計の指示温度は,熱伝導が悪く色の暗い試料の
暴露面が示す温度に相当する。色の明るい又は熱伝導の良い試料の表面温度は,一般にブラックスタンダ
ード温度よりも低い。

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K 7350-1-1995 (ISO 4892-1 : 1994)
低い放射照度では,ブラックパネル温度計又はブラックスタンダード温度計によって指示される温度と,
実際の試験片の温度との差は小さいと考えられる。
また,ブラックスタンダード温度計又はブラックパネル温度計によって指示される温度は,周囲の空気
の温度及び風速によっても影響される。
4.5.3 統一の立場からは,ブラックスタンダード温度計の使用を強く推奨するが,受渡当事者間の協定に
よって,ブラックパネル温度計を用いてもよい。この場合,使用されたブラックパネル温度計の種類及び
試験片ホルダへの取付方法を試験報告書に記録する。
4.6 湿度及びぬ(濡)れ
水分,特に試験片暴露面上の凝縮水分の存在は,促進暴露試験では重要な効果をもっている。この規格
で規定するすべての試験装置は,湿気を与える装置及び試験片の暴露面をぬらす機能をもっている。
5. 試験装置
5.1 促進暴露試験装置は,実際には,いろいろな形式のものが使用されているが,各試験装置とも5.1.1
から5.1.6に規定した構成要素を備えていなければならない。
5.1.1 試験片表面の放射照度が,JIS K 7350-2(ISO 4892の第2部),JIS K 7350-3(ISO 4892の第3部),
又はJIS K 7350-4(ISO 4892の第4部)の規定に適合するように,試験片との位置関係をもたせて設置さ
れた放射エネルギーをもつ光源。
ランプ及びフィルタの交換については,装置製造業者の指示する推奨時間による。
5.1.2 適切な強度レベルの均一な照射を行うため,光源から一定の距離で試験片とセンサを取り付けられ
る試料取付枠。
5.1.3 試験片の暴露面を均一にぬらす手段。これは,噴霧ノズル,又は水蒸気の凝縮によってもよい。
5.1.4 試験槽内の空気流中で,光源及び水噴射から遮へい(蔽)されて置かれたセンサによって検出し,
制御される加湿装置。
5.1.5 試験槽内空気温度を検出し,かつ,調節する温度センサで,必要に応じ,規定の黒色板センサの指
示する温度を検出し,又は同時に調節も行う温度センサ。
1種類のブラックスタンダード温度計(5.1.5.1参照)又は何種類かのブラックパネル温度計(5.1.5.2参
照)の一つが,各種形式の試験装置に使用されている。温度計は,試料取付枠上の平板の試験片が受ける
のと同じ放射及び冷却条件を受けるように,試料取付枠に取り付けることが望ましい。また,試験片の距
離と異なる位置に取り付け,試験片の距離での温度になるよう校正して用いてもよい。
5.1.5.1 ブラックスタンダード温度計 : ブラックスタンダード温度計の指示温度は,試験片が照射を受け
たとき,低い熱伝導率をもつ暗い色の試験片の温度にほぼ一致している。この温度計は,厚さ約1mm,長
さ約70mm,幅約40mmの平らなステンレス鋼板で出来ている。光源から照射を受ける面は耐久性のある
黒色塗装がされている。塗装した黒色板は,2 500nmまでの全入射光束の少なくとも95%を吸収する。黒
色板の温度は,白金測温抵抗体で測定する。センサ部分は,光源に対し黒色板の裏側中央に良好な熱接触
が得られるように固定する。この黒色板のセンサ部分を固定した側が,充てん材を含まないポリふっ化ビ
ニリデン (PVDF) 製の厚さ5mmの基板に取り付けられる。この基板は,センサ部分の周囲に空間ができ
るようにへこみをもっている。センサとPVDF基板のへこんだ部分の間隔は,約1mmとする。PVDF基板
の長さと幅は,ブラックスタンダード温度計を試験片ホルダに取り付けたとき,黒色板と試験片ホルダの
間に金属間の熱伝達がないように,十分大きくなければならない。すなわち,試験片ホルダの金属製取付
部分が,黒色板の周端から少なくとも4mm離れていなければならない。

――――― [JIS K 7350-1 pdf 5] ―――――

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