JIS M 8217-1:2020 鉄鉱石―硫黄定量方法―第1部:鉄抽出分離硫酸バリウム重量法 | ページ 2

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M 8217-1 : 2020
二層に分離した後,下層の水相を分液漏斗Bへ合わせる。再び有機相が残っている分液漏斗Aに塩酸(2
+1)10 mLを加えて約30秒間振り混ぜて洗浄し,静置して二層に分離した後,下層の水相を分液漏斗B
へ合わせ,上層の有機相は,捨てる。
4-メチル-2-ぺンタノン50 mLを水相が入っている分液漏斗Bに加え,約1分間振り混ぜる。静置して二
層に分離した後,下層の水相を元のビーカー(300 mL)に移し入れる。上層の有機相を上記と同様に塩酸
(2+1)10 mLで2回洗浄する。洗液(水相)は,元のビーカー(300 mL)へ合わせる。得られた溶液を,
乾固直前まで加熱する。
混酸(5.7)10 mLを加えて,塩類を溶解させた後,蒸発乾固させて有機物質を分解する。塩酸(5.3)10
mLを加え,150 ℃の熱板上で蒸発乾固する。さらに,塩酸(5.3)10 mLを加え,110 ℃の熱板上で蒸発乾
固する。放冷した後,塩酸(5.3)5 mLと水30 mLとを加えて,塩類を溶解し,主液として保存する。

7.3 残さの処理

  7.1で保存したろ紙及び残さを硝酸ナトリウム溶液(5.12)1,2滴で湿し,ろ紙が炭化するまで白金るつ
ぼを加熱した後,800 ℃850 ℃で強熱灰化する。白金るつぼを放冷した後,強熱灰化した残さに硝酸(5.5)
数滴を加えて湿す。ふっ化水素酸(5.6)約5 mLを加えて,乾固するまで加熱して,二酸化けい素及び硝
酸を除去する。
けい素含有率が高い場合,ふっ化水素酸約5 mLによる二酸化けい素の除去処理を繰り返す。
白金るつぼを放冷した後,炭酸ナトリウム(5.2)3 gを加えて,加熱して残さを1 000 ℃で15分間融解
する。白金るつぼを放冷した後,ビーカー(300 mL)に入れ,温水約100 mLを加え,穏やかに加熱して,
融成物を溶解する。白金るつぼを温水で洗って取り出す。
溶液をろ紙(5種C)でろ過し,ろ液をビーカー(300 mL)に集める。ろ紙は,炭酸ナトリウム溶液(5.13)
で数回洗浄して残さは,捨てる。ろ液及び洗液にメチルオレンジ溶液(5.15)0.5 mLを加え,かき混ぜな
がら塩酸(1+1)を少量加えて中和する。さらに,塩酸(1+1)5 mLを加え,7.2で得た主液に合わせる。

7.4 硫酸バリウムの沈殿

  主液が入ったビーカーを時計皿で覆い,25 mLになるまで加熱濃縮する。放冷した後,塩酸(1+1)3 mL
と水50 mLとを加え,加熱して可溶性塩類を溶解する。60 ℃70 ℃の水浴上で加熱し,亜鉛(5.8)1.0 g
を加えて,残っている鉄(III)を鉄(II)に還元する。亜鉛が完全に溶解した後,直ちにろ紙(5種C)で
ろ過し,ろ液をビーカー(300 mL)に集める。ろ紙及び残さを塩酸(2+100)で,ろ液が約120 mLにな
るまで洗浄し,残さは,捨てる。
ろ液を60 ℃70 ℃で加熱し,かき混ぜながらゆっくりと塩化バリウム溶液(5.10)5 mLをビュレット
から加える。さらに,5分間かき混ぜた後,ビーカーを時計皿で覆い,60 ℃70 ℃の水浴上で約2時間加
熱する。溶液を室温まで冷却して一夜間放置する。
硫酸バリウムの沈殿は,ろ紙(5種C)を用いてこし分ける。
なお,微細な沈殿がろ紙を通過しないように,少量のろ紙パルプを使用してもよい。
ビーカーを塩酸洗浄溶液(5.11)で1回洗浄し,洗液をろ紙上に注ぎ入れた後,ビーカーの内壁をポリ
スマンを用いてこすり,付着物を塩酸洗浄溶液を用いてろ紙上に移す。塩酸洗浄溶液を用いて数回ビーカ
ーを洗浄し,洗液をろ紙上に注ぎ入れた後,ろ液の少量を取り,硝酸銀溶液(5.14)を滴加して塩化物イ
オンが検出されなくなるまで洗浄を行う。

7.5 ひょう量

  7.4で得られたろ紙と沈殿を,あらかじめ800 ℃で加熱して質量差が0.3 mg以下の恒量とした白金るつ
ぼに入れる。ろ紙を低い温度で乾燥,炭化した後,注意深く灰化する。初めに,500 ℃で20分間,次に800 ℃

――――― [JIS M 8217-1 pdf 6] ―――――

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で20分間加熱する。白金るつぼは,デシケーター中で放冷し,硫酸バリウムとしてひょう量する。質量差
が0.3 mg以下の恒量になるまで800 ℃で強熱(灰化)を繰り返す。

8 空試験

  試料の代わりに鉄(5.9)0.50 gを用いて,7.17.5の手順に従って試料と同じ操作を,試料と併行して
行う。

9 計算

  試料中の硫黄含有率[質量分率(%)]は,次の式によって算出する。
m1 m2 m3 m4 .0137 4100
S
m5
m1 m2 m3 m4 13.74
m5
ここに, S : 試料中の硫黄含有率[質量分率(%)]
m1 : 試料からの硫酸バリウムを含んだ白金るつぼの質量(g)
m2 : 試料用白金るつぼ(風袋)の質量(g)
m3 : 空試験の白金るつぼの質量(g)
m4 : 空試験用白金るつぼ(風袋)の質量(g)
m5 : はかりとった試料(箇条6)の質量(g)
0.137 4 : 硫酸バリウム中の硫黄含有率(質量比)

10 許容差

  許容差は,表4による。
表4−許容差
単位 質量分率(%)
硫黄含有率 併行許容差 室間許容差a)
r P
0.01以上1.0以下 f(n)[0.009 3×(S)+0.001 4] f(n)[0.009 6×(S)+0.002 1]
許容差計算式中のf(n)の値は,JIS Z 8402-6の表1(許容範囲の係数)による。室間許容差の場合,nの値は分
析に関与した分析室数である。また,(S)は,許容差を求める硫黄定量値の平均値[質量分率(%)]である。
注a) この規格における室間許容差は,各分析室においてJIS M 8202の6.5(分析値の採択)によって求めた分
析値を用いて判定する。

――――― [JIS M 8217-1 pdf 7] ―――――

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M8
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附属書JA
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(参考)
7-1 : 2
JISと対応国際規格との対比表
020
ISO 4689:1986,Iron ores−Determination of sulfur content−Barium sulfate gravimetric
JIS M 8217-1:2020 鉄鉱石−硫黄定量方法−第1部 : 鉄抽出分離硫酸バリウム重
量法 method
(I) JISの規定 (II)国際 (III)国際規格の規定 (V) JISと国際規格との技術的差
(IV) JISと国際規格との技術的差異の箇条ごと
規格番号 の評価及びその内容 異の理由及び今後の対策
箇条番号 内容 箇条 内容 箇条ごと 技術的差異の内容
及び題名 番号 の評価
1 適用範囲 適用範囲を規定 1 適用範囲を規定 一致
0.01 %1.0 % 0.01 %1.0 %
2 引用規格
3 一般事項 鉄鉱石の定量方法 − − 追加 JISは,定量方法に共通な一般事項JISは,鉄鉱石の定量に共通の事
に共通の一般事項 を規定した。 項をJIS M 8202に規定している。
を規定
4 要旨 分析法概要を記載 3 原理を記載 一致
5 試薬 使用する試薬を規 4 使用する試薬を規定 追加 JISは,使用する試薬の品質を規定日本独自の分析法規格における規
定 している。ち密なろ紙として5種C 定で,改正提案しない。
を規定した。
5.8 亜鉛の形状を規 4.3 亜鉛の品質を規定 変更 JISは,この方法に適したものとし,
日本では,硫黄の含有率が保証さ
定 亜鉛の形状だけを規定した。 れた試薬は,入手できない。日本
独自の規定で,改正提案しない。
5.9 鉄の品質を規定 − − 追加 JISは,空試験に用いる鉄を硫黄含日本独自の分析法規格における規
有率(質量分率)0.001 %以下と規定で,改正提案しない。
定した。
5.10 塩化バリウム 4.11 塩化バリウム溶液の調 追加 JISは,水浴温度を規定した。 日本独自の分析法規格における規
溶液の調製方法を 製方法を規定 定で,改正提案しない。
規定
− 4.15 チオシアン酸アンモニ 削除 JISは,硫黄イオンのロスを避ける日本独自の分析法規格における規
ウム溶液を規定 定で,改正提案しない。
ために,ろ液を消費するチオシアン
酸によるチェックを止めて,洗浄回
数を規定した。

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(I) JISの規定 (II)国際 (III)国際規格の規定 (V) JISと国際規格との技術的差
(IV) JISと国際規格との技術的差異の箇条ごと
規格番号 の評価及びその内容 異の理由及び今後の対策
箇条番号 内容 箇条 内容 箇条ごと 技術的差異の内容
及び題名 番号 の評価
5 試薬 5.11 塩酸洗浄溶液 4.12 塩酸洗浄溶液を規定 追加 JISは,ろ紙の種類として5種Cを 日本独自の分析法規格における規
(続き) 規定した。 定で,改正提案しない。
5.14 硝酸銀溶液の 4.16 硝酸銀溶液の濃度を規 追加 JISは,硝酸銀溶液の調製及び保存日本独自の分析法規格における規
調製及び保存方法 定 方法にJIS K 8001を引用した。 定で,改正提案しない。
を規定
5.15 メチルオレン 4.17 メチルオレンジの調製 変更 JISは,メチルオレンジ溶液の調製日本独自の分析法規格における規
ジの調製及び保存 方法を規定 及び保存方法にJIS K 8001を引用 定で,改正提案しない。
方法を規定 した。
6 試料のは 試料のはかりとり 7.3 試料のはかりとり量を 一致
かりとり 量を規定 規定
− 5 使用する器具を規定 削除 JISは,一般器具の規定を削除した。 JISは,鉄鉱石の定量に共通の事
項をJIS M 8202に規定している。
技術的差異はない。
− 6 サンプリング及び試料 削除 JISは,ISO規格の規定を全て削除 JISは,鉄鉱石のサンプリング及
の調製を規定 した。 び試料の調製をJIS M 8202に規
定している。技術的差異はない。
− 7.1 分析回数を規定 削除 同上 JISは,分析回数をJIS M 8202に
規定している。技術的差異はない。
7 操作 操作手順を規定 7 操作手順を規定 追加 JISは,時計皿の使用を規定した。 JISとISO規格との作成方針の違
いによるもので,技術的差異はな
い。
7.5 恒量の質量差を 7.4.5 恒量の質量差を規定 変更 JISは,質量差をJIS K 8005に一致日本独自の分析法規格における規
規定 させ0.3 mgとした。 定で,改正提案しない。
8 空試験 空試験の手順を規 7.2 空試験及びチェック分 削除 JISは,チェック分析について規定JISは,チェック分析をJIS M
定 析を規定 していない。 8202に規定している。技術的差異
追加 JISは,鉄を用いる空試験を規定しはない。
M8
た。
21
9 計算 硫黄含有率の算出 8.1 硫黄含有率の算出手順 変更 JISは,ファクターを求めて補正すJISとISO規格との作成方針の違
7-
手順を規定 を規定 る。
1
いによるもので,技術的差異はな
: 2
い。
020
2

――――― [JIS M 8217-1 pdf 9] ―――――

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M8
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(I) JISの規定 (II)国際 (III)国際規格の規定 (V) JISと国際規格との技術的差
(IV) JISと国際規格との技術的差異の箇条ごと
規格番号 の評価及びその内容 異の理由及び今後の対策
217-1
箇条番号 内容 箇条 内容 箇条ごと 技術的差異の内容
: 2
及び題名 番号 の評価
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10 許容差 併行許容差及び室 8.2 結果の一般的処理 変更 JISは,併行許容差及び室間許容差JISとISO規格との作成方針の違
0
間許容差を規定 8.2.1 併行許容差,室間許容 を一般式に拡大した。 いによるもので,技術的差異はな
差,室内標準偏差及び室 い。
間標準偏差を規定
− − 8.2.2 真度のチェック方法を 削除 JISは,ISO規格の規定を全て削除 JISは,真度のチェック方法は,
規定 した。 JIS M 8202に規定している。技術
的差異はない。
− − 8.2.3 最終結果の計算方法を 削除 同上 JISは,最終結果の計算方法は,
規定 JIS M 8202に規定している。技術
的差異はない。
− − 9 試験報告記載事項を規 削除 同上 JISは,試験報告記載事項は,JIS
定 M 8202が引用するJIS K 0050(化
学分析方法通則)の箇条13(記録)
に規定している。技術的差異はな
い。
JISと国際規格との対応の程度の全体評価 : ISO 4689:1986,MOD
注記1 箇条ごとの評価欄の用語の意味は,次による。
− 一致 技術的差異がない。
− 削除 国際規格の規定項目又は規定内容を削除している。
− 追加 国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。
− 変更 国際規格の規定内容を変更している。
注記2 JISと国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次による。
− MOD 国際規格を修正している。

JIS M 8217-1:2020の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO 4689:1986(MOD)

JIS M 8217-1:2020の国際規格 ICS 分類一覧

JIS M 8217-1:2020の関連規格と引用規格一覧