JIS P 8111:1998 紙,板紙及びパルプ―調湿及び試験のための標準状態 | ページ 2

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g) 記録方式の乾湿計の場合,チャートの乾球温度及び相対湿度の値が,終始この規格の示す規定の範囲
内に入っていれば,試験状態はこの規格に適合しているものとする。
h) 読取りのときは,操作者が近づいたために測定器の作動に影響を与えないように注意する。人の体熱
は乾球温度及び湿球温度に影響し,呼吸は湿球温度に影響を与えるので,常に湿球温度を最初に読み
取るようにする。
4. 試験結果の表し方
a) 相対湿度への換算
1) 測定器が相対湿度を直読できない方式のものであれば,乾球温度及び湿球温度の10分間の平均値か
ら下記の式によるか,又はこの式に基づく表,若しくは図によって相対湿度を求める。
相対湿度は百分率として次式で算出される (%r. h. ) 。
100 p
pw
ここに, p=pw (tw) −ApT (t−tw)
pw (tw) : twにおける飽和水蒸気圧
pw (t) : tにおける飽和水蒸気圧
pr : 大気圧(以上すべての圧力は同じ単位で表示)
t : 乾球温度 (℃)
tw : 湿球温度 (℃)
A : 乾湿計係数 (K−1)
参考1. 大気圧pは乾湿計係数の重要な変動因子である。海面付近の高度ではその影響はほとんどな
いが,標高の高いところでは大気圧の影響は考慮の対象となる。
2. JIS Z 8806(湿度−測定方法)では相対湿度の算出を次のように規定している。
ここではISO規格と表示記号が異なるだけで基本的には同一である。
附属書A表1にJIS Z 8806の付表2.1の抜粋を記載したので,下記の式,又はこれに基づ
いた同表から相対湿度を求めることができる。
e
U Se
100
ここに, e=esw−A・ t−tw)
U : 相対湿度 (%r. h. )
e : 湿潤空気の水蒸気圧 (Pa)
es : tにおける飽和水蒸気圧 (Pa)
esw : twにおける飽和水蒸気圧 (Pa)
A : 乾湿計係数 (K−1)
p : 湿潤空気の圧力 (Pa)
t : 乾球温度 (℃)
tw : 湿球温度 (℃)
乾湿計係数Aは湿球が氷結していないときには0.000 662K−1を用いる。

――――― [JIS P 8111 pdf 6] ―――――

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附属書A表1 通風乾湿計用湿度表(湿球が氷結していないとき)
(空気圧力が101 325Paのとき)
単位%r. h.
乾球 乾球と湿球の温度差 (t−tw) /℃
t/℃ 6.0 6.5 7.0 7.5
25 57 53 50 47
24 56 52 49 46
23 55 51 48 45
22 54 50 47 43
21 52 49 45 42
1.1) Aの値は使用通風乾湿計の形式と大気圧に依存し6.5×10−4K−1から6.9×10−4K−1まで変化するが,
標準大気圧近辺では6.7×10−4K−1を用いる。
1.2) 使用した特定の通風乾湿計と標準空気温度(規定範囲の中心)に対する正確なA値を確認する。相
対湿度直読タイプの機器にあっては正確な乾湿計係数が計算に用いられていることを確認する。
1.3) 湿球及び乾球の測定値を用いる計算は,普通,その機器特有の乾湿計係数値から得られた直線近似
式を用いる。もし,乾湿計係数が既知であれば、計算精度は相対湿度の読みと上記式から求めた計
算値との比較からチェックする。
1.4) 狭い温度範囲(約6℃)での乾球温度,湿球温度と相対湿度との直線関係を想定した場合,湿度表
や湿度チャートの作成にも直線近似式を使用する。
参考 そのようなチャートは,標準温度付近の温度及び標準大気圧近辺での測定を目的とした特定の
機器には有効である。実際,これは便利で,相対湿度を直読できない機器の相対湿度を求める
手段として広く利用されている。
1.5) すべての通風乾湿計方式の機器について,図表の作成又は湿度値計算に使用した乾湿計係数の妥当
性,温度計の取付け,放射熱シールドの状況,空気速度などの温度測定以外の状況を定期的(約5
年間隔)にチェックをする。
1.6) 温度測定装置はなるべくなら1か月に1回以上,同一条件でチェックすることにより内部補正しな
ければならない。
1.7) 湿布の状況を常時監視する。
b) 試験結果 10分間の乾球温度及び相対湿度の平均値を1回の試験結果とし,10分間ごとの値は,別々
の試験結果とする。

――――― [JIS P 8111 pdf 7] ―――――

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附属書B(参考) 温度と相対湿度の相互依存
B.1 全般 標準状態の温度範囲の規定は,要求される温度制御の正確さだけを意味しているのではない。
相対湿度が規定範囲内にとどまるようにするためには,作業場の温度変動をより狭い範囲に保つ必要があ
る。調湿空気は室内を流れる間に吸熱又は放熱して,より暖かくなったり,冷えたりする。この温度変化
(湿分の付加,除去を伴わない。)が相対湿度の変化を引き起こす。空気が暖かくなると相対湿度は低下し,
冷えると上昇する。この影響の大きさを附属書B表1に示す。例えば,空気温度が2224℃に保持されて
いるところで,相対湿度を±2%に保つための独立した湿度制御がないときは,空気温度の実変動を約±
0.7℃に抑える必要がある。
附属書B表1 水蒸気含量一定のとき,温度変化0.5℃当たりの相対湿度 (%r. h. ) 変化
空気温度 0.5℃当たりのr. h. の変化
50%r. h. 65%r. h.
15 1.61 2.09
20 1.55 2.01
25 1.49 1.93
30 1.43 1.86
B.2 試験室 試験室は,必要な試験が行えれば,できるだけ小さいほうがよい。また,調湿装置は,予想
される最大の外部条件や負荷に十分対応できるものでなければならない。試験室は,その形に小さな凹凸
がなく,しかも均一な空気循環ができる標準的な形(正方形又は長方形)のほうがよい。断続的に熱や水
分を発生又は吸収する装置を室内に置かないほうがよく,また,室内の人数もできるだけ少なくて,増減
がないほうがよい。
空気は,およそ5分に1回以上室内を完全に置換するように流すのがよい。冷却,加熱,給湿及び除湿
はすべて室外で行い,室内又は空気ダクト入口のセンサで制御するのがよい。空気は,例え床付近から導
入して天井付近から排出しても問題ないとわかっていても,天井付近の高さから導入し,床付近から排出
するのが通例である。システムに導入される新鮮空気の量は,室内の人数1人当たり約0.5m3/minが一般
的である。ドアーの開閉による乱れを最小にするため,室内の空気圧はプラスにしておくことが望ましい。
そうしておくと,空気の閉塞を防止できる。水が露出する流しや容器を室内に置かないほうがよい。不必
要な熱源も同様である。しかしながら,水の使用[1],[2]又は熱の発生[3]を伴う装置を必要とする試験でも,空
調がそれらの負荷に十分耐えられれば特に支障はない。
注 [ ]内数字は,附属書Cの文献参照
B.3 制御システム 一般に使用されている制御システムには二つのグループがある。すなわち,独立温度・
湿度制御システム及び露点飽和・再熱システムである。

――――― [JIS P 8111 pdf 8] ―――――

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B.3.1 独立温度・湿度制御システム これらのシステムは温度と湿度に独立した制御器とセンサをもって
いる。このグループには制御方式がいくつかある。例えば,必要に応じて給湿,脱湿のいずれかを切り替
えるもの,まず給湿し,その後脱湿を連続して行うもの及び温度制御と同様の考え方のものである。これ
らのシステムでは,給湿(脱湿)と加熱(冷却)が空気処理工程の中で独立している。湿度は多段制御や
比例制御が難しいので,オンオフ運転で行われることが多い。更に,制御器の変化が効果を生じるまでの
時間の遅れや空気がセンサに到達するまでの時間の遅れが,二つの制御器間で発生するハンチング状態を
助長する。温度の比例制御は難しくはないので,両パラメータが理論上許容範囲限度まで変動しても差し
支えない独立制御システムでさえも,ハンチングを避けるためには温度の精密な制御が望ましい。
B.3.2 露点飽和・再熱システム このシステムでは湿度と温度は別々の温度センサで独立して制御される。
ただ両方とも温度制御で,普通比例制御タイプである。特に,飽和(露点)温度における変化が非常に遅
いので,ハンチングの問題はもっと少ない。しかしながら,制御をよくするためには,両温度を一定の変
動のないレベルまで正確に制御することが肝要である。加熱は,普通空気処理工程の最終段であり,飽和
温度の制御を完全に行うと仮定すると,相対湿度の変動を±2%以内に抑えるためには,温度は最終的に±
0.7℃以内で一定に保たなければならない(B.1参照)。実際には,露点温度,再熱温度とも±0.3℃かそれ
以下に制御する必要がある。
B.4 温度及び相対湿度の変動 制御システムの作動を阻害するのは,空気量の不足又は室内空気循環の不
足による温度変動である。この国際規格の標準状態の要求に確実かつ予盾なく合致させるためには,その
システムは次の制約を満たすことが望ましい。
B.4.1 温度変動 システムを最高の効率で操業するために望ましいことは,
a) 試験室内のある地点の最高温度と最低温度の差が,どの30分間をとっても1℃を超えないほうがよい。
b) ある地点の平均温度の変動が,24時間内のどの30分ずつ2区間をとっても0.5℃を超えないほうがよ
い。
c) 試験室内において,どの2地点間のどの瞬間温度も0.5℃以上違わないほうがよい。
B.4.2 相対湿度変動 システムを最高の効率で操業するために望ましいことは,
a) 試験室内のある地点の相対湿度の最高と最低の差が,どの30分間をとっても2%を超えず,24時間内
のどの30分ずつ2区間をとっても1%を超えないほうがよい。
b) 試験室内において,どの2地点間のどの瞬間相対湿度も2%以上違わないほうがよい。
備考1. 記録湿度計は,制御システムに附属しているもの,別になっているものを問わず室内で連続
記録するほうがよいが,その湿度計が,この規格の附属書A(規定)の要求を満たすもので
なければ,標準状態がこの国際規格を満たしているかどうかの評価に使用してはならない。
2. 試験の標準状態の設計と制御に関する有用な文献[6]を附属書Cに示す。

――――― [JIS P 8111 pdf 9] ―――――

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附属書C(参考) 参考文献
[1] ISO 535 : 1976 Paper and board−Determination of water absorption−Cobb method
[2] ISO 3781 : 1983 Paper and board−Determination of tensile strength after immersion in water
[3] ISO 7263 : 1985 Corrugating medium−Determination of the flat crush resistance after laboratory fluting
[4] DE YONG, J. Appita 35(6) : 483 (1982)
[5] CRC Handbook of Chemistry and Physics (1989/1990)
[6] Handbook of Physical and Mechanical Testing of Paper and Paperboard, edited by Richard E. Mark, volume 1,
chapter 12
JIS原案作成委員会 構成表
氏名 所属
(委員長) 西 原 主 計 神奈川工科大学
(委員) 生 田 章 一 通商産業省生活産業局
宮 崎 正 浩 通商産業省工業技術院
山 村 修 蔵 財団法人日本規格協会
大 石 哲 久 紙パルプ技術協会
尾 林 多 郎 共同印刷株式会社
長 坂 正 幸 財団法人東京大学出版会
小 鮒 信 次 日本紙パルプ商事株式会社
竹 尾 稠 株式会社竹尾
牧 村 隆 雄 レンゴー株式会社
齊 藤 秋 雄 全国クラフト紙袋工業組合
上 床 恒 弘 王子製紙株式会社
印 銀 二三男 日本製紙株式会社
高 木 隆 司 大昭和製紙株式会社
外 山 孝 治 三菱製紙株式会社
曽 根 信 行 東海パルプ株式会社
(事務局) 鴇 田 昭 彦 日本製紙連合会
堀 定 男 日本製紙連合会
宮 部 潔 日本製紙連合会
斉 藤 敏 明 日本製紙連合会

JIS P 8111:1998の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO 187:1990(MOD)

JIS P 8111:1998の国際規格 ICS 分類一覧