JIS R 1613:2010 ファインセラミックスのボールオンディスク法による摩耗試験方法 | ページ 2

4
R 1613 : 2010
B 0601に規定する試験面の表面粗さは,0.1 刀慎 下とする。

7 試験方法

7.1 試験片密度の算出

  マイクロメータ,ノギスなどによって球形試験片の直径,円板状試験片の直径,厚さなどを測定し,7.3
の規定によって測定される質量を用いて試験片密度を算出する。
なお,これと同等以上の精度をもつ密度の測定方法,例えば,ISO 18754に規定する固体比重測定方法
から求めた値を用いてもよい。

7.2 試験片の処理

  球形試験片及び円板状試験片は,高純度アセトン中で10分間以上超音波洗浄する。その際,円板状試験
片では試験面を下に向ける。洗浄された各試験片はすぐに高純度ヘキサンですすぎ,その後,120 ℃で30
分間以上乾燥させる。最終的に清浄な表面を得ることができるようであれば,アセトン及びヘキサンの代
わりに他の溶剤又は蒸留水を使用することができる。各試験片は,試験雰囲気で試験するまで保存する。

7.3 試験前の質量測定

  摩耗試験の直前,化学天びんで各試験片の質量を測定する。

7.4 摩耗試験の準備

  球形試験片及び円板状試験片をそれぞれのホルダに固定し,両者を静かに接触させる。所定の荷重を印
加し,試験雰囲気を安定させるため,設定された条件で30分間以上保持した後,円板を回転させて試験を
開始する。

7.5 摩耗試験の条件

  摩耗試験は無潤滑で行う。すなわち,球形試験片と円板状試験片との間に液体,粉体などを介在させず
に接触させるものとする。
推奨される試験条件は,次による。ただし,試験条件は試験目的に合わせて変更可能であるが,報告書
にその試験条件を記載することとする。
a) 荷重 荷重は,10 Nとする。
b) しゅう動速度 しゅう動速度は,0.1 m/sとする。
なお,しゅう動円直径は30 mm以上とし,それに応じて円板回転速度を設定する。
c) しゅう動距離 しゅう動距離は,2 000 mとする。
d) 試験雰囲気 大気中,室温とする。温度は±2 ℃,相対湿度は(50±10)%に保持する。

7.6 摩擦力の測定

  摩耗試験中は常に摩擦力を測定し,データロガなどの記録装置によって連続的に記録する。回転周期に
よる変動を平均化する適切な方法を採用する。試験の開始前に,試験片どうしを接触させない状態で摩擦
力のゼロ点を確認する。

7.7 試験後の質量測定

  摩耗試験終了後の各試験片に付着した摩耗粉は慎重に捕集し,解析用として保存する。7.2と同様の処理
を行った後,7.3と同様に,化学天びんによって各試験片の質量を測定する。

7.8 球形試験片の摩耗こん測定

  試験後の球形試験片上には,図1に示すような円形摩耗こんが生じる。その最短径及びそれに垂直な方
向の直径を5.5に規定する測微顕微鏡などによって測定する。

――――― [JIS R 1613 pdf 6] ―――――

                                                                                              5
R 1613 : 2010

7.9 円板状試験片の摩耗こん測定

  試験後の円板状試験片上には,図2に示すような摩耗によるしゅう動円が生じる。5.6に規定する表面形
状測定機などによって,その断面形状について90度おきに4か所を測定し,その摩耗こん断面積を求める。

7.10 摩耗試験回数

  同一試験条件で少なくとも3回の摩耗試験を行う。
A : 摩耗こんの最短径(m)
B : 最短径に垂直な方向の直径(m)
図1−球形試験片上の円形摩耗こん
R : しゅう動円の半径(m)
S1S4 : しゅう動円の4か所における断面積(m2)
図2−円板状試験片上のしゅう動円

8 試験結果の表し方

8.1 球形試験片の比摩耗量

  球形試験片の比摩耗量の表し方は,次による。
a) 摩耗体積による方法 球形試験片の摩耗体積は,7.8で測定された摩耗こんの最短径及びそれに垂直な
方向の直径から,次の式(1)によって算出する。
A3B
Vball (1)
32D

――――― [JIS R 1613 pdf 7] ―――――

6
R 1613 : 2010
ここに, Vball : 球形試験片の摩耗体積(m3)
A : 摩耗こんの最短径(m)
B : 最短径に垂直な方向の直径(m)
D : 球形試験片の直径(m)
なお,この式は,摩耗こんの複雑な3次元形状を簡略化した近似式であり,円板状試験片のしゅう
動円の摩耗こんが深いなどの原因によって,摩耗こんの形状がいびつな場合(B>1.5A),この式は適
用しないものとする。表面形状測定機又は類似の装置で摩耗こんの形状を正確に測定することによっ
て,摩耗体積を求めることは可能である。
比摩耗量は,次の式(2)によって求める。
ballVball
W(s ) (2)
PL
ここに, Ws(ball) : 球形試験片の比摩耗量(m2/N)
P : 荷重(N)
L : しゅう動距離(m)
b) 質量減少による方法 球形試験片質量の試験前後の差を摩耗による質量減少と考え,比摩耗量は,次
の式(3)によって算出する。
Wafter
Wbefore
W(sball) (3)
PL ball
ここに, Ws(ball) : 球形試験片の比摩耗量(m2/N)
Wbefore : 試験前の質量(kg)
Wafter : 試験後の質量(kg)
戀愀 球形試験片の密度(kg/m3)
ただし,質量減少が全質量に比較して非常に少ない,又は検出されない場合
[(Wbefore−Wafter)/ Wbefore<0.000 1],この方法は適用できないものとする。

8.2 円板状試験片の比摩耗量

  円板状試験片の比摩耗量の表し方は,次による。
a) 摩耗体積による方法 円板状試験片の摩耗体積は,7.9で測定された摩耗こん断面積から,次の式(4)
によって算出する。
R(S1 S2 S3 S4 )
Vdisc (4)
2
ここに, Vdisc : 円板状試験片の摩耗体積(m3)
R : しゅう動円の半径(m)
S1S4 : しゅう動円の4か所における断面積(m2)
なお,S1S4の中で最大値と最小値との比が1.5を超えた場合,この式は適用しないものとする。
比摩耗量は,次の式(5)によって求める。
discVdisc
W(s ) (5)
PL
ここに, Ws(disc) : 円板状試験片の比摩耗量(m2/N)
P : 荷重(N)
L : しゅう動距離(m)
b) 質量減少による方法 円板状試験片質量の試験前後の差を摩耗による質量減少と考え,比摩耗量は,
次の式(6)によって算出する。
Wafter
Wbefore
W(sdisc) (6)
PL disc

――――― [JIS R 1613 pdf 8] ―――――

                                                                                              7
R 1613 : 2010
ここに, Ws(disc) : 円板状試験片の比摩耗量(m2/N)
Wbefore : 試験前の質量(kg)
Wafter : 試験後の質量(kg)
椀 円板状試験片の密度(kg/m3)
ただし,質量減少が全質量に比較して非常に少ない,又は検出されない場合
[(Wbefore−Wafter)/ Wbefore<0.000 1],この方法は適用できないものとする。

8.3 摩擦係数

  摩擦係数は,荷重及び摩擦力の平均値から次の式(7)によって算出する。
F (7)
P
ここに, μ : 摩擦係数
F : 摩擦力の平均値(N)
P : 荷重(N)
摩擦係数は,しゅう動距離とともに変化するのが普通であり,しゅう動距離100200 mを初期,900
1 100 mを中期,1 8002 000 mを終期として,その期ごとの値を計算する。全期間を通しての最大及び最
小の摩擦係数を求め,また,可能であれば,摩擦係数の時間経過が分かるチャートなどを報告書に添付す
る。

8.4 数値の丸め方

  比摩耗量及び摩擦係数は,JIS Z 8401によって有効数字2けたに丸める。

9 報告書

  ボールオンディスク法による摩耗試験の結果は,次の項目について記載する。
なお,同一試験条件での代表値が必要であれば,比摩耗量についてはそれぞれの算術平均を,また,摩
擦係数については終期の値の算術平均を用いる。
a) 規格番号(JIS R 1613)
b) 試験片の材質などに関する情報
c) 摩耗試験機の仕様(円板駆動方法,円板回転面の方向,荷重方法,摩擦力検出方法,雰囲気制御方法
など)
d) 試験条件(荷重,しゅう動速度,しゅう動円直径,円板回転速度,しゅう動距離など)
次の項目については,個々の試験ごとに記載する。
e) 試験温度及び湿度並びにそれらの変動範囲
f) 球形試験片及び円板状試験片の試験前質量,寸法及び密度
g) 球形試験片の摩耗体積又は質量減少及びそれらから計算した比摩耗量
h) 円板状試験片の摩耗体積又は質量減少及びそれらから計算した比摩耗量
i) 試験の初期,中期,終期,最大及び最小の摩擦係数
j) 試験状況及び試験後の試験片に関して特記すべき事項
k) 摩擦係数の時間経過が分かるチャートなど(可能であれば)

――――― [JIS R 1613 pdf 9] ―――――

                                                                                                                                              R1
2
附属書JA
61
(参考)
3 : 2
JISと対応国際規格との対比表
010
ISO 20808:2004 Fine ceramics (advanced ceramics, advanced technical ceramics) −
JIS R 1613:2010 ファインセラミックスのボールオンディスク法による摩耗試験方
法 Determination of friction and wear characteristics of monolithic ceramics by
ball-on-disc method
(I) JISの規定 (II) (III)国際規格の規定 (IV) JISと国際規格との技術的差異の箇条(V) JISと国際規格との技術的差
国際規 ごとの評価及びその内容 異の理由及び今後の対策
格番号
箇条番号及 内容 箇条番号 内容 箇条ごと 技術的差異の内容
び題名 の評価
1 適用範囲 ファインセラミック 1 JISとほぼ同じ 削除 技術的差異はない。
無潤滑試験であることを削除。
スのボールオンディ 規格の内容から無潤滑試験で
スク法による摩耗試 あることは理解される。
験方法について規定
5 試験装置 6
5.1 ボール 6.1 g) 仕様を変更した場合 削除 仕様を変更することは望まし 技術的差異はない。
オンディス は,報告書に記載する。 くないためg)を削除。
ク法試験機
7 試験方法 7
7.5 摩耗試 7.5 JISとほぼ同じ 追加 潤滑下の試験は対象外である 技術的差異はない。
験の条件 ことを明記。
8 試験結果 8
の表し方
8.3 摩擦係 8.3 JISとほぼ同じ 追加 ISO規格は定常状態の定義などが
初期,中期,終期,及び最大,
数 不明確であるのでISO規格の見直
最小の摩擦係数を求め,可能で
あればチャートなどを添付す しの際,改正提案を検討する予定。
ることを追加。
JISと国際規格との対応の程度の全体評価 : ISO 20808:2004,MOD
関連する外国規格 ASTM G99,DIN 50324

――――― [JIS R 1613 pdf 10] ―――――

次のページ PDF 11

JIS R 1613:2010の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO 20808:2004(MOD)

JIS R 1613:2010の国際規格 ICS 分類一覧

JIS R 1613:2010の関連規格と引用規格一覧