JIS R 1650-3:2002 ファインセラミックス熱電材料の測定方法―第3部:熱拡散率・比熱容量・熱伝導率 | ページ 2

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注(6) 条件k1>0.90,又はk2>0.92を満足できないときは対数法を適用できない。
4.4.4 回帰分析法(7) 合理的な熱拡散方程式の解析解を回帰分析の目的関数として最適化し,熱拡散率を
求める方法
注(7) パルスの不均一性及び非接触温度計の非線形性を除去できたと考えられる場合に,回帰分析法
が適用できる。
4.5 数値の丸め方 数値の丸め方は,JIS Z 8401の規定によって行い,有効数字は3けたまで求める。
4.6 報告 報告は,次の項目による。
a) 測定した材料の種類
b) 測定温度
c) 熱拡散率の測定結果
d) 解析法の種類及び補正項の種類と補正量
e) 測定年月日
f) その他,パルス幅など特記する必要があると判断される事項
5. レーザフラッシュ法による比熱容量測定
5.1 装置・器具 JIS R 1611による。
5.2 試料 JIS R 1611による。
5.3 測定手順 本項の測定手順は大きく分けて,5.3.15.3.3となるが,その共通事項はJIS R 1611によ
る。
5.3.1 吸収熱量の測定 基本的にはJIS R 1611による。
JIS R 1611) とq(8) (JIS R 1611)を測定し,式(3)から吸収熱量 (Q) を算出し,式(4)からQとqの直
線関係から定数a,bを求める。
Q= (C1・m1+C2・m2+C3・m3) ・ (3)
ここに, Q : 吸収熱量 (J)
C1 : 標準試料の比熱容量 [J/ (kg・K) ]
m1 : 標準試料の質量 (kg)
C2 : 受光板の比熱容量 [J/ (kg・K) ]
m2 : 受光板の質量 (kg)
C3 : 接触材の比熱容量 [J/ (kg・K) ]
m3 : 接触材の質量 (kg)
Q=a+b・q (4)
注(8) を変化させてJIS R 1611の4.3.2(耐振動性)の(3),(4),(5)の手順を同一の試料の設定で数回
測定し,定数a,bを決定し,通常は吸収熱量として式(4)を用いる。相対強度の変動幅が3%以
内ならば相対強度を介さずに式(3)を用いることができる。この場合にはqを求める必要はない。
5.3.2 室温での比熱容量測定 基本的にはJIS R 1611による。
5.3.1と同様, 8)を測定し,式(5)で室温での比熱容量を算出(9)する。
CR= (Q/ C2・m2−C3・m3) /m (5)
ここに, CR : 試料の室温における比熱容量 [J/ (kg・K) ]
m : 試料の質量 (kg)
注(9) 吸収熱量Qは前項で求めた定数a,bに本項式(3)で求めたqを代入して,式(4)から求めるか,
又は式(4)を用いる必要がない場合は前項の式(3)で求めたQを用いる。
5.3.3 比熱容量の温度依存性の測定 基本的にはJIS R 1611による。

――――― [JIS R 1650-3 pdf 6] ―――――

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室温において,5.3.1と同様, 8)を求める。qは必要に応じて式(4)から,Qに変換する。ここで
得られた室温における 帰 Q'とおく。試料を所定の温度に設定し,雰囲気温度及
試料温度の安定性の条件を満たすことを確認し,レーザ光を照射する。5.3.1と同様, q
は必要に応じて式(4)により,Qに変換し,式(6)から測定温度での比熱容量を算出する。
C=CR・ ( 一儀 一 一儀
ここに, C : 比熱容量 [J/ (kg・K) ]
CRは前項式(5)で求めた値を用いる。
5.4 数値の丸め方 数値の丸め方は,JIS Z 8401の規定によって行い,有効数字は3けたまで求める。
5.5 報告 報告は,次の項目による。
a) 測定した材料の種類
b) 測定温度
c) 比熱容量の測定結果
d) 試料の質量
e) 使用温度センサ(熱電対)の種類及び線径
f) 測定年月日
g) その他受光板,接触材の質量など特記する必要があると判断される事項
6. 熱伝導率測定
6.1 熱伝導率の計算 熱伝導率は,次の式によって求める。
懿攀 一 1+ 10)
ここに, 熱伝導率 [W/ (m・K) ]
懿 熱拡散率 (m2/s)
C : 比熱容量(11) J/ (kg・K) ]
室温における試料のかさ密度 (kg/m3)
滿 線膨張(10)
注(10) 線膨張が等方性の場合に適用する。異方性のある場合は体積膨張率で密度を算出する。
(11) 比熱容量は文献値又は他の測定装置(12)で測定した値を用いてもよい。
(12) 他の測定装置というのはレーザフラッシュ法,示差走査熱量計法以外の測定装置,例えば断熱
法,投下法などを指す。
6.2 測定温度 用いた熱拡散率の測定温度及び比熱容量の測定温度の平均温度を熱伝導率の測定温度と
する。
6.3 数値の丸め方 数値の丸め方は,JIS Z 8401の規定によって行い,有効数字は3けたまで求める。
6.4 報告 報告は,次の項目による。
a) 測定した材料の種類
b) 測定方向
c) 測定温度
d) 熱伝導率
e) 熱拡散率
f) 比熱容量
g) 室温のかさ密度
h) 線膨張又は体積膨張率の補正の有無,補正ありの場合の補正量

――――― [JIS R 1650-3 pdf 7] ―――――

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i) 測定年月日
j) 用いた比熱容量が文献値である場合は,その出典,他の測定装置で測定した場合は測定方法

――――― [JIS R 1650-3 pdf 8] ―――――

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附属書(参考) 熱拡散率算出時の補正に関する推奨事項
1. 非接触温度計の非線形性に対する補正 本方法での熱拡散率測定には,赤外温度検出器などの非接触
温度計が用いられる。通常は非接触温度計の出力は,対温度に対して非線形的に変化する。非接触温度計
の出力をそのまま用いると,この非線形性のために得られた熱拡散率は誤差をもつ。この誤差はレーザ光
の強度が強いほど大きくなり,また低温で大きく,高温になるにつれて小さくなる。この規格では非接触
温度計の非線形性に基づく誤差の補正方法(1)として次の方法を推奨する。
注(1) 正しなくてよい。
a) 同じ光学系(2)において,本体の4.3.1b)を参照して試料(3)に熱電対を付け,熱電対の出力による温度上
昇 地得幣 触温度計の出力 湮 Tを変えながら求める。
a+2b・T(4) (1)
次の1)法,2)法ではx=b・ 一
注(2) 通常試料と非接触温度計との間に,非接触温度計に入る光量を制限するためのアパーチャ又は
フィルタを入れる。式(1)を試験中はこれらの光学系を変化させない。光量が多すぎて,光量を
制限する必要が生じた場合はアパーチャの口径を絞るか,フィルタの厚みを増したもので式(1)
の試験をする。この際温度的に重複できる部分を作っておき,その部分で比例係数を計算し,
片方のデータすべてにその比例係数を掛けて両方のデータを統合して,連続したデータとする。
(3) 基本的には熱拡散率試験用の試料であれば,どんな試料を用いてもよい。
(4) ここで定数a,bは する間は一定と考えているが,一般的には温度の関数である。
1) 3=1+0.77x/ [1+x+ [{1+2x・ (1+x)}]1/2](5) (2)
注(5) ハーフタイム法のときだけ適用される。
2) 次の式を用いて非接触温度計の出力 上昇 歙 換した後,試料の熱拡散率を計算する方

2 攀一 (1+4x・y)1/2}] (3)
ここに y= (1+x) ・
b) レーザ光の強度を光学フィルタなどで加減して 灰 変え,それぞれの強度で熱拡散率を求める
(6)。 銖 に外挿して,非接触温度計の非線形性による誤差を補正した熱拡散率を求める。
注(6) 厳密には試料の熱拡散率に温度依存性がある。これを考慮して同じ温度の熱拡散率に直し,評
価するのが望ましい。試料によっては熱拡散率の温度依存性が無視できない。
2. 熱損失の補正 測定温度が高温になるほど,また試料の熱伝導率が小さく,試料表面の放射率が大き
くなるほど試料からの熱損失は大きくなる。熱損失の補正は熱拡散方程式の理論解に基づいて評価する必
要があるが,具体的な評価方法は多数提案されている。補正係数k2の求め方として,次の方法を推奨する
(7)。本補正法はハーフタイム法に対してだけ適用する。
a) 2=A+B・n+C・n2+D・n3+E・n4+F・n5 (4)
n=2・

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ここに, 一 上昇幅 (K)
A : 0.394 99
B : 1.203 01
C : −2.060 77
D : 2.042 96
E : −0.965 65
F : 0.173 47
b) 2=1−B1・ [{(1+A1・c・t1/2)1/2−1}] (5)
ただし,A1,B1は,次の値をとる。
L≦0.4のとき, A1=96/ (1+L)
B1=0.084
0.4 B1=0.080 [1-1.13 (1−L) +2.01 (1−L)2]
1.0 B1=0.080
ここに, L=d/r
r : 試料の半径,試料が真円でないときは試料の面積と同じ面積を
もつ円の半径
注(7) パルスの不均一性が無視できない場合は,式(5)が推奨される。このとき,温度履歴曲線の終端
から少なくとも10t1/2以上にわたって指数関数近似が成り立つ範囲から,cを評価する。
3. パルスの不均一性の補正 熱源に使用するレーザパルスは,面方向にある程度の不均一性が存在する
ことがある。同心円的な強度分布をもつ場合は理論的補正が可能であるが,実際の分布は楕円状などの非
同心円的な分布を示すことが多い。したがって,補正係数k1の求め方として次の方法を推奨する(8),(9)。
本補正法はハーフタイム法に対してだけ適用する。
注(8) 本体の式(1)において,k1=1.00,v=0.00として計算する。k2はこの附属書の2.で求めて代入する
ことが望ましいが,本試験は室温で行うので,熱損失があまり大きくないと考えて,k2=1.00
とおいてもよい。
(9) 試料裏面の測温領域を拡大するほど不均一性の影響は小さくなる。
k1= 愀 愀 (6)
ここに, 愀 標準試料の熱拡散率の標準値
愀 試料の形状に相当する標準試料の熱拡散率(10)
(10) 誤差が15%を超える場合は,レーザ発光装置を改善すること。

――――― [JIS R 1650-3 pdf 10] ―――――

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