JIS R 1665:2005 セラミックススラリーの回転粘度計によるチクソトロピー性測定方法 | ページ 2

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参考 せん断速度を段階的に上昇させた場合の面積をA,下降させた場合の面積をBとした。
図 1 計測時間とせん断応力との関係

5. 一定の低せん断速度でのせん断応力変化の時間依存性測定によるチクソトロピー性の評価

5.1 原理

 せん断速度とせん断応力とを同時に測定できる回転粘度計によって,高せん断速度でセラミ
ックススラリー試料の凝集構造を十分破壊し,粘度を低下させた後,低せん断速度での粘度の回復過程を
時間を追って測定することによってチクソトロピー性を評価する。スラリーの凝集構造の形成は,一般に
比較的遅い現象であるため,高せん断速度での測定では凝集構造が速やかに破壊されすぎ時間依存性の評
価が困難であるのに対し,低せん断速度での測定は時間依存性が検知できやすいため,解析には低せん断
速度でのデータを用いて評価する。

5.2 装置

 装置は,4.2による。

5.3 セラミックススラリー試料の採取及び粘度計への導入

 セラミックススラリー試料の採取及び粘度
計への導入は,4.3による。

5.4 測定条件及び手順

 測定条件及び手順は,次による。
a) 測定温度 通常,粘度は温度に依存するので,比較のための測定は同じ温度で行う。特に温度をプロ
セス上で規定する必要がないときには(23.0±0.2)℃の条件で測定を行う。
b) 測定プログラムの設定 高せん断速度では,スラリーの凝集構造を十分破壊し,低せん断速度では,
破壊された構造が回復するせん断速度の組合せを選ぶ。通常の場合,300 s−1及び,30 s−1の組合せが
望ましい。測定時間は構造破壊及び形成の観測に必要な時間として,高せん断速度,低せん断速度共
10分間にすることを推奨する。繰り返し測定を行う際の測定間隔は,測定精度に影響を与えない範囲

――――― [JIS R 1665 pdf 6] ―――――

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でできるだけ短くし,多くのデータをとるようにする。
これらをあらかじめプログラムできない場合は手動で測定条件の切り替えを行う。
c) 測定手順 スラリーを粘度計に導入した後,設定温度に到達するために必要な時間待つ。沈降性スラ
リーの場合,この間一定のせん断速度でスラリーに回転を与える。測定プログラムによる測定操作を
最低2回実施し,測定したせん断応力の繰返し性を確認する。繰返し性が悪い場合は追加の測定を実
施する。
備考 乾燥,粒子の沈降などが激しく長時間の測定ができない場合には,再度試料を導入し直し1回
目の測定と同一操作を行うことで繰り返し測定を実施する。また,乾燥防止のための試料容器
の密封など,意図しない試料の変化を防止するための有効な手段はできる限り用いる。

5.5 測定結果の整理,解析方法

 解析には主として低せん断速度の測定データを用い,高せん断速度か
ら低せん断速度に切り替えた時点を時間ゼロとして,粘度(又はせん断応力)の時間依存性を求め,これ
によってチクソトロピー性を評価する。
備考 この方法によって得られたデータは下の関数によく合致する場合が多く,これを用いて測定結
果を整理してもよい。
t n
log

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                               *     t0
(t : 経過時間)
ここで,
,t0,nはパラメータで,n<0 では,t → ∞ のとき, に収束し,n>0 では,
t → ∞ のとき,
なお,この関数のパラメータ, ,t0はn=0で不連続になるため,データのフィッティングを
行う際にはn>0とn<0とに分ける必要がある。

5.6 測定結果報告書

 測定結果報告書には,必要に応じて,次の事項を記載する。
a) この規格番号及び発行年
b) 測定スラリーの識別に必要なすべての詳細事項
c) スラリー採取日
d) 測定温度(単位,℃)
e) スラリー調製方法の詳細
f) 測定システムについての記載(4.2に規定する装置以外の測定システムを採用した場合は,その詳細)
g) 高・低せん断速度,及び,その継続時間(又は,すべての測定データを時系列で並べた表)
h) 時間−粘度(又は,せん断応力)の関係をプロットした図
i) データのフィッティングを行った場合は関数形と結果をプロットした図及び計算したパラメータの値
j) 測定年月日

6. セラミックススラリーのチクソトロピー性測定のための前処理及び留意事項

 セラミックススラリ
ーは,測定に際して留意すべき点が多い。セラミックススラリーのチクソトロピー性測定に関連する留意
事項を以下に示す。
a) スラリーの前処理 保管してあるセラミックススラリーを使用する場合,セラミックススラリーは一
般に沈降していることが多いので,測定前にかくはん,容器の振とうなどによって分散させる。ただ

――――― [JIS R 1665 pdf 7] ―――――

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し,セラミックススラリーは,この操作で気泡が発生することが多い。気泡が発生するとチクソトロ
ピー性が変化するので,気泡を発生させないように注意してかくはん,振とうなどを行う。
b) 前処理に関する留意事項 前処理に関する留意事項は,次による。
1) 脱泡操作 気泡が発生した場合には減圧などによる脱泡操作は有効であるが,実際のセラミックス
製造プロセスのものに比べスラリー特性が変わってしまうおそれがある。スラリー調製以降の成形
などのプロセスで脱泡操作を行っている場合を除き,粘度への影響が大きいので実施しないことが
望ましい。実施する場合には報告する。
2) その他の留意事項 あまり強い高速かくはんや超音波分散などはスラリー温度の上昇を引き起こし,
スラリーに添加した分散剤,バインダーなどの高分子添加剤の不可逆変化を引き起こし,チクソト
ロピー特性を変化させるので行わない。
c) 測定時の留意事項 測定時の留意事項は,次による。
1) 乾燥の影響 高濃度のセラミックススラリーは乾燥の影響を受けやすいので,容器の密封などを行
うのが望ましい。
2) 沈降の影響 事前に,メスシリンダーにスラリーを入れ,上澄み層,中間層,濃厚層の体積の沈降
による経時変化を,メスシリンダーの目盛を読んで測定する。測定時間内に顕著な上澄み層ができ
るような沈降速度が速い場合は,温度調整時もローターを回転してかくはんする。また,沈降の影
響の大きい円すい―平板形及び平行平板形では,迅速に測定する必要がある。
関連規格 JIS R 1652 セラミックススラリーの回転粘度計による粘度測定方法

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附属書1(参考)共軸二重円筒形回転粘度計
この附属書は,本体に関連する事柄を補足するもので,規定の一部ではない。
1. 特徴 回転軸を共有する2円筒の間げき(隙)に測定試料を満たし,片方の円筒を回転させ,トルク
応力と回転速度との関係から粘度を求める測定方法である。測定試料のせん断速度をほぼ決定でき,粘度
測定のほか,回転速度を変えた測定から,粘度のせん断速度依存性を求めることができる。測定装置には,
外筒回転形(Couette形)及び内筒回転形(Searle形)がある。
2. 測定原理及び計算方法 片方の円筒の回転によってせん断変形が試料にもたらされ,発生するせん断
応力を,装置の形状によって係数が定まるトルク応力として計測する。粘度( はせん断応力( /せ
ん断速度( 柿 )で求められる。
CM

(pdf 一覧ページ番号 )

                       (Cは装置定数)
せん断応力及びせん断速度は,内外筒の間で一定ではなく回転軸からの半径rの関数である。rの位置
におけるせん断応力,せん断速度は,次の式から求められる。
M
瓰 (2)
2( Le2r )
2 1

(pdf 一覧ページ番号 )

                             r2     1    1
2 2
ri re
せん断応力及びせん断速度の表示は,代表値を用いるのが便利である。代表値としては,内筒面におけ

る値と外筒面における値との平均値を用いることを推奨する。式(4)及び式(5)による との関係は,0.3
2の間のべき乗の挙動をする流体の流動特性を非常によい近似で表現することが理論的にも経験的にも
示されている。
1 2 M
r 2

(pdf 一覧ページ番号 )

                              2  2
2 Leri
1( 2)
最 (5)
2 1

――――― [JIS R 1665 pdf 9] ―――――

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ここに, 粘度(Pa・s)
せん断応力の代表値(平均値)(Pa)
ri : 内筒半径(m)
re : 外筒半径(m)
外筒半径/内筒半径(−)
M : 測定されたトルク(N/m)
Le : 端面の補正がなされた実効内筒長さ(m)
(測定システムごとに異なるので実験的に決定する必要がある。)
回転の角速度(rad/s)= 2πn/60 (nは回転数,rpm)

r : せん断速度の代表値(S-1)
3. 測定システムの標準的形状 測定システムの標準的形状を附属書1図1に示す。粘度計の寸法として
次の比率を推奨する。これによって,粘度計の流れ場の幾何学的相似性が得られる。これ以外の形状を用
いるときでも,括弧内に示した比率の範囲を推奨する。
攀一椀 ≦ 1.2)
L/ri = 3(≧ 3)
L/ri = 1 (≧ 1)
L/ri = 1
rs/ri = 0.3
愀 (≦150°, ≧90°)
備考1. 内筒下端の円すいは,気泡をためることなく試料中に内筒を挿入するための工夫である。
2. 標準形状の場合,必要な試料の体積は,8.17 × ri3である。
3. 端面の補正はLe = L + 地 椀‰ 値として知られている。
の液体ではこの値は大きくなる。
4. 標準形状の粘度計の び 柿
rは, 槿 ニュートン性流体)として,
Pa) = 0.0446 M (Nm) / ri3 (m)

= 1.291 n (min-1)
r (s-1) = 12.33 ω(rad/s)
が得られる。
なお,括弧内は使用する単位を示す。

――――― [JIS R 1665 pdf 10] ―――――

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JIS R 1665:2005の国際規格 ICS 分類一覧

JIS R 1665:2005の関連規格と引用規格一覧