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を用いて測定ごとに行う。
a) 温度校正 温度の校正は,実際の比熱容量測定と同じガス流量及び昇温速度で,純度99.99 %以上の
純物質(附属書1表1)又は標準物質(附属書1表2)を用いて行う。求めようとする温度に近い2
種類以上の純物質又は標準物質の補外融解開始温度(JIS K 7121の9.1)を用いて内挿法によって温度
目盛を校正する。
b) 感度校正 装置の感度校正には,比熱容量標準物質として純度99.9 %以上のαアルミナを材質とす
る円板状の参照試料片を用いる。化学天びんを用いて0.01 mgまではかった質量10100 mg程度の参
照試料片を測定し,DSC信号(空容器信号差し引き後)の読取り値を附属書2表1に示すαアルミ
ナの比熱容量値に対応させることによって,DSC曲線の縦軸の感度を測定ごとに校正する。
8. 測定方法
8.1 共通事項
空容器,参照試料,試験試料の一連の測定は同一の共通条件で行われるべきである。試
験試料の材質及び測定温度範囲を考慮し,使用する試料容器,雰囲気ガスの種類及び流量,測定区間及び
制御プログラムなどの共通事項をあらかじめ設定する。互いに異なる条件を設定する場合には,理由とと
もに報告する。
a) 容器の選定 使い捨て容器の場合には試料容器を4個用意する。ただし,繰り返して利用可能な容器
の場合には2個でよい。いずれの場合も,ふたを含めた試料容器の質量が互いに2 %以内で一致する
よう選定する。
b) 雰囲気ガスの種類及び流量 試料空間に導入するガスは,窒素ガス,アルゴンガス又はヘリウムガス
のいずれかとし,毎分1050 mlの範囲で一定の流量値を設定する。
c) 測定区間及び温度制御 等温ベースラインが安定して得られる温度範囲内では一回の走査によって測
定を行う。等温ベースラインの変動が大きい場合には,測定温度範囲を二つ以上の区間に分けて測定
する。通常一区間の走査幅(TfとTiの差)を入力補償DSCで50100 K,熱流束DSCで200500 K
に設定する。
なお,各測定区間は区間幅の約20 %程度の範囲でオーバーラップさせながら設定する。図2に示
すような3ステップ温度制御を行う。
1) 初段の温度Tiでの等温制御(図2のI,時刻ti以前)
2) 中段の昇温速度bでの定速昇温制御(図2のII,時刻tiからtf)
3) 終段の温度Tfでの等温制御(図2のIII,時刻tf以降)
8.2 測定の順番
測定の順番は,8.38.5に示すとおり,空容器,参照試料,試験試料の順とする。この
順番と異なる場合,又は空容器,参照試料の測定を間引く場合には理由とともに報告する。
備考 空容器,参照試料,試験試料の一連の測定は連続して1日以内に終えることが望ましい。
8.3 空容器の測定
空容器の測定は,次による。
a) 使用する容器(ふたを含む)の質量をそれぞれ0.01 mgまで測定する。
b) ふたをした空の容器を試料側,参照側の二つの容器ホルダーに1個ずつ載せる。
c) 雰囲気ガスを試料空間に導入する。ガス種及び流量は8.1 b) の設定のとおり。一連の測定が終了する
まで一定流量を維持する。
d) iで等温制御し装置を安定させた後,DSC信号を記録し,等温ベースライン(図2の領域I)を得る。
入力補償DSCで5分以上,熱流束DSCで20分以上記録する。
e) 引き続いて毎分1020 Kの範囲の一定の速度で昇温し,DSC信号を記録する(図2の領域II)。昇温
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速度が範囲外の場合は報告する。
f) fで昇温を止め,等温制御下でDSC信号を記録し,等温ベースライン(図2の領域III)を得る。入
力補償DSCで5分以上,熱流束DSCで20分以上記録する。
g) 8.1c)で温度範囲を二区間以上定めた場合は,次の測定区間でd) f) の過程を繰り返す。
h) すべての測定区間を終了後,装置の温度を室温に戻す。
8.4 参照試料の測定
参照試料の測定は,次による。
a) 使用する容器(ふたを含む)の質量をそれぞれ0.01 mgまで測定する。8.3における容器と同一の容器
を使用する場合は測定の必要はない。
b) 比熱容量標準物質で作られた参照試料片[7. b) を参照]の質量を,0.01 mgまで測定する。
c) 試料片を入れた容器を試料側ホルダーに,空の容器を参照側ホルダーに1個ずつ載せる。
d) 以下,8.3 c) h) の過程を繰り返す。
8.5 試験試料の測定
試験試料の測定は,次による。
a) 使用する容器(ふたを含む)の質量をそれぞれ0.01 mgまで測定する。8.3における容器と同一の容器
を使用する場合は測定の必要はない。
b) 6.に従い用意された試験試料片の質量を0.01 mgまで測定する。
c) 試料片を入れた容器を試料側ホルダーに,空の容器を参照側ホルダーに1個ずつ載せる。
d) 以下,8.3 c) h) の過程を繰り返す。
9. 比熱容量の算出
9.1 一般
データ記録装置に記録された測定データに基づき,次の手続きに従って比熱容量を算出する。
この算出手続きに熱量計に付随する解析プログラムを用いる場合は,この規格への適合性をあらかじめ確
認する。
9.2 DSC曲線の解析
a) 8.3,8.4及び8.5の操作で得られた三つのDSC曲線の等温ベースラインがほぼ一致する場合には,Ti
及びTfの等温べースラインが互いに重なり合うように,縦軸方向に平行移動し図2のような作図を行
う。
b) データの読取りは,a) で作成した図2の領域IIにおいて,比熱容量を求めようとする温度Tにおけ
る試験試料の信号変位Dt及び校正用試料の信号変位Dsについて行う。
c) 次の式によって比熱容量を算出する。
Dt (T) s
Cpt (T) Cps (T) (1)
Ds (T) t
ここに, Cpt(T) : 温度Tでの試験試料の比熱容量(JK-1g-1)
Cps(T) : 温度Tでの参照試料の比熱容量(JK-1g-1)
Dt(T) : 空容器測定を基準とした試験試料測定のDSC曲線
の信号変位(mW)
Ds(T) : 空容器測定を基準とした参照試料測定のDSC曲線
の信号変位(mW)
mt : 試験試料片の質量(g)
ms : 参照試料片の質量(g)
d) ps(T)は,附属書2表1に示すαアルミナの比熱容量テーブルから,温度Tを挟む前後のデータを内
挿することで決定する。
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等温領域I 昇温領域II 等温領域III
高
Tf 温
温
T 度
低
Ti 温
ENDO
熱 Ds(T)
入
力 Dt(T)
差
EXO
ti t tf
時刻
図 2 DSC曲線の解析例
9.3 等温ベースラインの不一致を考慮した解析
9.2 a) において,参照試料又は試験試料のいずれかの
信号変位の最大値の0.5 %以上の等温ベースラインの不一致がみられる場合には,附属書3に示す方法で
等温ベースラインの不一致を考慮した上で比熱容量を算出することができる。
9.4 試料容器質量の補正
測定に使用した試料容器間の質量の不一致が,参照試料又は試験試料のいず
れかの質量の0.5 %よりも大きい場合には,附属書4に示すやり方で補正を行うことができる。
9.5 平均化処理
6. c) 2) に示すように,基準単位体積の5倍より小さな試験試料片を複数個用意し測定
する選択をした場合には,すべての試料片の算出値の平均値を求め,これを比熱容量の測定値として代表
させる。
10. 数値の丸め方
測定結果は,JIS Z 8401によって,有効数字4ケタまで求める。
11. 報告
報告には,必要に応じて次の事項を記入する。
a) 試料
1) 試料の名称及び材質
2) 試験試料片の形状及び寸法
3) 試験試料片の質量
4) 熱処理,機械処理などの前処理の有無及び内容
b) 測定条件
1) 測定年月日及び測定機関
2) 測定装置(製造業者名,種類及び型式)
3) 測定雰囲気(使用したガスの種類及びその流量)
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4) 試料容器(材質,形状及び質量)
5) 参照試料片(材質,純度,形状及び質量)
6) 昇温速度及び温度制御プログラム
c) データ処理
1) 等温ベースラインの補正の有無及びその内容
2) 試料容器質量の補正の有無及びその内容
3) 平均化処理の有無及びその内容
d) 測定結果
1) 試験試料の測定値(試料の測定温度及び単位質量当たりの比熱容量)
2) 各DSC曲線(空容器,参照試料及び試験試料)のデータシート
e) 特記事項
1) 測定温度区間が複数の場合の測定履歴(測定の順番,回数などを記したもの)
2) 複数個の試料片を測定する場合の測定履歴(測定の順番,回数などを記したもの)
3) この規格の規定に合致しない事項,又は受渡当事者間で協定した事項
4) その他特に必要とする事項
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附属書1(規定)校正用の純物質及び標準物質
1. 適用範囲
この附属書は,DSCの校正に用いる純物質及び標準物質について規定する。
2. 校正用の純物質及び標準物質 示差走査熱量計の校正に用いる純物質及び標準物質を,それぞれ附属
書1表1,附属書1表2に示す。これら金属系純物質の融解温度を基準に温度校正を行うことができる。
熱量計の感度校正に用いることができる比熱容量の標準物質を,附属書1表3に示す。金属系純物質の融
解エンタルピーを基準に感度校正を行う方法もあるが,この規格ではその方法を用いないため,融解エン
タルピーの記載を省く。
附属書1表 1 金属系純物質及びその融解温度
純物質 融解温度 (℃) 融解温度 (K)
ガリウム 29.78 302.93
インジウム 156.4 429.5
すず 231.8 504.9
ビスマス 271.4 544.5
鉛 327.4 600.5
亜鉛 419.4 692.5
アルミニウム 660 933
銀 962 1 235
金 1 064 1 337
備考 純物質は表面の酸化層を落として使用する。容器がアルミニウムで純物質に亜鉛を用いる場合には,溶融時に
合金となるおそれがあるので,第1回の加熱昇温時の値だけを用いる。
附属書1表 2 DSC校正用標準物質
標準物質 材質
NIST SRM2232 インジウム
NIST SRM2220 すず
PTB ZRM-31401 ガリウム
PTB ZRM-31402 インジウム
PTB ZRM-31403 すず
PTB ZRM-31404 ビスマス
附属書1表 3 比熱容量標準物質
比熱容量標準物質 材質 温度範囲 (K)
NIST SRM720 合成 α アルミナ 102 250
NIST SRM781 モリブデン 273.152 800
備考 NIST : 米国標準技術局(National Insutitute of Standard and Technology),PTB : ドイツ物理工学研究所
(Physikalisch-Technischen Bundesanstalt)
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JIS R 1672:2006の国際規格 ICS 分類一覧
- 81 : ガラス及びセラミック工業 > 81.060 : セラミックス > 81.060.30 : ニューセラミックス
JIS R 1672:2006の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISK0129:2005
- 熱分析通則
- JISK7121:1987
- プラスチックの転移温度測定方法
- JISR1600:2011
- ファインセラミックス関連用語
- JISZ8401:2019
- 数値の丸め方