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a) 加熱用パルス光発光装置 試料近傍での平均出力が10 mW100 mWを目安とし,試料にパルス光を
照射する装置。パルス幅の選択については,附属書Aにパルス幅の選択の目安を参考として示す。
なお,加熱用パルス光の薄膜の表面におけるパワー密度は1×105 mW/cm2を目安とし,測定される
信号の大きさによって調整を行う。
b) 測温用パルス光発光装置 試料近傍での平均出力が約1 mWのパルス光で試料に照射する機能をもつ
装置。パルス幅の選択については,加熱用パルス光と同程度のパルス幅が望ましく,附属書Aに示す
パルス幅を選択の目安とする。薄膜の表面における測温用パルス光のパワー密度は,5×104 mW/cm2
を目安とするが,約1 mWを優先するのがよい。
注記 測温用パルス光の波長の例として,金属薄膜に,モリブデン(Mo),プラチナ(Pt)及びア
ルミニウム(Al)を用いた場合では780 nm近辺において良好な信号が得られる。また,金(Au)
では532 nm近辺において良好な信号が得られる。
c) 集光光学系 加熱用パルス光を薄膜の裏面にビーム径50 μm200 μm程度に集光する光学系及び測温
用パルス光をビーム径50 μm200 μm程度で薄膜の表面に集光する光学系からなり,また,反射され
た測温用パルス光を受光装置に導くための光学系をもつ装置。
d) 受光装置及び温度応答測定回路 測温用パルス光の波長に対して十分な感度と線形性のよい受光装置
及び増幅機構をもつ装置。
e) 記録装置 温度履歴曲線を自動記録できる装置。
f) 環境温度測定装置 熱電対とその出力を測定する測定器とからなる装置。熱電対はJIS C 1602に規定
する測定温度まで安定なものを使用する。また,JIS C 1602に規定されていない熱電対又は熱電対以
外の温度計を使用する場合には,使用した温度計の許容差を報告書に明記する。
なお,具体的な装置の仕様は,附属書Bに示す。
図3−装置の基本構成
6 試料
試料は,測定に用いる光の波長に対して透明であり,両面が光学研磨された基板上に成膜された3層膜
――――― [JIS R 1690 pdf 6] ―――――
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とし,次による。
a) 基板 熱伝導率が小さく,基板側から薄膜に照射する加熱用の光パルスの波長に対して透明な材料を
用いる。厚さ0.3 mm1.5 mm,面積100 mm2225 mm2(10 mm角15 mm角)の大きさとすること
が望ましい。表面の算術平均粗さRaは1 nm以下が望ましい。
b) 3層膜 図4に示すように,ファインセラミックス薄膜fと金属薄膜mとの界面熱抵抗を測定するに
は,ファインセラミックス薄膜fの上下層に金属薄膜mを配置した3層膜を用意する。金属薄膜mの
厚さは上下層とも100 nmを目安とし,同じ厚みとする。次に,金属薄膜mの厚さは固定し,ファイ
ンセラミックス薄膜fの膜厚dfを変えた複数個の試料を用意する。試料の数は少なくとも2個必要で
あり,3個以上であることが望ましい。また,膜厚dfは最も薄い試料と最も厚い試料との間で2倍以
上の差があるとよい。これらの複数の試料を用意する際には,各層の作製条件をできる限り一定とな
るように留意する。
さらに,詳細な膜厚の選び方は,附属書Cによるのがよい。
図4−3層膜の熱拡散率及び界面熱抵抗を測定するために準備する試料
7 測定手順
7.1 温度履歴曲線
温度履歴曲線の測定手順は,次による。
a) 3層膜の裏面へ基板側から加熱用パルス光を照射する。加熱用パルス光には変調器によって周期的な
強度変調を加える。
b) 加熱用パルス光が照射されている領域に正対する3層膜の表面に,測温用パルス光を照射する。
c) 測温用パルス光の反射光を受光装置に取り込み,電気信号へと変換した後,ロックインアンプによっ
て加熱用パルス光の強度変調の周期に同期した信号成分だけを取り出して測定する。
d) このとき測定する信号は,ロックインアンプによって得られる振幅値又は位相値のいずれでもよい。
e) 遅延制御装置によって,加熱用パルス光及び測温用パルス光の試料への到達時刻を制御し,時間軸に
対する位相値又は振幅値の変化を温度履歴曲線として記録する。
f) 温度履歴曲線は,加熱用パルス光が試料に照射された時刻t0より前の時刻から記録を行い,最高温度
に到達したことを観察できることが必要である。また,加熱用パルス光が3層膜に照射された時刻t0
は,JIS R 1689の附属書E(加熱用パルス光の照射による試料の温度上昇の目安)などを参考にして
決める。
g) 最高温度に到達してから更にその2倍程度の時刻まで記録するのが望ましい。
h) 複数個用意した3層膜について,それぞれの温度履歴曲線を測定する。
――――― [JIS R 1690 pdf 7] ―――――
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7.2 膜厚
各層の膜厚は,成膜条件から算出するか,又は透過型電子顕微鏡(TEM),走査型電子顕微鏡(SEM)
などによる断面観察によって求める。成膜条件から算出する場合には,同条件によって作製した単層の薄
膜の膜厚を,JIS B 0651に規定する触針式表面粗さ測定機を用いてJIS R 1636によって測定してもよい。
7.3 各層の単位体積当たりの熱容量
各薄膜の単位体積当たりの熱容量は,測定を行った環境温度における測定値又は文献値を用いることと
し,この場合には,使用した値,測定方法,出典などの根拠となる情報を報告書に記載する。
8 計算方法
計算方法は,次による。
a) 3層膜に用いる金属薄膜層mについて,熱拡散率αm,単位体積当たりの熱容量Cmを文献値,実験な
どによって決める。
b) 複数個の試料から得られたそれぞれの温度履歴曲線について,図2に示すように,温度変化の最小値
が0,最大値が1となるように規格化する。規格化された温度履歴曲線について,それぞれの面積熱
拡散時間を算出する。
面積熱拡散時間を用いる解析手法は,薄膜へ単一のパルス加熱を行った場合の薄膜から基板への熱
浸透及び薄膜の最表面からの熱損失のない理想的な温度履歴曲線を仮定している。一方,現実の測定
系では,薄膜を加熱用パルス光によって繰り返して加熱し,かつ,薄膜から基板への熱浸透があるた
め,温度履歴曲線の全体に負の傾きが加わった形状が測定されることがある。以上の理由から,温度
履歴曲線の規格化を行う前に,附属書Dによって温度履歴曲線の補正を行う。
c) 図5に示すように,得られた面積熱拡散時間Aを縦軸,ファインセラミックス薄膜の膜厚dfを横軸と
し,それぞれの試料の結果をプロットする。
d) 3層膜の面積熱拡散時間は,式(1)で算出する。
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dm Cmdm
2
1 df,2i
Cmdm +Cf df,i + +Cmdm + Cf df,i
3 m Cf df,i 6 f
g(df,i,
f, Rmf ) =
2C mdm +Cf df,i
Cmdm +Cf df,i
+2RmfCmdm (1)
2C mdm +Cf df,i
ここに, g : 面積熱拡散時間の理論式(s)
αm : 金属薄膜mの熱拡散率(m2s−1)
αf : ファインセラミックス薄膜fの熱拡散率(m2s−1)
dm : 金属薄膜mの膜厚(m)
df,i : i番目の試料のファインセラミックス薄膜fの膜厚(m)
Cm : 金属薄膜mの単位体積当たりの熱容量(Jm−3K−1)
Cf : ファインセラミックス薄膜fの単位体積当たりの熱容量
(Jm−3K−1)
Rmf : 金属薄膜mとファインセラミックス薄膜fとの間の界面
熱抵抗(m2KW−1)
e) ファインセラミックス薄膜fiの膜厚df, iに対する面積熱拡散時間Aiのデータセット(図5参照)に対
し,式(2)が最小になる層fの熱拡散率αfと界面熱抵抗Rmfとの組合せを最小二乗法によって算出する。
[ Aig(d,fi ,
f, Rmf ) ]2
(pdf 一覧ページ番号 )
i
――――― [JIS R 1690 pdf 8] ―――――
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ここに, Ai : i番目の試料の面積熱拡散時間の測定値(s)
注記 実線は,式(1)で記述される面積熱拡散時間の膜厚依存性を示し,黒丸は測定結果を基に算出された面積熱拡散
時間を示す。
図5−膜厚dfに対する面積熱拡散時間Aのプロット
9 報告書
報告書には,次の項目を記載する。ただし,受渡当事者間の協定によって記載事項を省略することがで
きる。
a) 規格番号
b) 試料
1) 各試料の薄膜の構成及び基板
2) 各層の膜厚
3) 基板及び薄膜の寸法及び形状
c) 測定条件
1) 環境温度
2) 加熱用パルス光及び測温用パルス光の仕様(パルス幅,波長,平均出力,繰返し周波数,照射直径)
d) データ処理法
1) 熱拡散率算出方法及び算出時の条件
2) 解析に必要な物性値。文献値などを引用した場合はその値及び出典
e) 測定結果
1) ファインセラミックス薄膜の熱拡散率及びファインセラミックス薄膜と金属薄膜との界面熱抵抗
2) 規格化された温度履歴曲線
3) ファインセラミックスの膜厚と面積熱拡散時間との関係を示す図5に相当するグラフ及び式(2)を適
用した解析結果を示す曲線
f) この規格から離脱した事項及び受渡当事者間で協定した事項
――――― [JIS R 1690 pdf 9] ―――――
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附属書A
(参考)
加熱用パルス光のパルス幅の選択の目安
A.1 パルス幅の選択の目安
この規格に示す面積熱拡散時間法では,無限小のパルス幅で瞬間的に加熱した場合を仮定しているので,
加熱用パルス光のパルス幅τpは,面積熱拡散時間Aに対して十分短くなければならない。表A.1及び図
A.1に,面積熱拡散時間に対して測定に用いることができる最大のパルス幅の目安を示す。
表A.1−加熱用パルス光のパルス幅τpの選択の目安
面積熱拡散時間 パルス幅 パルス幅
A(s) τp(s) τp(ps)
2.0×10−11 1.7×10−12 1.7
3.0×10−11 2.5×10−12 2.5
4.0×10−11 3.3×10−12 3.3
5.0×10−11 4.2×10−12 4.2
6.0×10−11 5.0×10−12 5.0
7.0×10−11 5.8×10−12 5.8
8.0×10−11 6.7×10−12 6.7
9.0×10−11 7.5×10−12 7.5
1.0×10−10 8.3×10−12 8.3
2.0×10−10 1.7×10−11 17
3.0×10−10 2.5×10−11 25
注記 パルス幅τpは,表中の数値より小さければよい。
図A.1−面積熱拡散時間Aに対して,測定に用いることができる最大のパルス幅τpの目安
――――― [JIS R 1690 pdf 10] ―――――
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JIS R 1690:2018の国際規格 ICS 分類一覧
- 81 : ガラス及びセラミック工業 > 81.060 : セラミックス > 81.060.30 : ニューセラミックス
JIS R 1690:2018の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISB0601:2013
- 製品の幾何特性仕様(GPS)―表面性状:輪郭曲線方式―用語,定義及び表面性状パラメータ
- JISB0651:2001
- 製品の幾何特性仕様(GPS)―表面性状:輪郭曲線方式―触針式表面粗さ測定機の特性
- JISC1602:2015
- 熱電対
- JISR1600:2011
- ファインセラミックス関連用語
- JISR1636:1998
- ファインセラミックス薄膜の膜厚試験方法―触針式表面粗さ計による測定方法
- JISR1689:2018
- ファインセラミックス薄膜の熱拡散率の測定方法―パルス光加熱サーモリフレクタンス法