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R 1761 : 2016
8.2 試験片の固定方法
図A.3に示すようなジグによって試験片を固定する。用いるシール材によって適宜試験片をシール材に
押し付ける圧力を検討する必要があるが,目視で変形が確認できるくらいの量とする。例えば,シリコン
ゴムシートを用いる場合には,厚さは0.5 mm程度,押し付け圧力は0.20.5 MPa程度がよい。
8.3 リーク曲線の測定
チャンバーをポンプによって初期差圧2080 kPa程度まで減圧し,ポンプの通じるバルブ(図2の6)
を閉じ,チャンバー内の圧力変化を差圧が2 kPa程度になるまで測定する。圧力変化の測定と同時に,測
定環境の温度(環境温度)を測定し,測定前後の温度の平均値を用いて解析する。記録には,例えば,デ
ータロガーを用いてサンプリングレート数秒程度で行う。
なお,試験においては,環境温度の変動が測定結果に影響を与えるため,環境温度の変動は±3 ℃以内
に制御する。
なお,測定前後の測定環境の気圧を記録し,平均値を用いて解析する。
8.4 測定回数
測定は,同一試験片を用いて3回以上測定する。繰り返し測定する際には,測定終了後,一度試験片を
シール材から外し,再びシール材へ試験片をセットして行う。
9 測定結果の取扱い
9.1 解析手法
得られたチャンバー圧力と時間との関係を,式(1)のリーク試験のモデル式を用いて,
ln P/ P0 P P0 と時間との直線関係を得たのち,直線の勾配からガス透過率を算出する。
P RT 2 πdK P0
ln t ln (1)
P0 P P0 V R1 P0 P0 P0
ln
R2
ここに, P0 : 測定前後の気圧の平均値(kPa)
ΔP : 差圧(kPa)
ΔP0 : 初期差圧(kPa)
t : 経過時間(s)
K : ガス透過率(mol・m・s−1・m−2・Pa−1)
R1 : 試験片(多孔質セラミックス)半径(m)
R2 : シール材中心孔の半径(m)
d : 試験片(多孔質セラミックス)厚さ(m)
V : チャンバー体積(m3)
T : 測定前後の温度の平均値(K)
R : 気体定数(=8.314 4 J・K−1・mol−1=m3・Pa・K−1・mol−1)
9.2 ガス透過率の平均値の計算
ガス透過率の平均値は,個々の試験の測定値から次の式(2)によって算出し,JIS Z 8401の規定によって,
有効数字2桁に丸める。
n
xi
x (2)
i 1n
ここに, x : 平均値
xi : 個々の試験の測定値
n : 個々の試験の数
――――― [JIS R 1761 pdf 6] ―――――
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10 報告
10.1 必須項目
ガス透過率測定の結果は,次の各項目について報告する。
a) この規格の番号
b) 試験片の材質
c) 試験片形状及び寸法
d) 試験片の測定回数及び順番
e) シール材中心孔の寸法
f) 試験機の名称及び形式
g) 試験条件(測定環境温度,測定環境気圧)
h) チャンバー内体積
i) ガス透過率の平均値
j) 測定した差圧範囲
10.2 補足項目
ガス透過率試験の結果には,次の各項目を付け加えて報告することが望ましい。
a) 材料の製造業者及び製造年月日
b) 材料の添加物の種類及び焼結方法
c) 材料の化学成分(シール材)
d) 素材からの試験片の採取条件及び加工条件
e) 試験年月日,試験場所,及び試験者名
――――― [JIS R 1761 pdf 7] ―――――
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附属書A
(参考)
ガス透過率測定原理の詳細及び試験手順の例
A.1 ガス透過率測定原理の詳細
A.1.1 はじめに
チャンバー内圧力−時間曲線(リーク曲線)を解析してガス透過率を測定する原理について記載する。
なお,ここで用いる変数を次のように定義する。
ΔP : 差圧(kPa)
ΔP0 : 初期差圧(kPa)
P1 : チャンバー外圧力(kPa)=大気圧,P0
P2 : チャンバー内圧力(kPa)
t : 経過時間(s)
v : 単位時間に単位断面積を透過する気体の体積流量(m3 s−1)
: 気体の粘性係数(Pa s)
Kv : ダルシー則における透過係数(m2・m2)
K : ガス透過率(mol・m・s−1・m−2・Pa−1)
S : 透過断面積(m2)
d : 試験片(多孔質セラミックス)の膜厚(m)
R1 : 試験片(多孔質セラミックス)半径(m)
R2 : シール材中心孔の半径(シリコンゴムシート孔半径)(m)
V : チャンバー体積(m3)
T : 温度(K)
R : 気体定数(=8.314 4 J・K−1・mol−1=m3・kPa・K−1・kmol−1)
A.1.2 ガス透過率の定義
ダルシー則における気体のガス透過係数をKv,気体の粘性係数をとすると,単位時間に透過する気体
の体積流量vはダルシー則より
dV Kv dP
v (A.1)
dt dx
と表される。この場合のガス流量の次元は [m3・s−1] である。したがって,このときの透過係数Kvの次元
は [m2・m2] である。式(A.1)は,ある圧力勾配下で流れる気体の体積流量を記述するものである。ここで,
ある圧力P,ある温度Tの条件を考えると,単位時間に流れている気体のモル数は
dn P Kv dP
(A.2)
dt RT dx
と表される。これは,ある圧力勾配のもとで単位時間に透過する気体のモル数を表している。
ここで,Kをある圧力勾配のもとで単位時間に単位断面積を透過する気体のモル数に関するガス透過率
と定義すると,Kは
PKv
K (A.3)
SRT
と表され,単位時間に単位断面積を透過する気体のモル数は
dn dP
K (A.4)
dt dx
と表すことができる。このときのガス透過率の次元は
――――― [JIS R 1761 pdf 8] ―――――
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mol m s 1 m 2 Pa 1 kmol m s 1 m2 kPa 1
である。式(A.4)中のKをこの測定方法によって評価するガス透過率と定義する。
A.1.3 リーク曲線のモデル式
この測定方法にて得られるリーク曲線からガス透過率を見積もるためには,リーク曲線のモデル式が必
要である。そこで,ここではリーク試験における差圧変化について考える。ここで,想定しているガス透
過率測定用試験片の形状が円盤状であるため,円柱座標系の場合を考える。いま,図A.1のような円柱座
標系を考えると,チャンバー外(r=R1)の圧力をP1,チャンバー内(r=R2)の圧力をP2とすると,
P1=P0=大気圧
P2=P1−ΔP
である。
なお,ΔPは正と定義している。
図A.1−円柱座標表示
リーク試験では差圧が時間の経過とともに変化する。差圧の時間変化は,単位時間,単位透過断面積当
たりにチャンバー内から流れ出る気体のモル数を正とすると,
dP SRT dn SRTK dP
(A.5)
dt V dt V dr
と表すことができる。すなわち,差圧の時間変化は,チャンバー体積,透過断面積,温度,透過率及び圧
力勾配(dP / dr)に依存する。式(A.5)を積分することによって,差圧の時間変化(リーク曲線)からガス
透過率を見積もることが可能である。式(A.5)を積分するためには,多孔体内部における圧力分布を求める
必要がある。そこで,多孔体内部の圧力分布を連続の式[式(A.6)]を用いて見積もった。
1
vr (A.6)
dt r r
ガス流れは半径方向だけとして,気体は圧縮性流体であることを考慮しながら,定常状態における連続
の式から多孔体内部の圧力分布を求めると,
P12 P22 2 P12 P22 ln R1
Pr ln rP1 (A.7)
R1 R1
ln ln
R2 R2
である。ある圧力分布の条件下における流れる気体のモル数は定常状態ではrのどの部分においても一定
――――― [JIS R 1761 pdf 9] ―――――
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であると考えられるので,圧力が大気圧であるr=R1における圧力勾配を用いて式(A.5)を積分すると,次
の関係式が得られる。
P RT 2 πdK P0
ln t ln (A.8)
P0 P P0 V R1 P0 P0 P0
ln
R2
したがって,ln P/ P0 P P0 と時間の関係が直線関係であることが分かる。チャンバー体積,試験
片厚さ,試験片の外径・内径はあらかじめ測定可能であり,リーク試験中の温度も計測可能であるため,
直線の勾配からガス透過率を測定可能である。
A.2 代表的な試験手順
A.2.1 測定装置の準備
この測定試験に必要な機器・機材の代表例は,次のとおりである。
・ 試験片ホルダー(A.2.2参照)
・ シール材(シリコンゴムシート) 孔あき,孔なし各1枚
・ 熱電対 1対
・ 圧力センサー 1個
・ ダイヤフラムポンプ 1台
・ データロガー 1台
・ ベローズバルブ 3個
図A.2に示した外観図のように,試験片保持部分,圧力センサー,バルブ,排気用ポンプ等を組み立て
た後,圧力センサーと熱電対をデータロガーに接続する。
――――― [JIS R 1761 pdf 10] ―――――
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JIS R 1761:2016の国際規格 ICS 分類一覧
- 81 : ガラス及びセラミック工業 > 81.060 : セラミックス > 81.060.30 : ニューセラミックス
JIS R 1761:2016の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISR1600:2011
- ファインセラミックス関連用語
- JISZ8401:2019
- 数値の丸め方