JIS R 7604:1999 炭素繊維―サイジング剤付着率の試験方法

JIS R 7604:1999 規格概要

この規格 R7604は、炭素繊維糸のサイジング剤付着率の試験方法について規定。連続フィラメント糸及びステープル糸について適用。

JISR7604 規格全文情報

規格番号
JIS R7604 
規格名称
炭素繊維―サイジング剤付着率の試験方法
規格名称英語訳
Carbon fibre -- Determination of size content
制定年月日
1999年9月20日
最新改正日
2018年10月22日
JIS 閲覧
‐ 
対応国際規格

ISO

ISO 10548:1994(MOD)
国際規格分類

ICS

59.100.20
主務大臣
経済産業
JISハンドブック
‐ 
改訂:履歴
1999-09-20 制定日, 2004-03-20 確認日, 2008-10-01 確認日, 2013-10-21 確認日, 2018-10-22 確認
ページ
JIS R 7604:1999 PDF [10]
R7604 : 1999 (ISO 10548 : 1994)

まえがき

  この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,通商産業大臣が制定した日
本工業規格である。

(pdf 一覧ページ番号 )

――――― [JIS R 7604 pdf 1] ―――――

R7604 : 1999 (ISO 10548 : 1994)
日本工業規格(日本産業規格) JIS
R7604 : 1999
(ISO 10548 : 1994)

炭素繊維−サイジング剤付着率の試験方法

Carbon fibre−Determination of size content

序文 この規格は,1994年に第1版として発行されたISO 10548, Carbon fibre−Determination of size content
を翻訳し,原国際規格の様式によって作成した日本工業規格(日本産業規格)であるが,規格内容の一部を我が国の実情に
即して変更した。
なお,この規格で下線(点線)を施している箇所は,原国際規格の規定内容を変更した事項又は原国際規
格にはない事項である。
1. 適用範囲
この規格は,炭素繊維糸のサイジング剤付着率の試験方法について規定する。この規格は連続フィラメ
ント糸及びステープル糸について適用することができる。
サイジング剤が適当な溶剤に完全に溶解する場合はA法(溶剤抽出法),サイジング剤が部分的に硬化
している場合及び溶剤に完全に溶解しない場合はB法(化学分解法),サイジング剤が熱分解で完全に分
解される場合はC法(熱分解法)をそれぞれ適用する。
2. 引用規格
次の規格は,この規格に引用されることによって,この規格の一部を構成する。この規格の発行時点で
は,ここに示す版の規格が有効である。すべての規格は改正されることがあるので,この規格の使用者は,
引用規格の最新版を適用できるかどうか検討するのが望ましい。IEC及びISOの加盟機関は,国際規格の
最新版の登録簿を維持している。
ISO 291 : 1977, Plastics−Standard atmospheres for conditioning and testing.
備考1. 6.の受け入れ検査の合否判定を削除したためISO 1886 : 1990は引用しない。
3. 定義
この規格で用いる主な用語の定義は,次による。
3.1 サイジング剤 (Size) 繊維の取扱い性を良くするため,繊維に付着させたもの。
3.2 サイジング剤付着率 (Sizecontent) サイジング剤が付着した状態の炭素繊維の絶乾質量当たりの
サイジング剤の質量をパーセントで表したもの。
4. 原理
次の3方法のいずれかを用いて,サイジング剤を除去する前後に,試験片の質量を測定する。

――――― [JIS R 7604 pdf 2] ―――――

2
R7604 : 1999 (ISO 10548 : 1994)
A法 : 溶剤抽出によるサイジング剤の除去。
B法 : 硫酸と過酸化水素の混合物又は硫酸を用いた化学分解によるサイジング剤の除去。
C法 : 窒素雰囲気中,高温下での熱分解によるサイジング剤の除去。
備考2. 原国際規格にはないが,JIS R 7061-1986に規定する方法を追加した。
この試験では,サイジング剤除去前後の質量が恒量になることを確認する必要がある。したがって,恒
量になるまで乾燥又は分解を繰り返す必要がある。ただし,ルーチン試験において質量変化のない条件が
定められた後は,その条件で試験を行ってもよい。
5. 試験場所の状態調節
試験に先立って,試験片はISO 291に規定された標準試験雰囲気中に保ち,試験中も装置及び試験片は
同じ条件下に維持する。条件としては23℃±2℃,50%RH±5%RHが望ましい。また,JIS K 7100プラス
チックの状態調節及び試験場所の標準状態に定める23℃±5℃,50%RH+20/-10%RHを採用してもよい。
質量測定の前には,必ず110℃±5℃の温度で1時間,試料を乾燥させる。
備考3. 原国際規格はISO 291の詳細は規定していない。ISO 10119は詳細を規定しているのでこの規
格に従い一致をはかった。また,JIS R 7061-1986にはJIS K 7100が使用されているので,こ
の規定に定める条件の採用を追加した。
6. 試験片
各々の試料から,2個の試験片を連続して採取する。各試験片は,2g以上とし,サイジング剤付着率は
2個の測定値の平均値とする。試験片を取り扱うときは,試験片の損傷を避けるため,手袋を着用するか,
又はピンセットを使用する。
備考4. 原国際規格にサンプリング項はない。ただし,受け入れ検査の合否判定はISO 1886として規
定されているが,試験方法の国際規格に,サンプリング方法を含めないと決定したため削除
した。
5. 追加試験が必要な場合は,受渡当事者間の協定に従って実施する。
7. 試験方法
7.1 A法 溶剤抽出法
備考6. 原国際規格には,ソックスレー抽出器による溶剤抽出法が採用されている。JIS R 7601-1986
ではビーカーによる溶剤抽出(溶剤洗浄)法が規定されているため,ビーカー中で完全に溶
解できる試料については,これを適用してもよい。したがって,この方法を手順3で追加した。
7.1.1 装置及び器具
7.1.1.1 はかり 最小0.1mgまで量れるものとする。
7.1.1.2 熱風乾燥機 指定温度に対し,±5℃で調節できるものとする。
7.1.1.3 デシケーター シリカゲル,塩化カルシウム,酸化りん (V) などの適切な乾燥剤を含むものとす
る。
7.1.1.4 ソックスレー抽出器 500mlの試料フラスコをもった200ml容量のものとする。
7.1.1.5 ソックスレー抽出円筒ろ紙 直径41mm,長さ123mmのものとする。
7.1.1.6 ビーカー 500ml容量のものとする。
備考7. ソックスレー抽出器,フラスコ,ろ紙及びビーカーの寸法は,各1種類だけ規定しているが,

――――― [JIS R 7604 pdf 3] ―――――

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R7604 : 1999 (ISO 10548 : 1994)
受渡当事者間の協定に従って変更できる。
7.1.1.7 ゴム手袋又はピンセット
7.1.1.8 切断用刃物
7.1.1.9 加熱マントル 溶剤の沸騰速度が調節できる電気調節器のついたものとする。
7.1.1.10 蒸留水又は2-ブタノン(メチルエチルケトン),テトラヒドロフラン,ジクロロメタン(塩化メ
チレン),アセトン,ジクロロエタンなどの有機溶剤。
備考8. 溶剤は,炭素繊維に付着しているサイジング剤を溶解できる試薬を選定する。この選定は受
渡当事者間の協定に従うが,用いた溶剤は報告に付記する。
注意事項 有機溶剤の取扱いは,抽出工程を含めて,ドラフト中で行うこと。
7.1.2 手順1
7.1.2.1 円筒ろ紙(7.1.1.5)を乾燥機(7.1.1.2)中で110 ℃±5 ℃,1時間乾燥し,デシケーター(7.1.1.3)中で室
温まで冷却する。
7.1.2.2 円筒ろ紙の絶乾質量を0.1mgまで量る (m1)。
7.1.2.3 試験片を円筒ろ紙に入れて,その絶乾質量を0.1mgまで量る (m2)。
7.1.2.4 試験片を入れた円筒ろ紙をソックスレ−抽出器(7.1.1.4)のサイホン室に入れる。サイホン操作に
十分な量の溶剤(約200 ml)をフラスコに入れる。
7.1.2.5 2時間,抽出を行う。この間,最低4回の還流が繰り返せるように加熱マントルを調節する。
7.1.2.6 加熱マントルのスイッチを切り,10分間装置を冷却する。
円筒ろ紙と試験片を取り出し,溶剤を蒸発させるため,10分間室温で放置する。
7.1.2.7 乾燥機(7.1.1.2)中で円筒ろ紙と試験片を110℃±5℃,1時間乾燥し,デシケーター中で冷却した後,
その絶乾質量を0.1mgまで量る (m3)。
沸点が100℃以上の溶剤を使用する場合,乾燥機の温度を溶剤の沸点より10℃高く設定する。
7.1.3 手順2
7.1.3.1 試験片がまとまった繊維であり,ソックスレー抽出室に巻いた状態で入れることができる場合は,
円筒ろ紙を使用しなくてもよい。
7.1.3.2 試験片の絶乾質量を0.1mgまで量る (m4)。
7.1.3.3 円筒ろ紙を用いないで,手順1に示した方法で抽出を行う。
7.1.3.4 試験片を110℃±5℃,1時間乾燥し,デシケーター中で冷却した後,その絶乾質量を1mgまで量
る (m5)。
7.1.4 手順3
7.1.4.1 試料を最低2g取り,その試験片の絶乾質量を0.1mgまで量る (m4)。
7.1.4.2 試験片をビーカーに入れた後,200mlの溶剤を注ぎ,約1時間浸せきする。
7.1.4.3 溶剤よりピンセットで試験片を取り上げ,溶剤をきり,再度同じ溶剤に浸せきする。質量変化が
なくなるまで,この操作を繰り返す。
7.1.4.4 試験片をビーカーから取り出し,ドラフトの中で風乾した後,乾燥機(7.4.1.2)中110℃±5℃で約1
時間乾燥する。
7.1.4.5 乾燥した試験片をデシケーター中で冷却した後,その絶乾質量を0.1mgまで量る (m5)。
7.1.5 計算及び結果の表示
7.1.5.1 手順1
サイジング剤付着率 (SC) は,次の式によって算出し,質量パーセントで表す。

――――― [JIS R 7604 pdf 4] ―――――

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R7604 : 1999 (ISO 10548 : 1994)
m2 m3
SC 100
m2 m1
ここに, m1 : 抽出前の円筒ろ紙の絶乾質量 (g)
m2 : 抽出前の試験片と円筒ろ紙の合計絶乾質量 (g)
m3 : 抽出後の試験片と円筒ろ紙の合計絶乾質量 (g)
7.1.5.2 試験の結果は,小数点以下2けたまで求め,JIS Z 8401によって小数点以下1けたの位に丸める。
備考9. 原国際規格に欠落しているため,追加した。
7.1.5.3 手順2及び手順3
サイジング剤付着率 (SC) は,次の式によって算出し,質量パーセントで表す。
m4 m5
SC 100
m4
ここに, m4 : 抽出前の試験片の絶乾質量 (g)
m5 : 抽出後の試験片の絶乾質量 (g)
7.1.5.4 試験の結果は,小数点以下2けたまで求め,JIS Z 8401によって小数点以下1けたの位に丸める。
7.2 B法 硫酸と過酸化水素による分解法
備考10. 原国際規格には,硫酸と過酸化水素の混合物による化学分解が採用されている。
JIS R 7601-1986では硫酸による化学分解が規定されているため,硫酸で化学分解できる試
料についてはこれを適用してもよい。したがって,この方法を手順2で追加した。
7.2.1 装置及び器具
7.2.1.1 はかり 最小0.1mgまで量れるものとする。
7.2.1.2 熱風乾燥機 指定温度に対し,±5℃で調節できるものとする。
7.2.1.3 デシケーター シリカゲル,塩化カルシウム,酸化りん (V) などの適当な乾燥剤を含むものとす
る。
7.2.1.4 ドラフト
7.2.1.5 ゴム手袋,フェイスバイザー及び実験着
7.2.1.6 ガラスフィルタ 孔径が20 ヰ 容量が30mlから70mlで,ほうけい酸ガラス製のも
のとする。
7.2.1.7 切断用刃物
7.2.1.8 加熱ブロック(図1参照) 洗浄システム並びに吸引ポンプを連結した排気フード,分解管及び
目盛が付いた滴下漏斗を固定する支持棚を備えているものとする。
加熱ブロックは,ラボラトリージャッキ又はこれと同等の設備の上にセットする。

――――― [JIS R 7604 pdf 5] ―――――

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