JIS R 7608:2007 炭素繊維―樹脂含浸ヤーン試料を用いた引張特性試験方法

JIS R 7608:2007 規格概要

この規格 R7608は、樹脂含浸ヤーンを用いた炭素繊維の引張強さ,引張弾性率及び最大荷重時の伸びの測定方法について規定。

JISR7608 規格全文情報

規格番号
JIS R7608 
規格名称
炭素繊維―樹脂含浸ヤーン試料を用いた引張特性試験方法
規格名称英語訳
Carbon fibre -- Determination of tensile properties of resin-impregnated yarn
制定年月日
2007年1月20日
最新改正日
2016年10月20日
JIS 閲覧
‐ 
対応国際規格

ISO

ISO 10618:2004(IDT)
国際規格分類

ICS

59.100.20
主務大臣
経済産業
JISハンドブック
‐ 
改訂:履歴
2007-01-20 制定日, 2011-10-20 確認日, 2016-10-20 確認
ページ
JIS R 7608:2007 PDF [17]
                                                                   R 7608 : 2007 (ISO 10618 : 2004)

まえがき

  この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,炭素繊維協会(JCMA)/日本プラスチック工
業連盟(JPIF)/財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格(日本産業規格)を制定すべきとの申
出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本工業規格(日本産業規格)である。
制定に当たっては,日本工業規格(日本産業規格)と国際規格との対比,国際規格に一致した日本工業規格(日本産業規格)の作成及び日
本工業規格を基礎にした国際規格原案の提案を容易にするために,ISO 10618:2004,Carbon fibre−
Determination of tensile properties of resin-impregnated yarnを基礎として用いた。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に
抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許
権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に係る確認について,責任は
もたない。
JIS R 7608には,次に示す附属書がある。
附属書A(参考)熱硬化エポキシ樹脂処方の例
附属書B(参考)樹脂含浸装置の例
附属書C(参考)タブ調製における装置の例
附属書D(参考)伸び計の例

(pdf 一覧ページ番号 1)

――――― [JIS R 7608 pdf 1] ―――――

R 7608 : 2007 (ISO 10618 : 2004)

pdf 目 次

ページ

  •  序文・・・・[1]
  •  1. 適用範囲・・・・[1]
  •  2. 引用規格・・・・[1]
  •  3. 定義・・・・[1]
  •  4. 記号・・・・[2]
  •  5. 原理・・・・[2]
  •  6. 装置及び材料・・・・[2]
  •  6.1 樹脂・・・・[2]
  •  6.2 含浸装置・・・・[2]
  •  6.3 硬化オーブン・・・・[3]
  •  6.4 引張試験装置・・・・[3]
  •  6.5 はかり・・・・[3]
  •  6.6 長さ計・・・・[3]
  •  7. 試験片・・・・[3]
  •  7.1 試験片数・・・・[3]
  •  7.2 試験片長さ・・・・[3]
  •  7.3 樹脂含浸による試験片作製の手順・・・・[3]
  •  7.4 その他の繊維特性の求め方・・・・[3]
  •  7.5 試験片の選択基準・・・・[4]
  •  7.6 タブ付試験片の作製方法・・・・[4]
  •  8. 状態調節及び試験の雰囲気・・・・[4]
  •  9. 引張試験の手順・・・・[4]
  •  10. 結果の表示・・・・[5]
  •  10.1 引張強さ・・・・[5]
  •  10.2 引張弾性率(図1参照)・・・・[5]
  •  10.3 最大荷重時の伸び(破断時のパーセント伸び)・・・・[6]
  •  11. 精度・・・・[7]
  •  12. 報告・・・・[7]
  •  附属書A(参考)熱硬化エポキシ樹脂処方の例・・・・[8]
  •  附属書B(参考)樹脂含浸装置の例・・・・[10]
  •  附属書C(参考)タブ調製における装置の例・・・・[11]
  •  附属書D(参考)伸び計の例・・・・[13]

――――― [JIS R 7608 pdf 2] ―――――

                                       日本工業規格(日本産業規格)                             JIS
R 7608 : 2007
(ISO 10618 : 2004)

炭素繊維−樹脂含浸ヤーン試料を用いた引張特性試験方法

Carbon fibre−Determination of tensile properties of resin-impregnated yarn

序文

 この規格は,2004年に第2版として発行されたISO 10618,Carbon fibre−Determination of tensile
properties of resin-impregnated yarn を翻訳し,技術的内容及び規格票の様式を変更することなく作成した日
本工業規格である。
なお,この規格で点線の下線又は側線を施してある“参考”は,原国際規格にはない事項である。

1. 適用範囲

 この規格は,樹脂含浸ヤーンを用いた炭素繊維の引張強さ,引張弾性率及び最大荷重時の
伸びの測定方法について規定する。この試験方法は,複合材料中の強化繊維としての炭素繊維(連続繊維
及びステープルファイバー)へも適用可能である。
備考 この規格の対応国際規格を,次に示す。
なお,対応の程度を表す記号は,ISO/IEC Guide 21に基づき,IDT(一致している),MOD
(修正している),NEQ(同等でない)とする。
ISO 10618:2004,Carbon fibre−Determination of tensile properties of resin-impregnated yarn (IDT)

2. 引用規格

 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す
る。これらの引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS K 7100 プラスチック−状態調節及び試験のための標準雰囲気
備考 ISO 291 Plastics−Standard atmospheres for conditioning and testingからの引用事項は,この規
格の該当事項と同等である。
JIS K 7161 プラスチック−引張特性の試験方法 第1部 : 通則
備考 ISO 527-1 Plastics−Determination of tensile properties−Part 1:General principlesが,この規格
と一致している。
JIS R 3911 補強用糸−線密度の試験方法
備考 ISO 1889 Reinforcement yarns−Determination of linear densityが,この規格と一致している。
JIS R 7603 炭素繊維−密度の試験方法
備考 ISO 10119 Carbon fibre−Determination of densityが,この規格と一致している。
JIS R 7604 炭素繊維−サイジング剤付着率の試験方法
備考 ISO 10548 Carbon fibre−Determination of size contentが,この規格と一致している。

3. 定義

 この規格で用いる主な用語の定義は,JIS K 7161によるほか,次による。
3.1 ヤーンの断面積 (cross-sectional area of carbon-fibre yarn) (Af) ヤーンの線密度を,炭素繊維の密度

――――― [JIS R 7608 pdf 3] ―――――

2
R 7608 : 2007 (ISO 10618 : 2004)
で除したもの。
備考 単位は平方ミリメートル(mm2)とする。

4. 記号

 この規格で用いる記号は,次による。
替 引張強さ(MPa)
Ff : 最大引張力(N)
Af : ヤーンの断面積(mm2)
替 ヤーンの密度(g/cm3)
Ttf : ヤーンの線密度(tex)
Tti : 試験片の線密度(tex)
Ef : 引張弾性率(GPa)
L0 : 伸び計のゲージ長(mm)
力の変化に対応した,長さの変化(mm)
長さの変化に対応した,力の変化(N)

5. 原理

 ヤーンに樹脂を一様に含浸し,その後硬化させることによって試験片とする。適切な引張試験
装置を使用し,破壊するまで一定の速度で荷重を負荷することによって試験する。引張強さ,引張弾性率
及び最大荷重時の伸度は,荷重−伸び曲線から計算によって求める。引張弾性率は,あらかじめ決められ
た2点間での応力変化量をそれに対応するひずみ変化量で除すことによって求められる。炭素繊維は,応
力−ひずみ関係が線形でないため,2点を結んだ直線を引張弾性率として定義する。A法では二つのひず
みの間で,B法では二つの応力の間で,それぞれ引張弾性率を定義する。線密度及びサイジング剤付着量
は,別途測定する。
備考 A法又はB法で得られた値の精度は,概略同等であると思われる。しかしながら,一般的に炭
素繊維の応力−ひずみの関係は,非線形であるため,これらの二法による平均弾性率は,いく
らか異なっており,必ずしも統計的比較が可能でない。A法,B法又は他の方法のいずれを用
いるかは,受渡当事者間の合意事項であり,使用する方法を購入仕様書又は品質保証書に記載
する。

6. 装置及び材料

6.1 樹脂

 含浸する樹脂は,ヤーン及びそのサイジング剤に適合性がなければならない。また,樹脂又
は樹脂溶液の粘性は,均一な含浸性を確かなものとするため十分に樹脂をピックアップできるようなもの
でなければならない。硬化樹脂の最大ひずみは,ヤーンの引張ひずみの2 倍以上,望ましくは3倍とする。
この観点から,含浸中の粘度は望ましくは,1 000 mPasの熱硬化性エポキシ樹脂が適切である(附属書A
を参照)が,この規格の要求を満たす試験片が作製できるならばどのような組成でも適用可能である。

6.2 含浸装置

 試験片は,均一に樹脂を含浸し,平滑な試験片を得ることができる方法で作製する。こ
れには,1本又は多数本作製する方法がある。多数本作製する装置は,次に示す装置で構成する。
6.2.1 サンプルボビンホルダ 張力付与装置を備えたもの。
6.2.2 樹脂含浸槽 温度調節装置及び含浸ローラ又はテンションバーを備えたもの。
6.2.3 余剰樹脂除去装置 樹脂を含浸したヤーンを,織物,紙又はフェルトで覆われたローラを通過させ
る方法,及び/又はダイスを通す方法。

――――― [JIS R 7608 pdf 4] ―――――

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R 7608 : 2007 (ISO 10618 : 2004)
6.2.4 フレーム 樹脂を含浸した後に巻き取るためのもの。ゴムを被覆した木製フレーム又は金属製フレ
ームを使用。
例 含浸装置の例は,附属書B参照。

6.3 硬化オーブン

 一様に樹脂を硬化させるため,温度調節及び循環ファン付きオーブンが望ましい。

6.4 引張試験装置

6.4.1  一様なクロスヘッド速度で操作でき,荷重と伸びとを記録する装置を備えなければならない。荷重
表示の精度は,記録された値の1 %以上とする。試験片把持具は,試験装置の軸と試験片の軸方向とを一
致させることができるものでなければならない。
6.4.2 伸び計は,連続的に記録する装置に接続して,自動で,試験片にかかる力の作用として伸び計のゲ
ージ長さの範囲内で,伸びが記録できるものとする。伸び計の質量は,試験片に負荷をかけない程度に十
分に軽いものとする。伸び計のゲージ長は,最低50 mm,望ましくは100 mmとする。また,±1 %の許
容誤差のものとする。伸び計は,伸びの要求された範囲内で0.1 %以下の線形許容誤差をもつものとする。
適切な伸び計の例は,附属書Dを参照。光学式又はレーザ式のひずみ測定器を使用してもよい。

6.5 はかり

 樹脂を含浸したヤーンの線密度を,0.1 gまで読取り可能なものとする。

6.6 長さ計

 定規又は,少なくとも500 mmの長さで,確度が,±1 mmまで測定できるものとする。

7. 試験片

7.1 試験片数

 少なくとも四つの試験片を測定する。また,個々の値を記録する。ただし,把持具内,
タブ内,又は伸び計で損傷し破壊した場合は,その結果を捨て,ほかの試験片を追加して試験する。

7.2 試験片長さ

 タブ付きの試験片の場合は,タブ間の試験片の長さが150±5 mm,又は200±5 mmと
する。タブなしの試験片の場合は,全長250±5 mm又は300±5 mmとし,少なくとも伸び計のゲージ長
に把持長の2倍を加えた長さとする。
備考 受渡当事者間で合意が得られない場合 : タブ付きの試験片の場合は,タブ間の試験片の長さを
150±5 mmとする。タブなしの試験片の場合は,全長250±5 mmとする。

7.3 樹脂含浸による試験片作製の手順

7.3.1  6.2の含浸装置を使用して,試験片を作製するための手順を次に示す。
7.3.2 サンプルボビンホルダにヤーンボビンをセットする。
7.3.3 樹脂含浸槽へあらかじめ混合した樹脂を入れ,温度を調節し,必要な粘度に調整する。
7.3.4 ヤーンを樹脂含浸槽(6.2.2参照)に通し,樹脂を十分に含浸し,その後,余剰樹脂除去装置へ導
入する(6.2.3参照)。
7.3.5 ヤーンの巻出し張力を調整する。この張力は,試験機関個々の自由裁量で決定しなければならない。
7.3.6 フレーム(6.2.4参照)に樹脂を含浸させたヤーンを巻き取る。
7.3.7 巻き取られたヤーンをオーブン(6.3参照)に入れる。
7.3.8 樹脂製造業者の指示条件によって,試験片を硬化する。
7.3.9 硬化が完了したら,オーブンからフレームを取り出す。フレームから含浸ヤーンを外した後,必要
な本数の試験片を切り出す。
7.3.10 7.5の選択基準によって,試験片を選択する。

7.4 その他の繊維特性の求め方

7.4.1  一般 10.の引張強さ及び引張弾性率を計算するために,7.4.27.4.5に規定する特性を求めなけれ
ばならない。

――――― [JIS R 7608 pdf 5] ―――――

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