JIS S 0032:2003 高齢者・障害者配慮設計指針―視覚表示物―日本語文字の最小可読文字サイズ推定方法

JIS S 0032:2003 規格概要

この規格 S0032は、若年者から高齢者までの任意の年齢の観測対象者(対象者)が,様々な環境下で平仮名,片仮名,アラビア数字,及び漢字の日本語文字の1文字を読むことのできる最小の文字サイズの推定方法について規定。

JISS0032 規格全文情報

規格番号
JIS S0032 
規格名称
高齢者・障害者配慮設計指針―視覚表示物―日本語文字の最小可読文字サイズ推定方法
規格名称英語訳
Guidelines for the elderly and people with disabilities -- Visual signs and displays -- Estimation of minimum legible size for a Japanese single character
制定年月日
2003年10月20日
最新改正日
2018年10月22日
JIS 閲覧
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対応国際規格

ISO

国際規格分類

ICS

13.120, 37.080, 97.020
主務大臣
経済産業
JISハンドブック
高齢者・障害者等 2018
改訂:履歴
2003-10-20 制定日, 2008-10-01 確認日, 2013-10-21 確認日, 2018-10-22 確認
ページ
JIS S 0032:2003 PDF [11]
                                                                                   S 0032 : 2003

まえがき

  この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,独立行政法人産業技術総合研究所(AIST)から,
工業標準原案を具して日本工業規格(日本産業規格)を制定すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経
済産業大臣が制定した日本工業規格(日本産業規格)である。
この規格の一部が,技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案件,又は出願公開後の
実用新案登録出願に抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会
は,このような技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案件,又は出願公開後の実用新
案登録出願にかかわる確認について,責任はもたない。
JIS S 0032には,次に示す附属書がある。
附属書1(参考)日本語文章の読みやすさ評価方法
附属書2(参考)日本語文字サイズの寸法とその例

(pdf 一覧ページ番号 1)

――――― [JIS S 0032 pdf 1] ―――――

S 0032 : 2003

pdf 目 次

ページ

  •  序文・・・・[1]
  •  1. 適用範囲・・・・[1]
  •  2. 引用規格・・・・[1]
  •  3. 定義・・・・[2]
  •  4. 観測条件・・・・[2]
  •  5. 日本語文字の最小可読文字サイズ推定方法・・・・[2]
  •  6. 記録・・・・[3]
  •  7. 最小可読文字サイズ推定結果の取扱いに関する注意事項・・・・[3]
  •  附属書1(参考)日本語文章の読みやすさ評価方法・・・・[7]
  •  附属書2(参考)日本語文字サイズの寸法とその例・・・・[10]

――――― [JIS S 0032 pdf 2] ―――――

                                       日本工業規格(日本産業規格)                             JIS
S 0032 : 2003

高齢者・障害者配慮設計指針−視覚表示物−日本語文字の最小可読文字サイズ推定方法

Guidelines for the elderly and people with disabilities - Visual signs anddisplays - Estimation of minimum legible size for a Japanese singlecharacter

序文

 文字情報は情報技術(IT)時代の社会生活にとって必要不可欠であるにもかかわらず,様々な形・
サイズで表示・印刷されるため,特に年齢とともに視力の低下する高齢者にとって読みづらい文字が表示
されている場合が多い。この規格は,標識,表示ラベル,パンフレットをはじめとする視覚表示物に用い
る文字を設計する際の指針として,多様な文字の最小可読サイズを定量的に推定する方法を示したもので
ある。この規格の制定を第一歩として,日常生活におけるより多くの人に対して,読みやすい適切な文字
環境が実現することを期待する。

1. 適用範囲

 この規格は,若年者から高齢者までの任意の年齢の観測対象者(以下,対象者という。)が,
様々な環境下で平仮名,片仮名,アラビア数字,及び漢字の日本語文字の1文字を読むことのできる最小
の文字サイズの推定方法について規定する。対象とする文字は,明るい背景に暗い文字で表示され,かつ,
白地に黒のような高いコントラストで表示された明朝体及びゴシック体の二つの書体であって,標識,表
示ラベル,パンフレットをはじめとする視覚表示物に用いるものとする。ただし,ドット式の電子ディス
プレイで表示される文字は除く。
なお,アルファベットは対象としないが,平仮名,片仮名,及びアラビア数字に準じて最小の文字サイ
ズを推定してもよい。
備考1. この規格では,対象者を10歳から80歳までの任意の年齢の人とし,これらの対象者で視覚
的病歴のない健常な人が80 %の正答率で読み取れる最小の文字サイズが推定できる。
2. この規格では,対象者が5 mの視距離で視力矯正をした場合に最大視力をもつように矯正し
た目に対して,読み取れる最小の文字サイズが推定できる。ただし,5 m以外の視距離にお
いて矯正した場合はこの限りではない。例えば,5 mより近距離で矯正した場合は,近距離
ではこの規格で推定する文字サイズよりも小さい文字でも読むことができる。
3. この規格の参考として,日本語文章の読みやすさ評価方法を附属書 1(参考)に,及び日本
語文字サイズの寸法とその例を附属書 2(参考)に示す。

2. 引用規格

 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す
る。これらの引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS T 7309 視力検査装置

――――― [JIS S 0032 pdf 3] ―――――

2
S 0032 : 2003
JIS Z 8113 照明用語
JIS Z 8305 活字の基準寸法

3. 定義

 この規格で用いる主な用語の定義は,JIS Z 8113によるほか,次による。
a) 視力 JIS T 7309で定義されたランドルト環視標を用い,その視標の切れ目が見分けられる最小の幅
に対する対象者からの角度(分)で,その逆数で表す。
b) ランドルト環 JIS T 7309で規定する視力検査装置において,視力測定に用いられる視標。
c) 視距離 対象者の目から,見る対象物までの距離。メートル(m)で表す。
d) 輝度補正係数 100 cd/m2を基準として,視力に及ぼす輝度の影響を補正するための係数。
e) 文字サイズ JIS Z 8305で規定する文字の大きさで,ポイントで表す。
f) サイズ係数 視距離D(m)における視力Vを用いて,D/Vで定義する量。該当する観測条件におけ
る視覚の最小分解能に対応する。
g) 最小可読文字サイズ 対象とする観測条件において,平仮名,片仮名,アラビア数字,及び漢字の日
本語文字1文字を80 %以上の正答率で読むことのできる最小の文字サイズで,ポイントで表す。

4. 観測条件

 観測条件は,次のとおりとし,それぞれの範囲における日本語文字の最小可読文字サイズ
を推定する。
a) 対象者の年齢 対象者の年齢は,10歳から80歳までとする。
b) 視距離 視距離は,0.2 mから100 mまでとする。
c) 輝度 輝度は,0.01 cd/m2 から3 000 cd/m2 までとする。ここで輝度とは,文字以外の背景の輝度をい
う。

5. 日本語文字の最小可読文字サイズ推定方法

 日本語文字の最小可読文字サイズは,次の手順で推定す
る。
a) 対象者の年齢及び視距離による輝度100 cd/m2 における視力V0を,付表 1から求める。
b) 付表 2を用いて,観測条件の輝度L(cd/m2)に対応する輝度補正係数kを求め,a)で求めた視力V0
を,式(1)によって補正する。
V kV0 (1)
ここに, V : 観測条件における視力
k : 輝度補正係数
V0 : 対象者の年齢及び視距離による輝度100 cd/m2 におけ
る視力
c) サイズ係数Sを,式(2)によって求める。
D
S (2)
V
ここに, S : サイズ係数
D : 視距離(m)
V : 観測条件における視力
d) 日本語文字の最小可読文字サイズPmin(ポイント)を,サイズ係数及び表 1の係数を用いて,式(3)
によって求める。

――――― [JIS S 0032 pdf 4] ―――――

                                                                                              3
S 0032 : 2003
Pmin aS b (3)
ここに, Pmin : 最小可読文字サイズ(ポイント)
a : 表 1に示される係数
S : サイズ係数
b : 表 1に示される係数
表 1 日本語文字の最小可読文字サイズを求める計算式の係数
日本語文字種類 a b
明朝体 平仮名,
片仮名, 8.2 2.6
アラビア数字
漢字 510画 9.6 2.8
漢字1115画 9.6 3.6
ゴシック体 平仮名,
片仮名, 6.4 3.0
アラビア数字
漢字 510画 8.1 3.4
漢字1115画 8.6 4.1
備考 付表 1及び付表 2に該当する条件がない場合は,付表 1に関しては対象者の年齢を線形に内
分する内挿法,付表 2に関しては距離の対数を線形に内分する内挿法によって該当する値を得
る。
参考 アルファベットは平仮名・片仮名・アラビア数字に,漢字14画は漢字510画に,漢字16
画以上は漢字1115画にそれぞれ準じて用いてもよい。

6. 記録

 日本語文字の最小可読文字サイズ推定に当たっては,必要に応じて次の項目を記録しておくこ
とが望ましい。
a) 対象者の年齢
例 68歳
b) 観測条件
例 視距離 0.5 m,輝度 10 cd/m2
c) 推定結果
例 ゴシック体 漢字8画 17.3ポイント

7. 最小可読文字サイズ推定結果の取扱いに関する注意事項

 この規格によって推定する文字サイズは,
視覚的病歴のない健常な人を対象として導出されるものであって,眼疾患のある人,及び弱視者など視覚
に障害のある人に対しては,不適切となる場合がある。したがって,文字サイズの設計に当たっては,用
途によって文字サイズを推定結果より更に大きくするなど,その取扱いに注意しなければならない。

――――― [JIS S 0032 pdf 5] ―――――

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JIS S 0032:2003の国際規格 ICS 分類一覧

JIS S 0032:2003の関連規格と引用規格一覧

規格番号
規格名称
JIST7309:2002
視力検査装置
JISZ8113:1998
照明用語
JISZ8305:1962
活字の基準寸法