JIS S 0137:2000 消費生活用製品の取扱説明書に関する指針 | ページ 2

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S 0137 : 2000 (ISO/IEC Guide 37 : 1995)
参考1 白紙上に良質の黒色の印刷を行った場合,約80%が得られる。
2 わずかに透明な紙に両面印刷を行った場合は,輝度対比率が減少し,かつ,読みやすさが損
なわれる。
上記を基礎として,最小の活字の大きさ及び輝度対比率に関する最低要求事項を個別製品規格中で
示すことが望ましい。
c) 取扱説明書に安全に関する事項を記載する場合,より認知しやすいよう,異なった字体を用いたり,
文字の大きさを変えて表現することが望ましい。安全及び使用方法の両面が意図される記載事項は,
安全に関する配慮を優先することが望ましい。
d) 金属,ガラス,プラスチックなどの表面に刻印又は浮き彫りのような恒久的な本体表示を行う場合は,
ラベルのちょう付工程を省いてもよい。
参考 この場合は,良質の印刷と比べると読みにくい場合がある。
7.3 色 色は,次による。
a) 明確かつ迅速な識別を要する制御器,部材等は,使用色を考慮することが望ましい。
b) 色の使用について規定できる場合,明確に使い分けられ,統一的な使用がなされていることが望まし
い(JIS Z 9101参照)。
c) 男性の約8%,女性の約0.5%が色に対する視覚異常があることを考慮し,色の使い分けだけによる取
扱説明は避けることが望ましい。
7.4 情報伝達の原則 情報伝達は,次による。
a) 取扱説明書の設計及び様式に責任のある者は,使用者が“読んでから行動する”ことができる最良の
使用手順書を作成することが望ましい。取扱説明書は,使用手順を段階ごとに記述することが望まし
い。
備考 取扱説明書の読者が素早く読んで行動する必要がある場合(例えば,消火器の使用時など),内
容を理解する過程が最小でなければならない。
b) 製品を適正で安全に使用するために複雑な操作が必要な場合,取扱説明書は,使用者が順次学習し,
理解していけるよう,そしてそれを奨励するものが望ましい。
参考 イラスト,表,フローチャートなどの使用が効果的である(7.7,7.9及び7.10参照)。
c) 種々の異なる機能又は用途がある製品の取扱説明書は,最初に基礎的な機能又は用途について示し,
順次他の機能などを示すことが望ましい。
d) 取扱説明書には,使用者がもつであろう“どこで,誰が,何を,いつ,どのように及びなぜ”という
疑問を予測しながら回答を用意することが望ましい。
7.5 表現方法及び専門用語の使用 表現方法及び専門用語の使用は,次による。
a) 取扱説明書は,できるだけ単純,かつ,簡潔とし,一般消費者が容易に理解できることが望ましい。
専門用語を使用しなくてはならない場合は,意図するものを説明する。一貫した用語及び単位を使用
することが望ましい。
b) 取扱説明書の作成は,7.4情報伝達の原則によることが望ましい。
参考 簡潔,かつ,明確な表題及び注釈は,使用者が必要とする情報を見つけやすくする(7.11参照)。
c) 一つの文では,一つの指示を示すことが望ましい。一つの指示のために複数の関連事項を要する場合
は,簡潔に要件が示されることが望ましい。明確なものにするには,次を参考としてもよい。
− 能動態を用い,受動態による表現を避ける。
− 明確に断言し,不明りょうな表現を避ける。

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S 0137 : 2000 (ISO/IEC Guide 37 : 1995)
− 行動を表す動詞を使い,抽象的な名詞表現は避ける。
− 使用者側に立った表現を使い,間接話法的な表現を避ける。
参考表1を次に示す。
参考表1
原則 良い例 悪い例
能動態を使う。 ・ 電源を切ってください。 ・ 電源が切られていること
を確かめてください。
明確に断言する。 ・ タブを動かさないでくだ・ タブは動かさないほうが
さい。 よいでしょう。
行動を表す動詞を ・使用してください。 ・ 使用
使用する。
・維持してください。 ・ 保守
・避けてください。 ・ 回避
使用者側に立った ・あなたのほうへ黒いレバ ・ 機械のほうから黒いレバ
表現にする。 ーを引いてください。 ーを引いてください。
7.6 言語 言語は,次による。
a) 取扱説明書は,製品が販売される国の公用語を使用しなければならない。
参考 多くの国では,法的に義務付けられている。
b) 二か国語以上を使用する場合は,各言語は容易に区別がつくことが望ましい。取扱説明書などの印刷
物は,各言語ごとに作成することが望ましい。不可能である場合は,各言語による説明を明確に分離
することが望ましい。ページごとに言語を使い分けることが望ましい。
c) 取扱説明を製品本体に表示する場合,スペースが限られていると二か国語以上の表示が困難な場合が
あり,製品がどの国で販売するか製造の段階では未定のこともあり,このような場合は,使用者に明
確に理解できるイラストの使用(7.8参照),注釈を併記しながら順番などを数字で使用したり,国際
的に通用する略語(原ガイドに示される例;STOP,MAX. /MIN.)を使用してもよい。
d) 公用語が二か国語以上ある場合も,取扱説明事項に対応するイラストは,隣合せにあることが望まし
い。イラストの表題は,隣合う取扱説明事項と同じ言語で書かれていることが望ましい(7.7f)参照)。
e) 他国語を翻訳して取扱説明書を作成する場合,チェック及び校正を含む全プロセスが,表現及び意図
を間違えない翻訳の専門家が行うことが望ましい。
7.7 イラスト イラストは,次による。
a) 写真などの他の媒体を使用してもよいが,明確で良質なものが望ましい。
b) イラストは,文章による表現を補い合うように併用することが望ましい。
c) イラストは,対応する文章と離さないことが望ましい。操作手順を示す場合は,文章とともにイラス
トが手順どおりに配列されていることが望ましい。
d) イラストは,位置関係及び詳細部位を示すために使用することが望ましい。
参考 操作装置又は補助装置関係について示す場合にも有用である。
e) 一つのイラストに必要以上の情報を盛り込まないことが望ましい。
f) 細部を示すイラストなどは,必要に応じて関連箇所に繰り返して使用することが望ましい。
参考 7.6から7.10が満たされている場合,イラスト,フローチャート及び表を折込みページに掲載
すると説明書を読むときに便利である。折込みページを開けば,随時関係文章を参照できるか
らである。
7.8 シンボルマーク シンボルマークは,次による。

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S 0137 : 2000 (ISO/IEC Guide 37 : 1995)
a) シンボルマークは,容易に理解される明確なものが望ましい。使用するシンボルマークがISO 7000,
ISO 7001及びIEC 417による場合は,それらを用いることが望ましい。
b) 製品本体にシンボルマークが表示される場合は,その説明を取扱説明書中に明確に示すことが望まし
い。
7.9 表 表は,次による。
a) 情報をより理解しやすくするために,表を用いることが望ましい。その場合の表は,対応する本文に
隣接していることが望ましい(7.7g)参照)。
b) 表は,必要に応じて取扱説明書の関連箇所で繰り返し使用することが望ましい。
7.10 フローチャート 製品の安全,かつ,正しい使用手順を示す場合,フローチャートが有用である。
フローチャートは,対応する本文に隣接していることが望ましい(7.7f)参考参照)。
7.11 目次及び索引 目次及び索引は,次による。
a) 取扱説明書が2ページ以上になるときは,ページ番号を付すことが望ましい。4ページを超えるとき
は,目次,索引などを設けることが望ましい。
b) 取扱説明書が厚く,複雑な場合は,キーワードなどによる索引を設けることが望ましい。
c) 複雑な器具の場合,操作装置又はメータ類(例えば,ダイヤル,ゲージ,点滅方式などのもの)の一
覧表を別途提供することが望ましい。
d) 目次中の表題は,本文中の表題と同一であることが望ましい。
7.12 点検,修理又は交換 製品の使用者,周囲の者又は製品自体に対して危害 (harm) のリスクなしに点
検又は修理が可能な場合,取扱説明書に適切な図表,イラストなどを記載することが望ましい。また,使
用者自身で修理できるか又は専門家に連絡したほうがよいかについて明確な説明を設け,同時に可能性の
ある故障のチェックリストを提供することが望ましい。
8. 警告表示 警告表示は,次による。
a) 警告表示は,前述の7.2a)から7.2d)まで,及び7.3に従って,より大きい活字,異なる字体又はシンボ
ルマーク若しくは目立つ色を用いたりして強調して示すことが望ましい。
b) 警告表示の形式及びデザインが,最良の効果を得るものにするため,次を考慮することが望ましい。
− 文章及びイラストは,重要なものに限定する。
− 警告表示の位置,意図の表示方法及びスタイルを目立つものにする。
− リスクの対象者である使用者などが,製品使用時などの必要なときに見えるものであるかを確かめる。
− 危険状態 (hazard) の種類(可能であるならその原因も示す。)を説明する。
− 何をすべきか明確な指針を与える。
− 何を避けるべきか明確な指針を与える。
− 明確な表現,シンボルマーク及びイラストを使用する。
− 繰り返される警報及び誤った警報は,必要な警告の効果を減じる。
c) 取扱説明書に使用者に対する警告表示を記載する場合は,次の段階的な“シグナルワード”を使用す
ることが望ましい(ISO/IEC Guide 51参照) :
− “危険 (DANGER)” : 重大なリスクに対する注意の喚起を意図する。
− “警告 (WARNING)” : 中程度のリスクに対する注意の喚起を意図する。
− “注意 (CAUTION)” : 軽度のリスクに対する注意を喚起する。
d) 製品に関する重大なリスク及び中程度のリスクを示す警告表示は,製品の耐用年数内は,明りょうに

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見え,恒久的に表示されていることが望ましい。
e) 危険状態又は使用制限に関する警告(例えば,“3歳未満の乳幼児には適さない”のような警告)は,
安全のために重要なものであり,他の説明事項以上に目立つことが望ましい。この警告は,購入時に
明確に認識できることが望ましい(6.及びISO/IEC Guide 50参照)。
9. 標準化された用語及び標識 警告表示のような重要なメッセージを伝えるためには,標準化された用
語,及び安全標識又はシンボルマークの使用を考慮することが望ましい。この用語及び標識の使用方法は,
対応する製品規格中に表示位置も含めて規定することが望ましい。
10. 視聴覚信号 視聴覚信号は,次による。
a) 光の点滅などによる視覚信号,及びブザーなどによる聴覚信号を,使用者への通知及び警告に使用す
ることが望ましい。
b) )の信号を使用する場合は,次による。
− あいまいなものでない。
− 使用者が危険状態又は機能不良を適切に回避できるよう,十分時間的に余裕があるタイミングで発す
る。
− 他の信号と明らかに区別できる。
− 製品本体の表示又は添付される取扱説明書中にその説明がある。
− 視覚信号にあっては,使用中明りょうに見えるものである。
c) さらに,これらの信号は,容易にチェックできる設計及び状態であることが望ましい。警報装置にあ
っては,製品本体の表示又は添付される取扱説明書中にその説明があることが望ましい。取扱説明書
中に定期的なチェック方法を記載することが望ましい。
d) 製品規格中に,どのような視覚信号又は聴覚信号を要するか規定することが望ましい。
参考 本件は,現在(1999年度時点)ISO及びIECにおいて検討されている。
11. 取扱説明書の耐久性 取扱説明書の耐久性は,次による。
a) 製品本体に表示される取扱説明事項は,製品の耐用年数内は有効なものであり,明りょうで読みやす
いことが望ましい。
b) 取扱説明を包装に表示したり,添付される取扱説明書などに記載する場合,耐久性を考慮することが
望ましい。通常の使用環境下で予想される耐用年数内は,たとえ,より頻繁に使用されたとしても,
十分耐えることが望ましい。
c) このような説明事項は,最初の組立て又は設置時にだけ必要な場合を除いて,“後日参照できるよう保
管すること”と表題を付けておくと役に立つ。しかし,製造業者又は供給業者は,使用者から説明書
などを要求された場合,再提供できるよう,製品の耐用年数内は写しなどを保管しておくことが望ま
しい。
d) 包装は,開包時に破損することがあるため,包装に恒久的な使用説明を表示することは,一般的に望
ましくない。使用説明の表示を恒久的なものにしたい場合,“後日参照できるよう保管すること”のよ
うな注意書きを目立つように記載することが望ましい。もし,使用説明を記載した部分だけを保管す
ればよい場合,その部分は包装の他の部分から容易に切り離せることが望ましい。

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S 0137 : 2000 (ISO/IEC Guide 37 : 1995)
附属書A(参考) 取扱説明書の評価
A.1 一般 ここでいう取扱説明書は,製品本体への表示,包装への表示及び添付物(取扱説明書,録音テ
ープ,ビデオテープなどを含む。)による説明を対象とし,それらに対する評価について示す(序文参照)。
3.a)に示されるように,取扱説明の提供は,製品引渡しの際に不可欠である。
A.2 方法論 使用者が安全を確かめ,正しく使用するための情報提供は重要であり,また,製品機能など
が複雑な場合の説明も重要である。そのための取扱説明書の評価は,次を基本とする。
− 机上評価
− 人による対話式パネル試験
A.3 机上評価 机上評価は,次による。
a) 机上評価は,製品及び取扱説明書の設計,製造又は販売のどの段階にも関係しない的確な専門家によ
って行う。
b) 机上評価は,中立的な第三者による補完が必要な場合がある。例えば,製品購入時に適切な情報が提
供されているかどうかについては,製造業者,供給業者などの関係者よりも,専門の検査員又は中立
的な評価者による評価のほうが望ましい。
c) 必要な項目が記載されているかどうかについては,この附属書に添付した項目チェックリストによっ
て評価できる。
d) 表示方法が適切かどうかについては,この附属書に添付した表示方法のチェックリストによって評価
できる。
e) 両チェックリストは,あらゆる製品に適用できるものではないため,該当する個別製品規格がある場
合は,それによって補完又は修正することが必要である。また,個別製品規格がない場合は,類似の
製品の使用,又は機能関係の規格を用いて補完若しくは修正することが必要である。
A.4 対話式パネル試験 対話式パネル試験は,次による。
a) 対話式パネル試験は,取扱説明書が安全面及び環境面を含む疑問に答えていくことによって,どの程
度有効なものであるかを評価する方法である。この試験は,製品の設計,人間工学的側面及び機能に
ついて取扱説明書がどの程度情報を提供しているかを評価するものである。
b) 対話式パネル試験の構成員は,製品の意図した使用者及び使用する可能性のある者の代表であること
が望ましい。構成員の要因を次のように整理できる。
1) 年齢
2) 性別
3) 健康状態
4) 身体能力又は障害の有無
5) 利き腕
6) 教育,言語力又は技術的な専門知識
7) 類似製品についての事前知識の有無

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JIS S 0137:2000の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO/IEC Guide 37:1995(IDT)

JIS S 0137:2000の国際規格 ICS 分類一覧

JIS S 0137:2000の関連規格と引用規格一覧