JIS S 1203:1998 家具―いす及びスツール―強度と耐久性の試験方法 | ページ 2

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S 1203 : 1998 (ISO 7173 : 1989)
図1 座面の強度試験
7.2 背もたれの静的強度試験
負荷位置決めジグで決まる背もたれ負荷位置(図20参照)又はその背もたれの最上部から100mm下の
位置のどちらか低い方の位置に背もたれ当て板(6.5)の中心を置く。後方の脚又はキャスタの後ろをストッ
パに当てて,いすが後方に移動しないようにする。
試験は,表から選ぶ力を,座面に力がかかった状態で背もたれに垂直になるように加えて行う。
表から選ぶ釣り合わせのために座面に加える力を座面負荷位置(附属書参照)に加えた状態で,力を10
回加える。各回ごとに力は少なくとも10秒間維持する。
背もたれに加える力は,少なくとも410 Nでなければならない。この力でいすが転倒する場合には,座
面に加える力を増大させる。
この試験を,張力調整が可能なばね式揺り子が付いたいすに対して実施する場合は,試験中揺り動作が
できるだけ起こらないように張力を増大させなければならない。
備考1. いすの構造上,背もたれ負荷位置に力を加えることができない場合には,例えば,背もたれ
負荷位置の上側若しくは下側又はその両側に位置する横中桟で作られている場合には,背も
たれ横中桟に力を加える適切な板材を用いてもよい。ただし,この板材が両脇の縦材に重な
ってはならない。
2. いすに可傾機構が付いている場台には,いすの背当てが垂直位置に対し後方に15±5度傾い
た位置に調整することが望ましい。
力を1回目及び10回目に加えたとき,背もたれの相対的たわみを測定し,図2に示すようにd/hを計算
する。ここで,hは座面から背もたれの最上部までの距離,dは背もたれ最上部でのたわみである。
この試験を背もたれがない又は非常に低いスツールに対して行う場合には,後方への力は,座面の前縁
に水平に加える。骨組みが矩形のスツールの場合は,座面の形状に関係なく,力を2つの隣接辺のそれぞ
れに加え,力を加える回数は,それぞれの辺に半分ずつ割り当てる。骨組みが三角形状のスツールの場合

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には,任意の2つの中線に沿って順に力を加える。
備考 座面の強度試験における座面当て板を置く位置の1つは,背もたれの強度試験と同じであるか
ら,通常これらの2つの試験は,座面及び背もたれの組合せ強度試験として一緒に実施すると
便利である。この場合,最初に座面に力を加え,次にその状態で背もたれに力を加えることが
望ましい。
図2 背もたれの強度試験
7.3 ひじ部及び頭もたせの静的水平力試験
表から選ぶ一定の外向きの力を,いすの両側のひじ部の内側から,ひじ部上の最も破壊しやすい位置に
加える(図3参照)。この力は,局部当て板(6.6)を用いて10回加える。各回ごとに力は少なくとも10秒間
維持する。いすの最上部に頭もたせが備えられている場合には,表から選ぶ力を用いて両方の頭もたせに
対し,上記の試験を繰り返す。

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図3 ひじ部及び頭もたせの水平力試験
7.4 ひじ部の静的垂直力試験
表から選ぶ垂直力を,ひじ部の最も破壊しやすい位置に10回加える(図4参照)。
力は小形座面当て板(6.4)を介して加え,各回ごとに力は少なくとも10秒間維持する。
いすが転倒しそうであれば,力を完全に加えたときにいすが転倒しないように十分な大きさの釣り合わ
せのためのおもりを,力を加える側とは反対側に加える。
備考 水平力と垂直力を試験区分ごとに組み合わせて,それらの二つの力の合力を加えることによっ
て,ひじ部の水平力試験はひじ部垂直力試験と組み合わせることができる。
図4 ひじ部の垂直力試験
7.5 座面の耐久性試験
附属書に従って決めた座面負荷位置に,座面当て板(6.3)の中心を置いて950Nの力を加える。力は,毎
分40サイクルを超えない速さで,表から選ぶ回数だけ加える。
試験の初回及び最終回に当て板の最も低い位置を測定する。これらの2つの値の差を,試験中の座面の

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たわみとして記録する。
必要ならば,いすの足掛け用の横木又は足載せ台についても,適切な試験区分によって上述の試験を繰
り返す。
図5 座面の耐久性試験
7.6 背もたれの耐久性試験
附属書に従って決めた背もたれ負荷位置又は背もたれの最上部から100mm下の位置のどちらか低い方
の位置に,背もたれ当て板の(6.5)の中心を置く。後方の脚又はキャスタの後ろをストッパに当てて,いす
が後方に移動しないようにする。330Nの力,又はいすが転倒しそうであれば,いすが後方へ転倒しないよ
うな330Nより小さい力を繰り返し加えることによって試験を行う。試験は,毎分40サイクルを超えない
速さで,表から選ぶ回数を行う。各サイクル中,950Nの力を座面に加える(図6参照)。
この試験を,張力調整が可能なばね式揺り子が付いたいすに対して行う場合には,張力は,調整範囲の
中央に調整する。
この試験を背もたれがない又は背もたれが非常に低いスツールに対して行う場合には,後方への力は,
座面の前縁に水平に加える。脚が4本のスツールで座面の横方向の寸法と前後方向の寸法が異なる場合に
は,力を加える回数は,2つの方向のそれぞれに半分ずつ割り当てる。脚が3本のスツールの試験は,3
本の脚の主要軸の2つに沿って実施する。
備考 サイクル数及び座面に加える力は,座面及び背もたれの両方の耐久性試験に共通であるため,
通常,これら2つの試験は,座面及び背もたれの組合せ耐久性試験として一緒に行うと便利で
ある。この場合,最初に座面に力を加え,そのままの状態で背もたれに力を加えることが望ま
しい。

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図6 背もたれの耐久性
7.7 脚部の静的前方強度試験
試験体の前脚が移動しないようにストッパを当て,局部当て板(6.6)を用いて,座面と同じ高さでいすの
後部中央に前向きの水平力を加える。脚が3本のスツールの場合には,前後方向中心線上にある1つの脚
とその他のもう1つの脚にストッパを設置する。試験は,表から選ぶ力の値で行う。
負荷位置決めジグ(図20参照)によって決まる座面負荷位置に,表から選ぶ釣り合わせのための力を加
える。試験体が転倒しそうであれば,前方へ転倒しなくなるまで水平力を小さくし,実際に用いた水平力
を記録する[図7a)参照]。前向きの水平力は10回加え,各回ごとに力は少なくとも10秒間維持する。

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JIS S 1203:1998の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO 7173:1989(IDT)

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