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4.2 試験ジグ
試験ジグは,次による。
試料の固定方法の例を,図1に示す。
a) 骨幹端プレート用ジグの底部には,台座の上を転がるように,ころを附属した構造とする。骨幹端プ
レートは,ねじなどを用いてジグに取り付ける。
b) CHS及びショートフェモラルネイルについては,ラグスクリュー先端のねじ部の中央に荷重がかかる
ように,ラグスクリューの動きに追従してジグの角度が変化する構造とする。ラグスクリュー先端の
ねじ部をジグで挟み込むように固定するとよい。また,ラグスクリュー先端のねじ部の中央に荷重を
負荷し,台座が動く構造でもよい。
CHSは,試料ごとにサイドプレートの内側の曲がり(カーブ)及びねじ穴の位置に合わせた状態で
ねじなどによってジグに取り付ける構造とし,ショートフェモラルネイルは,ネイルのてい(釘)の
下部を挟み込んで固定する構造とする。ただし,形状によってねじなどで十分固定できない製品では,
サイドプレートを挟んで固定してもよい。また,ねじなどを用いずに製品が固定できる場合には,類
似の固定法でもよい。
a) 骨幹端プレート b) CHS c) ショートフェモラルネイル
図1−圧縮曲げ試験ジグの例
5 圧縮曲げ強度及び圧縮曲げ剛性の試験方法
5.1 一般
圧縮曲げ強度及び圧縮曲げ剛性の試験は,骨幹端プレート,有角プレート,CHS,ショートフェモラル
ネイル及び試験可能な類似の製品に対して行う。
5.2 圧縮曲げ強度及び圧縮曲げ剛性の試験手順
圧縮曲げ強度及び圧縮曲げ剛性の試験手順は,次による。
a) 試験ジグを試験機に取り付ける。
――――― [JIS T 0313 pdf 6] ―――――
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b) レバーアーム距離(図1でのLに相当)を計測し,骨幹端プレート,CHSなどでサイドプレート部に
ねじ穴がある構造では,プレート最上部の穴を一つ(以下,1穴という。)あけて,試料をジグに固定
することが望ましい。
ショートフェモラルネイルは,ネイルのロッド部分を挟み込み,ねじなどで固定する。固定する長
さは,60 mm70 mmを目安に,ネイルの形状に応じて適切な長さで固定する。ただし,ねじ穴が少
ないなどの理由で1穴をあけて固定できない場合には,全ての穴を固定してもよい。
なお,ラグスクリューの固定は,臨床で使用する条件に近い位置で,ねじなどを用いた押さえによ
って固定する。
有角プレートは,CHSと同様に固定する。
c) 骨幹端プレートなどで,製品単体に比べ,骨折部と一体で試験した方が試験しやすい製品では,骨折
部を設けた模擬骨などを用いて,圧縮曲げ試験を行ってもよい。模擬骨には,JIS T 0311に規定する
複合骨,カスタム骨などを用いる。
d) 荷重点の移動速度は,10 mm/minの速度で一定にし,十分に永久変形するまで圧縮曲げ荷重を負荷し,
図2のような荷重−変位曲線を求める。そのとき,試験前に試料に余分な荷重を負荷しないよう注意
する。
e) 荷重を負荷する前のレバーアーム距離の0.2 %変位量に相当するオフセット変位に対する荷重を,荷
重−変位曲線から測定し,オフセット荷重とする。ただし,0.2 %変位量が小さすぎて測定できない場
合には,レバーアーム距離の2 %変位量をオフセット変位とする。また,模擬骨折部を設けた模擬骨
を用いた試験では,骨片(模擬骨折部)間の距離の2 %変位量又は模擬骨折部の上下ねじ間の距離の
2 %変位量をオフセット変位とする。
f) 試験環境条件は,通常,室温·常湿の大気雰囲気とする。
g) 試験は,3個以上の試料を用いて行い,平均値,標準偏差などを算出する。
図2−荷重−変位曲線
5.3 圧縮曲げ強度及び圧縮曲げ剛性の計算
圧縮曲げ強度は,個々の試料の荷重−変位曲線から,次の式によって算出する。
M=L×P
ここで, M : 圧縮曲げ強度(N·m)
L : 荷重が負荷される前のレバーアーム距離(m)
P : オフセット荷重(N)
圧縮曲げ剛性は,個々の試料の荷重−変位曲線の傾き(図2参照)から求める。
――――― [JIS T 0313 pdf 7] ―――――
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6 耐久性試験
6.1 一般
耐久性については,比較的大きな荷重が長期間作用し,製品の耐久性試験が必要な場合に行う。
6.2 耐久性試験の手順
試験の手順は,次による。
a) 試料は,4.2によって圧縮曲げ試験機に取り付ける。
b) 正弦(サイン)波を用い,荷重比0.1の条件で,最大荷重及び最小荷重を試験機に設定する。試験荷
重の設定については,図3の測定例を参考にするとよい。
c) 繰返し周波数は,通常,1 Hz3 Hzとする。試料の変形量が大きい場合には,変形が戻る前に次の負
荷がかからない周波数で行う。厚さの薄い骨幹端プレートの試験では,安定した試験とするため1 Hz
と低い周波数とすることが望ましい。
d) 製品単体に比べ,骨折部と一体で試験した方が試験しやすい製品又はねじと一体で試験した方が試験
しやすい製品では,模擬骨などを用いて,耐久性試験を行ってもよい。
e) 荷重を負荷するときは,設定した荷重に速やかに,かつ,衝撃がなく達するようにする。また,試験
中は,最大荷重及び最小荷重を,それぞれ可能な限り一定に保つようにする。
f) 繰返し数は,試料が破壊するまでの繰返し数とする。繰返し数が所定の回数以上に達しても破壊しな
い場合には,試験を中止してもよい。繰返し数は,例えば,1×106のように,10nの倍数で表し,有効
数字3桁に丸める。
g) 試料の数は,8個以上を目安に,L-N曲線(又はM-N曲線)を作成するのに必要な数とする。
h) 試験環境条件は,通常,室温·常湿の大気雰囲気とする。
i) 試験に用いた試料は,再利用してはならない。
a) CHS b) ショートフェモラルネイル
図3−L-N曲線の測定例
6.3 耐久性試験結果の表し方
L-N曲線による試験結果の表し方は,次による。
a) 縦軸に最大荷重,横軸に破断までの繰返し数を示し,L-N曲線を作成する。破壊しなかった試料に対
する試験結果を表す点には,横向きの矢印を付ける。また,最大荷重の代わりに,最大モーメント(最
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大荷重×レバーアーム距離,M-N曲線)を用いてもよい。
なお,L-N曲線を作成する必要がない製品では,試験結果に耐久限だけを表示してもよい。
b) L-N曲線において横軸に水平となる場合の最大荷重,又は1×106回以上の繰返し数での最大荷重を求
めて耐久限とする。
7 試験結果の報告
試験結果は,次の各項目を報告する。
a) 試験機の名称及び形式,並びにジグの種類
b) オフセット変位及び負荷条件(レバーアーム距離,繰返し波形,繰返し周波数など)
c) 圧縮曲げ強度,圧縮曲げ剛性,該当する場合は,L-N曲線(又はM-N曲線)の図及び耐久限
d) 試料の種類,数,寸法及び製造業者名
e) 温度,湿度などの試験環境条件
f) 試験年月日,試験場所及び試験者名
g) 試験 に用いたサンプル数
h) 模擬骨などを用いて試験を行った場合,模擬骨などの種類
JIS T 0313:2022の国際規格 ICS 分類一覧
- 11 : 医療技術 > 11.040 : 医療設備 > 11.040.40 : 外科用体内埋没材,義肢及び装具
JIS T 0313:2022の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JIST0311:2009
- 金属製骨ねじの機械的試験方法
- JIST0311:2022
- 金属製骨ねじの機械的試験方法