JIS T 0806-1:2015 ヘルスケア製品の滅菌―放射線―第1部:医療機器の滅菌プロセスの開発,バリデーション及び日常管理の要求事項 | ページ 6

                                                                                             23
T 0806-1 : 2015 (ISO 11137-1 : 2006,Amd.1 : 2013)
− 原材料
− 製造プロセス
− 放射線量
− 放射線の種類
− 照射後の保管条件
この計画には,特定の合格基準の決まった適切な試験によって,機能性及び生物学的な安全性(JIS T
0993-1参照)の評価を含めることが望ましい。
試験計画で導き出した線量は,製品の最大許容線量を決定するのに用いる。
試験計画で次に必要なことは,あらかじめ定めた製品寿命の全期間を通して基準に合格することを裏付
ける証拠を得ることである。この情報を実際にかかる期間より短い期間で得るための一つの方法は,加速
試験を実施することである。放射線による製品に対する悪影響は,高温下でより早く現れるので,実時間
で生じる変化と加熱で生じる変化とを関係付ける提案がなされている(AAMI TIR17 [17]参照)。ただし,
加速試験は,実時間試験の代用にはならない。
線量測定関係の詳細な指針については,JIS T 0806-3の箇条6に示す。
A.8.1.2 放射線滅菌の線量測定に関わる指針を,JIS T 0806-3に示す。
A.8.2 滅菌線量の確立
A.8.2.1 JIS T 0806-2:2014に示す。
A.8.2.2 8.2.2 a) については,この方法によって滅菌線量を確立するために,次のことが適用できる。
1) 平均バイオバーデンが0.1以上の製品の滅菌線量を確立するために,バイオバーデンを構成する微生
物の数及び抵抗性についての知識を適用できる(JIS T 0806-2:2014の方法1参照)。
2) 平均バイオバーデンがいかなる水準にあっても,製品の滅菌線量を確立するためにはバイオバーデン
を構成する微生物の抵抗性についての知識が適用できる(JIS T 0806-2:2014の方法2参照)。
8.2.2 b) については,平均バイオバーデンが1 000以下の製品には25 kGyの実証,平均バイオバーデン
が1.5以下の製品には15 kGyの実証の方法を,JIS T 0806-2:2014で規定している。
A.8.2.3 指針はない。
A.8.3 滅菌線量及び最大許容線量の規定
指針はない。
A.8.4 線源間の最大許容線量,検定線量又は滅菌線量の移転
A.8.4.1 最大許容線量の移転
最大許容線量の有効性を当初設定した線源以外の線源で評価する場合には,線量率及び照射中の製品温
度を考慮することが望ましい。例えば,線量率が高くなるほど,製品材質への望ましくない効果は減少す
る傾向がある。
低線量率の線源(ガンマ線)又は中線量率線源(X線)で適合性を確認した製品は,通常,高線量率の
線源(電子線)では材質の適合性を立証するために,最小限の適合性確認試験で十分である。逆に高線量
率で適合性を確認した製品に低線量率又は中線量率を適用する場合には,詳細な確認試験を必要とする場
合がある。
線量率及び製品温度が同等の場合には,同種の線源間での移転は適切である。
A.8.4.2 検定線量又は滅菌線量の移転
A.8.4.2.1 線量率が大幅に異なる線源間の移転では,微生物殺滅の効力が異なることに注意する。線量率

――――― [JIS T 0806-1 pdf 26] ―――――

24
T 0806-1 : 2015 (ISO 11137-1 : 2006,Amd.1 : 2013)
の違いが微生物殺滅の効力に影響を与えないことを立証することが,移転を認めるための必要なデータと
なる。移転が微生物殺滅の効力に変化を与えないことの立証は,移転しようとしている線源を使用して,
検定線量試験(JIS T 0806-2:2014参照)に満足することで達成される。
A.8.4.2.2 乾燥状態で照射を行う場合は,微生物殺滅効力は,運転条件に影響を受けないという実験的証
拠があり,移転は差し支えない。
A.8.4.2.3 液状の水分が存在する条件で照射を行う場合は,線源の運転特性によって微生物殺滅効力が影
響を受けることがあるという実験的証拠があり,移転は制限される。
A.9 バリデーション
注記1 この規格の目的のため,バリデーションは,据付適格性の確認(IQ),運転適格性の確認(OQ)
及び稼働性能適格性の確認(PQ)の少なくとも三つの主要な構成要素がある。
注記2 大規模な据付け及び新規設備の場合には,使用者の要求事項を決めて文書化することから開
始するのが一般的である。設備の供給者がほぼ決定した時点で使用者の要求事項及び設備仕
様及び設備配置を検討して,問題点があれば解決する。この段階を一般に設計適格性の確認
(DQ)と名付ける。この規格では,DQについての要求事項は規定しない。
A.9.1 据付適格性の確認(IQ)
IQは,滅菌設備及び付帯設備が仕様どおりに供給され,据付けされたことを示すために行う。
IQは,設計及び据付けに関わる要求事項を記載する文書の作成から始める(A.9の注記2参照)。IQは,
文書化した要求事項に基づくことが望ましい。工事及び据付けは,これらの要求事項に対して評価するこ
とが望ましい。IQの文書化には,図面並びに全ての建築資材,設備の寸法及び許容差,支援サービス及び
動力源の詳細などを含んでいることが望ましい。
IQは,OQを実施する前に完了していることが望ましい。
ISO 11137:1995の発行前に操業開始した放射線施設で,据付け中に照射設備に加えた変更記録がない場
合には,これらの記録を後から作成する必要はない。
A.9.2 運転適格性の確認(OQ)
放射線滅菌の線量測定に関わる指針は,JIS T 0806-3を参照。
A.9.3 稼働性能適格性の確認(PQ)
PQは,特定の製品を用いて行うバリデーションであり,設備があらかじめ定めた範囲内で線量を照射
するために,あらかじめ定めた規準に基づき安定的に運転できていることを示し,製品の無菌性について
の要求事項に適合していることを立証するものである。
放射線滅菌の線量測定に関わる指針は,JIS T 0806-3を参照。
9.3.2 b) については,電子線照射の場合,こん(梱)包内の製品配置が重要となる。さらに,ガンマ線
及びX線照射の場合でも,密度が線量分布に影響する可能性がある場合(例えば,液体容器,金属インプ
ラントなど),製品配置が重要になることもある。
9.3.2 c) については,製品を照射容器内で固定するシステムの場合,固定のために使用する材料及び固
定の方法を仕様書に含むことが望ましい。
A.9.4 バリデーションのレビュー及び承認
この作業には,滅菌処理の適合性を確認し,プロセス仕様を作成し,承認するためのバリデーションデ
ータを検討し,文書化することが含まれる。

――――― [JIS T 0806-1 pdf 27] ―――――

                                                                                             25
T 0806-1 : 2015 (ISO 11137-1 : 2006,Amd.1 : 2013)
A.10 日常監視及び管理
注記 日常監査及び管理の目的は,バリデートされ,かつ,あらかじめ定めたとおりの滅菌プロセス
が製品に対して行われたことを立証することである。
A.10.1 指針はない。
A.10.2 JIS Q 13485では,製品の取扱い及び保管に関わる要求事項を規定している。
A.10.3 製品を分離する場合には,次の事項に注意する。
a) 製品の物理的な分離
b) 信頼性ある在庫管理システムの使用
ラベル及び/又はスタンプの使用は,この手順の一部となり得る。
A.10.4 指針はない。
A.10.5 製品が照射容器内で移動して線量分布に影響する可能性がある場合には,処理中の想定外の移動
を避けるため,保持具を用いて製品を固定するのが望ましい。
A.10.6 製品が仕様どおりに処理されたことを確認するため,プロセスパラメータの監視及び日常線量測
定の結果を検討する。この検討には,必要ならば測定結果が範囲外の場合にとるべき措置を含むことが望
ましい。
測定結果が,範囲外となった場合の措置(例えば,再処理,範囲外の測定値の信頼性検討,製品廃棄,
その他必要な措置)を文書化して実施することが望ましい。
電子線照射設備は,設備によってその特性及び監視する方法が異なる。滅菌線量が製品に必ず照射され
たことを保証する運転条件の監視及び日常的な線量測定の寄与の程度は照射設備ごとに異なる。照射業者
は,滅菌処理が適正に実施されたという信頼を与える運転条件の監視及び日常線量測定の実施などの監視
手順を作成することが望ましい。
A.10.7 線量測定に関わる指針は,JIS T 0806-3を参照。
A.10.8 指針はない。
A.10.9 指針はない。
A.10.10 製品が仕様どおりに処理されたことを確認するため,プロセスパラメータの監視及び日常線量測
定の結果をレビューする。このレビューには,必要ならばプロセス中断のときにとるべき措置も含むこと
が望ましい。
正常な運転条件からの逸脱時(例えば,停電又はコンベヤの誤作動)には,すぐにプロセスを中断し,
線源を自動的に安全な位置に格納することが望ましい。これらの原因及びプロセス中断の時間を記録し,
再開の手順を文書化し,これを実施することが望ましい。
照射設備又はコンベヤの故障の場合には,滅菌線量が照射され,かつ,最大許容線量を超えない製品が
提供できることを保証するための文書化した手順を実施することが望ましい。
微生物が生育可能な状態にない製品でプロセス中断が発生した場合には,照射設備内で製品を移動せず
に中断することは,通常,特別な対応策を必要としない。しかし,これらのプロセス中断は記録し,線量
測定の有効性を保証するためにレビューすることが望ましい。
微生物が生育可能な状態にない製品のプロセス中断の場合には,次の事項をプロセス仕様書に記載する。
− 製造完了から滅菌処理完了までの最大経過時間
− この経過時間内の保管及び輸送の条件
最大経過時間及び条件は,製品の微生物的な性質として無菌性を損なわないことを保証できるように選
定する。滅菌中にプロセス中断が起き,それが原因であらかじめ定めた時間を超えて滅菌の完了が遅れた

――――― [JIS T 0806-1 pdf 28] ―――――

26
T 0806-1 : 2015 (ISO 11137-1 : 2006,Amd.1 : 2013)
場合には,製品の微生物的品質を確認し適切な対応策を講じることが望ましい。この中には製品廃棄も含
まれる。線量測定に関わる指針は,JIS T 0806-3を参照。
あらかじめ定めた線量以下となるようなプロセス変動が発生し,次の事項に該当する場合には,製品を
追加照射してもよい。
a) 製品の微生物の生育可能性を考慮する。
b) 最小線量を達成し,かつ,最大許容線量を超えないことを保証できる方法で線量が照射できる。詳細
な指針については,JIS T 0806-3を参照。
A.10.11 指針はない。
A.11 滅菌からの製品のリリース
指針はない。
A.12 プロセス有効性の維持
A.12.1 継続的な有効性の立証
A.12.1.1 一般
滅菌線量の有効性を維持するためには,微生物の数及びタイプについてバイオバーデンが安定し,管理
された条件下で製品を製造する必要がある。有効性が継続して維持されていることを立証するため,滅菌
線量監査をあらかじめ定めた間隔で実施する。この最大間隔は,次の事項に基づき決定する。
a) 滅菌線量設定時に得た知見
b) 製造プロセス及び材料の変動を検知する必要性及びこれらの変動を調べる頻度に関して受容できるリ
スクの大きさについての共通認識
c) 潜在的な季節的変動又は材料の微生物相の変動又は製造環境
d) 滅菌プロセスで一般に認められた再バリデーションの頻度
A.12.1.2 バイオバーデンの決定頻度
A.12.1.2.1 指針はない。
A.12.1.2.2 指針はない。
A.12.1.2.3 指針はない。
A.12.1.2.4 指針はない。
A.12.1.2.5 滅菌線量が継続して有効であることを立証するためのバイオバーデンの限度を設定する場合
には,無菌性に関する規定の要求事項を達成するために必要なバイオバーデン限度を超過したという事実
に基づいて行うのが望ましい。
A.12.1.3 滅菌線量監査の頻度
A.12.1.3.1
a) バイオバーデンの季節的な変動を検出するため,歴史的慣例として3か月の間隔が適用されてきたが,
管理した条件下で製造する製品では,季節変動は見いだされない可能性がある。バイオバーデンにつ
いては,その数及び微生物のタイプに季節変動がなく,管理ができることを示せる場合には,線量監
査の頻度を減らすことを検討してもよい。この検討を行う場合には,12.1.3に規定するプロセス及び
監視に関わる事項を含めなければならない。全ての関連事項を検討しなければならないが,これらの
事項全てから信頼できる結果が得られたり,同じ重み(すなわち,重要度が同程度)をもっているこ
とではないことに注意する。

――――― [JIS T 0806-1 pdf 29] ―――――

                                                                                             27
T 0806-1 : 2015 (ISO 11137-1 : 2006,Amd.1 : 2013)
b) 指針はない。
A.12.1.3.2 製品及びその製造に関わる経験が深まるにつれて,滅菌線量監査の実施間隔は3か月,次い
で6か月,最終的に12か月に延ばすという考えが起こってきた。しかしながら滅菌線量監査の実施頻度を
減らすことは,製造プロセスにおける変動を検出する能力の低下をもたらすことを認識しておくことが望
ましい。したがって,実施前に頻度を減らすことによる影響を検討することが必要である。
A.12.1.3.3 指針はない。
A.12.1.3.4 指針はない。
A.12.1.3.5 指針はない。
A.12.2 再校正
指針はない。
A.12.3 設備のメンテナンス
メンテナンス記録をレビューする場合に,メンテナンスの計画及び手順は,機器について得られた情報
に基づき必要に応じて改訂するのが望ましい。
A.12.4 設備適格性の再確認
照射設備の適格性の再確認の期間は,照射設備が常に仕様どおりに稼働しているという保証を与えるよ
うに選定するのが望ましい。ガンマ線照射設備の場合には,通常,適格性の再確認は,線源補充と関連し
て行う。電子線及びX線照射設備の場合には,通常1年ごとに実施し,特定部分の適格性の再確認は,こ
のサイクルより短い間隔で行う。適格性の再確認で照射設備のIQ及び/又はOQの状態が変化したことが
判明した場合には,PQを再度実施しなければならない場合もある。
A.12.5 変更の評価
A.12.5.1 ガンマ線照射設備の場合には,変更の後にOQの実施が必要な例には,次のようなものがある。
− 線源補充
− 線源の配置及び位置の変更
− コンベヤの変更
− コンベヤ経路の変更
− 照射容器の変更
OQの範囲は,変更の種類及び程度によって異なる(表A.1参照)。
電子線照射設備で照射設備の性能に影響を及ぼすと思われる変更を実施した場合には,OQを実施する。
これに該当する変更の例としては,次のようなものがある。
− コンベヤの変更
− 照射容器の最大設計寸法の増加
− スキャンマグネットの修理又は交換
− ベンディングマグネットの修理又は交換
− 平行ビームマグネットの修理又は交換
− 散乱効果を発生する照射設備の部品の変更
OQの範囲は,変更の種類及び程度によって異なる(表A.2参照)。例えば,照射容器の最大寸法を増加
した場合には,完全な適格性の再確認が必要になるのに対して,コンベヤの部品交換の場合には,コンベ
ヤが適正に稼働するかの確認だけでよいこともある。
X線照射設備で設備の性能に影響を及ぼす可能性のある変更を実施した場合には,OQを実施する。
これに該当する変更の例としては,次のようなものがある。

――――― [JIS T 0806-1 pdf 30] ―――――

次のページ PDF 31

JIS T 0806-1:2015の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO 11137-1:2006(IDT)
  • ISO 11137-1:2006/AMENDMENT 1:2013(IDT)

JIS T 0806-1:2015の国際規格 ICS 分類一覧

JIS T 0806-1:2015の関連規格と引用規格一覧