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T 0993-1 : 2020 (ISO 10993-1 : 2018)
ット,皮下注射針,毛細管チューブ)。これらは,通常,生体適合性の評価を必要としない。ただし,医療
機器が除去された後も生体組織に残存する可能性のあるコーティング又は潤滑剤が使われている製品は生
体適合性の評価が必要となる。累積使用も考慮することが望ましい。
5.3.3 複数の接触期間が該当する医療機器
医療機器の接触期間が複数のカテゴリに該当する場合は,より厳しいカテゴリを適用する。複数回のば
く露が想定される場合には,累積のばく露期間を考慮して,カテゴリに分類する。使用中に適用組織で重
合反応及び生分解のいずれか又は両方が起こり得る医療機器は,それぞれの状態変化が網羅されるよう考
慮して評価する。例えば,適用場所で重合するように意図された生分解性接着剤の場合には,反応開始前
の構成品,中間反応生成物,完全に重合した物質及び分解生成物の評価を行う。
6 生物学的評価のプロセス
6.1 生物学的リスク分析のための物理学的及び化学的情報
図1は,物理学的及び化学的のいずれか又は両方のキャラクタリゼーションと生物学的評価の判断ポイ
ントとの関係を示している。
医療機器又は構成品の物理学的及び化学的情報の収集は,生物学的評価及び材料キャラクタリゼーショ
ンにおいて,重要な第一歩である。収集された情報は図1のフローチャートの材料,製造方法,滅菌方法,
形状,物理学的特性,身体接触及び臨床使用に関する質問に十分に答えられる内容であることが望ましい。
収集が必要な物理学的及び化学的のいずれか又は両方の情報は,材料の組成が明らかとなっているか否か,
非臨床及び臨床においてどの程度安全性及び毒性学的情報が存在するか,医療機器の身体への接触形態,
接触期間などによって異なる。少なくとも,医療機器の化学的成分及び製造過程で使用され残留する可能
性のある加工助剤又は添加物は化学的キャラクタリゼーションの対象としなければならない。また,イン
プラント又は血液と接触する医療機器に関しては物理学的キャラクタリゼーションが必要となる。材料キ
ャラクタリゼーションは,ISO 10993-18に従って実施する。ナノマテリアルのキャラクタリゼーションは,
ISO/TR 10993-22を参照する。
全ての材料,化学物質及び製造過程の組合せが,その医療機器の使用目的において安全に使用されてき
た実績があり,かつ,物理学的特性が変化しなければ,それ以上のキャラクタリゼーション及び追加のデ
ータセット(例 : 抽出物の化学分析又は生物学的試験)は不要となる。この場合,その根拠を文書化する。
新規材料及び新規化学物質が存在する場合には,それらの化学構造を特定し,定量的な測定を行うこと
が望ましい。
医療機器から抽出及び溶出される物質について,予測されるばく露(量,経路及び頻度)に関して十分
な毒性学的データが得られる場合は,更なる試験を必要としない。溶出物が複数存在する場合は,溶出物
間の相互作用の可能性を考慮することが望ましい。
製造,滅菌,輸送,保管及び使用の条件下で分解する可能性がある場合は,ISO 10993-9及びISO 10993-13
ISO 10993-15に従い,分解生成物の有無及び性質を明らかにする。
――――― [JIS T 0993-1 pdf 16] ―――――
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摩耗粒子を生じる可能性のある医療機器及び材料のいずれか又は両方において,その摩耗粒子がナノマ
テリアルに該当する可能性があれば,ISO/TR 10993-22に記載されている事項を考慮することが望ましい。
6.2 ギャップ分析及び評価のための生物学的エンドポイントの選択
入手可能な情報を評価し,医療機器の生物学的評価に必要なデータセットと対比する(箇条4,附属書
A及び附属書C参照)。リスクアセスメントを行う上で追加が必要な情報又は試験項目を特定する。
生物学的エンドポイント(附属書A)の評価と既存の生物学的リスクアセスメント内容とのデータギャ
ップを明らかにし,その重要性を判断する。データギャップを補うために必要なデータセット及び対応策
を特定する。
例えば,日本薬局方収載のプラスチック製医薬品容器試験は,一般に原材料を使った試験である,ISO
10993における医療機器の評価では最終製品を用いることを求めている。そのため,日本薬局方に従い得
られたプラスチック製医薬品容器試験のデータは,適切な根拠がなければ,医療機器評価のデータとして
は不十分である。
特定された化学物質のリスクアセスメントの結果次第では,追加の材料キャラクタリゼーションが必要
となる可能性もある。化学成分の臨床的ばく露の度合いを推定するために,適切な抽出試験を用いること
ができる(ISO 10993-18参照)。評価対象となる溶出物量の受容可否は,ISO 10993-17に従い,医療機器
から抽出される各化合物の量とそれぞれに設定された毒性学的いき値との比較によって確定する。
例えば,臨床使用中に当該化学物質の全量が溶出し,十分な安全域が確保できない場合には,その状況
を考慮した条件にて抽出試験を行ってもよい。
注記 許容事項のため,本文へ移動した。
この規格の第一の目的は,ヒトを保護することである。第二の目的は,動物福祉を確保し,試験動物の
数及びばく露量を最小限にすることである。対象となるインビボ試験にはISO 10993-2を適用する。ただ
し,次の場合には,追加のインビボ試験を実施してはならない。
1) 試験結果が,以前に実施された調査研究から得られる場合。
2) 臨床での使用実績を含め,既存の非臨床データ及び臨床データが生物学的評価の要求事項を満たして
おり,それ以上の動物試験は非倫理的となるような場合。ただし,生物学的評価で既存データを用い
る場合には,評価を行う前に既存データの信頼性を考慮することが望ましい。ISO 10993-18:2005の附
属書Cは,化学的な同等性を判断するための原則を参考として示している。
6.3 生物学的試験の実施
6.3.1 一般
包括的なリスクマネジメントプロセスにおいて医療機器の生物学的試験が必要と判断された場合は,箇
条4に規定する一般原則に加えて,次の事項を適用する。
a) 試験は最終製品又は最終製品を代表する試料若しくは最終機器と同じ方法で処理された材料(必要な
らば,滅菌処理を含む。)を用いて実施する。
b) 試験項目の選択は,次の事項を考慮する。
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1) 使用目的における医療機器の人体へのばく露又は接触形態,程度,接触期間,頻度及び条件
2) 最終製品の物理学的及び化学的性質
3) 最終製品の処方における化学物質の毒性学的作用
4) 溶出物が存在しない場合又は,溶出物が既知の化学物質であり,かつ,毒性プロファイルが受容可
能であり,ISO 10993-17及びJIS T 14971に従った評価で安全であると判断した場合,追加試験(例
えば,全身毒性試験)は適用しなくてもよい。
5) 医療機器の表面積並びに適用患者の体表面積比及び体重比(例えば,動物モデルを用いた埋植試験
のために医療機器を小形化する。)
6) 文献,使用実績及び非臨床試験に基づく既存の情報
7) 生物学的評価に影響を及ぼすことが考えられる対象試験の感度及び特異性
8) SO 10993-2:2006の4.4に従い,使用動物の痛み,苦しみ,心理的苦痛又は持続的な有害作用を最
小限にする。
c) 医療機器の抽出物を調製する場合,ISO 10993-12に従い実施する。抽出に使用する溶媒及び抽出条件
は,試験法の妥当性(例 : 試験目的,根拠,感度,特異性など)と同様に,最終製品の性質及び使用
方法を考慮した適切な条件を選択する。可能であれば,抽出条件は実使用条件より苛酷な条件を選択
する。
d) 必要に応じて,陽性対照群及び陰性対照群を設けることが望ましい。
生物学的評価に用いる試験方法は,感度がよく,精密かつ正確でなければならない。生物学的試験を実
施する場合は,優良試験所規範(Good Laboratory Practice,以下GLPという。)に従って実施する。
注記 JIS Q 17025又は同等のもの。
なお,我が国の医療機器の承認審査においては,生物学的安全性試験はGLPに従って実施す
ることが求められている。
試験方法は,施設間での再現性及び頑健性はもちろんのこと,施設内の再現性も確保されていることが
望ましい。
6.3.2 評価項目に応じた試験の実施
当該医療機器の生物学的評価に必要とされるデータセットをそろえるために,必要に応じて,6.3.2.1
6.3.2.15に規定した試験を実施する。既存データで適切な評価が実施可能な場合は,追加試験は必要ない
(附属書A及び附属書C参照)。
医療機器は多様であるため,当該医療機器が該当する医療機器カテゴリで規定された全てのエンドポイ
ントに対して必ずしも試験を要さない又は実行できない場合がある(JIS T 14971参照)。各医療機器の有
用性に基づいた評価が不可欠である。ナノマテリアルは,一般的な医療機器の評価で使用される試験系及
び試験結果の解析に,ナノマテリアル特有の課題(例 : 分析への干渉)を生じる可能性がある(ISO/TR
10993-22参照)。
表A.1に示されていない追加のエンドポイント(例 : 生殖毒性,発生毒性,生体内分解性及びトキシコ
キネティクス)が必要になる場合がある。
――――― [JIS T 0993-1 pdf 18] ―――――
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6.3.2.1 細胞毒性
細胞毒性試験は細胞培養技術を用いた手法によって,医療機器及び材料,並びにそれらの抽出物のいず
れか又は複数の組合せによって引き起こされる細胞死(細胞の溶解),細胞増殖の阻害,コロニー形成及び
細胞に対する他の作用を判定する試験である。試験はISO 10993-5に従って実施する。
6.3.2.2 感作性
感作性(遅延型アレルギー)試験は,適切な動物モデルを使用することによって,医療機器及び材料,
並びにそれらの抽出物のいずれか又は複数の組合せの接触感作の潜在性を評価する試験である。試験は
ISO 10993-10に従って実施する。
例え僅かな量の溶出物であっても,繰り返してばく露又は接触することによってアレルギー反応を引き
起こす感作が起こり得るため,注意が必要である。
6.3.2.3 刺激性(皮内反応を含む。)
刺激性試験は,皮膚,眼及び粘膜のような適切な部位を用いて,医療機器及び材料,並びにそれらの抽
出物のいずれか又は複数の組合せの潜在的な刺激性を評価するための試験である。試験は,ISO 10993-10
に従い,適切なばく露又は接触ルート(皮膚,眼,粘膜)及びその接触期間を考慮して実施する。
皮内反応試験は,医療機器の抽出物に対する生体組織の局所的な反応を評価できる。皮膚又は粘膜を対
象とした刺激性の評価が適切でない場合(例 : 医療機器がインプラントである場合又は血液接触する場合),
また,抽出物の疎水性が高い場合(ISO 10993-10参照)には皮内反応試験を適用する。
6.3.2.4 血液適合性
血液適合性試験は,適切なモデル又はシステムを使用することで,血液と接触する医療機器又は材料に
よる,血液若しくは血液成分への影響を評価する試験である。
血液適合性試験の一つである溶血性試験は,医療機器及び材料,並びにそれらの抽出物のいずれか又は
複数の組合せによる赤血球の溶解程度,及びヘモグロビンの放出をインビトロで評価する試験である。
臨床使用における医療機器又は材料の形状,接触条件及び流体動力学的条件を模擬して,血液と材料又
は医療機器との相互作用を評価できる血液適合性試験を,別に設計してもよい。
全ての血液適合性試験は,ISO 10993-4に従い実施する。
6.3.2.5 材料由来の発熱性
医療機器の生物学的評価における発熱性試験は,医療機器又は材料の抽出物について材料由来の発熱作
用の有無を評価する試験である。単一の試験では,材料由来の発熱反応又はエンドトキシン汚染による発
熱反応のいずれかを識別することは難しい(ISO 10993-11:2017の附属書G参照)。材料由来の発熱反応は
まれ(稀)であるが,生物由来物質を含む医療機器において認められたことがある。
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6.3.2.6 急性全身毒性
急性全身毒性試験は,医療機器の接触によって有毒な溶出物及び分解生成物が人体にばく露する可能性
がある場合に用いられる。24時間未満の期間における単回又は複数回のばく露による潜在的有害作用を評
価する試験である。試験はISO 10993-11に従い,適切なばく露経路で実施する。
可能であれば,亜急性及び亜慢性毒性試験プロトコル並びに埋植試験プロトコルに急性全身毒性の評価
を含めてもよい。
全身毒性の評価が表A.1に示されている場合,生物学的試験又はリスクアセスメントは,医療機器の臨
床使用に関連する臓器を含めた全身組織における潜在的な生物学的反応を評価する(例 : ISO 10993-11:
2017の附属書E)。
6.3.2.7 亜急性及び亜慢性毒性
亜急性及び亜慢性毒性試験は,医療機器及び材料,並びにそれらの抽出物のいずれか又は複数の組合せ
が,24時間以上,かつ,実験動物の全寿命の10 %以下(例えば,ラットでは13週間まで)の期間におい
て単回又は複数回のばく露若しくは接触による全身的な影響を評価する試験である。
評価対象となる材料の慢性毒性に関するデータが存在し,そのデータから亜急性及び亜慢性毒性を十分
に評価できる場合は,亜急性及び亜慢性毒性試験は実施しなくてもよい。試験を実施しない理由は,生物
学的総括評価報告書に記載する。亜急性及び亜慢性毒性試験は,ISO 10993-11に従い,適切な接触形態及
び接触期間で実施する。
可能であれば,局所的作用を評価するための埋植試験プロトコルに亜急性及び亜慢性全身毒性の評価を
含めてもよい。
6.3.2.8 慢性毒性
慢性毒性試験は,医療機器及び材料,並びにそれらの抽出物のいずれか又は複数の組合せが,実験動物
の全寿命の大半(例えば,ラットでは通常6か月)に相当する期間において単回又は複数回ばく露による
全身的な影響を評価する試験である。慢性毒性試験は,ISO 10993-11に従い,適切な接触形態及び接触期
間で実施する。
可能であれば,局所的作用を評価するための埋植試験プロトコルに慢性全身毒性の評価を含めてもよい。
6.3.2.9 埋植による影響
埋植試験は,外科的に埋植又は留置した材料若しくは最終製品の試料が,その適用部位の生体組織へ及
ぼす局所的な病理学的影響を,肉眼的かつ顕微鏡的な視野で観察し,評価する試験である。埋植試験は,
ISO 10993-6に従い,適切な接触形態及び接触期間で実施する。
可能であれば,埋植試験プロトコルに全身毒性の評価(ISO 10993-6参照)又は血液適合性の評価を含
めてもよい(ISO 10993-4)。
――――― [JIS T 0993-1 pdf 20] ―――――
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JIS T 0993-1:2020の引用国際規格 ISO 一覧
- ISO 10993-1:2018(IDT)
JIS T 0993-1:2020の国際規格 ICS 分類一覧
- 11 : 医療技術 > 11.100 : 実験医学 > 11.100.20 : 生物学的な医療機器の評価
JIS T 0993-1:2020の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JIST0993-7:2012
- 医療機器の生物学的評価―第7部:エチレンオキサイド滅菌残留物