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T 0993-1 : 2020 (ISO 10993-1 : 2018)
動物を使用した適切な使用模擬試験は,物理学的及び生物学的リスクの両方(すなわち,毒性学的ハザ
ード及び毒性学的リスクのいずれか又は両方)のエンドポイントの範囲を評価することができる。また,
慢性,亜慢性,亜急性及び急性の全身毒性エンドポイントも,試験に組み入れることができる。
臨床ばく露に相当する量の材料が対象臓器若しくは生体組織に埋植された場合,又は臨床ばく露以上の
過剰量の材料が適用部位以外に埋植された場合には,局所的な作用を評価する埋植試験で全身毒性の評価
が可能である。
6.3.2.10 遺伝毒性
遺伝毒性試験は,医療機器及び材料,並びにそれらの抽出物のいずれか又は複数の組合せによって引き
起こされる遺伝子突然変異,染色体の構造及び数の変化並びにその他のDNA又は遺伝子への潜在的な毒
性を評価する試験である。インビボ試験に先立ち,まずインビトロ試験による評価を検討する。試験はISO
10993-3に従い実施する。
注記 追加情報は,ISO/TR 10993-33を参照する。
いずれかのインビトロ試験が陽性となった場合,そのフォローアップには,不純物,抽出物若しくは溶
出物の化学的同定,又は遺伝毒性試験の追加実施などがある。遺伝毒性リスクの受容可否は,例えば,患
者のばく露,証拠の重み付け(weight of evidence, WOE),及び作用機序(mode of action, MOA)の情報を
含むリスクアセスメントの結果に基づいて判断しなければならない。
6.3.2.11 発がん(癌)性
ISO 10993-3では,医療機器及び材料,並びにそれらの抽出物のいずれか又は複数の組合せが,試験動
物の寿命の大部分の期間にわたり単回又は複数回ばく露する際の発がん性の評価方法を論じている。発が
ん性は,不純物,抽出物又は溶出物の化学的同定,これらの化学物質への患者のばく露,並びにWOE及
びMOAの情報を含むリスクアセスメントで評価できる場合がある。発がん性リスクアセスメントに用い
る情報は文献などから入手可能であるが,評価対象とばく露又は接触の経路及び期間とが合致しているこ
とが望ましい。リスクアセスメントにおいて重大な発がんリスクが認められなかった場合には,通常,当
該医療機器に発がん性試験の実施が適切と考えられることは少ない。しかし,最終製品の発がん性試験が
必要であると判断された場合には,試験動物の全寿命にわたる調査研究又は遺伝子組換えモデルを用いた
試験が必要となる。これらの試験は,OECD Guidelines for the Testing of Chemicalsで記載されているよう
に,一つの試験で慢性毒性及び腫瘍形成性の両方を評価することもできる。
6.3.2.12 生殖及び発生毒性
生殖及び発生毒性試験は,医療機器及び材料,並びにそれらの抽出物のいずれか又は複数の組合せが,
生殖機能,はい(胚)発育(催奇形性)及び胎児発育並びに新生児発育へ悪影響を及ぼす可能性を評価す
る試験である。これらのエンドポイントの評価には,不純物,抽出物又は溶出物の化学的同定,これらの
化学物質への患者のばく露,並びにWOE及びMOAの情報を含むリスクアセスメントが必要になる。生
殖毒性の評価は,医療機器が患者の生殖能に対して悪影響を及ぼす可能性が懸念される場合にだけ実施す
る。妊婦に使用する医療機器又は材料については,発生毒性の評価を検討することが望ましい。
――――― [JIS T 0993-1 pdf 21] ―――――
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T 0993-1 : 2020 (ISO 10993-1 : 2018)
新規の材料,生殖又は発生毒性が懸念される既知材料,並びに生殖及び発生毒性に関連の強い母集団
(例 : 妊婦)に使用する医療機器,及び生殖臓器に局所的に使用する医療機器のいずれか又は複数の組合
せについては,生殖及び発生毒性を評価することが望ましい。
6.3.2.13 生体内分解性
人体内で分解する可能性のある全ての医療機器,生体組織中で残存する医療機器成分又は材料に対して
は生体内分解性を評価する。
次のいずれかの場合,生分解性試験の実施を検討する。
a) 医療機器が,吸収性をもつように設計されている。
b) 最終製品に含まれる材料が,身体との接触の間に,有毒な分解生成物を産生する可能性を示す知見が
得られている。
生分解の速度及び程度に影響するパラメータは,試験報告書の中で必ず記載する。
生体内分解の機序も記載することが望ましい。生体内分解の機序を模擬したインビトロ試験で,分解率
の決定及び有害な分解生成物のばく露量の推定を行うことが望ましい。材料の生体内分解性の評価に,イ
ンビボ試験が必要となる可能性もある。
吸収性医療機器の評価において,既にインビトロとインビボ試験結果との間に相関性が示されており,
インビトロ試験において評価対象機器の生体内分解性が,安全性が確立された既存の医療機器と同程度で
あると判断された場合,インビボ試験は必要ない。微粒子状の分解生成物が産生される際に,これらの粒
子が,臨床実績から安全性が確立されているサイズ分布及び形状と類似している,又は使用目的における
粒子及びそれらの生体内分解性データが既に存在する場合,生分解性試験の実施は必要ない。
生分解性試験に関する一般原則は,ISO 10993-9に示されている。
ポリマー,セラミック及び金属の生体内分解性に関するインビトロ試験は,ISO 10993-13ISO 10993-15
でそれぞれ規定されている。
微粒子状の分解生成物が,ナノマテリアルに該当する場合,生分解性試験はISO/TR 10993-22を考慮し
て計画することが望ましい。
6.3.2.14 トキシコキネティクス試験
トキシコキネティクス試験の目的は,化学物質の,吸収,分布,代謝及び排せつ(泄)(Absorption,
Distribution, Metabolizm, Excretionの頭文字を取りADMEと表記される。)を評価することにある。
医療機器,材料及び抽出物(6.3.2.13及びISO 10993-16参照)の溶出物並びに分解生成物の,吸収,分
布,代謝及び代謝のプロセスを測定するためのインビボトキシコキネティクス試験の必要性は,生体内分
解性に関するインビトロ試験の結果を基に考慮する。
――――― [JIS T 0993-1 pdf 22] ―――――
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T 0993-1 : 2020 (ISO 10993-1 : 2018)
医療機器の生物学的評価においてトキシコキネティクス試験の要否判断に当たっては,最終製品及び医
療機器の使用目的において,意図された分解生成物,予期せぬ溶出物を含め全ての化学物質を考慮する
(6.3.2.13参照)。
トキシコキネティクス試験が必要な場合,試験の実施に先立ち,理論的な分解機序をインビトロ試験
(例 : 生体組織,ホモジネート又は細胞)で検証しなければならない。それはISO 10993-2に示す動物の
福祉の理由及びより確実性の高い分解生成物を決定するためにも必要となる。
次のいずれかに該当する場合には,トキシコキネティクス試験の実施を考慮する。
a) 医療機器が吸収性である。
b) 医療機器が長期的に接触するインプラントで,生体内分解又は相当の腐食が起こる若しくは起こる可
能性がある,及び医療機器からの溶出物が発生する可能性があるのいずれか又は複数の条件を満たす。
c) 医療機器から臨床使用中に毒性が懸念される物質又は生体との反応性が高い分解生成物及び溶出物が
発生する若しくは発生する可能性がある。
d) 一定量のナノマテリアルが,臨床使用中に医療機器から発生する又は発生する可能性がある。
e) 医薬品と医療機器とのコンビネーション製品である。
医療機器又は材料からの分解生成物及び溶出物の発生率が,臨床実績を基に安全性が確立された臨床ば
く露レベルであると判断された場合,又は分解生成物及び溶出物に関する十分な毒性学的データ若しくは
毒物動態学データが存在する場合,トキシコキネティクス試験の実施は不要である。
材料が生体内で分解するように設計されている場合を除き,通常,金属及びセラミックスからの溶出物
及び分解生成物の放出は十分に微量である。
分解生成物及び抽出物又は溶出物のトキシコキネティクス試験は,ISO 10993-16に従って実施する。
ナノマテリアルが対象となるトキシコキネティクス試験の具体的な考慮事項は,ISO/TR 10993-22に示
されている。
6.3.2.15 免疫毒性
附属書Aでは明確に扱われていないが,ISO/TS 10993-20では免疫毒性の概要及び医療機器の潜在的な
免疫毒性を取り上げている。材料の化学的性質から免疫毒性作用が示唆される場合,当該化学物質の免疫
毒性が不明である場合などには免疫毒性試験の実施を検討する。免疫毒性試験は,ISO/TS 10993-20に従
い実施する。
ナノマテリアルが対象となる免疫毒性試験の具体的な考慮事項は,ISO/TR 10993-22に示されている。
7 生物学的評価データの解釈及び総合的な生物学的リスクアセスメント
十分な知識及び経験のある専門家が,次の事項を決定し,文書化する。
a) 当該医療機器の生物学的評価についての戦略及び計画内容
――――― [JIS T 0993-1 pdf 23] ―――――
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T 0993-1 : 2020 (ISO 10993-1 : 2018)
b) リスクマネジメント計画に沿って,使用目的における当該材料の受容可否を決定する基準
c) 材料特定の適切性
d) 試験の選択及び省略のいずれか又は両方の論拠
e) 既存データ及び試験結果の説明
f) 生物学的評価を完了する根拠となる追加データの必要性判断
g) 当該医療機器についての生物学的安全性の総合的な結論
附属書Aは,個別の医療機器及びカテゴリにおいて考慮することが望ましい一般的なエンドポイントを
示している。
――――― [JIS T 0993-1 pdf 24] ―――――
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T 0993-1 : 2020 (ISO 10993-1 : 2018)
附属書A
(参考)
生物学的リスクアセスメントで対処するエンドポイント
A.1 一般
この附属書の内容は生体適合性評価の骨子であるが,試験実施の照合表ではない。表A.1が示したエン
ドポイントが評価にとって妥当である場合には,まず,追加データの必要性を決定するために,同エンド
ポイントに関連する既存のデータセットを評価することが望ましい。特定の医療機器では,この表に示す
以上又はそれ以下のエンドポイントがふさわしい可能性もある。
表A.1において“X”はリスクアセスメントに先立って必要となる情報を,“E”はリスクアセスメント
で評価されるべきエンドポイントを意味する。このリスクアセスメントとは,既存データの活用,エンド
ポイントに固有な試験の実施,又はエンドポイントの評価に追加データが必要ない根拠の説明のいずれか
が該当する。
生物学的リスクアセスメントにおいては,全ての変更について,その正当性が示されることが望ましい。
医療機器に固有の規格の中に生体適合性に関する要求事項が含まれている場合には,それらを検討するの
がよい。
――――― [JIS T 0993-1 pdf 25] ―――――
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JIS T 0993-1:2020の引用国際規格 ISO 一覧
- ISO 10993-1:2018(IDT)
JIS T 0993-1:2020の国際規格 ICS 分類一覧
- 11 : 医療技術 > 11.100 : 実験医学 > 11.100.20 : 生物学的な医療機器の評価
JIS T 0993-1:2020の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JIST0993-7:2012
- 医療機器の生物学的評価―第7部:エチレンオキサイド滅菌残留物