JIS T 11737-2:2013 医療機器の滅菌―微生物学的方法―第2部:滅菌プロセスの定義,バリデーション及び維持において実施する無菌性の試験 | ページ 2

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T 11737-2 : 2013 (ISO 11737-2 : 2009)
4.1.1 無菌性の試験を実施するための手順をあらかじめ定めなければならない。
4.1.2 この規格で要求する文書及び記録は,あらかじめ指名した職員(4.2.1参照)によってレビュー及
び承認されなければならない。
文書及び記録は,JIS Q 13485又はJIS Q 17025に従い管理しなければならない。保持する記録には,元
の観察,計算,得たデータ及び最終報告を含まなければならない。記録には,サンプル採取,調製及び試
験に関わった職員の識別を含まなければならない。
4.1.3 計算及びデータ変換は,適切なチェックを受けなければならない。
4.2 経営者の責任
4.2.1 この規格に規定した手順の実行及び実施に関わる責任及び権限を,あらかじめ定めなければならな
い。責任は,JIS Q 13485又はJIS Q 17025によって,力量のある職員に割り当てなければならない。
4.2.2 この規格の要求事項を他の品質マネジメントシステムをもつ組織が実施する場合は,それぞれの責
任及び権限についてあらかじめ定めなければならない。
4.2.3 あらかじめ定めた試験及び測定を正しく実施するために,必要な全ての機器を利用できるようにし
ておかなければならない。
4.3 製品実現
4.3.1 購買の手順をあらかじめ定めなければならない。これらの手順は,JIS Q 13485又はJIS Q 17025
に適合しなければならない。
4.3.2 この規格の要求事項に適合するために使用する試験用の計器を含む全ての機器を校正するため,
JIS Q 13485,JIS Q 17025又はJIS Q 10012に適合する文書化したシステムについて,あらかじめ定めなけ
ればならない。
4.3.3 試験中に,製品,溶離液又は媒体と接触する機器若しくはその部分は,無菌でなければならない。
4.3.4 適切な品質試験を含め,無菌性の試験に使用する材料の調製及び滅菌の方法をあらかじめ定めなけ
ればならない。
4.4 測定,分析及び改善
異常な結果,予想外の結果,又は仕様外れの結果についての調査並びに修正,是正処置及び予防処置の
手順を規定しなければならない。これらの手順は,JIS Q 13485又はJIS Q 17025に適合しなければならな
い。

5 製品の選択

5.1   一般
5.1.1 無菌性の試験を実施するための製品の選択及び取扱いの手順は,包装材料及びプロセスを含めて,
製品が日常生産を代表するものであることを確実にしなければならない(5.3も参照)。
5.1.2 滅菌プロセスの開発,バリデーション及び日常管理において製品をグループ分けする場合は,製品
をそのグループに含める根拠を記録しなければならない(4.1.2も参照)。その根拠には,試験のために選
択した製品がグループ全体を代表するものであることを確実にしなければならない。
5.2 分割試料(SIP)
5.2.1 適用する規格で,滅菌プロセスの開発,バリデーション及び日常監視のために許容され,また,製
品単位全体を用いるのが実際的でない場合,滅菌方法によって許容される場合は,製品の選択部分[分割
試料(SIP)]で代用してもよい。

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T 11737-2 : 2013 (ISO 11737-2 : 2009)
5.2.2 製品上及び/又は製品内のバイオバーデン分布が分かっていない場合は, SIPは製品が作られて
いる材料のそれぞれをその割合に応じて代表する製品の無作為に選択した部分からなるものでなければな
らない。
バイオバーデン分布が知られており,また,バイオバーデンが製品上及び/又は製品内に均一に分布し
ている場合には,SIPは製品のどのような部分から選択してもよい。
バイオバーデンの分布が既知で,バイオバーデンが製品上及び/又は製品内に均一に分布していない場
合には,SIPは,滅菌プロセスに対して最も過酷なチャレンジであるとみなすことができる製品の部分か
ら選択するか,又は製品を作る材料のそれぞれをその割合に応じて代表する製品から,無作為に選択した
部分から構成するものでなければならない。
5.2.3 選択したSIPの適切さは,立証しなければならない。
注記 放射線滅菌では,SIPの適切さについては,JIS T 0806-2で規定している。
5.3 製品及び分割試料(SIP)の包装
無菌性の試験に使用する製品又はSIPの包装材料及び/又は包装方法が日常生産に使用されているもの
とは異なる場合,包装材料の選択及び包装方法は,次の事項を確実にするものでなければならない。
a) 製品又はSIPが,滅菌剤によって意図した処理を受ける。
b) 製品又はSIPの微生物学的状態が,維持できる。
c) 製品又はSIPへの滅菌剤の到達が,日常生産で使用する包装で達成されるものと同様である。

6 無菌性の試験の実施方法

6.1   無菌性の試験の実施の一般的な方法には,次の二つがある。
a) 製品を培地に直接浸せきするか,又は製品内に培地を加え,その後培養する。
b) 製品から微生物を取り出し,取り出した微生物を培地に移植して,その後培養する。
6.2 個別の製品について,無菌性の試験方法に影響する要素を考慮し,記録しなければならない(4.1.2
参照)。考慮する要素には,少なくとも次の事項を含む。
a) 製品表示で無菌性を標ぼう(榜)する部分。
b) 試験対象の製品の物理的及び/又は化学的性質(6.6参照)。
c) 汚染微生物について,可能性がある種類並びに製品上及び/又は製品内の位置。
6.3 無菌性の試験の実施で,試験結果に影響を与える可能性がある場合には,無菌的操作を確実にしな
ければならない。
6.4 培地に移す前に微生物を洗浄によって製品から取り出す場合,考慮する要素には,次の事項を含め
なければならない。
a) 適切な洗浄液の選択。
b) 汚染微生物を取り出すための洗浄方法の能力(例えば,JIS T 11737-1の7.2参照)。
c) 汚染微生物の生存能力に対する洗浄方法の影響。
6.5 培地に移す前に微生物をろ過によって溶離液又は液体製品から取り出す場合,考慮する要素には,
次の事項も含めなければならない。
a) 適切なろ過システムの選択。
b) 容器,フィルタ及び関連機器を洗い流すための適切な流体の選択(必要な場合)。

――――― [JIS T 11737-2 pdf 7] ―――――

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6.6 試験対象製品の物理的又は化学的性質[6.2 b)参照]が,微生物の増殖に有害な影響を及ぼすような
物質が存在したり,又は放出したりするようなものである場合は,このような物質の影響を中和するか,
取り除くか,又はこれが不可能な場合は,最小限にするようなシステムを用いなければならない。このよ
うなシステムの有効性は立証しなければならない。
6.7 培養条件は,存在が予想される微生物のタイプを考慮した後に選択しなければならない。この考慮
の結果及びその決定の根拠を記録しなければならない(4.1.2参照)。
6.8 製品の滅菌剤へのばく露及び無菌性の試験を実施する間の時間は,可能な限り短くなければならな
い。
6.9 培養後,培地の微生物生育能力を試験し,この試験結果を記録しなければならない(4.1.2参照)。

7 無菌性の試験の実施方法の評価

  無菌性の試験の結果を利用する前に,選択した方法の適切さを評価し,その結果を記録しなければなら
ない(4.1.2参照)。

8 無菌性の試験の実施方法の維持

8.1   製品及び/又は製造プロセスに対する修正に当たっては,無菌性の試験の実施方法の変更が必要か
どうかを判定するためにレビューしなければならない。レビューによって,変更が必要な場合は,箇条6
を適用しなければならない。
8.2 無菌性の試験の実施方法の変更に当たっては,試験方法の有効性が,引き続き適切かを評価しなけ
ればならない。この評価結果は,記録しなければならない(4.1.2参照)。

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T 11737-2 : 2013 (ISO 11737-2 : 2009)
附属書A
(参考)
滅菌プロセスのバリデーション及び維持において実施する
無菌性の試験の指針
注記1 この附属書は,この規格で規定している要求事項の実施に関わる指針を示す。ここに示す指
針は,網羅的なものではないが,考慮するとよい重要な点を強調するためのものである。こ
の附属書に記載する以外の方法を採用してもよいが,それらの方法は,この規格の要求事項
への適合を達成するのに有効であることを立証することが望ましい。この附属書は,この規
格の要求事項への適合を評価するためのチェックリストを意図していない。
注記2 参照を容易にするため,この附属書の箇条番号は,この規格の本体と対応している。
A.1 適用範囲
指針はない。
A.2 引用規格
この規格の引用規格として記載した文書に規定される要求事項は,この規格の規定の部分に引用されて
いる範囲だけが,要求事項となる。引用は,規格全体の場合も又は特定の箇条若しくは細分箇条に限定さ
れる場合もある。
JIS Q 13485の引用については,完全な品質マネジメントシステムを確保することがこの規格の要求事項
ではないことに注意するのがよい。滅菌の対象となる医療機器のバリデーション及び監視で使用するバイ
オバーデンの測定の管理に最低限必要な品質マネジメントシステムの要素は,本文中の該当する箇所(特
に,箇条4参照)で要求事項として規定している。医療機器の製造又は再処理の全ての段階を管理する品
質マネジメントシステム(JIS Q 13485参照)及び試験施設の品質マネジメントシステム(JIS Q 17025参
照)に関わる規格に注意を払う必要がある。医療機器製造業者には,薬事法令によって品質マネジメント
システム及び規制当局又は第三者機関によるシステム評価に対する要求事項がある場合がある。
A.3 用語及び定義
指針はない。
A.4 品質マネジメントシステムの要素
A.4.1 文書化
A.4.1.1 指針はない。
A.4.1.2 JIS Q 13485の文書化の要求事項は,文書(仕様書及び手順書を含む。)及び記録の作成並びに管
理に関係している。
文書及び記録の管理についての要求事項は,JIS Q 13485:2005の4.2.3及び4.2.4又はJIS Q 17025:2005
の4.3,4.13及び5.4に規定している。
A.4.1.3 データの直接的及び間接的収集,処理及び/又は保存のために,試験施設でコンピュータを利用
する場合がある。このような用途で使用するハードウェア及びソフトウェアは,管理するのがよい。

――――― [JIS T 11737-2 pdf 9] ―――――

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T 11737-2 : 2013 (ISO 11737-2 : 2009)
使用するコンピュータシステムは,ハードウェア及びソフトウェアを明確にし,これらのいずれかに変
更を加えた場合は,そのことを文書化し,適切な承認を受ける(4.1.2及び4.2.1参照)。
電子的データ処理技術によって計算を行う場合は,使用前にソフトウェア(例えば,表計算ソフト)の
妥当性を確認し,このバリデーション結果を保存する。
ソフトウェアについては,次の内容を文書化するとよい。
− コンピュータシステムで実行されるアプリケーションソフトウェア
− オペレーションソフトウェア
− 使用するデータパッケージ
全てのソフトウェアは,使用に先立って,使用の可否のためのテストをする。
コンピュータソフトウェアを社内で開発する場合は,次の事項を確実にするための適切な手順を作成す
る。
− ソースコードを含む開発関連文書の保存
− 使用の可否のためのテスト記録の保存
− プログラムに対する修正の文書化
− 機器における変更の文書化及び使用前の正式なテストの実施
これらの管理事項は,市販のソフトウェアパッケージの修正又はカスタマイズにも適用するのがよい。
ソフトウェアプログラムに対する,未承認の変更を検出する又は防止する手順を設ける。
データのとりまとめ,作表及び/又はデータを統計的若しくは他の数学的処理を行うためのソフトウェ
アプログラム,又はその他の電子的に保存したデータの操作若しくは分析を行うソフトウェアプログラム
は,元の入力データを復元できるようにするのがよい。コンピュータデータをアーカイブに保存するため
の特別な手順が必要な場合は,これらの手順を文書化しておく。
品質マネジメントシステムのコンピュータソフトウェアへの適用の指針については,ISO/IEC 90003[17]
も参照。
A.4.2 経営者の責任
A.4.2.1 JIS Q 13485の経営者の責任についての要求事項は,経営者のコミットメント,顧客重視,品質
方針,計画,資源の提供,責任,権限及びコミュニケーション並びにマネジメントレビューに関わるもの
である。
試験施設は,品質サービスの提供をコミットすることが望ましく,また,このようなコミットメントは,
品質方針として文書化しておくのがよい。試験施設の組織内の権限及び責任の系統を正式に確立し,文書
化する。試験施設の品質システムの確立に責任をもつ個人を任命し,その人に,システムを実行すること
を確実にするための権限を与える。
責任及び権限に関わる要求事項は,JIS Q 13485:2005の5.5に,また,人的資源に関わる要求事項は,JIS
Q 13485:2005の6.2に規定している。
A.4.2.2 無菌性の試験の使用及び実施には,幾つかの別々の組織が関与することがあり,それぞれが方法
又は手順の特定の要素について責任をもつことがある。この規格では,組織が受け入れたそれぞれの責任
を定め,その定められた責任を文書化することを要求している。この定めた権限及び責任は,それぞれの
組織の品質マネジメントシステムの中で文書化する。
各要素に責任をもつ組織は,これらの要素について,適切な訓練及び資格認定によってその能力が立証
された力量のある職員に割り当てることを要求している。
無菌性の試験を医療機器製造業者の直接の管理下にある試験施設で実施する場合,試験施設の活動は製

――――― [JIS T 11737-2 pdf 10] ―――――

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  • ISO 11737-2:2009(IDT)

JIS T 11737-2:2013の国際規格 ICS 分類一覧

JIS T 11737-2:2013の関連規格と引用規格一覧