JIS T 11737-2:2013 医療機器の滅菌―微生物学的方法―第2部:滅菌プロセスの定義,バリデーション及び維持において実施する無菌性の試験 | ページ 3

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T 11737-2 : 2013 (ISO 11737-2 : 2009)
造業者の品質マネジメントシステム下で実施する。外部の試験施設を使用する場合は,適切な国際規格(例
えば,JIS Q 17025)又は該当する規制要求事項によって認証された試験施設であることが望ましい。
A.4.2.3 資源の提供に関わる要求事項は,JIS Q 13485:2005の6.1に,また,機器に関わる要求事項は,
JIS Q 17025:2005の5.5に規定している。
A.4.3 製品実現
A.4.3.1 JIS Q 13485の製品実現についての要求事項は,顧客の要求事項の決定,設計・開発,購買,製
造管理,並びに監視及び測定機器の校正からなる製品ライフサイクルが関連している。
購買についての要求事項は,JIS Q 13485:2005の7.4に規定されている。特にJIS Q 13485:2005の7.4.3
についての要求事項が,外部の組織から受け取る全ての製品及びサービスに適用されることに注意する。
A.4.3.2 各試験機器について,メンテナンス要求事項を明確にするシステムがあるとよい。
校正を必要としない機器は,明確に識別するのがよい。監視及び測定装置の校正についての要求事項は,
JIS Q 13485:2005の7.6に規定している。
装置及び測定のトレーサビリティに関わる要求事項は,JIS Q 17025:2005の5.5及び5.6に規定している。
A.4.3.3 微生物を取り出すために使用する培地又は回収液は,その無菌状態を確実にするような方法で調
製する。
A.4.3.4 適切な品質試験には,培地性能試験を含むのがよい。一般的に,培地性能試験は,培地のバッチ
ごとに選択した微生物の少数(10100 CFU)を接種して実施する。培地性能試験については適切な微生
物が,日本薬局方に記載されている。
A.4.4 測定,分析及び改善
JIS Q 13485では,測定,分析及び改善の要求事項は,プロセス監視,不適合製品の管理,データの分析
及び改善(是正処置及び予防処置を含む。)に関連している。
試験施設の活動は,定期的な内部監査を受けるのがよい。監査結果は文書化し,試験施設マネジメント
によってレビューするとよい。
無菌性の試験において,異常な,予想外の又は仕様外の結果を得た場合は,調査を必要とする。調査の
初期段階には,結果が正しいのか又は誤りなのかの評価を含めるのがよい。次の事項は,誤りの原因とな
るため,注意する。
− 不適切なサンプル(例 代表的でない,均一でない,不合格材料)
− 不適切な輸送,取扱い又は保管
− 不適切な試験器具(例 ピペット,ろ過器)
− 間違った取扱い又は試験方法
− 不適切な培地又は希釈剤
− 不適切な試験環境
− 不適切な培養環境
− 試験結果の解釈の間違い
− 転記の間違い
調査結果に基づき,特定の是正処置が必要になることもある。是正処置が必要になった場合は,その有
効性の立証が必要である。
是正処置の手順は,JIS Q 13485:2005の8.5.2及びJIS Q 17025:2005の4.11に規定している。
A.5 製品の選択

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A.5.1 一般
A.5.1.1 製品は,日常プロセス手順を代表する条件下で生産されるバッチの製品から選択する。試験のた
めの製品は,無作為に選択する。
選択する製品及びバッチの数は,滅菌プロセスのバリデーション及び日常管理のための要求事項を規定
した関連する規格に規定されている場合がある。
不注意による汚染の混入及び試料上及び/又は製品内の微生物の数及びタイプに対する変更を避けるた
めに,試料の選択及び取扱いの方法を選択する。
試験に用いる製品は,合格品と同じ処理及び条件に従っており,不合格の原因が試験の有効性を損なわ
ない場合は,製造プロセス中で不合格品から選んでもよい。
A.5.1.2 製品のグループ分けについての要求事項は,滅菌プロセスの開発,バリデーション及び日常管理
に関する個別の規格に規定している(例えば,JIS T 0801-1[1]及びJIS T 0806-2 [4]参照)。
A.5.2 分割試料(SIP)
A.5.2.1 実施可能な場合は,製品全体を試験に使用するのがよいが,これは常に可能であるとは限らない
ことが認められている。このような状況では,試験中に取扱いが便利な製品の分割試料(SIP)を選択して
代用してもよい。SIPは,試験施設で容易に操作することができ,できるだけ大きい製品の一部であるの
がよい。SIPは,製品の長さ,質量,容量又は表面積に基づいて選択することができる。表A.1を参照。
表A.1−SIPの選択例
SIPの基準 製品
長さ チューブ(口径一定)
包帯のロール
質量 粉体
ガウン
体積 液体
表面積 外科用ドレープ
チューブ(多様な口径)
製品又はSIPが試験施設の使用可能な容器中で試験できない場合は,二つ以上の容器に分割し,これら
の容器を一つにまとめて評価してもよい。分割したうちの一つの容器が陽性の結果を得た場合は,製品全
体を陽性とみなす。
流路だけが無菌であると表示している製品の場合,流路だけを製品とみなすのがよい。
A.5.2.2 SIP上の微生物汚染は,滅菌プロセスにかけられる微生物学的チャレンジを代表するものとする。
製品が複雑な場合,SIPは製品の様々な要素のバイオバーデンを代表するものとする。
A.5.2.3 指針はない。
A.5.3 製品及び分割試料の包装
製品は,本来の形状及び包装で滅菌剤にばく露するのがよい。ただし,無菌性の試験を実施するときの
操作の最小化及び/又は単純化並びに汚染から生じる偽陽性の可能性を減らすために,滅菌剤にばく露す
る前に製品を分解し,再包装してもよい。
滅菌剤に対する微生物の反応に対する製品の分解及び再包装が与える影響を考慮することが重要である。
例えば,分解が微生物の化学的な環境を変えてしまう場合がある。
滅菌剤の微生物への到達に対して,製品の分解が与える影響も考慮することが重要である。

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滅菌剤へのばく露前にSIPを調製して包装する場合は,バイオバーデンの変更を最小限にするために選
択した条件下で実施するのがよい。
A.6 無菌性の試験の実施方法
A.6.1 箇条6に示したように,無菌性の試験の実施方法は,次のa)及びb)の二つのカテゴリに分けるこ
とができる。
a) 製品の直接浸せき
直接浸せきは,医療機器の無菌性の試験を実施するのに好ましい方法である。直接浸せきでは,製
品又はSIPを培地の入った一つの容器(又は複数の容器,A.5.2.1参照)に無菌的に入れ培養する。培
地と製品全体又はSIPとの接触が達成されるよう,十分な量の培地を用いる。さらに,次の事項を考
慮する。
− 滅菌剤へのばく露前の分解(A.5.3も参照)
− 培地に浸せき前の分解及び/又は操作
− 培地に浸せき(漬)後のかくはん(撹拌)
− 製品表面の湿潤化を改善するために,培地への表面活性剤(静菌又は殺菌効果をもたないことが
立証されているもの)の添加
培養中は,培地と製品又はSIPとの接触を維持する。
製品の流路の無菌性の試験を実施する場合は,流路を培地で満たして,製品を培養する。
b) 製品からの微生物取り出し
医療機器が静菌/静真菌作用などの特性をもっており,直接浸せきを使用することが可能でない場
合,微生物の取り出しが必要となる。
この方法を使用する場合は注意が必要である。この方法では,製品から全ての微生物を洗い出せな
いことがある。製品から全ての微生物を取り出せないと,試験が無効になる場合がある。取り出し操
作中に起こる汚染は,偽陽性の結果を招くことがある。
培養に移る前に,物理的処理によって製品から微生物を取り出す手順は,更に次のように分けるこ
とができる。
− 洗い出し及びメンブレンろ過法
− 洗い出し及び洗浄液の培養
これら二つの手順で,初めに行う処理は,製品又はSIPから微生物を取り出すことである。使用す
る方法は,バイオバーデン測定に使用されるものと同一で,JIS T 11737-1:2013のB.2.2に記載されて
いる。同様に,適切な洗浄液の選択に関する考慮事項は,バイオバーデンの測定に使用するものと同
一で,JIS T 11737-1:2013のB.2.3及び表B.1に記載されている。
製品又はSIPから微生物を取り出した後,メンブレンろ過法を用いるか,又は洗浄液全体を培養し,
無菌性の試験を実施してもよい(A.6.4参照)。
A.6.2 指針はない。
A.6.3 無菌性の試験を実施する場合に適用できる無菌操作には,次のものが含まれる。
− 管理された環境内で試験を実施する。
例 バリア分離 : 環境的に管理された専用の室内に置いた層流フード又はバイオセーフティキャビ
ネット。
注記 管理された環境の詳細は,JIS B 9920[9],JIS B 9919[10]及びJIS B 9917-7 [11]に示されている。

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− 試験に使用する全ての機器,材料及び器具を滅菌する。
− 試験用具,培地及び試験品を,試験区域に無菌的に導入する。
− 試験品を試験区域に導入する前に,包装の外側の汚染を除く。
− 試験区域内の表面の汚染を除く。
− 試験を実施するために必要な操作を最小限にする。
− 無菌的操作の実施に関する教育訓練。
A.6.4 溶離液の培養によって無菌性の試験を実施するために,培地を溶離液として用い,その後,無菌容
器に移して培養する方法がある。
もう一つの方法は,微生物の生育に影響しない洗浄液を使用し,洗浄後,洗浄液を無菌容器の中で同容
量の2倍の濃度の培地と混合し,培養する。洗浄液の容量が培地の容量の10 %以下の場合は,洗浄液を無
菌容器の中で通常の濃度の培地と混合し,培養してもよい。
A.6.5 ろ過を使って無菌性の試験を実施するためには,孔径が0.45 μm以下の無菌のメンブレンフィルタ
に,真空又は加圧によって溶出液を通す。
溶出液と接触した表面を,更に無菌の溶離液又は中和剤を含んだ溶液ですすぎ(A.6.6参照),そのすす
いだ液体をメンブレンフィルタでろ過する。その後,培地を無菌状態でろ過ユニットに移すか,又はメン
ブレンフィルタを無菌状態で培地に移す。
これらの操作を行った後,培養を行う。
A.6.6 試験を行う製品が,偽陰性(A.7参照)を引き起こすような阻害物質を培地内に放出していないか
調査するのがよい。これは,静菌作用/静真菌作用試験で実施する場合のように,製品を含んだ培地に少
数の代表的な菌を接種して行う。
殺菌物質又は静菌物質が検出された場合,その影響は,次によって最小限にすることができる。
a) 培地又は洗浄液への中和剤の添加
b) ろ過による洗浄液からの殺菌物質又は静菌物質の除去
c) 希釈による,有効でないレベルまでの殺菌物質又は静菌物質の濃度の低減。これは,培地又は洗浄液
の容積を増加させ,また,必要な場合は,製品を幾つかの試験容器に分割することによって達成して
もよい。
一般に,現行の薬局方で示される手順,微生物,力価及び培養時間は適切であるが,培養温度及び培地
については,無菌性の試験を実施するときの条件と同じでなければならない。
A.6.7 滅菌プロセスの開発,バリデーション及び日常管理のための個別の規格では,無菌性の試験に使用
する培養条件を推奨している場合がある。
一般に,滅菌剤にばく露されても生き残る可能性がある好気性及び通性の微生物の培養に最適であると
の仮定のもとに,一つの培養タイプの培地が使われる。ソイビーン・カゼイン・ダイジェスト培地を使用
する場合,通常は30±2 ℃で14日間の培養条件を使用する。他の培地を無菌性の試験で使用する場合は,
他の培養条件を考慮するとよい。
無菌性の試験に推奨される培養温度は,バイオバーデンの測定に推奨される温度よりも低い場合がある。
より低い温度及びより長い培養時間を用いることで,損傷した又はきずついた微生物が回復することがあ
る。
次の場合は,培養条件の選択が必要である。
− 滅菌プロセスの開発,バリデーション及び日常管理のための個別の規格が,使用すべき培地を規定し
ていない。

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− 滅菌剤にばく露されても生き残る可能性のある微生物(例えば,嫌気性微生物又はマイコバクテリア
の存在)のため,単一の培地条件の使用が妥当でない場合。
これらの事例において培養条件を選択する場合に考慮すべき要素には,次の事項を含む。
− 製品の性質
− 製造方法
− 微生物汚染の潜在的な汚染源
− 汚染の可能性のある微生物のタイプ
JIS T 11737-1に従って実施するバイオバーデンの測定による微生物の種類に関する情報は,培養条件の
選択の手助けとなる場合がある。
A.6.8 滅菌剤へのばく露及び培養までの時間は,滅菌剤が微生物にもたらす致死的損傷からの修復能力に
影響を与えることがある。滅菌剤へのばく露後,製品又はSIPについて,無菌性の試験をできるだけ迅速
に実施するために,あらゆる努力を尽くすのがよい。移動による遅れが避けられない場合は,微生物の生
存能力の損失又は菌数の変化を防止するために,被験試料を保存する条件を選択するのがよい。
無菌性の試験を実施する前に経過する可能性がある最大の時間間隔を規定する。
A.6.9 通常,培養後の培地の判定は,肉眼で行う。
濁り,臭気,色の変化,皮膜,沈殿物及び凝結は,生育の証拠となる。
目視検査は,濁りの検知を助けるために,背後から照明を当てて行ってもよい。
濁りが,微生物の生育によるものではない可能性もある。
濁りについては,次の事項によって,生育によるものであるかどうかを確認できる。
a) 顕微鏡観察。
b) 濁った培地の部分(それぞれ1 cm3以上)を同じ培地の新しい容器に移し,少なくとも4日間培養す
る。
c) 一般に受け入れられている微生物学的手順(例えば,分離のための線状培養)を使用して,濁った培
地を植え継いで培養する。
A.7 無菌性の試験の実施方法の評価
無菌性の試験の実施方法を評価する場合には,偽陽性又は偽陰性となる不正確な結果の可能性を考慮す
る。
無菌性の試験における偽陽性の発生は,滅菌剤による処理の効果が低いとみなされ,バリデーションで
取得したデータの解釈に影響を与えることがある。特に立証されない限り(A.4.4参照),陽性結果は,滅
菌剤で処理されても生き残った微生物によるものであるとみなす必要がある。無菌性の試験を実施する場
合の偽陽性の発生頻度を評価するために,代表的な無菌の製品を用いたシミュレーションを実施するのが
よい。
偽陰性の発生に影響する要素には,次のものが含まれる。
− 培養条件が微生物の生育に適切でない(A.4.3.3参照)。
− 試験中に製品から放出された殺菌物質及び/又は静菌物質の存在(A.6.6参照)。
− 滅菌剤による処理から培養までの時間(A.6.8参照)。
A.8 無菌性の試験の実施方法の維持
指針はない。

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  • ISO 11737-2:2009(IDT)

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