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4.8 装置の準備
試験片装着ブロックは,台の適切な位置にボルト付けする(4.7)。適切な刃物保持ブロ
ックはガイド装置に設置し,自由に作動することを確認する。試験的に落下させ,引裂用刃物の端が試験
片保持ブロックの溝に進入し始める地点で刃物保持ブロックの速度を測定する。ブロックの正確な質量を
考慮し,5回連続して落下させたときの平均速度がブロック及び刃物の運動エネルギーが下記要求範囲に
なるように落下高さを調整する。
250 gのブロックのエネルギー範囲は,1.61.8 J
500 gのブロックのエネルギー範囲は,3.33.5 J
1 000 gのブロックのエネルギー範囲は,6.67.0 J
2 000 gのブロックのエネルギー範囲は,13.414.0 J
4.9 試験片の準備
材料評価のための試験片は,できる限りロール巻きの材料及び獣皮の頭部から尾部
の軸(正中線)を確定して全体又は2分割した獣皮から切り取る。ロール巻き材料からの試験片の採取は,
たて方向,よこ方向,45度方向で幅110±5 mm長さ200±20 mmの試験片を同数切り取る。各試験片には
たて方向を示す印を付ける。JIS L 1096で洗濯又はドライクリーニングの前処理が規定されている場合は,
試験片を切り取る前に製品そのもの,又は所定より大きな試験片で前処理する。
個人用防護装具(PPE, Personal protective equipment)最終製品から試験片を切り取った場合は,構成材料
の方向を確認する。これが不可能な場合は,製品の各構造部位に関係した方向を確認して記録する。試験
片は,個人用防護装具製品の規格に応じて,複数の製品から試験片を切り取る必要がある。
試験片は試験前に最低24時間以上,温度20±2 C,湿度(65±5) %の環境下に置く。試験は空気調和中
の室内で試験するが,もし空気調和中の室内で試験が実施できない場合は,試験片を空気調和環境から取
り出し後5分以内に実施する。
4.10 試験片の装着
試験片装着ブロックのクランプはゆるめてブロックから離し,試験片をクランプの
下に入れる。試験片を装着する間は,水平クランプで支えておく。試験片をすべてのクランプの下に均等
に入れたら,附属書A図5に示す順序でボルトを締める。ただし,ボルト8以降はその順序にこだわらな
くともよい。ボルト1,2,3,4,7及び8を締めるときは,指先で図の矢印の方向に試験片の上から軽く
押さえて平らにする。ボルト5及び6を締めるときは,確実に試験片を平らにするために更に強く押さえ
る。
試験片は,装着するときに故意に引き伸ばしてはならないが,すべてのクランプで固定した後には平ら
に張られていなければならない。均等な締付けを確実にするために,最終締付けの前にクランプが固定さ
れたときに,縦の真っすぐのクランプ及び曲がったクランプの留めねじは,試験片装着ブロックの面に単
に接触するように調節する。水平クランプの留めねじは,ボルト上のナットが確実にクランプで試験片を
均等に押し付け,りょう(稜)がほぞ穴に均等にかみ合うように調節する。試験片が厚い場合でも,留め
ねじの突出部はクランプから出ていることを確認する。
4.11 試験の実施
刃物保持ブロックは,4.8に規定した高さから4.10に規定されているように装着した試
験片の上に電磁石によって落下させる。引裂長さは,ノギスを用いて0.1 mmの精度で測定する。引裂き
ずが15 mmより長い場合は,ブロック及び刃物が試験片で支えられ停止状態の引裂用刃物の上端から引裂
きずの上端までの距離を測定し,この測定値に10 mmを加えて引裂長さとする。15 mmより短い引裂きず
は,刃物保持ブロックを持ち上げて,刃物を試験片から離した後に,試験片を装置に装着したまま引裂き
ずの全長をノギスで測定する。
試験片はクランプから取り外して検査し,試験片上にクランプの跡が均等に残っていることを確認する。
ずれた形跡があったり,繊維が部分的に引っ張られたり,又はクランプから外れていてはならない。
――――― [JIS T 8050 pdf 6] ―――――
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備考 試験片にずれた形跡がある場合は,その結果は通常無効にする。ただし,平織りのアラミド長
繊維などの非常に強じんな繊維で2 000 gのブロックによる穴又は引裂きずが1020 mmの場
合は例外とする。このような繊維のコンプライアンスは低く,試験で衝撃が加わると糸に強い
張りが生じる。滑りやすい繊維は,試料の締付けが困難である。引裂長さが10 mm20 mmの
結果は最も高い性能水準の範囲であり,糸のずれが多少あっても合格とみなす。ずれがあった
場合は報告書に記載しなければならない。
最低2個の試験片で各方向の試験を行い,各方向における試験の平均引裂長を計算する。最大値が最小
値の1.5倍を超える場合は,最大値を示したものと同じ方向で切り取った試験片で更に試験を実施する。
この方向の結果はすべて合わせて全体の結果とする。最大値が最小値の1.5倍以下の場合は,6個の結果を
平均して全体の結果とする。
備考 通常,引裂きずは試験片内に留まり,末端まで到達しない。一つの方向で末端まで引き裂ける
材料は,通常,他の少なくとも一つの方向で引裂長さが長くなり,評価した性能水準の要求事
項を満たさない。材料の弱さの評価が十分行われていないと判断される場合は,必要に応じて
特定の方向で試験するために追加の試験片を作成する必要がある。
4.12 結果の分類
4.11で得られた全結果によっては,試験した材料を性能水準別に分類するために使用
する。特定の性能水準の要求事項を満たすために,試験材料は一定の条件下でこの規格の基準で規定して
いる長さよりも短い平均引裂長さをもたなければならない。性能水準は,表1のように記載する。
表 1 性能水準
刃物保持ブロックと 衝撃エネルギー 引用規格で規定された 性能水準
刃物の質量 平均引裂長さ
g J mm レベル
250 1.7 > XX 不合格
250 1.7 < XX 1
500 3.4 < XX 2
1 000 6.8 < XX 3
2 000 13.6 < XX 4
この規格によって得られた各々の測定結果に対し,最終結果の測定の不確かさの推定値を求めなければ
ならない。この測定の不確かさ(Um)は,Um =±Xの形式で試験報告書に記載する。測定の不確かさによ
って,“合格”性能が達成されたかどうかを判断する。例えば,要求事項がある値を超えてはならないとい
う場合に最終結果プラスUmが合格レベルを超える場合は,このサンプルは不合格とみなす。
4.13 試験報告書
試験報告書には,少なくとも次の項目を記載する。
a) この規格及びこの規格を引用している規格その他の文書の引用規格
b) 試料の種類又は個人用防護装具の製造業者,及び試料の大きさ
c) 試料の前処理又は調整方法
d) 試験片の特定軸に対する衝撃方向
e) 試験回数
f) 規定された手順からの逸脱した全事項
g) 使用した刃物保持ブロックの質量,衝撃エネルギー,速度及び報告されている各方向における引裂長
さ
h) すべての方向の結果の平均,又は最悪の方向における結果の平均値が最良の方向における値の1.5倍
以上の場合はその平均値
――――― [JIS T 8050 pdf 7] ―――――
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i) 試験片のずれ,その他の起こった逸脱事項
j) 全体の結果に対するUm(測定の不確かさ)の値
k) この規格又はこの規格を引用した他の文書に従って測定した材料の性能水準
l) 試験報告書の追記内容。製品の性能に関する要求事項及び関連した“レベル”。要求される性能はこの
規格に明記されたような性能水準で,又は“○○に従って試験したとき,平均引裂長が○○ mm以下,
最大引裂長が○○ mmである”と表現する。
m) 試験機関の名前
n) 試験の日付及び署名
――――― [JIS T 8050 pdf 8] ―――――
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附属書A(参考)材料及び衣服の突刺及び動的引裂試験の詳細に関する
参考情報
この附属書は,本体に関連する事柄を補足するもので,規定の一部ではない。
A.1 序文 この規格で規定する試験方法は,個人用防護装具で使用される織物,編物,コーティング,メ
ンブレン,ラミネート,又は皮革の突刺,及び動的引裂に対する抵抗性を評価するために用いる。
この試験方法は,かぎ裂事故における傷害に対する材料の相対的抵抗性に関する情報を提供する。この
ような事故では,個人用防護装具がくぎ又は障害物に引っ掛かり,穴があいたり破れたりする。抵抗性の
ない衣服では,大きな穴があくが,抵抗性のある衣服は,穴があいても引き裂かれる可能性は低いため,
傷害は限定的となり,水,土壌又は化学物質の侵入を制限する。この試験は,突刺の受傷後,引裂きずを
生じる可能性に関する情報を提供する。
A.2 適用範囲 この附属書は,この規格の利用者が特定の問題に適用するときの助けとなり,また,この
試験方法で得られた結果に関する情報及び性能水準の意味について解釈することができる。
A.3 この規格の使用 この規格を引用する場合,多くのパラメータは,本体4.(試験装置及び手順)に規
定したように明記する。また,追加又は代替の試験法によって,要求されているデータが得られることも
考慮する。この規格は,個人用防護装具製品の個別規格に使用することを前提としている。
A.4 危険性識別及び試験法の選択 個人用防護装具用試験方法の選択は,予想される危険性によって異な
る。一般的な突刺きず又は引裂の危険性を6種類に区別し,それらに適用する特定の試験方法を次に示す。
A.4.1 突刺及び伝ぱ性引裂 棒状鋭利物,くぎ,とげ,針,鋭い金属角,粗い石造物,有刺鉄線などは,
個人用防護装具が浅い角度で接触すると突刺及び引裂きずを起こす。これらはしばしば“かぎ裂”とも呼
ばれる。このようなきずに対する抵抗性は,この規格で測定できる。
A.4.2 突刺 棒状鋭利物,くぎ,とげ,又は針は,個人用防護装具がそれらの鋭い先端と直接強く接触す
ると突刺きずをもたらす。これは純然たる突刺きずの危険性であり,EN 863:1995 Protective clothing −
mechanical properties−Test method: puncture resistanceによる。
A.4.3 衝撃切創,突刺 先端が鋭利なナイフ,割れたガラス,レザーワイヤなどの鋭利な先端及び刃は,
個人用防護装具に直接接触すると弱い力でも切創を起こす。これは衝撃切創の危険性である。衣料材料の
衝撃切創に対する抵抗性は,ISO 13999-3:2003 Protective clothing−Gloves and arm guards protecting against
cuts and stabs by hand knives−Part 3: Impact cut test for fabric, leather and other materialsによる。
A.4.4 擦りきず 個人用防護装具が金属薄板の部品,削りくず,ナイフ,ガラス,鋳物,刃物などの鋭い
縁で擦れると穴をあけることなく直接切創が起こる。擦りきずに対する抵抗性はJIS T 8052による。
A.4.5 衝撃による擦り切れ コンクリート,岩石及び道路の表面などのように背の低い突起,インライ
ン・スケート中の転倒,登山者の転落,二輪車事故などは,滑り衝撃によって強い力が加わると,材料の
擦り切れ及び磨耗を即時に起こす。この材料の磨耗は衣服の突刺きず,及びその後の引裂をもたらす。材
料の擦り切れ抵抗性は,Woods, R.I.の方法“Belt abrader impact abrasion testing of leathers and fabrics used in
――――― [JIS T 8050 pdf 9] ―――――
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motorcycle riders clothing”によって評価できる。また,Performance of Protective Clothing: Fifth Volume, ASTM
STP 1237, James S. Johnson and S.Z. Mansdorf. Eds. American Society for Testing and Materials, Philadelphia,
USA, 1996.は,これら製品における擦り切れによってできた穴に続いて生じる引裂に対する抵抗性を評価
できる。
A.4.6 せん(剪)断,突刺きず及び引裂 サッカーシューズのスパイクなどのような鈍端の円柱物は,他
の選手のむこうずね斜め方向に衝撃を与え,直接的な負傷の原因になる。この特殊な,かつ激しい突刺及
び引裂の危険性は,prEN 13061: 1997 Protective clothing−Shin guards for soccer players−Requirements and test
methodsによる。
A.4.7 引裂又は破裂 織物及び皮革に対する各種の引裂試験は確立している。この方法は,一般的に伸縮
性の高い繊維及び編物には適用されない。この試験は遅い速度で行われる。被覆された材料及び編物に対
しては破裂試験が用いられる。破裂試験は穴ができた後の材料の特性を試験するのではなく,すべての材
料の引張強度を比較する方法である。この試験は,編物と同様に織物及び皮革に対しても十分に実施でき
る。
A.4.8 試験方法の選択
A.4.8.1 突刺及び動的引裂試験の選択が適切な場合 この規格の突刺及び動的引裂試験は,次の状況下で
適用できる。
a) 突刺と引裂とが同時に発生する危険性のいずれか一つのとき
b) リスク解析の結果,突刺きずから広がる引裂の結果が重大とみられるとき
c) 1 m/sを超える棒状鋭利物と個人用防護装具との間の相対的運動にかかわる危険性があるとき
d) 材料の柔軟性が高く,実際の事故では引き裂かれることなく引き伸ばされるとき
e) 材料が従来の引裂試験では試験が困難な編物,メッシュ製品又は不織布であるとき
f) 織物,編物又は不織布上のコーティングが,かぎ裂及び突刺と引裂きずとに対する抵抗性に大きく寄
与しているとき
g) 材料が基布のないメンブレンだけであるとき
h) この方法で試験した材料と他の方法で試験した材料とを比較するとき
i) 製品規格が,必要以上に制限することなく上記c) g)に該当する材料及び他の材料の両方を許可する
必要があるとき
A.4.8.2 突刺及び動的引裂試験が適切でない場合 次の状況ではこの突刺及び動的引裂試験は適切ではな
い。
a) 危険有害性が主としてA.4.2A.4.6に記載された一つであるとき
b) 材料の穴又は引裂きずが極度に危険で,最初の突刺又は切創に対する抵抗性が特に重要であるとき
c) 引裂抵抗性が突刺抵抗性よりも大きく,バリアの完全さが重要であるとき
A.5 リスク解析 この規格を引用する報告者はリスク解析を必ず行い,それは次の段階を含むようにする。
A.5.1 脅威の区分及び定量化 個人用防護装具の本来の完全さを損なう第1の脅威は,最初の突刺きずを
起こす物体であり,その後の個人用防護装具と突刺又はかぎ裂を起こす物体との相対的運動の間に引裂が
生じる。特定の脅威に対して個人用防護装具用の材料の強度を示すことができない場合は,予想される事
故に存在すると思われる力を測定し,これを性能基準と関係付ける必要がある。予想される脅威の特性を
次に示す。
a) 突き刺さる物体の鋭利さ
――――― [JIS T 8050 pdf 10] ―――――
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JIS T 8050:2005の引用国際規格 ISO 一覧
- ISO 13995:2000(MOD)
JIS T 8050:2005の国際規格 ICS 分類一覧
- 13 : 環境.健康予防.安全 > 13.340 : 防護設備 > 13.340.10 : 防護服
JIS T 8050:2005の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISL1096:2010
- 織物及び編物の生地試験方法