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b) 引き裂く刃の鋭利さ(個人用防護装具を切り裂くほど鋭利な場合,突刺及び動的引裂試験は不適当で
ある。)
c) 個人用防護装具に対する物体との相対速度,及び個人用防護装具が被覆している人体部分の大きさ及
び衝突エネルギー
d) エネルギーは,物体と個人用防護装具との間に相対的に運動を停止するのに必要とするエネルギー。
これは物体が止まるか,又は使用者が動けても適切な個人用防護装具だけで阻止することを含んでい
る。
e) スパナを全力で使用中に手が滑った場合の反射的コントロールのような衝撃に対する使用者の反応
f) 脅威の発生頻度
A.5.2 発生し得る傷害の推定 個人用防護装具に求められる機械的測定による特定レベルの決定は,指定
された強度よりも低い強度で起こる可能性のある傷害の推定をしなければならない。次の傷害は,突刺及
び動的引裂に対する不十分な抵抗性によって起こる。
a) 膨張式救命具又は救命胴衣が破れた場合などの即時的に致命的となる可能性のある傷害
b) 個人用防護装具が危険物と予想し,しかも意図的に接触している間にバリア材が破れたとき,又はそ
の後使用者がそのような危険物にさらされた場合に起こる即時的かつ明白にわかる傷害,若しくは遅
延形かつ目立たない重度の傷害。このような傷害は,放射性物質,化学物質若しくは微生物用の防護
服,又は農薬などの散布用防護服及び手袋で起こる。
c) 前記危険物質とのまれに起こる偶発的な接触に対する防護として衣服を使用する場合に起こる可能性
のある傷害。傷害が発生するのは,破れと危険物との接触が,同時に又は続いて起こる場合である。
この傷害は,例えば殺虫剤が小さい引裂傷から浸入し,散布用防護服内にたまるなど,蓄積的な場合
がある。
d) 危険な物理的傷害が穴を通して個人用防護装具の着用者を傷つける場合の即時的,かつ明白な様々な
程度の傷害。このような例としては,ごみ袋から突き出ている鋭い釘が作業中の労働者の足を傷つけ
る場合,又は地面の障害物が靴の甲部を突き破り足又は足首に突き刺さる場合などがある。
e) 個人用防護装具の損傷の発見が遅れたり,又は知らなければ,将来の事故に対する防護性が減少する。
例えば,消防服の外側の層が破れていて直接火傷を起こす場合,同じ事故で熱が浸入して熱傷を起こ
す場合,ドライスーツ(潜水用)が破れて水が浸入する場合などにおける中等度又は重度となり得る
傷害。
f) 悪天候で使用中に保温用及び防水用衣服が破れた場合など,防護性が減少し,個人用防護装具の裂け
目によって生じる軽度又は中等度の傷害。
g) 例えば,高視認性衣服が引裂及びその視認面積が減少し,その効果が無効になった場合に将来発生し
得る傷害。
A.5.3 リスク水準の推定 全体のリスク水準は,脅威の程度,その脅威の発生頻度,発生し得る傷害の程
度,及び危険物質又は危険状況が存在する頻度若しくは可能性によって決まるので,次の事項を考慮する
必要がある。
a) 危険有害性に対するばく(曝)露頻度
b) 機械的危険性の程度
c) 個人用防護装具が破れた場合に傷害を起こす物質又は状況へのばく(曝)露頻度
d) そのような物質又は状況が起こす可能性のある傷害の程度
リスク水準は,作業の種類,労働者の訓練度合及び突刺の危険性が存在する状況でのばく(曝)露程度
――――― [JIS T 8050 pdf 11] ―――――
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に関係する。消防隊員及び救急隊員は,視認性が悪い条件下及び閉鎖空間で作業を行うため,突発的に高
い危険性に遭遇する機会が多い。個人用防護装具の損傷が致命的となる状況もまれにあるが,それ以前に
軽い傷害又は不快の原因となる。
化学物質,微生物及び放射性物質を取り扱う事業所に勤務する研究者は,かぎ裂事故にあう危険は低い
と思われるが,環境上,そのばく(曝)露によって重い傷害又は致死に至る可能性が高い。状況によって
は,ある化学物質又は微生物のばく(曝)露の影響が明らかになるのに時間がかかるため,直接的な傷害
が表に現れない可能性もある。このことは被ばく(曝)した本人だけに限られるだけではなく,遺伝的に,
又は先天性異常がその子供に残る可能性もある。
個人用防護装具の引裂の発生がすぐに目に見えるか,迅速に修復措置ができるかどうかによってリスク
水準を変更してもよい。したがって,個人用防護装具の頻繁な検査及び試験,又は原子力産業で着用され
ているようなバリアが破れたことを知らせる警報付き個人用防護装具の使用によって,リスク水準を下げ
ても構わない。小さな引裂きずが訓練不足の作業者では見過ごされ,化学物質が浸透して裏地及び下着に
蓄積するとリスク水準が高くなる。強じんな個人用防護装具は,長期間使用されるので小さなきずによっ
て多くの汚染物質が蓄積され,実際には傷害の危険性が高まることもある。
A.6 性能基準 この規格を引用する個別の製品規格の作成者は,その製品規格に明記すべき性能基準を独
自に行った解析から決定する。ある規格は40 mmという長い引裂長さに基づくこともあれば,10 mm以下
の短い引裂長さを要求する規格もある。ある規格は個人用防護装具の使用及び種類の平均的衝撃を示す衝
突エネルギーを要求し,ある規格は発生し得る傷害が大きいため,予想される衝撃を超える衝突エネルギ
ーを要求するものもある。
A.7 性能水準の明記 ほとんどの個人用防護装具の材料に対し,次の四つの性能水準を格付けすることが
望ましい。附属書A 表1に記載の水準は40 mmの最大引裂長さに基づいており,また落錘の質量が2倍
になると引裂長さも約2倍になる。したがって,このデータは異なる最大引裂長さを必要とする性能基準
の基礎としても使用できる。代表的な材料の性能は,製品規格の作成時に常に決める必要がある。
a) レベル4(2 000 g,40 mm) この試験で引裂長さが40 mm以下の材料は,どのような事故の状況下
でも伝ぱ性引裂を示す可能性は非常に低い。附属書A 表1に示す材料中,3種類は112 km・h-1の二輪
車事故のシミュレーションで使用された。数多くの試験片を供試したが,引裂の発生は皆無であった。
b) レベル3(1 000 g,40 mm) この水準に達している材料は,“強じん”とみなせる。ほとんどの使用
条件下で,突き出ているくぎに引っ掛ても引き裂かれることはない。経験的にみて,レベル3に該当
する材料のうちでもかぎ裂及び引裂でまれに不合格となるものもある。この水準には,産業用及びレ
ジャー用の厳しく危険な用途用の衣服向けの材料が含まれる。
c) レベル2(500 g,40 mm) この水準に達している材料には,レジャー市場用の頑丈なアウトドア用
繊維とみなす材料が含まれるが,かぎ裂抵抗性は高くない。これらの材料は危険性のある化学物質を
扱うか(苛)酷な物理的状況下で使用できるほど強くはないが,同じような化学物質を適切な条件で
扱う場合には十分である。
d) レベル1(250 g,40 mm) この水準に達している材料は最低限のかぎ裂及び引裂抵抗性しかもって
いない。危険な状況下,又は衣服の完全さが重要な場合での使用には適さない。裏地材及び通気性メ
ッシュ材は,レベル1である。
e) レベル1に達しない材料 このような材料は,突刺及び引裂の危険に対してはきわめて弱い。これら
――――― [JIS T 8050 pdf 12] ―――――
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の材料は,直接性能水準にかかわらない部位に使用できる。
A.8 特殊な条件及びこの規格の試験方法からの逸脱 この規格を引用するときは,状況によって試験又は
その用途に関する特殊な条件を明記しなければならないこともある。
A.8.1 穴の面積又は引裂長さ かぎ裂及び引裂事故における引裂長さよりも,事故で生じた穴の面積に基
づいて製品の性能仕様を作成することが重要な場合には,次の方法が提案できる。
金属又はプラスチックの平滑で堅い適切な材料の円すい(錐)体に,円周40 mmから120 mmで1 mm
間隔で円周線の印を付ける。円すい(錐)体が浅い場合はこれらの線の間隔は,十分に広く描ける。穴あ
け及び引裂後の試験片は,装置から取り出してこの円すい(錐)体の上からはめ込むように滑りこませる。
試験片の穴の全周が円すい(錐)体と同じ高さに接するまで徐々に滑らせる。穴の周囲の長さを0.5 mm
単位で読み取る。合否水準は,通常,引裂長さの2倍又は80 mmとする。一部の用途ではかなり小さい穴
を指定することが望ましい。この場合,リスク解析に基づき製品規格に記載する。
A.8.2 前処理 日光,湿度,オイル,細菌,化学物質,及び空気によって引裂強度を失い,その結果使用
者が危険に陥ることもあるため,個人用防護装具の中には,それを激しくかつ加速的に弱める使用条件に
さらす場合がある。製品規格には,保管及び正常な使用によって考えられる影響を予測するための前処理
又は経年変化を含む必要がある。
A.8.3 特殊試験条件 水,オイル,有機溶媒及び高温又は低温によって,引裂強度を失う原因になるため,
個人用防護装具の中には,それを激しく直ちに弱める使用条件にさらすことがある。引裂強度の喪失が使
用者を危険に陥らせる場合,製品規格には,ぬ(濡)れ及び浸水後の材料試験,試験条件外の温度での試
験,又は他の特殊な条件下での試験を明記することが望ましい。
附属書A表 1 この規格で試験した各種材料の引裂長さ
単位 mm
ロールの長軸に 落下物質量g
材料及び到達した性能水準
対する引裂方向 250 500 1 000 2 000
レベル4 合格 合格
290 g/m2パラ系アラミド長繊維平織物 平行 11 14
垂直 ― ― 8 9
45 10 13
600 g/m2パラ系アラミド紡績糸パイル編物 平行 16 22
垂直 ― ― 7 21
45 18 23
1.5 mm厚牛革 14 23
(二輪車レース用皮革) 未知 ― ― 19 29
13 30
300 g/m2ポリアミド繊維長繊維平織物 平行 23 41
垂直 ― ― 23 43
45 23 32
レベル3 合格 不合格
400 g/m2ポリエステルたて編メッシュ 平行 23 43
垂直 ― ― 32 48
45 30 48
1.3 mm厚牛革(一般道路二輪車用皮革) 33 37
未知 ― ― 36 39
16 55
480 g/m2ポリエステル長繊維ポリウレタン 平行 37 80
コーティング平織物 垂直 ― ― 33 67
(被覆230 g/m2) 45 22 39
平行 40 93
240g/m2パラ系アラミド/メタ系アラミド
垂直 ― ― 29 64
60%/40%リップストップ織物 45 33 53
――――― [JIS T 8050 pdf 13] ―――――
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附属書A表 1 この規格で試験した各種材料の引裂長さ(続き)
単位 mm
ロールの長軸に 落下物質量g
材料及び到達した性能水準
対する引裂方向 250 500 1 000 2 000
レベル2 合格 合格 不合格 不合格
1.2 mm厚牛革。二輪車用皮革として不合格 平行 20 36
垂直 18 57 ― ―
45 22 33
250 g/m2軟質ポリウレタンコーティングポ 平行 15 50 58*
リアミド編,高視認性防水生地 垂直 ― 27 85 140
45 20 43 90
230 g/m2パラ系アラミド/メタア系ラミド 平行 22 56 110
23 %/77 %あや織物 垂直 ― 22 57 116
45 23 52 86
200 g/m2硬質ポリウレタンコーティング平 平行 28 60
織物(被覆60 g/m2) 垂直 ― 29 65 ―
45 23 38
550 g/m2綿帆布 平行 37 90
垂直 ― 30 70 ―
45 19 37
0.35 mm基材のないニトリルメンブレン 平行 20 30
(作業用手袋) 垂直 18 38 ― ―
45 20 42
レベル1 合格 不合格 不合格 不合格
260 g/m2レーヨン/メタ系アラミド50 %/ 平行 32 44 101
50 %あや織物 垂直 22 29 78 ―
45 18 23 44
150 g/m2シンプレックス編ポリアミドメッ 平行 27 40
シュライニング生地 垂直 25 36 ― ―
45 30 44
130 g/m2たて編高視認性ポリエステルメッ 平行 33 62
シュ 垂直 26 41 ― ―
45 26 34
0.7 mm厚牛革。靴用のライニング用皮革 平行 31 60
垂直 39 49 ― ―
45 20 48
100 g/m2高視認性平織りポリエステル平織 平行 36
り物コーティングなし 垂直 39 ― ― ―
45 30
レベル1に達しない 不合格
100 g/m2高視認性ポリエステルポリウレタ 82
ンコーティング平織物 ― 70 ― ― ―
42
注* 引裂が試験片の辺縁に到達。
――――― [JIS T 8050 pdf 14] ―――――
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T 8050 : 2005
1重く頑丈な台 5 電磁石
2支持枠 6 落錘及び刃物保持ブロック
3研磨鋼製ガイドロッド 7 引裂用刃物
4電磁石用調整可能サスペンション 8 試験片装着ブロック
附属書A図 1 この規格の要求事項を満たした装置の正面概要図
――――― [JIS T 8050 pdf 15] ―――――
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JIS T 8050:2005の引用国際規格 ISO 一覧
- ISO 13995:2000(MOD)
JIS T 8050:2005の国際規格 ICS 分類一覧
- 13 : 環境.健康予防.安全 > 13.340 : 防護設備 > 13.340.10 : 防護服
JIS T 8050:2005の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISL1096:2010
- 織物及び編物の生地試験方法