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T 80601-2-60 : 2021
201.9.6.3† 手に伝わる振動
現在の最新技術水準によると,手に伝わる振動は,通則で規定されている基準値よりも十分低い。
通則では,人体に対する最大ばく(曝)露は,1時間に7.07 m/s2という論理的根拠が示されている。標
準的なモータの振動測定値は,1.0 m/s2±0.1 m/s2よりもはるかに低かった。
201.9.8.2† (引張強さの)安全率
歯科器械においては,力学的及び機械的な特性は知られている。そのため,通則の表21のA列の(引
張強さの)安全率が選択されてきた。長年にわたりJIS T 0601-1:1999 2) の(引張強さの)安全率を適用し
た製品設計を通じて蓄積された経験によって機械的強度を証明した。通則の表21のA列の値の適用は,
それぞれの状態において,JIS T 0601-1:1999と同程度である。
201.11.1.1† 正常な使用時の最高温度
最高温度上昇は,ISO 13732-1:2006から導かれる。
201.11.1.1.101† 正常な使用時の最高温度
歯科診療における使用条件は,JIS T 0601-2-2:2020で規定しているものほど厳しくない。総時間10分を
適用することは十分であると考えられる。
201.11.1.2.2† 患者に熱を与えることを意図しない装着部
装着部は,歯科診療中に患者へ短時間接触する小さな領域でしかない。この診療においては,ハザード
はない。これについては,ISO 13732-1:2006に記載されている。
201.11.1.3† 測定
aa) 1)
歯の処置に必要な電力は,一般的に,歯1本当たり7.5 Wである。
この7.5 Wは,次のように導かれる。
1) 検証1
− 歯科診療中の歯科用電気モータの典型的な消費電流は,約0.8 Aである。
− 24 Vの電圧での電力は,約19.2 Wである。
− 歯科用電気モータの消費電力は,約8 Wである。
− 歯科用ハンドピースの消費電力は,約6.5 Wである。
− 全体の消費電力は,約14.5 Wとなる。
− これらから,歯1本当たりの歯の処置に必要な電力は,約5 W(19.2 W−14.5 W)となる。
2) 検証2
− 無負荷状態の歯科用ハンドピースの消費電流は,約0.5 Aである。
− したがって,歯1本当たりに歯の処置に必要な電流は,約0.3 A(0.8 A−0.5 A)となる。
− 24 Vで1分当たり40 000回転において,歯の処置に必要な電力は,約7.2 Wとなる。
− さらに,歯科診療での測定では,回転速度を減少させたときの診療においては,歯科用電気モー
タの電流の減少という結果を示した。したがって,1分当たり40 000回転における7.5 Wを歯の
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処置に必要な電力と定義することは,定常的な歯科用電気モータの電流からも安全を見込んだ数
値であると想定される。これは最大定格回転速度における7.5 Wの負荷試験,又は減速された定
格回転数と低下させた電力を適切に行い,ほぼ一定の歯科用電気モータの電流を維持しながら回
転速度が電圧(M×ω/UI)によって制御される場合に当てはまる。後者の試験では,回転速度
が確実に意図した回転速度に到達するという優位性をもっており(その制御機能は上限値におい
て作動しない。),同様に,温度上昇は大部分が歯科用電気モータの電流によって生じるという事
実によって裏付けられる。
さらに,効率は,異なる可能性がある。
上記の5 W及び7.2 Wという値を考慮して,7.5 Wという値が試験のために選択された。
3) 作動時間
− 1診療台につき患者数は,1日当たり約20人である。
− 歯科医師の労働時間は,1日当たり約10時間である。
− 患者の平均診療時間は,1人当たり約30分である。
− 歯科用電気モータの作動時間は,1日当たり約10分である。したがって,患者に対する歯科用電
気モータの作動時間は1人当たり約30秒となる。
(作動時間は,一般的な診療時間を集計したものである。通則の表23の3行目に示す10秒と
は関連していない。)
30秒間作動させた後9分間休止する試験において,一般的な使用では,許容温度を超えないことが確認
されている。さらに,厳しいデューティサイクルで使用した場合は,歯科用ハンドピースの操作者側の部
分の温度は過度となる可能性があるが,この場合,操作者は,使用を中止することが可能である。
aa) 3) 温度上昇の最大定格
負荷用ファンの構造を図AA.4に示す。負荷用ファンの荷重(負荷)線図を図AA.5に示す。
負荷用ファンによる30秒間,16 Wの負荷は,歯科診療中におけるエネルギーよりも更に大きなエネル
ギーであると考えられる。
この試験は,操作者に対する熱的なハザードを回避するために,操作者が歯科用電気モータを含む歯科
用ハンドピースをハンガに戻すのに要する時間を決めることを意図している。
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単位 mm
記号説明 :
1 60°の円すい(錐)ヘッド及びストレートシャンク付き丸形パンチD形(ISO 6752)による直径2.35 mmの
特別なサイズの軸
2 アルミニウム製ファン
3 間隙のない結合
図AA.4−負荷用ファンの構造
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記号説明 :
P : 消費電力(W)
n : 回転数(1分当たりの回転)
D : アルミニウム製ファンの直径
図AA.5−負荷用ファンの荷重(負荷)線図
cc) 排気エアの増加による物理的影響は,空気駆動ハンドピースの追加冷却の要因となる。そのため,危
険状態は生じない。
201.13.2.7† 危険状態になる可能性がある冷却の障害
歯科用電気モータは,操作者の手で保持する。冷却の障害は,操作者が反応するのに十分な時間的余裕
がある程度に,緩やかな温度上昇を生じる。
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参考文献
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[2] IEC 60601-1-10,Medical electrical equipment−Part 1-10: General requirements for basic safety and essential
performance−Collateral Standard: Requirements for the development of physiologic closed-loop controllers
[3] IEC 60664 (all parts),Insulation coordination for equipment within low-voltage systems
[4] IEC 61810-7:2006,Electromechanical elementary relays−Part 7: Test and measurement procedures
[5] ISO 6752:2008,Tools for pressing−Round punches with 60 degrees conical head and straight shank
[6] ISO 7494-2:2015,Dentistry−Dental units−Part 2: Air, water, suction and wastewater systems
[7] ISO 10650:2018,Dentistry−Powered polymerization activators
[8] ISO 13732-1:2006,Ergonomics of the thermal environment−Methods for the assessment of human responses
to contact with surfaces−Part 1: Hot surfaces
[9] ISO 17664:2017,Processing of health care products−Information to be provided by the medical device
manufacturer for the processing of medical devices
[10] ISO 18397:2016,Dentistry−Powered scaler
[11] ISO 21530:2004,Dentistry−Materials used for dental equipment surfaces−Determination of resistance to
chemical disinfectants
[12] JIS T 0601-1-3:2015 医用電気機器−第1-3部 : 基礎安全及び基本性能に関する一般要求事項−副通
則 : 診断用X線装置における放射線防護
[13] JIS T 14971:2012 医療機器−リスクマネジメントの医療機器への適用
[14] JIS C 60364-4-44:2011 低圧電気設備−第4-44部 : 安全保護−妨害電圧及び電磁妨害に対する保護
――――― [JIS T 80601-2-60 pdf 35] ―――――
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- IEC 80601-2-60:2019(MOD)
JIS T 80601-2-60:2021の国際規格 ICS 分類一覧
JIS T 80601-2-60:2021の関連規格と引用規格一覧
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