JIS T 8161-2:2020 聴覚保護具(防音保護具)―第2部:着用時の実効A特性重み付け音圧レベルの推定 | ページ 2

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5 指定された保護性能に対する聴覚保護具の想定保護値APVfxの計算

  聴覚保護具の想定保護値APVfxは,求める保護性能x,及びそれに対応する定数α(表1参照)を選択し,
次の式(1)を用いて125 Hz8 000 Hzの範囲内で計算する。定数α=1の場合,保護性能x=84 %を表す遮
音値の添字84を省略できる。
APVfx mf sf (1)
ここに, 下付き添字f : オクターブバンドの中心周波数
下付き添字x : 指定された保護性能。標準正規分布の累積分布関
数の値(%)
mf : JIS T 8161-1に従って決定される平均遮音値
sf : JIS T 8161-1に従って決定される標準偏差
α : 保護性能xに対応する標準正規分布の累積分布関
数の確率変数(表1参照)
表1−様々な保護性能xに対するαの値
保護性能 x(%) α
50 0.00
75 0.67
80 0.84
84 1.00
90 1.28
95 1.64
98 2.00
f(z) F(z) (%)
x(%)
x(%) α α
z z
標準正規分布の密度関数 標準正規分布の累積分布関数
想定保護値APVfxの計算例を,附属書Aに示す。

6 オクターブバンド法

  この方法は,騒音のオクターブバンド音圧レベル,及び想定保護値APVfxを必要とする。この方法は騒
音を特定して行うので,各々の騒音の状況に応じて計算を行う。
聴覚保護具着用時の実効A特性重み付け音圧レベルL'p,Axは,次の式(2)を用いて計算する。
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A f (k)
APVf (k)
1.0 Lp, f ( k)
Lp, Ax10 log10 10 (2)
k 1
ここに, 下付き添字f(k) : オクターブバンドの中心周波数
f(1)=125 Hz,f(2)=250 Hz,···,f(7)=8 000 Hz
Lp,f(k) : オクターブバンドでの騒音の音圧レベル

――――― [JIS T 8161-2 pdf 6] ―――――

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Af(k) : オクターブバンドの中心周波数でのJIS C
1509-1に規定する周波数重み付け特性A(表B.1
を参照)
L'p,Axの値は,最も近い整数に四捨五入する。
特定の騒音下での与えられた聴覚保護具着用時の実効A特性重み付け音圧レベルの計算例を,附属書B
に示す。

7 HML法

7.1 一般的事項

  この方法は,騒音のC及びA特性重み付け音圧レベルと高域周波遮音値Hx,中域周波遮音値Mx及び低
域周波遮音値Lxの値を必要とする。

7.2 H,M及びLの値の計算

  Hx,Mx及びLxのdB値の計算は,異なる (Lp,C−Lp,A) 値(表2参照)をもつ八つの基準騒音スペクトル,
及び聴覚保護具の個々の遮音値ajf(k) に基づく。この値は,それらが適用される実際の騒音状況とは独立で,
次の式(3)式(15)を用いて計算される。
Hm,Mm及びLmは,これら指標の平均値を,Hs,Ms及びLsは,標準偏差を意味する。
Hx Hm Hs (3)
Mx Mm Ms (4)
Lx Lm Ls (5)
ここに, 下付き添字x : 指定された保護性能。標準正規分布の累積分布関
数の値をパーセント表示したもの。
α : 保護性能xに対応する標準正規分布の累積分布関
数の確率変数(表1参照)
N
1
Hm Hj (6)
N j 1
N
1
Mm Mj (7)
N j 1
N
1
Lm Lj (8)
N j 1
N
1 2
Hs Hj Hm (9)
N 1 j 1
N
1 2
Ms Mj Mm (10)
N 1 j 1

――――― [JIS T 8161-2 pdf 7] ―――――

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N
1 2
Ls Lj Lm (11)
N 1 j 1
4 4
Hj .025 PNRji .048 diPNRji (12)
i 1 i 1
8 8
Mj .025 PNRji .016 diPNRji (13)
i 5 i 5
8 8
Lj .025 PNRji .023 diPNRji (14)
i 5 i 5
7
1.0 Lp, Af ( k) i ajf (k)
PNRji 100 10 log1010 (15)
k 1
ここに, N : 被験者数
ajf(k) : JIS T 8161-1に従って決定された,被験者j及び周
波数f(k) の遮音値(dB)
下付き添字j : 被験者番号
下付き添字i : 基準騒音スペクトルの番号
Lp,Af(k) i及びdiの値は,表2に規定する。
注記 式(15)における,100 dBの値は,表2の各々の騒音の125 Hz8 000 Hzのオクターブバンドの
オーバーオールのA特性重み付け音圧レベルを表す。
その結果として得られるHx,Mx及びLxの値は,最も近い整数に四捨五入する。
H,M及びLの値の計算例を,附属書Cに示す。
表2−100 dBのA特性重み付け音圧レベルに正規化された八つの基準騒音のA特性重み付けオクターブ
バンド音圧レベルLp,Af(k) i,(Lp,C−Lp,A) 値及び定数di
基準騒音i オクターブバンド中心周波数 Hz (Lp,C−Lp,A) i
125 250 500 1 000 2 000 4 000 8 000
k=1 k=2 k=3 k=4 k=5 k=6 k=7
1 62.6 70.8 81.0 90.4 96.2 94.7 92.3 −1.2 −1.20
2 68.9 78.3 84.3 92.8 96.3 94.0 90.0 −0.5 −0.49
3 71.1 80.8 88.0 95.0 94.4 94.1 89.0 0.1 0.14
4 77.2 84.5 89.8 95.5 94.3 92.5 88.8 1.6 1.56
5 77.4 86.5 92.5 96.4 93.0 90.4 83.7 2.3 −2.98
6 82.0 89.3 93.3 95.6 93.0 90.1 83.0 4.3 −1.01
7 84.2 90.1 93.6 96.2 91.3 87.9 81.9 6.1 0.85
8 88.0 93.4 93.8 94.2 91.4 87.9 79.9 8.4 3.14
注記1 diは経験的に導かれた値である。参考文献[1],[2]参照。
注記2 A特性重み付け音圧レベルLp,Aの100 dBの値は,計算を簡単にするために選択された。

7.3 実効A特性重み付け音圧レベルの推定のためのHML法の適用

  実効A特性重み付け音圧レベルL'p,Axは,次の二つのステップで計算する。
a) 予測騒音レベル低減PNRxは,騒音が (Lp,C−Lp,A)≦2 dBの場合は式(16)で,騒音が2 dB<(Lp,C−Lp,A) の
場合は式(17)で計算する。

――――― [JIS T 8161-2 pdf 8] ―――――

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Hx Mx
PNRx Mx LpC, Lp, A (16)
4
Mx Lx
PNRx Mx LpC, Lp, A (17)
8
b) 'p,Axを,次の式(18)で計算する。
Lp, AxLp, A PNRx (18)
その結果として得られるL'p,Axの値は最も近い整数に四捨五入する。
注記 差 (Lp,C−Lp,A) は,短時間の音圧レベル測定,長時間の等価音圧レベル値から推定することがで
きる。又は測定機関等から提供される典型的な騒音状況の表から推定することができる。
C特性重み付け音圧レベルの代わりにZ特性重み付け又はFLAT特性重み付け音圧レベルを使用するこ
とができる。非常に低い周波数の騒音の場合,この手順では,高めのL'p,Axの値が得られる。
特定の騒音下での与えられた聴覚保護具着用時の実効A特性重み付け音圧レベル計算例を,附属書Cに
示す。

8 SNR法

8.1 一般的事項

  この方法は,騒音のC特性重み付け音圧レベル及びSNR値を必要とする。

8.2 SNRの値の計算

  SNRxの値の計算は,ピンクノイズスペクトル(表3を参照)及び聴覚保護具の個々人の遮音値ajf(k) に基
づく。
SNRxはそれが適用される実際の騒音スペクトルと独立で,次の式(19)を用いて計算する。ただし,SNRm
はSNRの平均値で,SNRsはSNRの標準偏差を意味する。
SNRx SNRm SNRs (19)
ここに, 下付き添字x : 指定された保護性能。標準正規分布の累積分布関
数の値をパーセント表示したもの。
α : 保護性能xに対応する標準正規分布の累積分布関
数の確率変数(表1参照)
N
1
SNRm SNRj (20)
N j 1
N
1 2
SNRs SNRj SNRm (21)
N 1 j 1
7
1.0 LpA,f (k) jf (k)
SNRj 100 10 log10 10 (22)
k 1
ここに, N : 被験者数
ajf(k) : JIS T 8161-1に従って決定された,被験者j及び周
波数f(k) の遮音値(dB)
下付き添字j : 被験者番号

――――― [JIS T 8161-2 pdf 9] ―――――

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Lp,Af(k) の値は,表3に規定する。
注記 式(22)で,100 dBの値は表3の基準ピンクノイズのC特性重み付け音圧レベルを表す。
結果として得られるSNRxの値は最も近い整数に四捨五入する。
SNRの計算例を附属書Dに示す。

8.3 実効A特性重み付け音圧レベルの推定のためのSNR法の適用

  L'p,Axは,次の式(23)を用いてSNRx及び騒音のC特性重み付け音圧レベルから計算する。
Lp,Ax LpC, SNRx (23)
騒音のA特性重み付け音圧レベルだけが利用可能なときには,差 (Lp,C−Lp,A) が既知ならば(注記1及び
注記2を参照)SNRを使用してもよい。次にL'p,Axを,次の式(24)で求める。
Lp, AxLp, A LpC, Lp, A SNRx (24)
注記1 差 (Lp,C−Lp,A) は,短時間の音圧レベル測定,長時間の等価音圧レベル値から推定することが
でき,又は測定機関等から提供される典型的な騒音状況の表から推定することができる。表
3は,典型的な騒音状況の例として,騒音がピンクノイズに近似できる場合に使用する100 dB
のC特性重み付け音圧レベルをもつピンクノイズのA特性重み付けオクターブバンド音圧レ
ベルを示す。
注記2 C特性重み付け音圧レベルの代わりにZ特性重み付け又はFLAT特性重み付け音圧レベルを
使用することができる。非常に低い周波数の騒音の場合,この手順によって,高めのL'p,Ax
の値が得られる。
L'p,Axの値は,最も近い整数に四捨五入する。
特定の騒音下での与えられた聴覚保護具着用時の実効A特性重み付け音圧レベルの計算例を,附属書D
に示す。
表3−100 dBのC特性重み付け音圧レベルをもつピンクノイズの
A特性重み付けオクターブバンド音圧レベルLp,Af(k)
オクターブバンドの中心周波数,f(Hz) 125 250 500 1 000 2 000 4 000 8 000
Lp,Af(k)(dB) 75.9 83.4 88.8 92.0 93.2 93.0 90.9
注記 この表に規定する値は100 dBのC特性重み付け音圧レベルをもつピンクノイズから導出した。レベルの大き
さ(100 dB)は計算を簡単にするために選択し,結果として得られるSNRには影響しない。周波数重み付け
特性CはJIS C 1509-1に規定されている。

――――― [JIS T 8161-2 pdf 10] ―――――

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JIS T 8161-2:2020の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO 4869-2:2018(MOD)

JIS T 8161-2:2020の国際規格 ICS 分類一覧

JIS T 8161-2:2020の関連規格と引用規格一覧