JIS X 0165-2:2021 小規模組織のソフトウェアライフサイクルプロファイル―第2部:枠組み及び分類指針 | ページ 7

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X 0165-2 : 2021 (ISO/IEC 29110-2-1 : 2015)

8.4 プロファイルグループのパッケージ化

  パッケージ化されたプロファイルグループは,別個のプロファイルの集まりである。
図3で,プロファイルグループBは異なる四つのプロファイル(B-1B-4)の集まりであり,複数の適
合単位又は適合水準に組み立てることができる。
プロファイルグループ B
プロファイル B-1
プロファイル B-2 プロファイル B-4
プロファイル B-3
図3−パッケージ化されたプロファイルグループ

9 VSEプロファイルの分類

9.1 導入

  VSEプロファイルはISO/IEC 29110.g.pで識別される。ここでは,gはプロファイルグループID,pはプ
ロファイルIDである。
注記1 第4部(Part 4)及び第5部(Part 5)の部番号の接尾辞をプロファイルIDとして使用してい
る。ISO/IEC 29110シリーズの部番号とプロファイルIDとを混同しないように注意する。
注記2 この箇条9では対応国際規格シリーズの規格番号を使って説明する。

9.2 プロファイル分類

  対応国際規格の発行時点では,表7に示す標準化プロファイルが登録されている。
斜体字のプロファイル及び文書は特定されているが,対応国際規格の発行時点ではそのプロジェクトは
開始されていない。
表7−VSEプロファイル分類
プロファイルグループ プロファイル 仕様記載の部の参照 手引記載の部の参照
29110.1 - ソフトウエア29110.1.1 - エントリ ISO/IEC 29110-4-1箇条7 TR 29110-5-1-1
エンジニアリング共通 29110.1.2 - 基本 ISO/IEC 29110-4-1箇条8 TR 29110-5-1-2
29110.1.3 - 中間 ISO/IEC 29110-4-1箇条9 TR 29110-5-1-3
29110.1.4 - 高度 ISO/IEC 29110-4-1箇条10 TR 29110-5-1-4
29110.2 - 組織管理 29110.2.1 - 組織管理 ISO/IEC 29110-4-2箇条7 TR 29110-5-2
29110.3 - サービス提供 ISO/IEC 29110-4-3箇条7
29110.3.n - サービス提供プロファ TR 29110-5-3
イル用に予約済み。 以降
サービス提供プロファイルは,サー
ビス提供プロファイル仕様規格が
発行されると特定される。
29110.6 - システムエン29110.6.1 - エントリ ISO/IEC 29110-4-6箇条7 TR 29110-5-6-1
ジニアリング共通 29110.6.2 - 基本 ISO/IEC 29110-4-6箇条8 TR 29110-5-6-2
29110.6.3 - 中間 ISO/IEC 29110-4-6箇条9 TR 29110-5-6-3
29110.6.4 - 高度 ISO/IEC 29110-4-6箇条10 TR 29110-5-6-4

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9.3 ソフトウェアエンジニアリング共通プロファイルグループ

9.3.1 導入
“共通”プロファイルグループは,クリティカルソフトウェアの開発には使用せず,典型的な状況要因
をもつ大多数のVSEに適用可能である。
“共通”プロファイルグループは,特定のアプリケーションドメインを意味するものではない。しかし
ながら,将来的には新しいドメイン固有のサブプロファイルが開発される可能性があることが予想される。
9.3.2 エントリプロファイル
エントリプロファイルは,創業間もないVSE(例えば,業務開始から3年未満のVSE),及び/又は小
規模プロジェクト(例えば,6人月未満のプロジェクト規模)に従事しているVSEを対象としたプロファ
イルである。
9.3.3 基本プロファイル
基本プロファイルは,単一の作業チームによって単一の応用プログラムを開発しているVSEを対象とし
たプロファイルである。
9.3.4 中間プロファイル
中間プロファイルは,一つ以上の作業チームによって並行的に一つ以上の開発を行っているVSEを対象
としたプロファイルである。
9.3.5 高度プロファイル
高度プロファイルは,独立し競争力のあるシステム及び/又はソフトウェア開発事業として持続及び成
長することを欲するVSEを対象としたプロファイルである。

9.4 システムエンジニアリング共通プロファイルグループ

9.4.1 導入
“共通”プロファイルグループは,システムエンジニアリングプロセス内で重要なシステム要素又は製
品を開発せず,典型的な状況要因をもつ大多数のVSEに適用可能であると特定される。
“共通”プロファイルグループは,特定のアプリケーションドメインを意味するものではない。しかし
ながら,将来的には新しいドメイン固有のサブプロファイルが開発される可能性があることが予想される。
9.4.2 エントリプロファイル
エントリプロファイルは,創業間もないVSE(例えば,業務開始から3年未満のVSE),及び/又は小
規模プロジェクト(例えば,6人月未満のプロジェクト規模)に従事しているVSEを対象としたプロファ
イルである。
9.4.3 基本プロファイル
基本プロファイルは,特別なリスク又は状況要因を伴うことなく,単一の作業チームによって単一の応
用プログラムを開発しているVSEを対象としたプロファイルである。
9.4.4 中間プロファイル
中間プロファイルは,一つ以上の作業チームによって並行的に一つ以上の開発を行っているVSEを対象
としたプロファイルである。
9.4.5 高度プロファイル
高度プロファイルは,独立し競争力のあるシステム及び/又はソフトウェア開発事業として持続及び成
長することを欲するVSEを対象としたプロファイルである。

9.5 組織管理プロファイルグループ

  組織管理プロファイルは,プロジェクトポートフォリオ管理,資源管理,及びマネジメントプロセスの

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ような企業規模のプロセスを通じて,ISO/IEC 29110-4-2に記載されているプロファイルの追加の指針を提
供する。

9.6 サービス提供プロファイルグループ

  サービス提供プロファイルは,ISO/IEC 29110-4-1及びISO/IEC 29110-4-6で説明されているプロファイ
ルに対して,VSEが顧客にシステム及び/又はソフトウェアサービスを提供するときに実装できる追加の
タスク及び作業生産物を説明することで,追加の手引を提供する。
サービス提供は次のように定義される。
“システム又はソフトウェアの開発段階の後に顧客(内部又は外部)に提供される一連のITサービス。
これらのライフサイクルプロセスは通常,移行,運用,支援及び保守として特定される。
VSEが効果的なサービス提供を行うために,契約プロセス,人的資源管理,リスク管理,構成,測定な
ど,他のライフサイクルプロセスが少なくとも部分的に実行される。”
注記 サービス提供プロファイル仕様規格が発行されると,サービス提供プロファイルグループ内の
プロファイルの特定及び説明が追加される。

10 VSEプロファイル仕様ガイドライン

10.1 プロファイル仕様の規則

10.1.1 ISO/IEC TR 10000-1の規則
ISO/IEC TR 10000-1では,次の規則をプロファイル仕様の作成で使用しなければならない,と記載して
いる。
a) 一般に“しなければならない”,“することが望ましい”,又は“してもよい”を含む,明示的に特定し
た要求事項だけが,基礎規格から選択され得る。
b) あるプロファイルを元規格の“規定”及び“参考”の両要素から構成する場合,適合性評価及びアセ
スメントを容易にするために,これらの要素を明確に識別しなければならない。
c) 基礎規格の要求事項をプロファイルに取り込む際に,その適合水準を下げることはできない。すなわ
ち,基礎規格で“しなければならない”と記載している要求事項は,プロファイルで“することが望
ましい”と記載する推奨事項としては使用できない。これを意図して使用している場合,要求事項は,
プロファイルで“することが望ましい”として使用し,基礎規格への参照を削除しなければならない。
d) 基礎規格の要求事項をプロファイルに取り込む際に,その適合水準を上げることができる。すなわち,
プロファイルで“しなければならない”と記載する要求事項は,基礎規格の“することが望ましい”
と記載している推奨事項を参照することができる。
e) 定義によって,プロファイルは基礎規格の要求事項から作成される。新たな要求事項の導入も異なっ
た根拠から可能である。例えば,ギャップを補すること,又は複数の規格の要求事項の統合を容易
にすることを可能にする。しかし,新たな要求事項の数は少ないこと(約10 %)が望ましい。
10.1.2 この規格類のプロファイルに特有の規則
この規格類のプロファイルの規則では,次の追加規則をプロファイル仕様の作成で使わなければならな
い,と記載している。
a) 基礎規格の要求事項がグループ化されている場合,プロファイルに基礎規格の構造をもちこまないよ
うに,グループの最小構成要素だけを選択することが望ましい。
b) 最小構成要素ではない要求事項を選択することには,そのグループに含まれる全ての要求事項をプロ
ファイルに取り入れてしまう,という影響がある。これは望ましいことではない。

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c) プロファイル仕様規格が手引類及び実装に構造をもちこむことは望ましくない。場合によって要素の
型でグループ化した,要素としての要求事項の一覧表を作ることが望ましい。
d) プロファイルが段階的,又は拡大縮小が可能である場合,次第に大きくなるプロファイルは,より小
さいプロファイルの要求事項の参照によって定義される。プロファイルの新しい要求事項だけが,基
礎規格を参照する。これによってプロファイルに追加された要素を容易に理解することができる。

10.2 プロファイル仕様の策定手順

  6.3の“プロファイルの作成”で記載したアプローチに従うと,プロファイル仕様は次に示すものからな
る。
a) プロファイル内の各タスクを形式的に特定し,命名する。名前がついていないタスクの場合は,基本
作業単位で命名する。
b) 各タスクでは,基礎規格内のタスクの要求事項,及びその適合水準を形式的に特定する。
c) 特定した作業生産物及び作業生産物内容については,各タスクの各入力及び出力を形式的に特定し,
それらの状態を特定する。
d) 各作業生産物及び作業生産物内容については,基礎規格内の作業生産物及び作業生産物内容の要求事
項を形式的に特定する。
e) プロファイル内の各作業生産物及び作業生産物内容を形式的に特定し,命名する。
f) 必要に応じて,基礎規格からの要求事項はプロファイル内の一貫性のために再様式化することができ
る。
g) 9.1で導入した規則を用いて,各々の要素の適合水準を割り当てる。

10.3 プロファイル仕様

10.3.1 仕様内容及び様式
VSEのソフトウェア又はシステムのライフサイクルプロファイルは,システム又はソフトウェアエンジ
ニアリングの方法論の一部分の仕様である。規格化されたメタモデルはそのような仕様の要素を定義する。
この規格の目的のために,次の文書が参照として使われた。
1) SO/IEC 24744:2014,Software Engineering−Metamodel for Development Methodologies
2) MG formal/2008-04-01,Software and Systems Process Engineering Meta-Model Specification
これらのメタモデルから,次に示す二つの主要な要素である作業単位及び作業生産物,一つの関係,及
び一つの属性だけがVSEプロファイルを特定するために必要とされる。
− 作業単位 作業単位は,開発作業(ISO/IEC 24744参照)の範囲で実施する,又は実施することを意
図した作業である。作業単位は,対象において次の二つのサブタイプをもつ。
− 粗粒度(集約)の作業を表すプロセス
− 細粒度(最小構成要素)の作業を表すタスク
− 作業生産物 開発作業の対象の作成物
− 関係 作業生産物及び作業単位は,“活動”の関係(読取り,書込み及び更新)によって関連付ける。
− 属性 入力事前条件(例えば,完了)又は出力事後条件(承認)として,“状態”を作業生産物に付与
することができる。
簡単に示すと,プロファイル仕様の要素は次のように識別する。
a) タスクは作業単位のために使う。
b) 作業生産物はタスクの入力又は出力に関連付く。
c) 入力及び出力の作業生産物は状態をもつ。

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d) 作業生産物は,作業生産物内容と呼ばれる,より小さな単位に細分化することができる。
e) 作業生産物内容は,基礎規格内での特定を容易にするために,より大きな単位に再パッケージ化する
ことができる。
単純なIPO(入力−プロセス−出力)モデルの形式は,数十年間,産業界で使われてきた。それは,VSE
を対象とした,ISO/IEC TR 29110-5の手引類のための仕様化手法として選択され,監査員(JIS Q 9001の
監査員がタートル図と呼ばれるIPOモデルの変形を使用した。)のために使われる。
仕様は,流れ図,データフロー図,UMLアクティビティ図,BPMNなど,産業界及びISOで標準的に
利用されている図表記を使い表現することができる。
仕様は,要求事項の様式化のために確立された規約に従って,自然言語で表現することもできる[JIS X
0166(要求エンジニアリング)参照]。
仕様は,場合によっては,直接又は図を介してツールに入力することができ,一貫性及び完全性につい
て妥当性検査することができる。
VSEプロファイルを指定する目的で,表形式の表現が推奨されるが,必須ではない。この様式は,解釈
の対象が少なく,必要とされる翻訳の量を減らすので,自然言語の使用が好ましい。
10.3.2 プロファイル仕様内容
10.3.2.0 概要
この規格は次の要素をもつ限り,プロファイル仕様の表現のための特有の形式を規定しない。
注記 対応国際規格では,この段落は10.3.2と10.3.2.1の間に書かれたいわゆるぶら下がり段落とな
っていて不具合であるため,JISでは,この細分箇条を新たに作成した。
10.3.2.1 基礎規格参照
タスクは次で定義する。
− 規格 基礎規格の文書識別
− タスクID 基礎規格でタスクに割り当てた一意の識別子
− タスク名称 基礎規格でタスクに与えた名称
− 適合 基礎規格におけるタスクの適合表示(“しなければならない”,“することが望ましい”,“しても
よい”)
作業生産物は次で定義する。
− 規格 基礎規格の文書識別
− 作業生産物ID 基礎規格で作業生産物に割り当てた一意の識別子
− 作業生産物名称 基礎規格で作業生産物に与えた名称
− 適合 基礎規格における作業生産物の適合表示(“しなければならない”,“することが望ましい”,“し
てもよい”)
作業生産物内容は次で定義する。
− 規格 基礎規格の文書識別
− 作業生産物ID 基礎規格で作業生産物に割り当てた一意の識別子
− 作業生産物内容ID 基礎規格で作業生産物内容に割り当てた一意の識別子
− 作業生産物内容名称 基礎規格で作業生産物内容に与えた名称
− 適合 基礎規格内における作業生産物の適合表示(“しなければならない”,“することが望ましい”,
“してもよい”)

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