JIS X 0170:2020 システムライフサイクルプロセス | ページ 2

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X 0170 : 2020 (ISO/IEC/IEEE 15288 : 2015)
織が,自主的に計画し開発する状況又は複数の当事者で計画し開発する状況でも,使用することができる。
当事者は,同じ組織又は異なる組織であってもよく,この状況は非公式の合意から公式の契約にまで及ぶ。
この規格の中のプロセスは,例えば,方法,手順,手法,道具及び訓練された人員といった,業務環境
を確立するための基礎として使用することができる。附属書Aは,これらのシステムライフサイクルプロ
セスの修整の仕方に関する基準を示す。

1.3 適用分野

  この規格は,システムの構想,開発,生産,利用,支援及び廃止を含めて,システムの全ライフサイク
ルに適用し,組織の内外にかかわらず実行されるシステムの取得及び供給に適用する。この規格のライフ
サイクルプロセスは,システムに対しては並行的に,反復的に,及び再帰的に,そしてそのシステム要素
に対しては段階的に適用することができる。
システムの目的,適用領域,複雑さ,規模,新規性,適応性,量,場所,寿命及び発展は,多種多様で
ある。この規格は,人が作ったシステムのライフサイクルを構成するプロセスを記述している。それゆえ,
この規格は,一品ずつ作るシステム,量産されたシステム,及び特注の融通の利くシステムに適用される。
この規格は,単体で機能するシステムにも,より複雑で完全なより大きなシステムに組み込まれて統合さ
れるシステムにも適用される。
この規格は,プロセスの目的,及びアクティビティのタスクの実施に成功した結果得られるプロセスの
成果によって特徴付けられたプロセス参照モデルを規定する。附属書Bには,様々なプロセスに関連させ
てもよい作成物及び情報項目の例を掲載している。それゆえ,この規格は,JIS X 33002で示されたプロセ
スアセスメントを支援する参照モデルとして使える。附属書Cは,プロセス参照モデルとしてシステムラ
イフサイクルプロセスの使用に関する情報を提供している。附属書Dは,プロセス参照モデルとして使用
する場合のプロセス構成を記述している。
注記 対応国際規格ではJIS X 0145-2(ISO/IEC 15504-2:2003)を参照しているが,JIS X 33002:2017
(ISO/IEC 33002:2015)へ改正されている。

1.4 制限

  この規格は,特定のシステムライフサイクルモデル,開発方法論,手法,モデル,又は技法を規定しな
い。この規格の利用者は,プロジェクトのライフサイクルモデルを選択し,この規格におけるプロセス,
アクティビティ及びタスクをそのモデルに対応付けることに責任を負う。また,当事者は,プロジェクト
に適切な方法論,手法,モデル及び技法を選択し,かつ,適用することにも責任を負う。
この規格は,管理を行うためのマネジメントシステム(management system)を制定するものではないが,
JIS Q 9001によって提供される品質マネジメントシステム,JIS Q 20000-1:2012(IEEE Std 20000-1-2013)
によって提供されるサービスマネジメントシステム,及びJIS Q 27000によって提供される情報セキュリ
ティマネジメントシステムとの互換性をもつことを意図している。
この規格は,情報項目の名称,様式,具体的な内容及び記録媒体については詳述していない。JIS X 0171
においてライフサイクルプロセスの情報項目(文書)の内容を取り扱う。
注記1 対応国際規格で参照しているISO/IEC 27000はJIS Q 27000が参照できるが,ISO/IEC 27000
は複数の部からなるファミリ規格となっている。
注記2 JIS X 0171:2014(ISO/IEC/IEEE 15289:2011)を参照しているが,ISO/IEC/IEEE 15289は,
この規格に対応させてISO/IEC/IEEE 15289:2017へ改正されている。

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X 0170 : 2020 (ISO/IEC/IEEE 15288 : 2015)

2 適合性

2.1 意図した用途

  この規格の要求事項は,箇条6及び附属書Aに規定されている。この規格は,システム又は製品のライ
フサイクルで使用するのに適切な幾つかのプロセスに対する要求事項を規定する。
特定のプロジェクト又は組織では,この規格で規定する全てのプロセスを利用しなくてもよいと認めら
れている。それゆえ,この規格を実施するには,一般的には,組織又はプロジェクトに適したプロセス集
合を選定し,かつ,宣言する。この規格の実施が,この規格に適合していることを主張する,二通りの方
法がある。それは,完全適合(Full conformance)及び修整適合(Tailored conformance)である。
完全適合を主張するには二つの基準がある。いずれの基準でも十分に適合できるが,選択された基準(又
は両方の基準)を,その主張の中で明示的に記述する。“タスクへの完全適合”を主張することは,宣言さ
れたプロセス集合のアクティビティ及びタスクの全ての要求事項が達成されたことを明言する。“成果へ
の完全適合”を主張することは,宣言されたプロセス集合に対する要求された成果が全て達成されたこと
を明言する。“成果への完全適合”は,適合しているプロセスを実行する方法について,“タスクへの完全
適合”よりも大きな自由度がある。このため,革新的なライフサイクルモデルを用いる状況で使われるプ
ロセスを実行するときにも,有用となる場合がある。
注記1 適合性の選択肢は,この規格の適用に必要な柔軟性をもたせるために提供されている。各プ
ロセスには,一そろいの目標(“成果”と表記)及び目標を達成する方法の一つを表す一そろ
いのアクティビティ及びタスクがある。
注記2 宣言されたプロセス集合のアクティビティ及びタスクを実施する利用者は,選択されたプロ
セスの“タスクへの完全適合”を明言できる。しかし,アクティビティ及びタスクの全てを
実施するのではなく,宣言されたプロセス集合の目標(成果)を達成する革新的なプロセス
に変形させて実施する利用者もいる場合がある。これらの利用者は宣言されたプロセス集合
の“成果への完全適合”を明言できる。タスクへの適合及び成果への適合という,二つの基
準は必然的に同等ではない。なぜならば,アクティビティ及びタスクの特定の実施には,場
合によって,成果だけを達成するよりも高いレベルの能力を必要とするからである。
注記3 この規格を取得者と供給者との間の合意形成の支援に使う場合,この規格の箇条は,変更の
有無にかかわらず合意の内容に組み込むために選択することができる。この場合,取得者及
び供給者にとっては,この規格に適合していることよりも,合意を遵守していることを主張
することがより適切である。
注記4 この規格を取引条件として課する組織(例えば,国家機関,産業団体,企業)は,取引条件
として供給者が遵守することを求める事項を構成する,最小限要求されるプロセス,成果,
アクティビティ及びタスクを規定し公表することができる。
注記5 この規格の要求事項は,“とする”又は“(し)なければならない”(shall)という動詞を使っ
て表現される。推奨事項は,“することが望ましい”(should)と表現される。許可事項は,“し
てもよい”,“すること(場合)がある”又は“することができる”(may)と表現される。し
かしながら,使われる動詞にかかわらず,適合に対する要求事項は前述のように選択される。

2.2 完全適合(Full conformance)

2.2.1  成果への完全適合(Full conformance to outcome)
完全適合の主張では,適合を主張するプロセス集合を宣言する。成果への完全適合は,宣言したプロセ
ス集合の全ての成果が達成されていることを,証拠を提示して立証することで実現する。この場合,宣言

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X 0170 : 2020 (ISO/IEC/IEEE 15288 : 2015)
された一そろいのプロセスのアクティビティ及びタスクに対する規定は,その規定で使用されている動詞
にかかわらず,要求事項であるよりも手引となる。
注記 この規格で意図している用途の一つは,プロセスのアセスメント及び改善を促進することであ
る。この目的のために,各プロセスの目標は,JIS X 33002の規定と互換性のある“成果”とい
う形で書かれている。それらの規格は,この規格におけるプロセスのアセスメントを提供し,
改善のための基礎を提供する。プロセスのアセスメント及び改善を意図する利用者は,JIS X
33002によって要求される“プロセス参照モデル”として,この規格に記載したプロセスの成
果を使用することができる。
2.2.2 タスクへの完全適合(Full conformance to tasks)
完全適合の主張では,適合を主張するプロセス集合を宣言する。タスクへの完全適合は,宣言したプロ
セス集合のアクティビティ及びタスクの全ての要求事項が達成されていることを,証拠を提示して立証す
ることで実現する。この場合,宣言された一そろいのプロセスの成果に対する規定は,その規定で使用さ
れている動詞にかかわらず,要求事項であるよりも手引となる。
注記 契約において,取得者又は規制機関が供給者のプロセスを詳細に理解することを要求するよう
な状況であれば,タスクへの完全適合を主張することが適切な場合がある。

2.3 修整適合(Tailored conformance)

  この規格を,一そろいのプロセスを定める基礎として使用するが,定めたその一そろいのプロセスが完
全適合とはみなされないときは,附属書Aに規定した修整(tailoring)プロセスに従って,この規格の箇
条を選定するか又は修正する。修整適合であると主張する,修整文章を明示する。修整適合は,修整され
た,プロセスの成果,アクティビティ及びタスクが達成されていることを,証拠を提示して立証すること
で実現する。

3 引用規格

  引用規格はない。

4 用語,定義及び略語

4.1 用語及び定義

  この規格で用いる主な用語及び定義は,次による。
注記 その他の用語は,ISO/IEC/IEEE 24765を参照。その用語定義はwww.computer.org/sevocabから
も用語検索ができる。
4.1.1
取得者(acquirer)
供給者から,製品又はサービスを取得又は調達する利害関係者。
注記 取得者のことを指すために通常使われている用語には,ほかに納入先,買付け者,顧客,所有
者,購入者又は内部若しくは組織の出資者がある。
4.1.2
取得(acquisition)
システム製品又はシステムサービスを入手するプロセス。
4.1.3
アクティビティ(activity)

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X 0170 : 2020 (ISO/IEC/IEEE 15288 : 2015)
プロセスの構成要素で,関連の強いタスクの集合。
4.1.4
合意(agreement)
業務上の関係を実行するための取決めの相互確認。
例 合意の契約,覚書き。
4.1.5
アーキテクチャ(architecture)
<システムに関する> システムが存在する環境の中での,システムの基本的な概念又は性質であって,
その構成要素,相互関係,並びに設計及び発展を導く原則として具体化したもの(ISO/IEC/IEEE
42010:2011)。
4.1.6
アーキテクチャ フレームワーク(architecture framework)
特定の適用領域及び/又はその利害関係者の関係者団体の中で確立された,アーキテクチャを記述する
ための規約,原則及び実践手法(ISO/IEC/IEEE 42010:2011)。
例1 アーキテクチャ及び方法論の汎用エンタープライズ参照モデル[Generalized Enterprise Reference
Architecture and Methodologies (GERAM)]の記載がISO 15704にあり,アーキテクチャ フレー
ムワークの一つである。
例2 開放型分散処理の参照モデル[Reference Model of Open Distributed Processing (RM-ODP)]の記
載がISO/IEC 10746-3にあり,アーキテクチャ フレームワークの一つである。
4.1.7
アーキテクチャ ビュー(architecture view)
特定の,システムに対する関心事の観点から,システムのアーキテクチャを表現している作業成果物
(ISO/IEC/IEEE 42010:2011)。
4.1.8
アーキテクチャ ビューポイント(architecture viewpoint)
特定の,システムに対する関心事を枠組みに収めるために,アーキテクチャ ビューを構築し,解釈し,
用いるための規約を確立している作業成果物(ISO/IEC/IEEE 42010:2011)。
4.1.9
監査(audit)
仕様,標準,契約合意,又は他の基準への適合性をアセスメントするための作業成果物又は作業成果物
の集合に対する独立した審査(ISO/IEC/IEEE 24765:2010)。
4.1.10
ベースライン(baseline)
媒体とは無関係に,構成品目のライフサイクル期間中の特定の時点で,正式に指定されて確定され,正
式に承認された構成品目の版(IEEE Std 828-2012)。
4.1.11
組織レベルの運用概念(concept of operations)
運用又は一連の運用に関する組織の前提条件・意図を,言葉及び/又は図で,全体像として記述するも
の(JIS X 0166:2014)。
注記1 組織レベルの運用概念(ConOps)は,しばしば長期戦略計画及び年間運用計画の形で具体化

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X 0170 : 2020 (ISO/IEC/IEEE 15288 : 2015)
される。後者の場合,その計画内の運用の概念は,同時に実施する又は順次実施する連結し
た一連の運用を網羅する。この概念は,組織の運用の全体像を与えるために設計される。シ
ステムレベルの運用概念(OpsCon)も参照。
注記2 これは,運用スペース・システム能力・インタフェース・運用環境を制限するための根拠に
なる。
注記3 対応国際規格ではANSI/AIAA G-043A-2012eの定義を参照していると記載されているが,JIS
X 0166:2014(ISO/IEC/IEEE 29148)で同一の定義をしている。
4.1.12
関心事(concern)
<システム> システムにおいて関心を集める事柄のことで,システムの一人以上の利害関係者に関係
すること(ISO/IEC/IEEE 42010:2011)。
注記 関心事はシステムがその環境の中で受ける全ての影響に関して存在する。この影響には,開発
面,技術面,ビジネス面,運用面,組織面,政治面,経済面,法律面,規制面,生態系環境面
及び社会面での影響を含む。
4.1.13
構成品目(configuration item)
ハードウェア,ソフトウェア若しくはその両方の品目又は集合体で,構成管理のために指定され,構成
管理プロセスでは単一の構成要素である実体として取り扱われるもの(ISO/IEC/IEEE 24765:2010の定義
を,“品目”を含むように変更している。)。
4.1.14
顧客(customer)
製品又はサービスを受け取る組織又は人(JIS Q 9000:2015の定義の一部を変更している。)。
例 顧客には,消費者,依頼人,利用者,取得者,納入先,買付け者又は購入者がいる。
注記1 顧客は,組織の内部又は外部であることができる。
注記2 対応国際規格ではJIS Q 9000:2006(ISO 9000:2005)の定義にサービスを追加した定義として
いるが,改正されたJIS Q 9000:2015(ISO 9000:2015)から一部を変更した定義になっている。
4.1.15
設計(動詞)(design)
<プロセス> システム又はシステム要素の,アーキテクチャ,システム要素,インタフェース及びそ
の他の特性を定義すること(ISO/IEC/IEEE 24765:2010の定義で,構成要素をシステム要素に変更してい
る。)。
4.1.16
設計(名詞)(design)
4.1.15で定義したプロセスの結果(ISO/IEC/IEEE 24765:2010)。
注記1 設計の情報は,システム要素及び要素間の相互関係についての仕様を含み,そのアーキテク
チャの適合する実装の支援を完了するために十分なもの。
注記2 設計は,システム要素について,詳細な実装レベルの物理的構成,振る舞い,一時的で経時
変化する関係,及びその他の属性を提供する。
4.1.17
設計特性(design characteristic)

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JIS X 0170:2020の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO/IEC/IEEE 15288:2015(IDT)

JIS X 0170:2020の国際規格 ICS 分類一覧