JIS X 0170:2020 システムライフサイクルプロセス | ページ 23

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X 0170 : 2020 (ISO/IEC/IEEE 15288 : 2015)
図D.1は,この規格及びISO/IEC 12207:2017の中で使用されているプロセス構成のUML表現である。
JIS X 0170のプロセス構成
0···.*
プロセスには,目的及び成果が必要である。全てのプロセス プロセス
は,少なくとも一つのアクティビティをもつ。プロセスは,
目的及び成果の記述を伴って,プロセス参照モデル(PRM) 名称,目的,成果
を構成する。
1 1
1···.*
アクティビティは,関連するタスクをまとめる構造をしてい
る。アクティビティは,プロセスの理解及び伝達を向上する アクティビティ
ために,プロセス内の関連するタスクを調べる方法を提供す
る。アクティビティの凝集度が十分に高い場合は,目的及び
名称
成果の集合を定義することによって,(より下位の)プロセ
スに昇格することができる。 1
1···.*
タスクは,プロセスを実行するための詳細な規定である。タ
スクは,要求事項(shall),推奨事項(should)又は許容事
タスク
項(may)のいずれかである。
1
0···.*
プロセスの意図及び構造をよりわかりやすく説明するために
解説情報を必要とするとき,注記を使用する。注記は,行い 注記
得る実施手段又は適用可能な領域に関する洞察を提供する
(例えば,一覧,例,その他の検討事項などで注記する)。
図D.1−この規格及びISO/IEC/IEEE 12207のプロセス構成

――――― [JIS X 0170 pdf 111] ―――――

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X 0170 : 2020 (ISO/IEC/IEEE 15288 : 2015)
附属書E
(参考)
プロセスビュー
E.1

序文

  特定のエンジニアリングに対する関心を代表している人たちが,その関心について直接的及び端的に対
応した一組のプロセスのアクティビティを1か所に集めてみたいという場合がある。そのような人たちに
対して,ライフサイクルの全部又は一部を横断する形態で,特定の関心に焦点を当てるために,この規格
又はISO/IEC/IEEE 12207から選ばれたプロセス,アクティビティ及びタスクを編成して,プロセスビュ
ーを作成することができる。この附属書Eは,これらの場合にプロセスビューを定義するために使用して
もよいプロセスのビューポイントを提供する。
E.2 プロセスビューの概念
ライフサイクルプロセスにわたって使われるプロセスにまたがる重要な概念又は脈絡を分かりやすくす
るために,全く異なるプロセスから選ばれたアクティビティ及びタスクに対して,統一した焦点が必要と
される場合があり得る。特定の関心事に対応する単一のプロセスを見つけられなくても,使用するために
アクティビティをどのようにして識別し,定義するかを,作業標準の利用者に助言することは有用である。
この目的のために,プロセスビューの概念が正式化された。プロセスのように,プロセスビューの記述
は目的及び成果の記述を含む。プロセスとは異なり,プロセスビューの記述は,アクティビティ及びタス
クを含まない。その代わりに,その記述は,この規格及びISO/IEC/IEEE 12207の様々なプロセスのアク
ティビティ及びタスクを用いてどのようにして成果を達成できるかを説明する手引を含んでいる。
プロセスビューは,E.3に見いだされるプロセスビューポイントテンプレートを使用して構成できる。
E.3 プロセスビューポイント
プロセスビューは,プロセスビューポイントに適合している。ここに挙げられたプロセスビューポイン
トは,プロセスビューを生成するために使用できる。
プロセスビューポイントは,次によって定義される。
− その利害関係者 : 作業標準の利用者
− それが枠組みとなる関心事 : 特定のエンジニアリングの関心事を反映するために必要なプロセス
結果であるプロセスビューの内容には,次を含んでいる。
− プロセスビューの名称
− プロセスビューの目的
− プロセスビューの成果
− プロセスビューを実施するプロセス,アクティビティ及びタスクの識別及び記述,並びにこれらのプ
ロセス,アクティビティ及びタスクの元が他の作業標準のどこにあるかを示す参照
注記 ビューポイントの文書化に対する要求事項は,ISO/IEC/IEEE 42010の5.4に含まれている。こ
の記述は,それらの要求事項と矛盾がない。

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E.4 スペシャルティエンジニアリングに対するプロセスビュー
ここでは,スペシャルティエンジニアリングに対するプロセスビューを生み出すためにプロセスビュー
ポイントを適用する例を示す。これは,特に興味深いものとして選択された製品特性の達成に注目するた
めに,プロジェクトがこの規格のプロセス,アクティビティ及びタスクをどのように組み立てるかを解説
することを意図している。
注記 “スペシャルティエンジニアリング”は,システムエンジニアリングにおける主要なエンジニ
アリング(例えば,ハードウェアエンジニアリング,ソフトウェアエンジニアリング,人間工
学など)を除くエンジニアリングドメイン(領域)のことをいう。電磁障害,電気接地(アー
ス),安全性,セキュリティ,電力フィルタ・無停電電源などのエンジニアリングドメイン,及
び環境エンジニアリングをシステムエンジニアリングに含めるとき,これらのものを“スペシ
ャルティエンジニアリング”とみなす。
この例は,一般にスペシャルティエンジニアリングと呼ばれる一群の関心事を取り扱う。これには,次
のものに限定はしないが,アベイラビリティ,保守性,信頼性,安全性,セキュリティ,人的要因,使用
性などの領域を含んでいる。この規格内では,これらの“性”要求事項は,“重大な品質特性”として参
照される。これらの特性は,焦点を当てるために選択された領域内で,指定された要求事項を製品がどの
程度うまく満たしているかを決定する。これらの特性は,焦点を当てるために選択された特定領域内で,
指定された要求事項を製品がどの程度うまく満たしているかを決定する。
注記 これは,スペシャルティエンジニアリングに関連する幅広い一連の機能的な特性及び非機能的
な特性を包含するプロセスビューの一般化された具体例である。それは,プロセスをまたがっ
た幅広いビューを提供する。特定の重大な品質特性が他の特性と比較して高い優先順位をもつ
場合,より詳細な情報及び要求事項を含む特定のプロセスビューをその特性に対して作成する
ことができる。
名称 : スペシャルティエンジニアリングプロセスビュー
目的 : スペシャルティエンジニアリングプロセスビューの目的は,特に関心のある選択された,重大な品
質特性について満足できる水準をシステムが達成することの客観的な証拠を提供することである。
成果 :
a) 製品の重大な品質特性が,特別に注目されるために選択されている。
b) 重大な品質特性の達成のための要求事項は,定義されている。
c) 要求事項に対する測定量は,選択され,求められる,重大な品質特性に関係付けられている。
d) 求められる重大な品質特性を達成するための取組方法が定義され,実施されている。
e) 要求事項の達成の範囲は,継続的に監視されている。
f) 重大な品質の達成度が,指定され,作成される。
注記 成果では,望まれる重大な品質特性が直接測定できない場合は,測定可能な他の製品又はプロ
セスの特性に基づいて論証し,推測することも許容される。
プロセス,アクティビティ及びタスク :
このプロセスビューは,JIS X 0170の次のプロセス,アクティビティ及びタスクを使用して実施できる。
注記1 JIS X 25030は,ソフトウェア製品の品質要求事項を規定するのに役立つ場合がある。
注記2 多くのスペシャルティエンジニアリング領域及びそれに関連する重大な品質特性についての
説明及び詳細は,INCOSEシステムエンジニアリングハンドブックに記載がある。
a) ビジネス又はミッション分析プロセス(6.4.1)は,関連するトレードオフ空間を構成する要因,及び

――――― [JIS X 0170 pdf 113] ―――――

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事前に準備されるライフサイクルの概念を含んだ,問題空間の定義,並びにソリューション空間の特
徴付けを提供する。これには,重大な品質特性(例えば,セキュリティ上の脅威,安全上のハザード,
ヒューマンインタフェース,運用操作上の特性,及びシステムのアシュアランスを行う状況)などの
全ての重要なパラメータ,及びそれらが適用される状況への理解を深めることが含まれる。関連する
アクティビティ及びタスクには,6.4.1.3のb) 1)及び2),c) 1)並びにd) 1)を含む。
b) 利害関係者ニーズ及び利害関係者要求事項定義プロセス(6.4.2)は,重大な品質特性を含めた特性の
選択及び定義並びに関連する情報項目を提供する。アクティビティ及び文書化は,重大な品質特性に
ついての要求事項を識別し,優先順位を付け,定義し記録するには有効である。関連するアクティビ
ティ及びタスクは,6.4.2.3のa) 1)及び2),b) 2),3)及び4),c) 1)及び2),d)の全タスク並びにe) 2)を
含む。
c) システム要求事項定義プロセス(6.4.3)は,重大な品質特性のパラメータの指定,及び開発する特定
のシステムに関するこれらの要求事項の達成状況を追跡するための手段の選択を提供する。関連する
アクティビティ及びタスクは,6.4.3.3のa) 1),b)の全タスク及びc) 2)を含む。
d) アーキテクチャ定義プロセス(6.4.4)は,アーキテクチャの観点から利害関係者の関心事を識別する
ためのものである。これらの関心事は,利用率(アベイラビリティ,セキュリティ,有効性,有用性
など),支援(修復性,陳腐化管理など),システム及び環境(適応性,拡張性,生存性など)の発展,
生産(生産可能性・製造性,テスト容易性など),廃止(環境への影響,輸送性など)などの重大な品
質特性に関連するライフサイクル段階全体にわたる期待又は制約に変換されることが多い。これには,
関心事及び関連する特性に関するアーキテクチャのアセスメントも含む。関連するアクティビティ及
びタスクは,6.4.4.3のa) 2)及び4),b) 1),c) 2),3),4)及び5),d) 1)並びにe) 2)を含む。
e) 設計定義プロセス(6.4.5)は,スペシャルティ特性に対する設計基準の安全性,及びそれらの基準に
照らした代替設計の評価などの重大な品質特性を含む,必要な設計特性の決定を提供する。関連する
アクティビティ及びタスクは,6.4.5.3のa) 2),b) 1),2),3),4)及び6)並びにc) 2)を含む。
f) システム分析プロセス(6.4.6)は,数学的分析,モデリング,シミュレーション,実験及び他の技法
の実施を通じて,重大な品質特性に関してトレードオフ空間を理解するために必要な分析のレベルを
提供する。分析結果は,他のテクニカルプロセスを支援する意思決定プロセスを通じて行われるトレ
ードオフ分析への入力となる。関連するアクティビティ及びタスクは,6.4.6.3のa)の全タスク及びb)
の全タスクを含む。
g) 実装プロセス(6.4.7)は,重大な品質要求事項が満たされている証拠の記録を提供する。関連するア
クティビティ及びタスクは,6.4.7.3のb) 3)を含む。
h) インテグレーションプロセス(6.4.8)は,重大な品質要求事項についての配慮を含めて,インテグレ
ーションの計画及び特性の達成が決定され,記録されているという保証を提供する。関連するアクテ
ィビティ及びタスクは,6.4.8.3のa) 1),b) 3)及び c) 1)を含む。
i) 検証プロセス(6.4.9)は,重大な品質特性を含め,検証を実施するための方針の計画及び実行を提供
する。選択された検証方針は,その特性の達成に影響を及ぼす設計の制約を導入してもよい。関連す
るアクティビティ及びタスクは,6.4.9.3のa) 1)及び3),b) 1)及び2)並びにc) 1)及び2)を含む。
j) 移行プロセス(6.4.10)は,その運用環境にシステムを導入することを提供する。幾つかのスペシャル
ティプロパティは,設計の制約及び運用の制約とのトレードオフを伴うので,導入での注意が重要に
なることが多い。関連するアクティビティ及びタスクは,6.4.10.3のa) 4),b) 4)及び6)並びに7)を含
む。

――――― [JIS X 0170 pdf 114] ―――――

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X 0170 : 2020 (ISO/IEC/IEEE 15288 : 2015)
k) 妥当性確認プロセス(6.4.11)は,重大な品質特性を含め,システムの提供するサービスが利害関係者
のニーズに合致している証拠を提供する。関連するアクティビティ及びタスクは,6.4.11.3のa) 1)及
び3),b) 1)及び2)並びにc) 1)及び2)を含む。
l) 運用プロセス(6.4.12)は,システムの利用を提供する。重大な品質特性が適切に達成されていること
を保証することは,システムの運用を監視することを含む。関連するアクティビティ及びタスクは,
6.4.12.3のb) 3)及び4),c) 1)及び2)並びにd) 1)及び2)を含む。
m) 保守プロセス(6.4.13)は,その重大な品質特性を含む,機能を継続的に提供できるよう,システムの
能力を維持する。これには,システムの継続的な運用を保証するために必要な障害分析,保守タスク,
及びロジスティクスのタスクが含まれる。関連するアクティビティ及びタスクは,6.4.13.3のb)の全
タスク,c)の全タスク並びにd) 1)及び2)を含む。
n) 廃棄プロセス(6.4.14)は,システムの存在を終わらせる。廃棄を予測する固有のニーズは,システム
開発に制約を課することがある。実際,これらの制約は,それ自身,重大な品質特性であってもよい。
関連するアクティビティ及びタスクは,6.4.14.3のa) 2),b) 1)及び2)並びにc) 3)を含む。
o) プロジェクトアセスメント及び制御プロセス(6.3.2)は,要求事項及び重大な品質特性の達成の度合
いの監視,並びに利害関係者及び管理者への結果の通知を提供する。関連するアクティビティ及びタ
スクは,6.3.2.3のb) 6),7),9)及び10)を含む。
p) 意思決定管理プロセス(6.3.3)は,重大な品質特性を含む決定基準に対する代替要求事項,アーキテ
クチャ特性及び設計特性のアセスメントを提供する。これらの比較の結果は,適切な選択モデルを介
してランク付けされ,次いで,最適なソリューションを決定するために使用される。関連するアクテ
ィビティ及びタスクは,6.3.3.3のb)の全タスク及びc) 1)を含む。
q) リスク管理プロセス(6.3.4)は,全体として,重大な品質特性を満たすことに関連するものを含め,
システムのリスクの識別,評価及び対処を提供する。
r) 情報管理プロセス(6.3.6)は,全体として,達成の度合いの文書化及び伝達のための情報項目の仕様,
開発及び保守を提供する。重大な品質特性の目的のために使用される情報項目は,その性質から,ス
ペシャルティ成果物となることがあるということを書きとめておくことが望ましい。これらの情報項
目を記述するための情報源には,業界団体,規制機関及び特定の標準が含まれる。
s) 測定プロセス(6.3.7)は,全体として,要求される重大な品質特性に測定量を関連付ける取組方法の
定義を提供する。
t) 品質保証プロセス(6.3.8)は,識別された,重大な品質特性の達成に関係する不具合(インシデント
及び問題)を取り扱う。
E.5 インタフェース管理に対するプロセスビュー
ここでは,プロセスビューポイントを適用して,インタフェース管理のプロセスビューを生成する例を
示す。この例は,プロジェクトがこの規格のプロセス,アクティビティ及びタスクをどのように組み立て,
特別な関心事として選択された製品特性の達成に焦点を当てるかを説明することを意図している。
この例では,インタフェース管理と呼ばれるプロセスビューの特定のインスタンスを扱う。これには,
インタフェース定義,設計及び変更管理が含まれるが,これに限定されない。この規格では,インタフェ
ース管理を構成するタスクは既存のプロセスに完全に含まれている。
名称 : インタフェース管理プロセスビュー
目的 : インタフェース管理プロセスビューの目的は,システムのインタフェースの識別,定義,設計及び

――――― [JIS X 0170 pdf 115] ―――――

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JIS X 0170:2020の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO/IEC/IEEE 15288:2015(IDT)

JIS X 0170:2020の国際規格 ICS 分類一覧