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参照)に基づいている。附属書Aに,プロジェクトに固有なニーズを取り扱うために用い
ることができる修整の情報を含む。プロセスの定義には次を含める。
− プロセスの開始基準
− プロセスの入力
− プロセスの実施順序の制約(事前又は事後実施の関係)
− プロセスの同時並行実施の要求事項(どのプロセス及びタスクが他のプロセスの領域
のタスク又はアクティビティと同時並行に作業されるか)
− プロセスの実施についての効果の測定量又は実績属性の測定量
− 範囲及びコストパラメータ(重大なコストの見積に対するもの)
b) プロジェクト及び技術面の管理を計画する。このアクティビティは,次のタスクからなる。
1) 管理面及び技術面における,目標及び作業見積に基づいてプロジェクトのスケジュールを定義し維
持する。
注記 これは,プロジェクトの適時の完了を達成するために必要なアクティビティ,達成のマイ
ルストーン,使用資源並びにリスク管理のためのレビュー及びリスク管理を考慮したスケ
ジュールの確保についての期間,関係,依存性及び順序の定義を含む。
2) ライフサイクル段階における意思決定ゲート,納入日及び外部入出力への主要な依存性に対する達
成基準を定義する。
注記 内部レビューの時間間隔は,ビジネス及びシステムの重大性,スケジュール並びに技術面
のリスクといった問題に対する組織の方針に従って定義される。
3) コストを定義し,予算を計画する。
注記 コストは,スケジュール,作業量見積,インフラストラクチャのコスト,購入品目,取得
したサービス及びイネーブリングシステム見積,並びにリスク管理のために確保された予
算に基づく。
4) プロジェクト作業のための役割,責任,説明責任及び権限を定義する。
注記 これは,プロジェクトの組織化した体制,要員の確保,要員スキル(技能)の開発及びチ
ーム作業の手法の定義を含む。適切な場合には,法的に責任ある役割及び個人への権限付
与を含める。例えば,設計の認可,安全性の認可,資格の証明又は認定の授与などによっ
て付与される権限である。
5) 要求されるインフラストラクチャ及びサービスを定義する。
注記 これは,必要な容量性,アベイラビリティ及びプロジェクトタスクへの割当てを含む。イ
ンフラストラクチャの設備,ツール及び情報通信技術資産を含む。各ライフサイクル段階
に対するイネーブリングシステムの要求事項も指定する。
6) プロジェクトの外部から供給される資材及びイネーブリングシステムのサービスの取得を計画す
る。
注記1 これは,必要ならば,提案入札要請,供給者選定,受入れ,契約管理及び契約終了の計
画を含む。合意プロセスが,計画された取得に用いられる。
注記2 ISO/IEC 27036シリーズは,供給者との関係に対する情報セキュリティを考慮したイン
フラストラクチャ及びサービスを取得するための手引を提供している。
7) レビューの実施を含めてプロジェクト及び技術面の管理及びそれらの実行の計画を生成し,伝達す
る。
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注記1 システムに対する技術面の計画は,システムエンジニアリングマネジメント計画
(Systems Engineering Management Plan,SEMP)の中で記述することがよくある。
ISO/IEC/IEEE 24748-4は,システムエンジニアリングテクニカル計画策定について,よ
り詳細に説明してSEMPの概略を提供している。システムに対するソフトウェア計画は,
ソフトウェア開発計画(Software Development Plan,SDP)の中で記述することがよくあ
る。プロジェクトに対する計画は,プロジェクト管理計画の中で記述することがよくあ
る。ISO/IEC/IEEE 16326は,プロジェクト管理について,より詳細な説明を提供してい
る。
注記2 他のプロセスの各々からの戦略に関するアクティビティ及びタスクは,プロジェクト計
画プロセスへ入力され統合される。プロジェクトアセスメント及び制御プロセスは,計
画が統合され,整合し,実行可能となることを確実なものにすることを助けるために使
われる。
c) プロジェクトを開始する。このアクティビティは,次のタスクからなる。
1) プロジェクトに対する認可を得る。
注記 ポートフォリオ管理プロセスは,認可を与える。
2) プロジェクトの実施に必要な資源を要求し,確約を得る。
3) プロジェクト計画を実施する。
6.3.2 プロジェクトアセスメント及び制御プロセス(Project Assessment and Control process)
6.3.2.1 目的
プロジェクトアセスメント及び制御プロセスは,計画が整合していて実現可能かどうかをアセスメント
し,プロジェクト実行の実績,技術面での達成の実績及びプロセス実施の実績の状態を判定し,計画及び
スケジュールに従って予測した予算に収めながら,技術面の目標を満足するようにプロジェクトを遂行す
ることを確実にするのを助けるために,プロジェクトの実行を指示監督することを目的とする。
このプロセスは,定期的に及び主要なイベントにおいて,要求事項,計画及び全体的なビジネス目標に
対する進捗及び達成度を評価する。著しい差異が検出された場合は,管理活動のために情報が提供される。
このプロセスは,識別された他のテクニカルマネジメント又はテクニカルプロセスからの逸脱及びばらつ
きを是正するため,必要に応じて,プロジェクトのアクティビティ及びタスクを軌道修正することも含む。
軌道修正には,適切ならば再計画することを含めてもよい。
6.3.2.2 成果
プロジェクトアセスメント及び制御プロセスの実施に成功すると次の状態になる。
a) 実績の測定量又はアセスメント結果が利用可能になっている。
注記 この実績には,プロジェクトの実行,プロセスの実施,及び技術面の達成についての実績を
含む。
b) 役割,責任,説明責任及び権限の必要十分性がアセスメントされている。
c) 資源の必要十分性がアセスメントされている。
d) 技術進捗レビューが実施されている。
e) プロジェクト実績における計画からの逸脱が調査及び分析されている。
f) 影響を受ける利害関係者がプロジェクトの状況を知らされている。
g) プロジェクトの達成度が目標に達していない場合,是正処置が定義され指示監督されている。
h) 必要に応じて,プロジェクトの再計画が開始されている。
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i) スケジュールした一つのマイルストーン又はイベントから次に進める(又は進めない)ためのプロジ
ェクト行動が認可されている。
j) プロジェクトの目標が達成されている。
6.3.2.3 アクティビティ及びタスク
プロジェクトは,プロジェクトアセスメント及び制御プロセスに関する,適用可能な組織の方針及び手
順に従って,次に示すアクティビティ及びタスクを実施しなければならない。
a) プロジェクトのアセスメント及び制御を計画する。このアクティビティは,次のタスクからなる。
1) プロジェクトのアセスメント及び制御の戦略を定義する。
注記 戦略は,計画されたアセスメントの手法及び期限,必要な管理及び技術レビューを含む,
期待されるプロジェクトアセスメント及び制御アクティビティを識別する。
b) プロジェクトのアセスメントを行う。このアクティビティは,次のタスクからなる。
1) プロジェクトの目標及び計画とプロジェクトが実行される状況との整合性をアセスメントする。
2) 計画の必要十分性及び実現可能性を判定するために,目標に対する管理面及び技術面の計画をアセ
スメントする。
3) コスト,スケジュール及び実績についての予測値と実績値との差異を判定するために,妥当な計画
に対するプロジェクト及び技術面の状況をアセスメントする。
4) 役割,責任,説明責任及び権限の必要十分性をアセスメントする。
注記 これには,プロジェクトの役割を担いプロジェクトのタスクを完遂するための,人員の能
力の必要十分性のアセスメントを含む。例えば,資源利用効率,プロジェクト達成度など,
可能な限り客観的測定量が使われる。
5) 資源の必要十分性及びアベイラビリティをアセスメントする。
注記 資源には,インフラストラクチャ,要員,資金,時間,又は他の附属項目を含む。このタ
スクには,組織内での資源提供の確約があることの確認を含む。
6) 測定された達成度及びマイルストーンの完了を用いて進捗をアセスメントする。
注記 これには,例えば,費用面での入手可能性のような,目標に関する他の技術的データとと
もに,労力,資材,サービスのコスト,及び技術面の達成実績に対するデータを集めて評
価することを含む。これらは達成度の測定量と比較する。これには,要求事項に対して,
発展中のシステムが必要十分なものとなっているかを判定する有効性アセスメントを含む。
必要なときにサービスを提供するイネーブリングシステムの準備ができていることも含む。
7) 要求される管理レビュー及び技術レビュー,監査,並びにインスペクションを実施する。
注記 これらは,ライフサイクル又はプロジェクトのマイルストーンの次の段階に進む準備がで
きていることを判定するため,プロジェクト目標及び技術的目標が満たされることを確実
にするのを助けるため,又は利害関係者からのフィードバックを得るために,公式又は非
公式に実施される。
8) 重要なプロセス及び新技術を監視する。
注記 これには,技術の成熟度及び技術が組み入れられたかどうかの識別及び評価を含む。
9) 測定結果を分析し勧告を行う。
注記 潜在的な関心事を示す値を含めた,計画された値からの逸脱,ばらつき又は望ましくない
変化の傾向を識別するため,及び是正処置又は予防処置を行うのに適切な勧告を行うため
に,測定結果を分析する。これには,適切な場合に,傾向を示す測定量の統計的分析を含
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む。そうした測定量には,例えば,成果物の品質を示す欠陥密度,プロセスを繰り返せて
いる程度についてのプロセス反復可能性を示す測定されたパラメータ値の分布などがある。
10) アセスメントのタスクから得た状況及び所見を記録して提供する。
注記 これらは通常,合意,方針及び手順において指定される。
11) プロジェクトにおけるプロセスの実行を監視する。
注記 これには,プロジェクト目標に関するプロセス測定量の分析及びその変化傾向のレビュー
を含む。識別された全ての改善活動は,品質保証プロセス又はライフサイクルモデル管理
プロセスを通じて取り組まれる。
c) プロジェクトを制御する。このアクティビティは,次のタスクからなる。
1) 識別された課題に取り組むために必要な処置を開始する。
注記1 これは,プロジェクト又は技術面の達成度が,計画された目標に合致していない場合に
生じる。これには,是正処置,予防処置及び問題解決処置を含む。不十分な点若しくは
利用できない点が検知された場合,又はプロジェクト若しくは技術面の達成度が目標若
しくは計画を超えた場合,処置は通常,要員,ツール及びインフラストラクチャといっ
た資産の再計画又は再配置を必要とする。これが,コスト,スケジュール,又は技術的
な適用範囲若しくは定義に影響を与えることがよくある。処置は,ライフサイクルプロ
セスの実施手段及び実行に対する変更を必要とすることがある。
注記2 処置は,それらの必要十分性及び適時性を確認するために,記録及びレビューされる。
2) 必要なプロジェクトの再計画を開始する。
注記1 プロジェクトの再計画は,プロジェクトの目標若しくは制約が変わった場合,又は計画
の前提が無効であることが示された場合に開始される。
注記2 取得者と供給者との間の合意の変更を必要とする全ての変更は,取得及び供給プロセス
を呼び出す。
3) 取得者又は供給者からの依頼の影響で,コスト,時間又は品質について契約変更があった場合,変
更する行動を開始する。
注記 これには,供給のために修正された契約条項及び取引条件の考慮又は新たな供給者選定の
開始を含む。これによって,取得プロセス及び供給プロセスが呼び出される。
4) 正当な理由がある場合は,次のマイルストーン又はイベントに向かって進むことをプロジェクトに
認可する。
注記 プロジェクトアセスメント及び制御プロセスは,マイルストーンの完了に関して合意に達
するために用いられる。
6.3.3 意思決定管理プロセス(Decision Management process)
6.3.3.1 目的
意思決定管理プロセスは,ライフサイクル中のいずれの時点でも,意思決定に関する代替案を客観的に
識別し,特徴付け及び評価するために,構造化された分析的な枠組みを提供し,行動の最も有利な進路を
選定することを目的とする。
注記1 このプロセスは,状況に好ましい結果をもたらす代替案の集合を識別するために,技術面又
はプロジェクト面の課題を解決し,システムライフサイクル中に遭遇する意思決定の要請に
対応するために用いられる。
意思決定管理で最も頻繁に使用される手法は,トレードオフ分析及びエンジニアリング面での分析であ
――――― [JIS X 0170 pdf 44] ―――――
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る。それぞれの代替案は,意思決定基準(例えば,コストへの影響,スケジュールへの影響,プログラム
の制約,規制に関係する事項,技術面の遂行能力・性能・運用時の実績がもつ特性,重大な品質特性,リ
スク)に照らして評価される。これらの比較の結果は,適切な選択モデルを介してランク付けされ,その
後,最適解を意思決定するために使用される。
鍵となる調査データ(例えば,前提及び意思決定根拠)は,通常は,意思決定者に情報を提供し,かつ,
将来の意思決定を支援するために維持されている。
注記2 いずれかの基準に対するパラメータの詳細なアセスメントを行う必要がある場合,そのアセ
スメントを実施するためにシステム分析プロセスが用いられる。
6.3.3.2 成果
意思決定管理プロセスの実施に成功すると次の状態になる。
a) 代替案の分析を必要とする意思決定が識別されている。
b) 行動の進路の代替案が識別され評価されている。
c) 好ましい行動の進路が選定されている。
d) 解決案,意思決定の論理的根拠及び前提が識別されている。
6.3.3.3 アクティビティ及びタスク
プロジェクトは,意思決定管理プロセスに関する,適用可能な組織の方針及び手順に従って,次に示す
アクティビティ及びタスクを実施しなければならない。
a) 意思決定を準備する。このアクティビティは,次のタスクからなる。
1) 意思決定管理の戦略を定義する。
注記 意思決定管理の戦略は,役割,責任,説明責任及び権限の識別を含む。戦略には,意思決
定の種類の分類,及び優先順位の付け方について識別することも含む。次のようなことを
決めるために,意思決定を行うことがよくある。
− 有効性のアセスメント結果
− 技術面のトレードオフ
− 解決が必要な問題
− 受容可能なしきい(閾)値を超えるリスクへの対応として必要とされる行動
− 次のライフサイクル段階へプロジェクトを進めるための新たな機会又は承認
組織又はプロジェクトの指針で,意思決定の分析に適用される厳密さ,及び形式を整え
た正式さの度合いを決定する。
2) 意思決定を行う状況及びニーズを識別する。
注記 問題又は機会及びそれらの結果を解決する作業の,代替案を含めた複数の進路を記録し,
分類し,かつ,報告する。
3) 経験及び知識を活用するために,意思決定に関連する利害関係者を意思決定に参加させる。
注記 分析及び決定に必要な領域の専門家が誰かを識別することは良い行動である。
b) 意思決定の情報を分析する。このアクティビティは,次のタスクからなる。
1) それぞれの意思決定のための意思決定管理の戦略を選択し,宣言する。
注記 代替案を評価するために要求されるデータ及びシステムの分析だけでなく,これらの問題
及び機会を解決するために要求される厳密さの度合いも決定する。
2) 望まれる成果及び測定可能な選定基準を決定する。
注記 全ての基準のための重み付けの要因だけでなく,全ての定量化可能な基準に望まれる値,
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JIS X 0170:2020の引用国際規格 ISO 一覧
- ISO/IEC/IEEE 15288:2015(IDT)