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X 0170 : 2020 (ISO/IEC/IEEE 15288 : 2015)
2) 教育訓練,専門教育又は個人指導を行う資源を,獲得又は開発する。
注記 これらの資源は,組織,又は組織外の業者若しくは教育関係者によって開発される教材,
組織外の供給者から提供される教育訓練コース,コンピュータを使用した個別学習などを
含む。
3) 計画されたスキル開発を提供する。
4) スキル開発の記録を維持する。
c) スキルを取得し提供する。このアクティビティは,次のタスクからなる。
注記 このアクティビティは,次を含む。
− プロジェクトの適切な要員配備に必要な経験のレベル及びスキルを備えた人員の採用及
びその保持
− 例えば,熟練度,やる気(モチベーション),チーム環境で働く能力,さらに,再教育訓
練,配置転換又は再配置のニーズなどについての要員のアセスメント及びレビュー
1) スキルの不足が識別されたときは適格性のある有資格者を要員として獲得する。
注記 これには外部委託先の人的資源を含む。
2) 進行中のプロジェクトに配置するために,共用できるようにして確保した必要なスキルのある要員
を,維持し管理する。
3) プロジェクト及び要員開発のニーズに基づいてプロジェクトの配属を行う。
4) 要員を動機付ける。例えば,キャリア開発及び報奨制度によって動機付ける。
5) 複数プロジェクト管理インタフェースを制御して,要員の重複競合問題を解決する。
注記 これには,進行中のプロジェクト群における,組織のインフラストラクチャ及び支援サー
ビスの容量,並びに要員資源の許容量についての重複若しくは競合の問題,又はプロジェ
クト要員が過度に作業に従事していることによる重複若しくは競合の問題を含む。
6.2.5 品質管理プロセス(Quality Management process)
6.2.5.1 目的
品質管理プロセスは,製品,サービス及び品質管理プロセスの実施が組織及びプロジェクトの品質目標
に合致し,顧客満足を達成することを保証することを目的とする。
6.2.5.2 成果
品質管理プロセスの実施に成功すると次の状態になる。
a) 組織の品質管理の方針,目標及び手順が定義され,実施されている。
b) 品質評価の基準及び評価方法が確立されている。
c) プロジェクトの品質保証活動アクティビティの運用及び監視を支援するために,資源及び情報がプロ
ジェクトに提供されている。
d) 品質保証の評価結果が収集され,分析されている。
e) 品質管理の方針及び手順は,プロジェクト及び組織の結果に基づいて改善されている。
注記 これらの成果は,JIS Q 9001で規定している要求事項に沿ったものである。品質マネジメン
トシステムの確立についての情報は,JIS Q 9001を参照。
6.2.5.3 アクティビティ及びタスク
組織は,品質管理プロセスに関して,適用可能な組織の方針及び手順に従って,次のアクティビティ及
びタスクを実施しなければならない。
a) 品質管理を計画する。このアクティビティは,次のタスクからなる。
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1) 品質管理方針,品質管理目標及び品質管理手順を確立する。
注記1 JIS Q 9001は,品質マネジメントシステムについてのプロセスモデルであり,JIS Q 9004
では実績の改善のための指針について言及している。
注記2 品質管理方針,品質管理目標及び品質管理手順は,顧客満足のためのビジネス戦略に基
づいている。
2) 品質管理の実施に対する責任及び権限を定義する。
注記 多くの場合,品質管理のための資源は,プロジェクト管理からの独立性のために,プロジ
ェクト管理とは異なる組織から割り当てられる。
3) 品質評価基準及び品質評価方法を定義する。
4) 品質管理のための資源及び情報を提供する。
b) 品質管理のアセスメントを行う。このアクティビティは,次のタスクからなる。
1) 定義された基準に従って,品質保証における評価結果を収集し,分析する。
2) 顧客満足度をアセスメントする。
注記 ISO 10004:2012には,顧客満足度を監視及び測定するための指針が含まれている。
3) 品質管理方針,品質管理目標及び品質管理手順の順守のために,プロジェクト品質保証活動の定期
的なレビューを実施する。
4) プロセス,製品及びサービスの品質改善状況を監視する。
c) 品質管理の是正処置及び予防処置を実施する。このアクティビティは,次のタスクからなる。
1) 品質管理目標が達成されない場合に是正処置を計画する。
2) 品質管理目標が達成されないリスクが十分ある場合,予防処置を計画する。
3) 是正処置及び予防処置を完了まで監視し,関係する利害関係者に通知する。
注記 是正処置及び予防処置の実施は,ライフサイクルモデル管理プロセス,プロジェクトアセ
スメント及び制御プロセスなどの他の関連プロセスで実施される。
6.2.6 知識管理プロセス(Knowledge Management process)
6.2.6.1 目的
知識管理プロセスは,組織が既存の知識を再適用する機会を活用できる能力及び資産を開発することを
目的とする。
知識管理プロセスは,その対象として,知識,スキル(技能)及び知識資産を含み,システム要素も含
む。
6.2.6.2 成果
知識管理プロセスの実施に成功すると次の状態になる。
a) 知識資産の適用のための分類法が識別されている。
b) 組織の知識,スキル及び知識資産が開発又は取得されている。
c) 組織の知識,スキル及び知識資産が利用可能になっている。
d) 知識管理利用のデータが収集されて分析されている。
6.2.6.3 アクティビティ及びタスク
組織は,知識管理プロセスに関する,適用可能な組織の方針及び手順に従って,次に示すアクティビテ
ィ及びタスクを実施しなければならない。
a) 知識管理を計画する。このアクティビティは,次のタスクからなる。
1) 知識管理の戦略を定義する。
――――― [JIS X 0170 pdf 37] ―――――
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注記1 一般に,知識管理の戦略は次を含む。
− 知識の再適用を目指す領域,及びそれらの領域で知識を再適用する可能性の識別
− 知識,スキル及び知識資産を獲得して,それらが有用であるように維持する計画
− 収集されて維持される知識,スキル及び知識資産の種別の特徴付け
− 知識,スキル及び知識資産の受入れ,適格性及び取下げを判断する基準
− 知識,スキル及び知識資産の変更を制御する手順
− 極秘又は機密データの保護,制御及びアクセスのための計画,仕組み及び手順
− 蓄積及び検索の仕組み
注記2 知識管理は,組織内で内部的に共有される知識,並びに知的財産及び守秘義務の合意に
従って,利害関係者,取得者及びビジネスパートナーと共に組織外で共有される知識を
含む。
2) 管理される知識,スキル及び知識資産を識別する。
3) 知識,スキル及び知識資産の適用から利益を得ることができるプロジェクトを識別する。
b) 組織全体で知識及びスキルを共有する。このアクティビティは,次のタスクからなる。
1) 組織全体で,知識及びスキルを捕捉し,(形あるものに)記録・保存して共有するための分類を確立
して維持する。
注記 分類は,専門,一般共通及び領域別の知識及びスキル,並びに学習された教訓を含む。
2) 知識及びスキルを組織が自ら捕捉し確保するか又は他から取得する。
3) 組織全体で知識及びスキルを共有する。
c) 組織全体で知識資産を共有する。このアクティビティは,次のタスクからなる。
1) 知識資産を体系化するための分類法を確立する。
注記1 分類法は次を含む。
− 領域の境界及びそれらの他との関係の定義
− 必須で共通の特徴,能力,概念及び機能,並びに異なる特徴,能力,概念及び機能
を,捕捉して(形あるものに)記録・保存する領域モデル
− 領域内のシステム群に向けた,共通の特徴及び異なる特徴を含むアーキテクチャ
注記2 プロダクトラインモデルの詳細についてはISO/IEC 26550を参照。アーキテクチャのフ
レームワーク,ビューポイント,モデル種別,ビュー及びモデルに関する要求事項は
ISO/IEC/IEEE 42010を参照。
2) 知識資産を開発又は取得する。
注記 知識資産は,教訓及び次を含む。
− システム要素又はそれらを表現したもの(例えば,再利用可能なコードのライブラリ,
参照されるアーキテクチャ)
− アーキテクチャ又は設計の要素(例えば,アーキテクチャ パターン又はデザインパタ
ーン)
− プロセス
− 基準
− 領域についての知識に関連する,その他の技術情報(例えば,教育訓練用の教材)
3) 組織全体で知識資産を共有する。
d) 知識,スキル及び知識資産を管理する。このアクティビティは,次のタスクからなる。
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1) 知識,スキル及び知識資産を維持する。
2) 知識,スキル及び知識資産の利用を監視して記録する。
3) 定期的に,技術の動向及び知識資産の市場ニーズを再度アセスメントする。
6.3 テクニカルマネジメントプロセス(Technical management processes)
テクニカルマネジメントプロセスは,計画を確立し発展させ,計画を実行し,計画に対する実績及び進
捗のアセスメントを行い,達成するまで,実行を制御するために用いられる。個々のテクニカルマネジメ
ントプロセスは,計画又は予期しないイベントによって要求されることになれば,ライフサイクルのどの
時点でも,また,プロジェクトにおける階層レベルのどのレベルにおいても実行してもよい。テクニカル
マネジメントプロセスは,プロジェクトのリスク及び複雑性に応じた厳密さ及び正式さを伴うように適用
される。
テクニカルマネジメントプロセスの範囲は,システムを含む,プロジェクトの技術面の管理又はそのプ
ロジェクトの製品の技術面の管理である。
注記 この一連のテクニカルマネジメントプロセスは,システムに特有なテクニカルプロセスを効果
的に実行できるように実施される。これらテクニカルマネジメントプロセスは,システム管理
又はプロジェクト管理のための一連のプロセス全てを包括的に含んだものではなく,それはこ
の規格の適用範囲外である。
テクニカルマネジメントプロセスは,次によって構成される。
a) プロジェクト計画プロセス(Project Planning process)
b) プロジェクトアセスメント及び制御プロセス(Project Assessment and Control process)
c) 意思決定管理プロセス(Decision Management process)
d) リスク管理プロセス(Risk Management process)
e) 構成管理プロセス(Configuration Management process)
f) 情報管理プロセス(Information Management process)
g) 測定プロセス(Measurement process)
h) 品質保証プロセス(Quality Assurance process)
プロジェクト計画プロセス,並びにプロジェクトアセスメント及び制御プロセスは,あらゆる管理を実
践するための鍵となっている。これらのプロセスは,プロジェクト又はプロセスを管理するための共通し
た取組方法を確立する。このプロセスグループに含まれる他のプロセスは,それぞれに特化した管理目標
を遂行するために特定の焦点を当てた一連のタスクを提供する。それらは,組織全体から単一のライフサ
イクルプロセス及びそのタスクに至るまでの,様々な取組みの管理において全て明らかにされる。この規
格では,プロセス群を記述する中で,プロジェクトという表現を用いているが,サービスの遂行において
も同じプロセス群を適用できる。
6.3.1 プロジェクト計画プロセス(Project Planning process)
6.3.1.1 目的
プロジェクト計画プロセスは,効果的で実行可能な計画を作成し,調整することを目的とする。
このプロセスは,プロジェクト管理及びテクニカルプロセスのアクティビティの範囲を決定し,プロセ
スの出力,プロジェクトのタスク及び納入物を識別し,達成基準を含むプロジェクトのタスク実施のスケ
ジュール及びプロジェクトのタスクを達成するために要求される資源を確立する。これは,計画の定期的
な改訂によって,プロジェクト全体を通して進行し続けるプロセスである。
注記 他のプロセスの各プロセスの中で定義された戦略は,プロジェクト計画プロセスへの入力を提
――――― [JIS X 0170 pdf 39] ―――――
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供し,かつ,プロジェクト計画プロセスの中に統合される。計画が統合されたものになってお
り,整合化されており,かつ,実現可能なものになっているかをアセスメントするために,プ
ロジェクトアセスメント及び制御プロセスが用いられる。
6.3.1.2 成果
プロジェクト計画プロセスの実施に成功すると次の状態になる。
a) 目標及び計画が定義されている。
b) 役割,責任,説明責任及び権限が定義されている。
c) プロジェクト目標を達成するのに必要な資源及びサービスが正式に依頼され,確約されている。
d) プロジェクト実行のための計画が作成されて用いられている。
6.3.1.3 アクティビティ及びタスク
プロジェクトは,プロジェクト計画プロセスに関する,適用可能な組織の方針及び手順に従って,次に
示すアクティビティ及びタスクを実施しなければならない。
a) プロジェクトを定義する。このアクティビティは,次のタスクからなる。
1) プロジェクトの目標及び制約条件を明確にする。
注記1 目標及び制約条件は,システムの遂行能力・性能・運用時の実績及び他の品質側面,コ
スト,時間並びに顧客の満足を含む。各目標は,適切なプロセス及びアクティビティの
選定,修整及び実施が可能な程度の詳細に識別される。
注記2 ISO/IEC 15026シリーズは,システム及びソフトウェアのアシュアランスに関して,及
びISO/IEC 27036シリーズは,供給者との関係に対する情報セキュリティに関して,目
標及び制約条件の追加の手引を提供する。
注記3 ISO/IEC 15026シリーズのうち,第2部はJIS X 0134-2も参照できる。
2) 合意を確立するためのプロジェクトの適用範囲を定義する。
注記 プロジェクトには,ビジネスの意思決定基準を満たしプロジェクトを成功裏に完了させる
ために要求される全ての関連アクティビティを含む。プロジェクトは,システムライフサ
イクル全体の中の一つ以上の段階の責任をもつことができる。計画には,プロジェクト計
画を維持し,アセスメントを実施し,プロジェクトを制御するための適切な行動を含む。
3) 組織の定義されたライフサイクルモデルを用いた段階から構成されるライフサイクルモデルを定義
し,維持する。
注記 ISO/IEC/IEEE 24748-1:2018が,ライフサイクル段階及び適切なライフサイクルモデルの定
義に関する詳細な情報を提供する。そこではライフサイクル段階の一般的な例を定義して
おり,概念,開発,生産,利用,支援及び廃棄の各段階を含む。
4) 発展していくシステムアーキテクチャに基づく作業分解構造(Work Breakdown Structure。以下,WBS
という。)を確立する。
注記1 システムアーキテクチャの各要素,並びに適切なプロセス及びアクティビティは,識別
されたリスクと同じレベルの詳細さで記述する。WBSにおいて関連するタスクは,プロ
ジェクトタスク群にグループ分けする。プロジェクトのタスクは,開発又は生成される
全ての作業項目を識別する。PMI実務標準規程では,WBSについて詳細を追加している。
注記2 PMI(Project Management Institute)は米国のプロジェクト管理協会のことである。
5) プロジェクトに適用されるプロセスを定義し,維持する。
注記 これらのプロセスは,組織の定義されたプロセス(ライフサイクルモデル管理プロセスを
――――― [JIS X 0170 pdf 40] ―――――
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JIS X 0170:2020の引用国際規格 ISO 一覧
- ISO/IEC/IEEE 15288:2015(IDT)